ワザを極めよう!……農産畜産Blog このページでは、農産部会、畜産部会の技術向上についての活動、関連する情報を事務局より報告しています。

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【01 農産お知らせ】

2010-12-27

トマト栽培講習会DVD配布のお知らせ

このたびRadixの会では新たな試みといたしまして、2010年10月に開催しました『トマト栽培講習会』の映像ビデオを作成いたしました。

トマト栽培講習会では、講師として新井俊春氏(甘楽町有機農業研究会)と、福広博敏氏(ゆうき伊賀の里)のお二人をお招きし、参加した方々からもご好評をいただいております。

この勉強会の模様をわかりやすくまとめたDVDを、ご希望される方に配布・販売いたします。(発送は1月下旬を予定しております)
大変参考になる内容となっておりますので、ぜひこれを機会にご応募ください。


【講師プロフィール 目次】

講師プロフィール 目次 トマト勉強会資料より


勉強会の様子を一部動画で見れるようにしましたので、参考に御覧ください。
【圃場視察 動画】



【講習会 動画】



価格:トマト栽培講習会参加者 ……無料
トマト栽培講習会非参加者……1000円
(勉強会に参加されなかった方には勉強会資料とセットでの販売となります。
振込等につきましては、お申し込みいただいた後で別途ご案内いたします。)
締切り…2011年1月7日

ご希望の方はRadix事務局までご連絡ください。
TEL:03-4334-3067
担当:高橋

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【01 農産活動報告】

2010-12-17

トマト勉強会 圃場視察編

10月9日、山梨県中央市にてトマト栽培講習会を開催しました。
この勉強会では、トマトづくりのベテランである新井俊春さん(甘楽町有機農業研究会 会長)と福広博敏さん(ゆうき伊賀の里 代表)をお招きし、サラダボウルさんのトマトハウス視察時の解説、そして視察後の講習会の講師をして頂きました。

新井さん・福広さんには、これまでに新井塾・福広塾という名前で何度も勉強会をしていただいており、勉強会のベテランでもあります。
この講習会の始めに行われた圃場視察では、サラダボウルさんのトマトハウスと、作業場を見学させていただきました。

それでは、圃場見学の概要を報告します。

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【01 農産活動報告】

2010-12-14

第5回「めだかの学校」~新井塾~開催報告 講義編後半

第5回『めだかの学校』~新井塾~ 室内講義前半からの続きです。それでは講義後半の概要をご報告します。

IMG_1398 
休憩中に新井さんに質問する若手生産者


【病害虫の発生要因】

今回は北軽井沢有機ファミリーさんの若者達からの依頼で開催された勉強会ですので、こちらで栽培されている野菜を中心に、発生しやすい主な病害について説明します。
病気の原因となるのは、細菌(バクテリア)・糸状菌(カビ)・一部放線菌・ウイルス・センチュウなど主に5つの要素がありますが、地上部病害のもととなる物から順次話してみます。

最初に病害防除を考える手順として、どういう条件が揃うと病原体が繁殖するのか?というのを考えないと防除はできません。自分の畑にどういう病害が出たのか?その病害の発生要因を調べて分類する必要があります。それがわかったら、その病気の発生・繁殖条件の逆を作ってやれば良いのです。例えば細菌のように余分な水によって繁殖するものであれば、余分な雨水などを停滞させないようにするのが重要だと言う事になります。
では、病原体の分類ごとに症状と対処法を確認していきます。

image当日資料より


細菌
(バクテリア)
・軟腐病
この軟腐病細菌は地上部の傷口や、センチュウ害などにより地下部の傷ついた根からも侵入します。レタスの外部は普通なのですが、葉を剥いでみると中が腐っているというような状態になります。これは根から病原菌が侵入した場合の軟腐病です。軟腐病は株全体の腐敗・しおれの症状が現れ、特有の悪臭があるので判断しやすい病気です。防除のポイントは雨水の排水を良くすること。そして窒素過多にしないことです。窒素過多になることで作物が軟弱になり、傷口ができやすくなります。その傷口から病原菌が侵入してしまいます。水対策にはプラソイラー耕起などが有効です。

・腐敗病
腐敗病は作物の軟化・腐敗を起こします。この病原菌は土壌中に被害株の残渣が残ると1年以上生き残ると言われています。ですから被害株は鋤き込まずに畑から出すことが大切です。細菌全てに言えることですが、水があると繁殖しやすいので水対策も重要です。

・黒腐病
キャベツでは結球部が発病すると球頭が淡褐色になり、根茎部が発病すると根の中心部が黒変し、やがて腐敗して根茎に空洞ができます。病原菌は乾燥状態でも1年以上生き残り、アブラナ科雑草によっても越冬するといった特徴があります。種子の乾熱消毒や、汚染されていない育苗土の使用が防除のポイントになります。

image 当日資料より
・黒斑細菌病
この病気は葉や茎に発生し、水浸状の小さな斑点が最初に表れます。後に黒褐色に変わり、拡大して灰色・褐色の病斑を形成します。生育が衰えた時に発生しやすい傾向があり、土壌中の細菌が風雨によって飛散して病気が伝搬するといった特徴があります。防除には無菌の種子・無菌の育苗土を使用し、生育中期以後の肥料切れに注意が必要です。


糸状菌
(カビ)
・レタスすそ枯れ病
外葉(下部)の根元から褐変して枯れていき、それが結球葉にも及ぶ場合があります。土壌から伝染することが多いので、マルチ栽培などで土の跳ね上がりを抑えるのがポイントです。また、降雨後に溜まった水で菌が繁殖します。
糸状菌(カビ)の土壌内での繁殖は、未熟有機物の投入により助長されますので、堆肥などに未熟部分が混入されている場合などは注意が必要です。

・菌核病
この病原菌が感染する範囲は広く、特にアブラナ科野菜やレタスなどに寄生しやすいです。初期は外葉の地面に接する部分が水浸状になり、褐色の病斑ができます。湿度が高いと、この病斑上に白い綿状のカビが生じ、病気が進むと外葉や球全体を黒褐色に軟腐させます。やがてネズミの糞のような病原菌のかたまり(菌核)を作ります。この菌核は成熟すると4~6年と長い間生き続け、それが病気の伝染源となります。防除方法は被害株や残渣を早期に抜き取り、またこの菌は空気がないと生きられないので、菌核病が出た圃場を鋤き起こし、菌を埋めて空気から遠ざけるのが有効です。

・べと病
べと病は日の当たる葉の表側が黄化・茶色化し、裏側(日陰)にカビが発生するのが特徴です。キャベツの場合は外葉の下葉から、葉脈間に淡黄褐色、不整形の病斑が生じます。多湿条件で多発するので、水の溜まりやすいところで発生しやすくなります。防除では疎植、排水の改善が重要なポイントです。


土壌病害等
image 当日資料より
・硫黄(イオウ)病
この病原菌はフザリウムと呼ばれるカビの仲間で、トマト萎凋病、キュウリつる割病、カボチャ立枯病なども引き起こします。この病原菌に寄生を受けた作物は、病原菌による栄養の奪取と導管の閉塞、さらに産生される毒素によって生育が阻害され、枯死に至ります。この病気は典型的な土壌伝染性病害で、一度土壌が汚染されると、病原菌は容易に駆逐できず、高温期に作物を植えれば必ず発病します。そのため病原菌を畑に入れないことが最も重要であり、土・種子・資材などに細心の注意が必要です。他の予防のポイントは、多発圃場では連作を避ける、抵抗性品種の導入、有効放線菌が繁殖した優良堆肥を使用する、といった方法があります。

・バーティシリウム菌による土壌病害
ハクサイ黄化病やトマトの半身萎凋病がこの病原菌によるものです。この病気はアルカリ土壌、多湿土壌で発病しやすくなります。防除には上記の萎黄病と同じく、抵抗性品種の導入、被害株、残渣の抜き取り、農機具の洗浄など総合的な防除が必要になります。

・リゾクトニア菌による土壌病害
立枯病などはこの病原菌によるものです。立枯病の原因となる病原菌は主に3種類ありますが、地上部に症状が出た場合はこのリゾクトニア菌が関わっています。リゾクトニア菌は地上部に沿って繁殖しますが、それは空気を必要とするということです。ですので菌核病菌と同じように、空気を遮断することが有効です。(鋤起こし作業)

・ピシウム菌による土壌病害
ピシウム菌も立ち枯れ病の原因の一つですが、こちらは根を侵します。感染源となるのは主に水で、用水の中にはピシウム菌が存在することがあり、それを散水した場合には感染してしまいます。

image 当日資料より
・根こぶ病

この病原菌も農機具や作業靴にくっついて感染が拡大するので注意が必要です。ハクサイやカブ、アブラナ科野菜に寄生します。pH4.6~6.5で多発するので、酸性土壌では石灰を使用してpHの調整をする必要があります。水分を好む性質もあるので排水の改善や高畝で予防できます。

また、この病気の“おとり作物”があると聞いて調べてみました。東京都有機農業フォーラムで発表されていて、一見の価値があります。
※平成19年度東京都有機農業フォーラム
http://www.agri.metro.tokyo.jp/sinkou-ka/nougyoukankyou-kakari/19yuukifo-ramu/19yuukiforamu-gaiyou.html


ウイルス
・モザイク病
ハクサイなどは数種のウイルスに感染しますが、これらは主にアブラムシにより伝播され、アブラムシの発生とハクサイの初期生育が一致する夏から秋にかけての栽培で発生が多くなります。そのためアブラムシを駆除する以外に防除法はありません。防除方法には、育苗中の被覆、被害株の除去、圃場周辺雑草の除草などが考えられます。

※主な病害防除ポイントのまとめ
① 窒素肥料の多様を避け、作物を軟弱にしない。
② 圃場の排水を良くし、雨水が停滞しないようにする。
③ 株間の通風を良くする。
④ 植物に傷がつかないよう、害虫を抑制防除し、管理作業時に損傷しないよ う注意する。
⑤ 罹病性作物の連作を避け、イネ科、マメ科などと輪作をする。
⑥ 病原菌に汚染されていない育苗土で育苗をする。
⑦ 抵抗性品種を使用する。
⑧ 乾熱処理済種子を使用する。
⑨ 被害確認株は早めに除去する。
⑩ 未熟堆肥(他未熟有機物)を使用しない。
⑪ 病気の発生した圃場で使った農機具や靴などは洗浄する。



【病原菌の繁殖条件】
image 当日資料より
病原菌の繁殖条件を見てみましょう。
一番やっかいなフザリウムは、やや多湿で酸性土壌を好み、酸素要求度が低いという特徴があります。酸素要求度が低いということは、空気の少ない土中の深いところまで繁殖できるということです。バーティシリウムは多湿条件を好みます。リゾクトニアは酸素要求度が比較的高く、地面に沿って繁殖しやすい。ということは空気を遮るような作業をすれば密度を減らすことができると考えられます。コルティシウム(白絹病菌)も酸素を必要とし、多湿、酸性土壌が繁殖条件です。またコルティシウムは有効放線菌により防除が可能ですので、放線菌が充分に繁殖した優良堆肥の施用が不可欠です。


【病害発生の
3要因=スリーサークル】
病原菌などが圃場に存在した場合に、その圃場で確実に病害が発生するわけではなく、いくつかの条件が重なって発病します。これを3つの要因に分けて説明します。

素因作物自身の資質・性質です。作物自身の病害抵抗性・耐病性などで病気を予防できるのは周知のとおりです。この資質・性質と味の良さを考えて品種を選ぶのも大切です。

主因栽培圃場での病原体の有無、密度を示します。病原のもと自体を減らすためには栽培を始める前の太陽熱消毒や、被害株の徹底除去などがポイントになります。

誘因栽培環境を示します栽培環境には生産者自身でコントロールできない自然環境と、生産者のくふうにより改善できる栽培環境とがあります。栽培環境によって病原菌は繁殖しやすくもなり、作物は軟弱にもなる。
作物が健康に育ち、病害も繁殖しにくい環境づくりを擦る必要があります。


これは、8月に成田さん達が土壌分析用サンプル土壌を採取した際に撮影した写真ですが、朝早く収穫したばかりの傷つきやすいレタスを、敷物のないコンテナに入れるのはやめたほうがいいですね。降雨後に日数が経過していないレタスの表面には、土壌より跳ね上がった菌が存在すると考えられ、レタスに傷がつくことでそこが侵入経路になり“とろけ”の原因となります。



【質疑応答】

《質問》
圃場に線虫が出ていて困っているので、対策を教えて欲しいのですが…。

《新井さん》
線虫対策としては堆肥のところでお話しした放線菌を使っています。放線菌を繁殖させることで、線虫を食べてくれるので抑制することができます。だからいかに有効な堆肥を作るかが重要になってきます。ただし、ここで未熟な有機物が入った場合は線虫の防除効果も少なく、カビなども繁殖させてしまい逆効果になりやすいので注意が必要です。
線虫以外でも、例えばネギの根に寄生するバクテリアは上記のフザリウム(萎黄病、萎凋病の原因)も抑制するので、ネギ類とフザリウム害が出るような作物とで輪作をしてみるのも良いと思います。
それと有機対応の線虫抑制剤で“パストリア水和剤”というのがあります。自分は使用したことがないので、効果の程はわかりませんが…。


《質問》
レタスで発生する腐敗病、軟腐病の解釈で、外側の葉が腐るのは腐敗病だと思っていた。はっきり見分ける方法を教えてほしい。

《新井さん》
外見からはわかりにくいですね、中を剥いてみないと。特徴的なのが“腐敗臭”の有無です。ネギをはじめとしてほとんどの野菜の“軟腐病”には腐敗臭があります。それぞれの病害を発生させる菌の種類によって、“腐敗臭”があるかどうかで区別できると思います。また病気が発生してからの防除よりも、発生しない条件を作るほうが重要です。腐敗病、軟腐病であれば“余分な水”をどうするか?ということです。


《質問》
冬場の葉物を作っていて、病害全般に対する対策として太陽熱消毒をしているのですが、細菌やカビの死亡する温度はどのくらいなんでしょうか?ハウスなら60度ぐらいまでは上がります。

《新井さん》
土壌病害菌の最高生育温度を見てみると、大体30~40℃程度になっています。ただ酸素要求度が低い菌などは土壌内深くまで存在できるので、暑さにも強い可能性もあるんじゃないかと思います。私は太陽熱消毒をするときは、畝を南北に作って少しでも陽が当たるようにしています。土の表面積をあげて太陽熱をフルに利用するコツです。(=日陰を作らず太陽熱フル利用)


《質問》
収穫の時に傷をつけないようにと言っていましたが、うちは今水菜やホウレンソウ、チンゲン菜などを作っていてとろけが出るときがあります。新井さんが実践しているような、傷をつけない収穫の仕方を教えていただきたいと思うのですが…。

《新井さん》
私の場合はコンテナに直接入れるというようなことはしないし、入れるときは新聞紙を敷いてポリで包みます。有滴ポリと無滴ポリがありますが、結果的に無滴ポリの方が良い気がします。包んで内側に水滴が着くと良くないんです。有滴ポリを使うと湿っぽくなってしまい、輸送中の温度変化でとろけが出やすくなってしまう気がします。

ただし、“とろけ・傷み”はこれまで話したように、肥料バランスによることが多いので、収穫の時だけでなく総合的な研究が必要でしょうね。土が湿っている時に収穫する場合に、ちょっと傷ついた部分がすぐに“茶色っぽく”なるようだと、チッソ優先肥効で石灰をはじめとしたミネラル分が伴わない状態だと思いますが、どうでしょうか?

最後に今回の勉強会の開催にあたりましては、北軽井沢有機ファミリー代表の清水さん他メンバーには、事前の準備で大変お世話になりました。産地担当の島田さんにも本当にお世話になりました。
そして参加者の皆様、お忙しい中ご出席していただきまして、誠にありがとうございました。


以上、講義内容でした。
参加者の皆さんも大変満足していただける内容で、休憩時間には若い生産者が新井さんを質問攻めにするといった光景も見られました。この勉強会で学んだことを活かして、品質の向上に役立てられることを期待します。
(Radix事務局 高橋)

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【01 農産活動報告】

2010-12-13

第5回「めだかの学校」~新井塾~開催報告 講義編前半

この記事は前に報告した第5回『めだかの学校』~新井塾~“圃場見学編”の続きです。圃場から移動して行った新井さんによる室内講義内容になります。
室内講義は、マンションのような、ホテル:ヴィラ北軽井沢エルウィングで開催されました。


 講師の新井さん IMG_0208
《新井さん》
今回の勉強会のテーマは、①施肥体系+水管理を改めて考えてみる。そして、②病害虫の発生要因を改めて考えてみる。となっています。まず前半では施肥体系と水管理についてお話しします。


【土作り】
最初は土作りの基本についてです。土作りには3つの要素、すなわち物理性・化学性・生物性が存在し、それらがバランス良く保たれたものが優良な土壌であると言えます。これは『小祝塾』でもたびたび講義されている部分です。

当日資料より

まずは物理性から…
ここで重要なのは団粒構造を作るということです。
団粒構造を作ることによって根張りが良くなり、保肥力や保水性、排水性の優れた土壌になります。団粒構造のもととなるものは粘土粒子と腐植です。土壌内にある粘土粒子と腐植とを、微生物の分泌物や微生物自身により結合させて団粒構造が形成されます。団粒構造が形成されていると、施肥をしたときに肥料は団粒の中に取り込まれるので、流亡を抑えることができます。また、土に隙間ができることで植物の根は伸びやすくなり、露地作物の多雨時などにおいての排水対策としても有効になるのです。

粘土粒子の少ない圃場ではそのもとになるゼオライトなどを、腐植は優良堆肥などの有機物をそれぞれ施用することで増やすことができます。優良堆肥を施用した場合には、その作で全てが肥料要分として吸収されるわけではなく、一部は腐植という形で土のもとになるのです。

次に化学性ですこれはpHEC、塩基バランス、CN比などがあてはまります。チッソ、リン酸などの肥料要素はpHによって吸収率が変化します。多量要素(ここではチッソ、リン酸、カリウム、イオウ、カルシウム、マグネシウムを指す)の場合はpH6.8ぐらいの時に最も吸収されやすくなります。それに対して微量要素(鉄、マンガン、ホウ素、銅、亜鉛等)はpH6.0ぐらいで吸収率が最も高くなります。そしてpHが中性以上になると微量要素は吸収しにくくなり、pH7.2以上くらいになると吸収されずに欠乏症状が出やすくなります。pH値が高い圃場で、ホウレン草などにマンガン欠乏などが出やすくなるのはそのためです。

また、pHは作物の病害にも関わってきます。pHによって出やすい病害としては、pHが低いと出やすいアブラナ科の“根コブ病”や、逆にpHが高いときに出やすい“じゃがいもソウカ病”などが代表的です。このような病害のことも考えながら、作物栽培圃場のpHを調整する必要があります。

image 当日資料より

塩基バランス
は今年のような夏の猛暑期等には、最も注意が必要なことでした。
石灰、苦土、カリウムの3つは互いに拮抗しあい、どれか一つが極端に吸収されると後の2つが吸収しにくくなります。特に今年は梅雨季に雨が多く、多雨下においてはカリウムとチッソは水に溶けやすいので、贅沢に吸収されやすくなっていました。その結果石灰などの吸収は抑制されて、カリウムとチッソの余剰吸収で植物の体が緩められ、細胞と細胞の間が離れて軟弱徒長となる。その部分が風雨や収穫時に傷ができやすく、“とろけ”などが発生しやすい原因となったのです。

春や秋には、石灰:苦土:カリウムの割合が521(当量比)になると良いと言われています。ですが夏場では721と石灰を多めに入れた方が良いとも言われます。夏は温度が高いので新陳代謝が激しく、他の養分が非常に吸収されやすいため、夏場には細胞を強化する石灰を多く入れた方が良いという考え方です。

土壌の生物性というのは小動物、微生物などのことです。根圏には糸状菌(カビ)、放線菌、細菌(バクテリア)、菌根菌、センチュウなどの多様な微生物がいて植物の生育に影響を及ぼしています。その中でも特に注目したいのが優良堆肥に含まれる放線菌です。放線菌はカニガラなどに含まれるキチン質を非常に好む性質があり、フザリウム(萎凋病、立枯病等の原因)や、ピシウム(立枯病、根腐病等の原因)などの土壌病原菌の細胞壁はキチン質でできているので、有効放線菌が繁殖することによって土壌病害の原因を減らすことができます。

私が実際に作っている放線菌を繁殖させた堆肥の材料は、下記のようになっています。
・牛糞半熟品…約60%
・モミガラ…約30%
・学校給食コンポスト・米ぬか…約10%
・FTE・カニガラ粉末(上記と共に後半発酵) →微量要素を発酵させて堆肥にくるむと共に、有効放線菌繁殖の目的でカニガラ粉末(キチン質)を配合する。

牛糞は半熟品を使っていて、既に熱が出ています。学校給食コンポストは東京都北区の小中学校(60校)からの物で、それらをモミガラと混ぜています。
この材料を積んで堆肥作りが始まります。堆肥作りでは、まずスタート時の水分量がポイントになります。発酵が始まり切り返しを行う場合に、酸っぱい匂いが続く場合には水分過多です。カニガラ粉末は放線菌の餌のキチン質を含み、何回か切り返しをしていくとカニガラの白い粉末は見えなくなります。こうなったら放線菌がそれを餌にして繁殖したということで、この状態になれば圃場に入れても問題はないと判断しています。この状態になると少しずつ発酵温度が低下してきます。

この堆肥と赤土を半々に配合してモミガラ薫炭を加えたものを、トマトの育苗用土として使っています。果菜類の場合には良い花を咲かせるために育苗の際にリン酸肥効が必要なのですが、堆肥中の米ぬか他でリン酸分をまかなっていると考えています。


image  当日資料より

【肥料要素の役割】
まず肥料成分(5大要素)の効果が、植物のどの部分に必要なのかを確認してみます。
・チッソ … 葉や茎を作る。
・リン酸 … 花や果実の生長に必要。
・カリウム … 根を丈夫にする。炭水化物やタンパク質の合成。
・苦土 … チッソと共に葉緑素の元になる。
・カルシウム … 土壌pHの調整。根の発育と細胞の強化に役立つ。

次は、作物の分類別に上記の肥料成分の吸収量を見てみると、果菜類、結球野菜類、根菜類、葉物類、全てでカリウムが最も要求されています。その次がチッソ、石灰、リン酸、苦土という順番です。

しかしトウモロコシやキャベツなどの例外もあります。
トウモロコシの場合の後半はカリウムよりもチッソをより吸収します。というのは、後半に豆が肥大するにはその実のもとになるチッソ(=タンパク質)が必要になるからです。その次にカリウム、リン酸と続きます。

結球野菜でも順番が変わってきます。キャベツなどの場合は生育後半にチッソ肥効が多いと葉の巻きがゆるくなります。ですから生育後半はチッソよりも石灰に重点をおいた施肥体系となります。チッソが控えめになって石灰がちょっと多いぐらいの施肥体系の方がちょうど良いのです。そのような理由で、ダイコンやホウレンソウ、キャベツ等ではチッソと石灰の必要量が逆転しています。

チッソを多く与えた作物と施用量が少ない物の生育を比べてみると、当然チッソを多く与えた方が葉茎の勢いは良くなります。ところが“根”を見ると逆にチッソが少ない方が伸びていたりすることがあります。ですから地上部だけを見るのではなく、自分が作っている作物のどこを食卓で使うのか? そのことも考えて施肥設計をすべきだと思います。根部を使うのであれば初期はチッソ肥効を低くして、後半肥効で栽培した方が良いのです。

例えばダイコンの場合に、初期からチッソ肥料が効いた場合には葉っぱが旺盛に伸びますが、根は近くに求めたい要素があるために、必要以上に伸びる必要がないということです。普通のダイコンは葉の長さと根の長さは同じくらいですが、最初からチッソ肥料を効かせたダイコンは、葉の方が長くなったりするわけです。そうなると可食部(根部)は小さくなり、葉茎部が軟弱徒長をおこして空気まわりが悪くなり、太陽光を通しにくくなるために病害にもかかりやすくなるという流れです。


【要素欠乏の確認】

要素欠乏については北軽井沢有機ファミリーさんで栽培されている作物、主にキャベツ、レタスなどの症状について話を進めていきます。

image 当日資料より

カリウム欠乏症状は根に近い下葉の周辺部から症状が出ます。下葉周囲部黄化から始まり枯死していくのです。普通カリウムが欠乏して症状が出ることは少ないのですが、カリウムは水に溶けやすく流亡しやすいため、雨が多い年には欠乏の可能性もあります。圃場見学の時に岩田君のキャベツ圃場で見られた症状です。

石灰欠乏の場合はカリウムとは逆に根から遠い部分、新しい組織(新葉、新芽など)から症状が出始めます。石灰欠乏の原因として、カルシウムは植物体内の移動速度が遅いため、植物の急な生長についていけないことや、土の乾燥や根の傷みによって吸収しにくくなることが挙げられます。収穫後の“とろけ”は細胞の弱さが原因で、傷口から細菌などが進入して発生します。チッソやカリウムが強く働くと、拮抗作用で細胞を強くする石灰が吸収しにくくなり、細胞と細胞の間に隙間ができて軟弱に伸びている状態になります。そこが傷つきやすく、病害菌が侵入しやすい場所になるのです。

苦土欠乏症状は全体的に色が淡く、黄色くなります。先に話したように、苦土はチッソと共に葉緑素の核となる重要な成分です。それが不足するため、葉緑素ができにくい状態となって葉脈に近い部分からの黄化が進むのです。

次は鉄分欠乏です。苦土欠乏と鉄分欠乏を比較してみると、苦土欠乏は元葉から症状が出ますが、鉄分欠乏症状は上位葉の黄化が特徴です。元葉の色はあまり変わりません。水に溶けない状態では吸収されず、特に土壌pHが高い場合は不溶化し、鉄分欠乏症状が発生します。石灰と同様に植物体内の移動がゆっくりなのがわかります。

pHの高い圃場に出やすいマンガン欠乏。これはホウレンソウに比較的出やすいです。ほとんどの微量要素はpH6前後が最も吸収されやすいのですが、pH7~7.3くらいになるとこの症状が出てきます。pHが上がると土中にマンガンがあっても吸収できなくなるからです。また、露地では多雨の後にマンガンが流亡して発生しやすいという報告もあります。

ホウ素の欠乏症状は新葉の展開抑制や奇形、葉や茎の亀裂などの形で現れます。ダイコンのス入りや芯腐れなどが代表的で、高いpHや土壌の乾燥が発生の原因となります。逆に過剰症状を見てみると、ホウ素過剰は葉の縁(ふち)の黄化、褐色化といった症状が見られます。
ホウ素については葉っぱの付け根の白い部分に出るのが欠乏症状、葉の縁(ふち)に出るのが過剰症状です。

image 当日資料より


【土壌分析について】

土壌分析といえば施肥設計のための重要な指針となります。しかし、土壌分析だけで施肥設計のすべてを決定していいのかは疑問だと考えます。土壌分析をする場合には大体表層15cmくらいの土を取っていると思いますが、実際の根はずっと深くまで伸びています。それに水に溶けやすいカリウムなどはかなり深い層まで浸透していると思われます。そのため、土壌分析の数値だけを見て施肥設計をするのは大変危険であり、前作でそれぞれの要素欠乏症状が確認されたのかどうか?今現在の作物の生育状況はどうなのか?などを総合的に観察・判断をして、施肥体系を決定すべきだと考えています。

この勉強会を開催するのにあたって、直前に“Radixの会”では今までより踏み込んだ土壌分析を行いました。打ち合わせを兼ねて事前にこちらを訪問した私と成田さん、そして産地担当の島田さんとの発想により、土壌内80cmくらいの深い層までの分析を行いました。その結果報告を成田さんにしていただきます。

《成田さん》
8月中旬に北軽井沢で生育障害が出ているレタス圃場などの土壌分析をしました。土壌肥料障害だけに限らないとは思いつつ、掘ってみてどんな要素の分布があるのかを調べてみようということでやったのがこの結果です。

先ほどの圃場で見ていただいた通り、この地域は黒ボク土壌です。40cmほどで硬盤があり、表土から60cmくらいまでが同じような土が続きます。それ以降は明らかに土質が変わり、上層土質とは違うものになっていました。畝の上から20cm~30cmまでは根が見えるのですが、40cm以下では見られませんでした。

《新井さん》
根が浅くなっているのは、光を通さない白黒ダブルマルチを使っているのが一つの要因です。光を通さないマルチでは水分が上層に浮いてきます。植物の根は水分があるところに伸びていきますので、表層に水分層があると根を下に伸ばさないのです。

《成田さん》
いくつかの圃場で穴を掘って土を採取し、それを事務局内で風乾し、静岡の川合肥料さんに分析をお願いしました。その結果が資料に載っています。
色々なところの数字がかなり大きく出ていると思います。川合肥料さんの分析方法は、普通の土壌分析での方法とは違っていて少し特殊です。だからその分析結果もちょっと癖があるか?ということを念頭に入れてください。分析結果の絶対値を見るのではなくて、そのバランスがどうなっているのか? 相対的な部分を見ていただけたらと思います。

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まず、清水さんのレタス圃場2番の生育良好な畝のデータについて詳しく見ていきたいと思います。表に出ているように、pHはほぼ中性で6.5です。チッソは収穫した後の土ですが少し高めに出ています。70~80cmの深さでも同じような数字が出ていますので、ここは少し気になる点です。ただし以前似たような場所で分析してみた時は、ここまでチッソは高くなかったということでした。逆にチッソが不足気味な生育が見られるという状況もあるとのことで、引き続き調査を継続していきたいと思っています。

そしてリン酸は低いです。黒ボク土壌ということもあり、20とか一桁だったりしています。カリウムは平均ぐらいで苦土は高め。新井さんの話にもあった通り、苦土がカリウムの吸収を阻害しているんじゃないかという気はします。

塩基バランスを見てみると、苦土:カリ比はちょっと上限を超えるような値になっています。石灰は数字上十分入っているようですが、バランスや水分量を考慮すると、吸収がうまくいっていない可能性もあります。

次に清水さんのレタス圃場2の生育不良な畝からの土。これも20cm、40cm、そして作土以下の70~80cmでの分析です。こちらでも苦土:カリ比がちょっと気になるところです。そして数字上は予想したよりもチッソが深いところまで出ています。なぜそうなっているのかを引き続き調べたいと思っています。

《新井さん》
根こぶ病が出ている圃場の分析を見て、一番気になったのがpHです。根こぶ病は酸性土壌ほど発生しやすいのです。pH4.6~6.5くらいまでに発生しやすく、アルカリ土壌になるほど出にくくなります。しかし根こぶ病が出ている圃場と出ていない圃場を比較しても、あまり差はありませんでした。

そして気になるのは関根さんのキャベツで根こぶ病が出ているところはpH6.5と高めでも発生していることです。この場合は病原菌の密度が高いために、pHに関係なく出やすくなっているのだと思います。これがpH6.8とかになればもう少し減ってくる可能性はあります。

もし仮に清水さんのレタス圃場に分析結果そのままの数値でチッソが残っていたとしたら、レタスの巻きが甘くなってしまいますし、そうなれば病気も出やすくなります。後半に“とろけ”やすいということも考えると、分析も実際に近いのかもしれません。こういう時は石灰をなるべく吸収させるようにして、巻きを硬くしてやる必要があります。(チッソと石灰のバランス)

【質疑応答】

《質問》
“根こぶ病”の話で、pHが高いと出なくなるというお話でしたが、pHが高くても表層の根に大きなコブができてしまいます。どう対策すればいいでしょうか?作っているのはアブラナ科のカブやハクサイです。

《新井さん》
普通はpHが上がればカビ自体が繁殖しにくくなるので出ないはずなのですが…。pH7.2ぐらいにしてしまえば出てこなくなるという文献もありましたが、そうすると微量要素不足の障害が出てくるので難しいです。

“根こぶ病”を防ぐ方法としては、前作で罹病した根が完全に分解されれば良いのです。完全に分解してからアブラナ科作物を植えれば“根こぶ病”は出にくくなります。“根こぶ病”の発生のもととなる“プラスモディオフォラ菌”(カビ)は、寄生したアブラナ科植物細胞(根内)だけに生存しており、収穫後のトラクター耕起などにより、前作の“根”が土壌内で完全に分解されれば生き残れません。前作の罹病作物のかけらが残っているかどうかで決まります。

ただし前作の罹病圃場を耕起したトラクター等の、タイヤ・ロータリーなどの洗浄は不可欠となります。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
『めだかの学校』~新井塾~ 前半はここまでです。後半の「②病害虫の発生要因を改めて考えてみる。」は改めて御報告いたします。

                                                                                             (Radix事務局 高橋)

農産畜産Blog

【01 農産アンテナ】

2010-12-10

BMW技術全国交流会参加レポート

11月18日~20日に山形県米沢市で開催された、第20回BMW技術全国交流会に参加してきました。テーマは「まほろばの里・資源と人間の輪と技術が循環する地域システム創り」です。交流会は講演会が主であり、2日目には実際にBM技術を導入している牧場の見学もありました。

BMW技術というものは、「バクテリアの働きで、ミネラルバランスに優れた、水を作る」技術のこと。BMW技術は畜産の糞尿処理・堆肥化、農産物への潅水などに多く利用されています。


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講演ではBM技術協会の歴史や、様々な団体の取り組み・事例の発表がされ、この交流会の開催地、米沢でBM技術を利用した自然循環型農業に取り組む米沢郷グループ代表、伊藤幸蔵氏からも報告がありました。

伊藤氏は、米沢郷グループにおいてBMW技術は畜産では糞尿処理や自給飼料に、野菜や稲作では潅水などに、地域全体でも排水処理、生ごみの堆肥化と多くの場所で利用されていると語り、これからも地域や行政と共に持続可能な自然循環型農業に取り組んでいくと語りました。

2日目の視察では参加者の日程に合わせて6つものコースが用意されていた。私が参加したのは《ライスセンター→飼料工場→鶏舎→石切場》という視察コース。半日かけて回る盛りだくさんの見学になる。

 北澤氏
ライスセンターを案内してくれた
ファーマーズ・クラブ赤とんぼの北澤社長



まずはファーマーズ・クラブ赤とんぼのライスセンターを見学する。かなり大きなところだが、ここ以外にもライスセンターがいくつかあるそうだ。ここはライスセンターとしての機能だけでなく、資材や共同利用する機械の保管場所にもなっている。
主に作っているのは「ひとめぼれ」や「コシヒカリ」だけど最近は飼料米も増やしているとの説明があった。ここでできた飼料米や、米ぬか、モミガラは鶏舎や堆肥で利用されることになる。

次は米沢郷グループの飼料工場と鶏舎の見学。この飼料工場ではライスセンターから出てくる飼料米を加工して国産原料99%の飼料を作っている。栄養を補うために外国産の材料も入れないといけないそうだ。ちなみに飼料の自給率は10%未満。この飼料を作る際にもBMWが利用されている。
視察した鶏舎は実験鶏舎で、この小さな面積で新しい資材や育成法を試して、効果がありそうなら本格的に導入するそうです。今年もヒューマスベットという敷材を使って実験しており、効果が期待できそうだとお話ししていました。

最後の視察は高畠石石切場。高畠石は火山灰の堆積でできた石で、ケイ酸・カリウム・カルシウム・ナトリウムなどのミネラルが含まれており、粒が細かいため水に溶けやすいといった特徴があります。米沢郷グループではこの豊富なミネラルを農業に利用する方法を考えているそうです。
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左は実験鶏舎。中央で区切られていて、左右で敷材が違っている。右は石切場の様子。

ちなみに最終日の3日目には、らでぃっしゅぼーやの森﨑氏からファーマーズ・クラブ赤とんぼと共に取り組む「田んぼの生き物観察会」の発表もありました。

話を聞いていると、BM技術は大変効果的に思えます。ただ、その利用にはプラントの設置が必要だったり、一農家でできることではないようです。米沢郷グループのように畜産から稲作まで大きな規模で、さらに地域でもBM技術を活用するような方法が最もあっているように感じました。それはコスト面だけではなくて、BM技術を利用する畜舎の近くに道の駅が作られたという発表があったように、農業が地域に溶け込むことができるという点は特によかったです。BM技術の利用は循環型社会にもつながり、有用かつ環境保全を実現する技術としてより広く認められていくのではないかと思います。

 

(Radix事務局 高橋)

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