« 前の記事 | 水産食品ブログトップ | 次の記事 »
【06 書籍・サイト紹介】
2007-12-01
これから食えなくなる魚
日本の食卓から魚が消える!
ショッキングなタイトルですが、これは今年出版された
「これから食えなくなる魚」という新書に書かれている一文です。
タイトルからしてB級本かと思われたかもしれませんが、著者は漁業の専門家であり、クジラやマグロ問題では日本の顔となって世界の強豪たちと舌鋒鋭く戦ってきた小松正之氏その人です。
世界の漁業資源はもちろん日本の水産業についても知り尽くしている著者が、日本漁業や日本の食の先行きをあんじて警鐘を鳴らしているのです。業界のヒーローであるはずの小松氏が、やむにやまれぬ思いで日本の水産業の問題点を指摘するのだから発言の重みと説得力が違います。(とても読みやすい本です。新書ということもあり、早ければ数時間で読了できます)
今のような乱獲を続けていると、近い将来、世界中の海から魚が消えてしまうという論文が科学雑誌『サイエンス』に掲載されたのはつい最近のこと。先の衝撃的なタイトルもあながち嘘ではありません。
今でも世界一魚を食べているにも関わらず、海の中のことをよく考えないまま金に任せて水産物を買いまくっている日本人。一方で、日本の漁業・水産業界そのものも構造的な問題を抱え硬直化したまま。小松氏は従来のやり方では日本の漁業・水産業には未来がないと断じます。
先日のお魚会議でも業界を取り巻く課題や水産資源問題などの話題が多数でました。会議では課題・問題を解決するよい案までたどり着きませんでしたが、この本には(現場の方にとっては少々耳のいたい)提案・提言なども盛り込まれています。お魚関係の生産者はもちろん、水産以外のRadix会員、らでぃっしゅぼーや生産者、さらには会員さんにも読んで頂きたいと思う一冊です。(短時間で魚の今と将来を知る好著ですよ)
最後に、小松氏の魂の叫びとも言える一文を抜粋して本の紹介を終わりたいと思います。
「漁師が目先の損得で行動してはいけないのと同様、消費者も単に安い魚を食べていれば幸福になれるというものではない。日本人の共有財産を『消費』するのではなく、将来にわたって大切に育てていくことこそ、われわれの食にも、水産業にも、子々孫々の健康のためにも、とても大切なのである」
書名:これから食えなくなる魚
著者:小松正之
価格:740円(税別)
出版社:幻冬舎
■目次(※第一・五章のみ詳細な目次を掲載)
第一章 日本の食卓から魚が消える?
2048年、海から魚が消える?
75%は、もう獲ってはいけない魚
世界は空前の魚食ブーム
日本の漁獲量は世界一から第六位に
世界の漁業生産量は事実上、頭打ち
主要漁場を失った日本とロシア
外国に買い負けしている日本の商社
日本は注文が細かく売りにくい相手
すり身の多食も輸入の障害に
魚は「庶民の食べ物」ではなかった
「マグロを安く食べたい」などナンセンス
第二章 日本の漁業は倒産状態
第三章 マグロはいつまで食べられるのか?
第四章 この魚はいつまで大丈夫?
第五章 魚は国民の共有財産
日本の食卓から魚が消える日
早い者勝ち方式が乱獲を招いた
世界の主流はIQ方式とITQ方式
アメリカですら自由競争を制限
日本の水産予算の三分の二は公共事業
問題はあるが成果も大きいITQ方式
民法上、魚は漁師の所有物
海の憲法は「魚は人類共有の財産」と明記
漁業権のルーツは秀吉の海賊対策
自由に釣りやダイビングを楽しめない理不尽
養殖・定置網の営業も排他的
新規参入を促して国際競争力の協会を
値段だけで選んではいけない
日本の魚を守る買い方、食べ方を
« 前の記事 | 水産食品ブログトップ | 次の記事 »


