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【01 農産活動報告】
2010-03-01
経営塾in札幌 開催報告
2009年11月21日、北海道ブロック会議にてご要望の高かった農業経営塾を
札幌にて開催しました。
講師は、野菜くらぶの澤浦社長。
(※澤浦さんは当時Radixの副会長、2010年3月1日より会長に就任)
2008年の経営勉強会でも講師を引き受けていただき、事例を交えた具体的なお話で多くの方からご好評をいただきました。
今回の経営塾では3つの内容でお話をいただきました。
1.野菜くらぶの成り立ちと出来事
2.農家の規模別管理のポイント
3.生活面から見た経営計画の立て方
それでは、当日の経営塾の概要を以下にお伝えいたします。 (※長文です)
(野菜くらぶさんのHPは → http://www.yasaiclub.co.jp/ )
(Radix事務局:成田)
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【菅野理事より開会挨拶】
ご要望の高かった農業経営に関する学習会をなんとか開催したいと思い、
野菜くらぶの澤浦社長にお願いして来て頂きました。
私も有機農業に携わって20年ほど経過するのですが、まわりの農家さんの話を聞くと経営や後継者問題などの課題が多い気がします。
そのような経営に関するお話や、若い人たちを育てている野菜くらぶの取り組みなども聞いてみたいと思っています。
それでは澤浦さん、よろしくお願いいたします。
【澤浦さん】
今日の話は三部構成です。
最初は野菜くらぶの成り立ちから。
野菜くらぶは3名の仲間で立ち上げた生産者団体で現在は56名。
どういう問題があり、どう解決してきたのかをまずお話しさせて頂きます。
次に農家の規模別管理のポイントの話。
グリンリーフも家族3名で始めた会社です。
(※農業生産法人グリンリーフ株式会社 http://www.akn.jp/index.htm)
家族経営からスタートして現在は70名弱。
今に至るまでの規模別の管理ポイントについてお話ししたいと思います。
規模は大きくなればいいというものではなく、効率よくやることが一番。
大きくすることがすべてではないと思います。
農家の規模別管理のポイントをしっかりおさえて、家族経営でやるにはどういうやり方が一番効率的で、どのような方法をとるのが一番幸せなのかという視点で聞いて頂ければと思います。
最後は生活面からみた経営計画の立て方。
私自身が考えている経営計画の立て方というのをお話ししたいと思います。
■野菜くらぶの成り立ちと出来事
(創業から現在まで)
野菜くらぶは平成4年に3人の仲間で創業しました。
平成になってコンニャク相場と野菜相場が暴落。
自分で値段をつけられる農業をしようと始めたのがコンニャク加工です。
コンニャク加工品の営業をしているときに、あるご縁で、らでぃっしゅぼーやさんを知り、無農薬コンニャクの取引から始まりました。
当時、らでぃっしゅぼーやが自社仕入れを始めようというタイミング。
開発担当者にコンニャクを見に来ていただいた際、野菜も無農薬で生産できないかということで野菜くらぶがスタートしました。
始めるにあたって仲間に声をかけたんですが、当時私は24~25歳ぐらいだったこともあり、集まったのはたったの4人。(※野菜くらぶは3名でスタート)
少数精鋭でいきますと説明して始まったのが野菜くらぶです。
3人というのは非常にいい数字。
5人までのときに、今後この組織をどうしていきたいのかをとことん話し合うとぶれません。
平成7年にMOAの認証を取得。
平成8年にモスフードサービスと取引開始。秋に会社としてスタート。
平成10年に最初の社員を採用。十分な報酬が払えない状況だったこともありどうしようかと思ってみんなに相談し、翌年は売上げが伸びると予想できていたので採用を決めました。
平成13年に独立支援プログラムをスタート。
農業をしたいという人を育てようとプログラムをつくり研修をして、独立させてあげようということです。
最初の1人は食べるものと寝るところを与えて何もない状況でしたが、その人の独立ではずみがついて今では何人も独立しています。
平成14年に株式会社化して冷蔵庫を増設。
平成17年に社員研修を本格化。管理方法とか心理学、哲学、組織論などの具体的な内容を研修で取り入れ始めました。
平成18年にサングレースというトマトの生産農場を設立。
平成19年に青森と静岡に集出荷場を建設。トマトの選果施設も建設。
平成20年に関連会社のグリンリーフが天皇杯を受賞させていただきました。
■創業から現在までに起きた様々な問題点
(創業時)
野菜くらぶの創業は平成4年。
いち早く農業経営でだめになった3人が野菜くらぶをスタートしました。
生産したものがちゃんと売れない、換金できていない点がうまくいかなかった理由です。採算にあう価格で売れていれば経営危機にならなかったんです。
3人で話をしたのが、自分たちが農業を続けられるように自分たちで値段をつけられる農産物を売っていこう、組織は組合ではなくて会社でやっていこうと話し合いました。自分たちが考えている有機農業や、自分たちで値段を決められる農業をやろうという点を理解してくれる方を仲間にいれていこうと話をしました。
平成8年に7人ぐらいになりました。
当時若かったこともあり信用もありません。声をかけても集まってくれませんでした。 信用がないということは逆によかった。信用がなくて自分が思うようにできる時期というのは今から思うとすごく良かったなと思います。
当時の農家って自分のものが売れればそれでOKだったんです。
売れる背景には買ってくれる人との信頼関係であったり、コミュニケーションであったり、どう作っているかというアピールであったり、そういうものが必要。
しかしなかなか理解してもらえない時期が長く続きました。
その人たちに「東京に種を蒔きにいくぞ」といつも言ってるんですね。
畑に種を蒔くばかりでなく、東京に種をまかなくてはお客さんが育たないから、買ってくれる人がいなくなるという話です。
「東京に種を蒔きにいくぞ」という言葉を合い言葉にひっぱりだしてきました。
それで取引先の信用が高まってきたような気がします。
(社員雇用)
平成10年に今の事業本部長を社員として雇用しました。
雇用できるような売上ではなかったのですが、うちの女房が当時の受注と連絡のやりとりをしていたんですね。長女が平成7年に生まれて、女房がやるには限界があるなと思ったわけです。
最初の社員を採用する際に生産者が17名ぐらいいました。
会社にするときに一気に増えましたので、社員をいれることになかなか理解を示してくれなかったんですよね。今はそうではないですけど。
組織が変わるときにだいたい抵抗するんです。
「社員を入れたってしょうがない」「社員を入れて手数料が高くなったらいやだ」とかですね。
うちの女房も子供が泣き泣き、家事をしなければならない時間に生産者と電話をしなくてはならないので大変なわけです。主婦としてご飯の用意をしなくてはならないし・・。そうでなくてもパートさんに毛の生えたぐらいの給与しか払えなくてですね、続けられないということで社員を入れたいという話になりました。
平成9年に新農業人フェアで今の事業部長と出会い、時間をかけて口説き落として来てもらいました。
当時とことん話をしましてその通り進んできているわけですが、将来会社をどのようにしていきたいのかということが彼の心を動かしたのかなと思います。
彼が入社することで給料はどうするのかということで、(手数料を)3%から4.5%に上げました。売上が3億でしたから、1.5%あげることで彼の400万ぐらいの給料分はでると見えていましたので、1.5%あげることにしたんです。
3%から4.5%にあげるのにも反対がありました。そんな人のためになんで金を払わなくちゃいけないんだと言うわけですよ。でもボランティアでやっているわけじゃないんです。
数年後に4.5%から6.5%にしました。また大反対がありました。
自分は野菜くらぶからずっと給料をもらっていなかったんです。
役員ももらってなかったんです。
それで初めて役員報酬がでたのが平成13年ぐらい。
創業したのが平成4年だから10年近くゼロなんですね。
そんなことで手数料が活きたわけです。
(設備投資の資金)
野菜くらぶとして設備投資もしてきました。
事務所とか冷蔵庫とか、真空冷却機とかいろいろつくってきたわけですが、大きな補助金は最初の冷蔵庫とトマト農場をつくった際の補助金をいただいたほかは補助金はいただいていません。
野菜くらぶの設備に対しては、ほとんどは補助金なしでつくっています。
みんなからお金を出して頂いてし元手にし、それだけでは足りないので公庫から資金を借りて集出荷施設とか冷蔵庫とかをつくってきました。
真空冷却機を導入したことが取引先から評価をいただき取引先も増えました。
設備投資をするときに必ず増資をすると言いましたが、これは大事な事です。
野菜くらぶの株主は52名ぐらい。その筆頭株主がグリンリーフですが、株は27%しかもっていません。私個人が2%ぐらい。
オーナー会社として仕切っているように見えますが、民主的に運営されるようになっています。
株式を持つと言うことはその会社のオーナーになるというわけですから、やる気もでてきますし、生産者も一組合員じゃなくて経営にちゃんと参画している意識が生まれますので、まったくやる気が違ってきます。
そのため何かを作るときには増資をして、みんなでお金を出し合ってやっています。
(欠品と過剰生産対策)
栽培したものは全部収穫したいというのが農業やっている人の性というか、収穫しないですきこむというのは非常にいやな思いをします。
欠品を続けるとお客さんの信頼をなくしてじり貧になっていきます。
生産はたくさんしなければいけないなと思うわけです。
うちの場合は100の注文に対して120作付けをしようと話をしています。
20%を余分に作付けして、その20%はあらたなところに販売する努力をしたり、最悪の場合は20%すき込んでもいいと思って栽培してくださいとお願いしています。 実際にすきこむこともあります。
今年の7月のレタスはかなり過剰になりすき込みました。
過剰生産でものが余って売れなくてレタスもすきこんで、秋の反省会では将来考えていかないといけないなと話をしています。
過剰の時に一番つらいのは事務局なんです。生産者のはけ口なんですよね。文句を言うはけ口なんです。もっと売ってくれとか、もっと出せないのかとか・・。
それを聞いた事務局は、販売先には「もう少しなんとかなりませんかね」とやわらかく言うんです。そうするとだんだんとストレスがたまるわけですよ。
その人が認められないで強制的に指示・命令とかマイナスになる言葉を受けていると、負の感情がどんどんたまっていくんです。それをどこかで抜かないと、たとえばちょっとしたことでも事務局を認めてあげるとか、そういう行動を生産者がとれないと事務局はやめていってしまうんです。
事務局スタッフがやめてしまうと困るのは生産者なんですね。
そこでうちでは事務局から事業部に名前をかえたんです。
事務局という名前だとどうしても生産者の手足になって動くというイメージがあったので、生産者が強い口調で言うんですよね、「おめぇたちは俺たちが食わしてやっているんだ」とか言うんですよ。
事務局は生産者の手足になって働くものと思っていると事務局スタッフの心がすさんでくるんですね。同じスタッフが営業の現場に出て行くわけです。
それはまずいということで、名前をかえて事業部という名前にしたんです。
事業部という形にして生産者も事業部も対等だという形にしました。
事業部に対して、生産者が「俺たちが食わしてやっているんだ」というような見下したような言葉を言えないような環境をつくったり、事業部も「買ってやっているんだ」とか「売ってやっているんだ」とかの態度にならないようにいろいろと工夫をしています。
特に過剰生産のときに問題になります。
生産者同士でも疑心暗鬼になります。
たとえば声のでかい人の方が出荷が多いような雰囲気になっていますよね。
また役員の方がいっぱい出荷しているように錯覚されるんですよ。
このときに重要なのは情報をオープンにすることなんです。
それで、だれにどれだけ発注しているのか全員がわかるようになっています。全部見えるようになっているわけです。
だれだれに100発注して、だれだれに200発注してというのが全部の生産者にわかるようになっています。誰が多い少ないがわかりますから、そういうことを疑心暗鬼にならなくなりますよね。
これはすごく大事なことで、こうすることで疑わなくていいように、疑えないようになってきています。
生産物が余ってくると振り分けが一番悩みます。
事業部の鉛筆1本で生産者の収入が決まるわけですから、そのルールづくりをどうしようかということで生産者同士で話し合って、そのルール通り事業部がすすめています。
1週間に1回、部会をひらいて必ず数量調整とかを生産者同士でやる形をとっています。できるだけ事業部に負担がかからないようにしています。
それをやるようになってから事業部も非常にやりやすくなって、生産者のものをどんどん売っていこうということで積極的な流れになってきたと思います。
世の中が平和であるためには食べ物が100%以上ないとだめですよね。
105%とか110%とか食べ物が余って捨てられる状態でないと安心ができない状態なんです。
食べ物を捨てるというのは罰があたっていいことではないんですけど、余る状態でないと安心してられないというのが人間だと思うわけです。
そういう世の中を作っていくことが農業者の役割だと自分は思っています。
ものが余っている状態、120%になったときにどうなるかというと価格が暴落するわけです。過剰にものがあれば価格は暴落するわけです。
農産物は価値をうちだしていかないとだめだと思うわけです。需給だけでない価値をだすために安定供給というのはすごく大事なことです。安定供給するために一つは余分に作付けすることが絶対になるわけです。
生産者が畑に余剰に捨てていける状態は、ある意味でいい状態だと認識しないとだめだよと常に話しをしています。
ただ事業として見れば生産者がつくったものすべて、作付けした物を全部売っていこうよという話は常にしています。
今年は余剰で廃棄するものがでたんですが、これは本当に稀な年で、ほとんど圃場で廃棄することがない状態でやってきました。
冷凍野菜もやらせていただいているわけですが、冷凍野菜をなぜやりはじめたかというと、コマツナって1日に4cmも5cmも伸びちゃうんですよね。
朝ちょうどよくても、夕方出し遅れてしまって出荷できないなという状態になってしまいます。
せっかく有機で育てても畑で廃棄するのはもったいないということで、冷凍して外食用に販売しています。今は外食用だけじゃなくて一般の家庭で食べるような冷凍品もつくっています。
余剰になったものに付加価値をつけるということも今後大事かなと思っています。
農産加工は農場運営とはまったくちがうノウハウが必要となります。
補助金をつけて安易に始めるのは危険だと思います。
こじんまりとしても設備にあまりお金をかけない加工がかならずありますから、どこにもないものを作っていった方が私は得策だと思います。
補助金をもらってもタイムリーにスタートしないとお金がなくなるんです。
補助金もらってラッキーではなくて、それだけ危険だということですね。
加工場もまったく同じで、ノウハウのない人がまったくゼロからはじめるリスクは大きいです。ここをしっかりおさえて頂いた方がいいかなと思います。
(人の問題)
野菜くらぶの事務局は、生産者からいろいろいわれていましたから、以前は暗い事務局でした。
みんなからも暗い暗いといわれて、明るい事務局を目指そうということになりました。たまたま女の子がたくさん入社してくれて・・、女性が増えると明るくなるんですよね。
そうすると生産者が事務局から帰らなくなるんですよ。
そんな関係ができてくるといいなと思っています。
生産者団体、産直団体などいろんなところを見ていますと、だいたい50人から100人の間で分裂するような問題が起きてきます。
分裂するところはだいたい50人から100人。その間で分裂してきます。
これはひとつはワンマン経営、不透明な経理、不公平さなどの不満などが原因で分裂しているようです。
野菜くらぶは56名でその中に入ってきているので、自分は経理はオープンに、意志決定はワンマンでなく取締役会で決めていくようなマネジメントにどんどんかえてきています。
自分一人で決めることは極力さけていますし、決まらないような仕組みになってきています。
野菜くらぶの正社員は7名いますが、スタッフの社員教育に力を入れています。社員教育費として年間800万から1000万ぐらい使っています。
講師を招いたり、教育会社で社員研修をしたり様々なことをやっています。
(組織運営)
組織運営では地域より理念を重視します。
ここはすごく大事で、3人でスタートした時、地域でまとまるのはよそうと話をしました。それまで地域でまとまって、地域に住んでいる人は仲間に入れようとやってきたんですが、それよりも自分はこういう農業をしていきたいんだと、自分はこういうふうにやっていきたいんだと、そういう考え方の方が大事だと思います。
同じ理念、考え方、方向性が一つのグループになるから力が発揮できるわけですね。同じ地域に住んでいるからといって、柔道をやっている人も剣道をやっている人もサッカーやっている人も、相撲やろうぜといってボール持ってくる、竹刀もってくる、そんなに集まっても何もできないわけです。柔道をやろうぜといったら柔道ができるわけですし、野球やろうぜといったら野球をしたい人が集まるわけで、これと同じでこういう農業をやろうぜと集まった来る人と一緒にやっていくことが大事かなと思います。
組織を守る上で数字を公開しないと守れません。
数字を公開すると社長も楽になります。
なぜかというと、数字で説明できると根拠になるわけです。精神論ではなくなるわけです。
酒を飲んで話をしているとだんだん精神論になってくるわけですね。
精神論ではなくて具体的な数字でどうしていくんだと、具体的なところで話を、特にマイナスの話をシビアにした方がよいと思います。
具体的な問題解決などの場合には数字で追っていくことが重要です。
自分は農業って野球と同じだと思うんです。
それぞれのポジションの人がいてがんばるからチームが勝っていくということです。これまでは生産するだけが農業だったわけですが、生産するだけの人しか集まらなければ、みんなピッチャーをやりたい人ばかりでキャッチャーやる人がいないんですね。だからキャッチボールしかできなくて野球の試合にならないと思えちゃうんです。
でもキャッチャーする人がいたり、センターとか外野手、内野手がいて、それで野球のチームができて、それだけじゃなくて相手チームがいて、それでゲームができて、見に来る観客がいてビジネスになる。
それと同じように農業も生産する人、売る人、届ける人、資材を調達する人、経理をする人、社長がいて監督がいて、そういう人が全部そろって農業が活性化してくるんじゃないかなと思っています。
究極のマネジメントというのは人の管理、仕事の管理なんだそうです。
仕事の管理というのは進捗管理です。
計画がどういう状態にあるのか、その進捗管理。
これは農家の人は結構できているし生産者団体もできていると思います。
もう一つの人の管理というのはメンタル面にまで踏み込んでいきます。
人ですから暗く落ち込むこともありますし、家族になにか事故があると暗くなりますし、そんなときの心のメンテナンスをどうしていくかです。
この2つができないと組織として維持できないなと感じています。
中小企業家同友会というものがあるんですが、北海道が組織率が一番高いですよね。北海道は農家さんが一番多く入っています。
中小企業家同友会、ぜひ入って頂けるといいと思います。
平成6年に会社にしてから私もずっと入っていますが、とても勉強になります。
中小企業家同友会でいろんな話を聞いて勉強をさせてもらっている状況です。
■農家の規模別管理のポイント
規模別・人数別でどんなことが起きるかということをお話ししたいと思います。
(3人までの家族経営の場合)
単独、夫婦二人、あるいは両親と長男という家族構成で生産、親のどちらかと夫婦という形での経営です。収穫の時に外部雇用があるぐらいの規模です。
家族のがんばりがそのまま業績に結びつき、家族の夢がそのまま仕事に生かせるということで、ご飯を食べている時もいろいろと話ができるわけです。
ああしたい、こうしたい、将来家を建てたいとか、そんな夢がそのまま仕事に反映できる、仕事でがんばった分だけ夢に近づけるということが家族経営の長所です。
災害などの厳しい環境の中でもがんばりがききます。
災害にあった時、法人経営だと外部にお金を払わなくてはならない。でも家族経営だと外部にお金を払う出費が少ないですから、がんばりがきくんですね。
だから家族経営というのは法人経営よりも持続性・継続性といういう意味で自分は強いのかなと思います。
短所は、組織化した販売グループに入らないと安定した販売ができないということ。3人までの家族経営、あるいはもう少し大きな家族経営の場合、生産と販売の両方をすることはほぼ不可能なわけです。
生産に特化して、できた農産物を誰かと一緒に売っていくようにしないと、経営として成り立たないです。
販売組織がいいか悪いかがその人の経営を大きく左右します。
組織化した販売グループに入らないと安定した販売ができない。安定した販売組織、例えばらでぃっしゅさんとか安定した販売組織でないとしっかりできない。 安定した販売組織に入って販売がしっかりできるような形になっていれば、家族経営が私は一番農業をやるのに魅力的だと思うんですね。
現在グループ全体で130名ぐらいの方が働いていますけど、もし私が普通の一農家であれば、野菜くらぶに入って女房と両親のどちらかとレタスとかコマツナ、ホウレンソウとかを生産して野菜くらぶに出荷すると思います。
それが一番いい暮らしができると思います。
本当にそうなんですよ。家族ともずっと一緒にいられるじゃないですか。
販売組織がしっかりしていれば3人の家族経営というのはすごく魅力的な経営体なんですね。
独立支援プログラムで独立した生産者が青森と静岡にいて、野菜くらぶで販売しているんですけど、売上げが3000万ぐらいあります。
彼の場合はタイの研修生を2名雇用しています。奥さんはまだ子育てのため、畑には出ていません。彼と研修生2人と朝だけパートさんを雇ってレタスを栽培しています。
彼の家族年収がだいたい500万円ぐらいです。
仮に奥さんが畑に働ける状態になれば家族所得が700万とか800万とかになります。そうすれば3人の家族経営ってすごく魅力的です。
だれか(野菜くらぶの)社長を変わってくれないかなと・・。
そんなふうに思います。
家族構成の変化で経営規模が大きく変化するとは、奥さんが妊娠したりするとその分経営面積を減らしたりとか、病人がでると面積を減らしたりとそういうのが直接結びつくのが欠点です。
成功のポイントとして、家族が仲良くして生活のための同じ目標を持つ事です。
将来どうしたいと家族仲良くしていくことが大事だと思います。仲良くどういう農業をやっていきたいのかが大事だと思います。
農業後継者が残る農家ってどういう農家かなと見ていると、小さい頃から親が農業に対して誇りを持って話をしているところはほとんど後継者が残っています。農業はダメだダメだと愚痴を言っているところでは後継者は残っていません。農業はいいぞと言っている農業経営というのは農業高校とか卒業して入る時に規模を早めに大きくして準備しているんですね。
その人が活躍できる場を準備しているというのは重要だと思います。
農業後継者が入ってくると、その分規模も大きくなり売上げも伸びるので給与もきちんと払えます。実際に払っている農家は後継者が残っています。
うまくいっていない農家は、農業後継者が入ってきても規模を大きくしないで、親が楽をしているところはあまり・・・。
結局規模は変わらず人数だけ増えて後継者が働いても、その分親父さんが楽をしてというところは、うまくいっていないように見えています。
(3人から5人までの家族経営の場合)
家族に数名のパートさんが入った経営です。
両親と息子、あるいは夫婦2人とパートさんが働いている規模です。
奥さんは無報酬で働く場合が多いです。
人を雇用し始めた時には奥さんは無報酬になってしまうことが多いんですね。外部の人にお金を払い始めるときは家族が一時的に報酬が下がるんですよ。外部の人をいれても大きくした分だけストレートに売上げに結びつくとは限らないので、少しタイムラグがあります。
来た人がすぐに一人前の仕事ができるかといったらそうではありませんし、一時的に無報酬で働くことが多いんです。
パートさんをお願いしていると、その分規模が大きくなるので先ほどの家族経営の時よりも可処分所得は増えます。販売組織に入っていることが前提ですけど、可処分所得は増えます。
知り合いの人や気のあった人と仕事ができるので、緊張感もあるが楽しく仕事ができます。全然知らない方を雇用するのではないので、仕事自体も楽しいんですよね。
短所としてパートさんの急な休みなどで、その穴埋めを家族がすることが多くなることです。子供が熱出したり、おじいちゃんが入院で付き添いでとか、けっこうあるんですよね。
パートさんも本人が風邪をひいたから休むとか朝になって電話してくることもあったり、パートさんに振り回されることが増えてきます。
そういうわけですから家族の中から意見の相違がでてくるんですよね。
人が入ってくると、もう少しこうした方がいいんじゃないか、ああした方がいいんじゃないかとか、採用した人が思うように動かないとですね、おまえの採用の仕方が悪いとか、相違がでてくるんですよね。
成功のポイントは家族の中で食事や休み時間に打ち合わせを密にすることです。他人が入ってくるとどうしても他人と会う機会が多くなるので家族と話をする時間が少なくなってしまいます。
ですから意識的にそういう時間をつくっていくことが私はいいかなと思っています。
数名のパートさんが入ってきたときには、口だけでなくてできるだけ文章でも伝える訓練をすることも大事だと思っています。
コミュニケーションというのは難しくて言葉では27%しか通じないんです。
伝わらないですよね。
話をしていても相手が情報を得るのは態度や目つきなんです。
目を見ていても態度が悪ければ、例えば腕を組みながら「何々をやってください」と言っても、言葉では指示を受けても態度から相手は「この人は今日何かあったのかしら」というような事に関心が向いてしまうんですね。
本来やらなくてはならない指示命令を聞くよりも相手の態度から「私に対して何か面白くないことがあるのかしら」とか、そんなところに神経が回って本来やらなくてはならない指示命令をきいていないんですよ。
復唱してくださいと言っても今日何をやるのかをだいたい言えないんです。
でも言った人はわかっているものと思っているんですよ。
ここで錯覚がおきるんです。言ったのにやらないとか、そこで感情のもつれがでてくるんですよね。だから工夫が必要なんです。
自分の話というのは27%しか相手に伝わっていないと自覚して言葉で伝えたあとに相手にもう一度言ってもらう。言葉にすると自分で行動しますから意識の中に落とし込めるんですね。
インプットしたことをアウトプットさせてあげると相手の方はああなるほどなとミスが少なくなる。そして文書化して紙に書いて渡してあげるとミスがなくなる。
ミスがなくなると、お願いしたことが夕方もどってきてできていると褒められるわけです。ところが伝え方がまずくて、伝えたことができていないと、「そんなこともわからないのかー、ばかやろー」となってしまうんですね。
外部の方が入ってきたとき、相手に復唱させる、文書化することはすごく重要になります。パートさんでもだれでも仕事はできるんですけど、指示命令とか確認作業がうまくいかなくて、コミュニケーションがうまくいかなくて仕事がうまくできないことがほとんどです。
そういうことを意識的にやることですこしづつ良くなると思います。
3人から5人までの時に入ってくれた方は、後々のキーマンになります。
グリンリーフのパートさんだった方は、今は漬物工場の工場長です。
コンニャク工場でアルバイトしていた方は、コンニャク工場の工場長になっています。 その人が伝道師となって同じようにやってくれるようになります。
(5人から10人までの農業経営の場合)
5人から10人になってくると家族3人で全部の仕事をするのではなく、パートさんに袋詰めをまかせたりするようになります。
畑に出ながら仕事をして、人の管理もしている段階です。
長所として家族中心の経営で可処分所得がそれなりにとれること。
可処分所得が一番増えるのは5人から10人の規模かなと思います。
家族3人と7人ぐらいのパートさん、または研修生や社員でやるのが一番いいのかなと思います。
野菜くらぶの生産者でも5人から10人ぐらいで農業経営をされている方が一番可処分所得が多いと思います。
外部の人に払う給料はまだ多くないんです。
社員の場合、給料をきちんと払っていかなくてはならないので大変ですが、この時期は家族が中心となって指示命令をすればいいので、一番バランスがいいかなと思います。
5人から10人ぐらいの場合、野菜くらぶで売上げが5000万~7000万ぐらいです。家族の可処分所得が1000万から2000万ぐらいになります。
そうすると家を建てることができたり子供の教育ができたり、夢が実現するような規模になります。
私はこの人数が一番バランスがいいのかなと思います。
経営者の目が作物に行き届き、作業のこまかいところにも目が行き届き、作業効率が高く、品質の良い物が生産できます。
この規模はいいものを出荷します。
経営者が病気になっても維持できる規模になっています。
短所は責任を任せた外部の人の能力によって成績が左右されることです。
社員さんが作業をしっかりできるかどうかが非常に大きなポイントになってきます。
栽培作物や経営によっては資金管理などの管理業務が必要になってきます。
野菜は播種して現金化されるまでそんなに長くかからないもですが、コンニャクの場合は3年以上かかります。
規模が大きくなるとお金を寝かせないとだめなので、資金管理が必要になってくるんです。働いている方にも毎月給料を払って行かなくてはいけないので、ためておくことも重要になります。
このような管理業務が増えてきます。
成功のポイントは、計画書を作成して実践することです。
作業の見える化を行い、働く人が何をしたらよいかわかりやすくすることです。
また家族の姿勢が働く人に大きく影響を与え始めるので、華美にならないようにすること。お金が入ったらといって華美になると働く人は怠慢になります。
この規模で外車にのったり華美になると、働いている人が変わってきます。甘くなってきますし、採用する人の質も変わってきます。
注意すべき点です。
(10~20人までの農業経営の場合)
家族以外の人から正社員を雇用し、担当部署を持って組織としての機能をし始めている段階です。
この段階になると正社員は必要になります。
1人が見られる限界というものがあります。どんな優れた人でも1人で10人までの部下です。10人を越えて部下をもつと目が行き届かなくなり、指示命令、仕事がまわらなくなります。
能力がない方はもっと少なくなります。外部の人をしっかり正社員にして、その人に部下をもたせることができてきます。
社会保健や就労規則などの労働環境の整備が始まります。
10人を越えると就労規則をつくる責任がでてきますし、会社になれば社会保険とかに加入しなければいけなくなります。
このように労働環境の整備がはじまります。
長所は、やったことがそのまま売上に結びつき利益も出やすい規模になってきたということです。
法人化することで生活と仕事を分けて考えられるようになります。
法人化すると決算書ができてきますので、会社経営としての夢と、生活の夢がそれぞれもてるようになってきます。
短所は天災が経営に大きな影響を与えるようになることです。
今年のように長雨が続くと、家族経営の場合は家族でがんばって乗り切ろうと出費をおさえていけますけど、10~20人になると今年のような天候で収穫がなくても、働きにきている方に給与を払わなくてはなりません。
収穫がないから作業もなしということはないです。
片づけや準備などがありますから、必ず人件費は発生します。
この規模以上になりますと会社として蓄えがないと1回なにか災害が起きたときに大きな赤字を抱えることになります。
華美な生活になってしまうと災害に耐えられなくなってしまうわけです。
うまくいかなくて給料が支払えなくなるとどんなことが起きるかというと、社員さんから「社長はいい生活をしているけど、俺たちに給料を支払わないのか」、そういう話がでてきたり、重要な人がやめてしまったりします。
華美にならないことと、天災ということは非常に深く結びついています。
家族の頑張りだけでは生産ができなくなり、家族以外の数名の頑張りが業績を左右します。 家族のがんばりだけではどうしようもなくなってくるんですね。
雇用した方が一生懸命がんばってくれる環境をつくってあげないとなかなかうまくいかない。
成功のポイントとして、経営指針書を作成して従業員と夢を共有するようにすることです。
家族がなぜ自分の仕事に夢中になれるのかというと、それは自分の仕事だからですね。自分の仕事というのはどういうことかというと自分の人生と一体化しているからなんです。生活と仕事が密着しているから一生懸命できるんですね。
仕事でうまくいったら家が建てられる、たくさん収入があったら車を買おうとか、家族で旅行に行こうとか、仕事と夢が結びついているからがんばれるんです。
赤の他人が経営に一生懸命になれるかというと、だんだんいやになってしまうんですね。経営の中に自分の夢も重ね合わせてくるようになると、他人の農業であっても自分のものになってくるんですね。
だから経営理念、経営方針というのは重要になってくるんです。
働く社員さんが自分の仕事として会社の仕事をするようになる、そういう環境をつくるわけです。それが経営指針書になるわけです。
北海道の中小企業家同友会で経営指針書をつくる会というものがありますので、そこで学んで頂くのが一番いいと思います。
経営指針書の中に経営理念というのがあるんですけど、社員の幸せというのが必ず入っています。社員の幸せが経営理念の中に入って入れば社員も一生懸命になれるわけです。
経営している社長さんも社員の幸せを考えていけば、社員さんも自分の仕事として一生懸命取り組んでくれるわけです。
今年は儲かったから賞与はこれだけにしようねとか、1000万儲かったから300万円は賞与を出そう、300万は会社に内部留保で残しておこう、残りの400万は将来のために積み立てておこうと、来年働く環境をよくするためにこのようにつかっていこうとすれば働く人は一生懸命がんばれば自分の給料もよくなるし、働く環境も良くなるんだなと言うことがでてくるわけですね。
そこがすごく大事なところになります。
10人から20人になってくると必ず経営指針書が必要になってきます。
組織管理、組織という考え方で農業をやっていく時期だなと思います。
(20人から30人までの農業経営の場合)
パートさんから社員になる人が現れ、経理や管理専門の人がいる、外部から社員を雇用するだけでなく内部からも社員を登用しはじめる時期にあたります。
数人のリーダーシップで組織を運営している段階です。
社長の指示命令が一番届きやすい人数で、数人のリーダーシップであれやこれやがんばろうということで組織が運営できています。数人のリーダシップ、数名がどのようにいるかで組織がきまるような規模です。
長所として、組織的に動けるようになり利益が出やすい規模、全員に目が行き届き人間関係もアットホームで上手く行く規模です。
30人くらいまでが一番利益がでやすいので人間関係もうまくいきます。
数名の方ががんばろうと率先垂範も効きますから、社長も現場にでてます。
私も30名ぐらいまで現場に出ていまして、トラクターにのったり一緒に収穫したりして、「今日はいっぱい収穫できたな、焼き肉でも食べに行こうぜ」とか、そういう感じでみんなで行ったりすることができる人数です。
30名ぐらいの時は旅行も行きました。
会社を休んで旅行に行こうと言うことで、一泊二日でいろんなところに泊まりにいって、本当に楽しい規模だったなと思います。
短所は、トップの意見がすべてを決めてしまい、トップが現場から離れて情報収集が出来ないと尻つぼみになるということです。
現場に張り付いてプレイングマネージャーでどんどんやっていくのはいいんですが、それに没頭していると販売先の方針や要望などの情報を集めず毎年毎年同じ物をつくっていたら、ジャガイモが売れなくなってきたのでタマネギにしてくださいと言われてジャガイモの注文がいきなり減ってしまったりとか、そういうことがあるわけですね。
そういう情報収集にでる時間というのは非常に重要になってくるころです。
成功のポイントは、会議制度や朝礼の充実、トップ面談による社員からの意見収集ということで、この時期は朝礼とか会議とかを定期的に開いてみんなの合意形成をつくっていく必要がでてきます。
組織を大きくするか、現状維持で行くかの意志決定をする時期ということで、30名というのは一つの区切りだと思います。
30名を越えると管理の仕方はまったく異なってきます。変えていかなくてはいけないんですね。
本当に変えなくてはいけないのが50人以上なんです。50人以降になってもワンマン経営をやっていたら、だいたい会社はなくなります。
兆候がでるのがこの30人で、30人以上になってきたぐらいに経営を大きくしていくのか、この規模で内部を充実していくのかを決める時期だと思います。
私もこの30人の時期が一番利益がでました。
ひとつは人件費がまだ高くないということ。
自分ですべて仕切れるから指示命令が明確にすとんと落ちるし、創業してワンマンでやっていくのに一番バランスがよいのかなと思います。
(30から50人までの農業経営の場合)
特徴として加工事業など農業生産部門だけでない業務をしているところが多くなってきます。家族以外の人が経営幹部になってきます。
長所は売上は頑張り次第で伸びる規模です。
能力ある人を登用する事が出来るようになるということです。
外部から雇用した人を他と遜色のない給料が払えるようになる規模です。
短所は、人間関係のトラブルが起き、経営者は仕事のことよりも人間関係のことに奔走され始めることです。人間関係のトラブルがあると売上が伸びても生産性が下がり始めます。
30人をこえてくると人間関係のトラブルってすごくでてくるんですよね。
あの人が嫌いだとか、あの人と一緒に仕事をするんだったらやめるとか・・。
それから突然無断欠勤をするとか。
50人近くなってきますと幹部社員の部下の人が不満を言い始めるんです。
うちは幹部社員が何人かいましたから、幹部社員が自分のところではなくて人のところに口を出したり・・。
あっちのあそこはどうなっているのとか、こっちのここはどうなっているのとかね、おまえ人のことより自分のところはどうなっているんだって言いたくなるんだけどね。言われた方も面白くないから、あんな人になんで言われなきゃなんないのとか、他人批判とかどんどんでてきて、あいつが嫌いだ、こいつはいやだとかそんなことばかりでてきて、人間関係のトラブルに巻き込まれることがこの時期に非常に多くなります。
実は人間関係のトラブルがコストをすごく上げているんです。
人がやめて新しく採用すると、なれていない人がやるからミスが多くなるし作業性は下がるし、能率が悪いと言うことは非常に良くないですよね。
この30人から50人までの時はこういうトラブルが非常に多くなります。
マネジメントの方もトップダウンでやっているとそういうふうになりますよね。
成功のポイントとして、経営指針書を全社員で作成したり、社員教育の実施をしていかないと、この時期になるとうまくまわらなくなります。
新卒社員の募集、組織作り、リーダーシップの転換点ということで、一つは社員教育というのはこの時期に始めないといけないなと思っています。
仕事とは何かとか、組織とはどのようにしていけばいいのかとか、幹部社員の役割とか、新入社員であれば新入社員研修であるとか、しっかりやっていく必要うがでてきます。
この時期になると中途社員ではなく新卒社員を入れていくのが大事だなと思っています。
最初に立ち上げた時はぜんぶ中途社員です。
30人とか50人になってきたころになってくると中途社員さんって色を持っているのでなじめなくて組織を壊していくんですよ。そういう人が良いとか悪いとかではなくて、やはり新卒社員の方がなじんでくれるので、スタートは時間がかかるんですけど1年ぐらいしてくると非常にうごきが変わってくるわけです。
うちも最初は中途の方をたくさん採用していましたけども、30人を越えたぐらいから新卒に切り替えて、農場を転々としてきた人を採用するのをやめました。
そうしてから内容も良くなってきて、人が辞めなくなったんです。
3年ぐらいで会社をやめている人は3年するとやめていくんですよ。3年しなくてもやめちゃうかもしれない。
人が辞めていく時、その人が辞めていくだけでなくて回りにも非常に悪い影響を与えるんですね。ですからこの新卒の社員募集にこの時期は切り替えていく必要があるのかなと思います。
他の業種の方もおなじような事を言っています。
同友会で他の経営者とよく話をするんですけど、新卒に切り替えて会社がのびているところがいっぱいあります。中途採用のところは会社はなかなか伸びていきません。
ただ言えるのは立ち上げのとき、2~3人の時は中途採用の人しか力になってくれないことも事実です。2~3人のときに新卒の人を採用しても・・。中途採用の人も重要なポジションがあるんですね。30人をこえたあたりから採用の仕方を変えていく必要があるなと思います。
社長のトップダウンはそろそろやめていかないといけない時期です。
トップダウンだけでやると現場のことがわからなくなってくるんですね。ですから間違った判断をして現場が混乱してうまくまわらないということがでてきます。
(50人以上の農業経営の場合)
特徴は、社長が現場へ出られなくなる、現場の責任者の能力がそのまま業績に繁栄されると同時に給与も高くなるということで、現場責任者が一農業経営者と同じレベルが求められるようになります。
自分もよく言っているんですけど、農場長は一農家と全く同じ能力を持ってくれと言う話をするんですね。そうでないと一人前の給料を払えないぞと。将来自分が幸せになりたいと思ったら、それぐらいのスキルをつける心構えをもっていろという話をします。
それが伝わるかどうかは人間関係にもよりますが、そういう段階にはいりつつあります。
長所は分業化が進み、組織作りが進むと同時に生産性が上がり始めることです。これは人材育成ができていての話。人間関係のトラブルがあるようだとなかなかうまくいきません。
安定した生産が出来るようになり、顧客からの要望が高まる、生産が安定してくるのでお客さんからの注文が多くなってくるんですね。
そういった意味で付加価値がついてくるようになります。
それからそれなりの地位が出来て採用がしやすくなります。
短所はトップマネジメントが変わらないと破綻へと向かうことで、50人を越えてですね、社長が指示命令であれしろこれしろとこまかいところまで口を出していたら、まず組織は機能せず破綻します。
今うまくいっていない会社はみんなそういった会社です。
今うまくいっているユニクロとかですね、すべて現場に決裁権があるんですよ。店長とかそういったところに決裁権があり現場が意志決定できるようになっているんですね。
それからダイソーの社長はお店にはでないですね。見に行かないって言っていますよね。見に行くとスタッフが萎縮して本来の業務ができなくなるから行かないって言っていますね。
現場の人が働けるような環境作りをしてトップが指示命令をしてこまかく言うのではなく、現場の意見を聞くようなスタイルに変えていかないと、現場で起きていることを吸収して意志決定してマネジメントに変わらないと破綻へと向かいます。
企業が破綻するのが5億から10億の間が一番多いそうです。これも同友会の人から教えて頂いたんですけど、そのぐらいの規模が多いそうです。
資金管理や業務管理の重要性が高まるが、その教育が出来ないと業績が上がらないということで、資金管理とかも重要になってきます。
成功のポイントは幹部社員の教育を中心とした人材育成、資本政策と付加価値の高い商品開発づくりになります。この時期になりますと組織として取り組めますから、いろんなところからいろんな要望がでてきます。
実はこれは生産組織でも同じ事で、30人を越えたあたりから生産が安定してくると、「こういうものができませんか」というように先方から依頼が増えてくるんですね。これがある程度安定してくると強みが出てくるのかなと思います。
以上、規模別の管理ポイントについてお話をさせていただきましたが、規模が大きいからいいとか、規模が小さいからダメだとかそういう話ではありません。
家族経営なら家族経営、3人なら3人でやるやり方があるということです。それぞれの規模に応じたやり方があるということです。
それぞれの規模に、それぞれの課題・問題点もあるということをおさえておいてもらえればと思います。
一つだけ言えることは、規模が大きくても小さくても販売組織がしっかりしていないと農業がなりたっていかないということです。
有機農業をやっている方は個人で走りたがるんですけども、俺は俺、あいつはあいつという考え方は私は嫌いなんですね。あいつのものと一緒にしてくれるなというのは、野菜くらぶの中でもあったんですよ。
「たしかにあなたのものとあの人のものはレベルは違うけれども、物流をくんだり、協力・協同ができるでしょ、それをやっていくことであなたのものも売れていくんだし、あなたのものもお客さんのところにちゃんと届くようになるでしょ」
一人だけだったら何にもできないんです。物流もくめないし、販売もできない。俺のものとあいつの物を一緒にするなとか、あいつはまだできていないから仲間にいれるなとか、入りたい人を阻害していたら孤立していくだけなんですよ。
そこはすごく大事だと思います。
個々の経営として追求していかなくてはならないけども、団結するところを組織化して協力しあうところはしっかり仲間と協力しあう関係性が大事だと思います。 個人と組織の関係というのはすごく大事なことで、組織というのは個人を活かす場所なんですね。
個人は組織に対して忠誠心を持たないといけません。
忠誠心、ロイヤリティーです。
組織に対してロイヤリティを持たないと個人を守ってもらえないから、結果的に一匹オオカミになるんですよね。
野菜くらぶに入ってくる人がなぜうまくいっているのかというと野菜くらぶに対してロイヤリティというか、この組織でがんばっていかないと自分はいけないんだという気持ちがあるからやれると思うんです。
その気持ちがなくて、野菜くらぶに出荷すれば儲かるから出荷するだけして、あとは知らないという人が一人でもいたら、やっぱり乱れるんですよね。
そういった人が一人でもいたらどういうことが起きるかというと、販売先の担当者がくると気分を害するんですよね。そうすると不信感が生まれてくるんですよ。だからよくないですよね。組織に対してロイヤリティを持つべきだと思うし、ロイヤリティがなければ違うところにいけばいいんです。私はそう思っています。
■生活面から見た経営計画の立て方
(計画を立てる順序)
計画のところを駆け足でやっていきたいと思います。
資料2というのがあると思うんですが、それを見て頂きたいと思います。
計画をたてる順序がかいてありますが、これは野菜くらぶがスタートして間もない頃ににどのようにしたらよいかを考えたものです。
農業はなんのためにやるのかというと、生活のためにやるわけです。
自分たちが夢のある生活をするために、どういう農業をしなければならないんだという、そういう発想でこの計画をつくるようにしています。
まず1年に必要な生活費を算出する。
次にその生活費を生み出すための売上金を算出する。
その売上を達成するための作物の栽培面積を算出する。
栽培品目と栽培面積の妥当性を確認して、そのあとに実行計画を作成して栽培方法と管理のポイントを作成し実行していくという考え方でやっていきます。
独立支援プログラムというものをやっていますが、独立支援プログラムの人たちはこの考え方で計画をつくっています。
1年目でレタス約5haの作付けを一つの目安にしています。北海道の方にとってはそんなに少しと思うかもしれませんが、関東近辺でいきなり5haというと、「おまえ、無茶なことをするな。単位が違うんじゃないか、5反じゃないか」と言われるんですよね。
5反でレタスをつくって栽培は成功しても経営は失敗なんですよね。
全部出荷できたとしても結果的には5反では生活できないんですよ。
長く農業をやっている方で後継者がいない人はまず5反でやれと言います。
それで5反に見合う機械をそろえてしまうんですよね。
でも5反にあう機械と5haにある機械はまったく別物なんですよね。再投資しなければならないんです。
最初から失敗する経営を一生懸命勉強してもしかたないわけですよ。
最初から成功するための経営って何だろうと考えたとき、生活できるのが農業経営だと自分は思っています。
最初に1年に必要な生活費を算出するということで、資料に簡単にまとめてあります。生活費にあたるもので住宅費とか食費とか月額と年額で書いてみるんですね。まず書いてみて交際費とかを記入していくわけです。
この中で重要と思うのは積立金だと思います。
この積立金より上の部分は生活に最低限必要なものです。
積立金というのは自分が将来こうしたいという夢に対するものなんですよね。
家族で将来こうしていくからこれだけ必要だという、そういうお金なんです。
例えば何年後に結婚して子供ができるとしたら、結婚資金、子供ができたらどうしよう、住宅はどうしよう、いろいろでてくるんですよね。
そういう夢に対する積立金です。自分の将来に対するお金という考え方で、生活費が1年間にどれだけ必要かを算出するわけです。
その次に、生活費を生み出すための売上金を算出するということで、資料は損益計算書をわかりやすく分解しているので少し変則的になっています。
左に売上があって、右側に経費が書いてあります。ここに計算した経費を入れるわけですよね。生活費、利益、栽培経費、返済金などを右側にかいていくわけです。それをまかなう売上が左側に必要になってくるわけです。
経費を除いた以外の、返済金とか栽培にかかる経費を除いた以外の残ったお金を付加価値と定義づけると、それが売上に対して何%あるのか、というのを過去の実績から割り出してみるんですね。たとえば売上が1000万円あって、年間の生活費を計算したら400万円だったら40%ということになるんです。
経費比率が60%ということになるんですね。
1年が終わったときに借入の返済ができて肥料代が払えて生活ができていれば黒字ですからその比率を書いてみるわけですね。
栽培面積の算出ですが1500万円の売上になれば600万円の生活費が出る。
売り上げのところに1500万と書いて、次に単価、たとえば大根だったら1本100円だったら、100と書く。あるいは、ケース単位で計算をするのだったら1000円と記入する。
1500万÷1000=15000ケース。
10aあたり500ケース出たとすると3ha。
被害リスクも考える。たとえば大根を1年間作っていると1割くらいは虫にやられちゃう、それから1割くらいは台風でダメになるという被害リスクを予想し1.1掛けてあげると必要面積は3.3haとなる。
面積が出たら、その妥当性を検討します。
栽培計画に伴う栽培面積の確保は大丈夫か?
作業機械、設備が十分か?
作業員、人員は十分か?
資材の調達は出来るか?
農産物の販売先はあるか?
これは、非常に重要です。
一番重要なのは来年600万円の生活をするために3.3haを作るんだというときに、販売先の担当者がいらっしゃったときに、こういう計画だから1.5倍に増やして下さい、と根拠を持った話をすると説得力がありますよね。
将来は、こういった計画でそして後継者を育てたいからという計画を話していく。そうすることによって、他の仲間の売り先のところを紹介していただけることがあります。それには、根拠が必要です。
そこまで計画ができたら、次は実行計画の作成に移ります。
これはカレンダー形式で前年実績、播種圃場名、播種面積品種、収穫圃場名などを書き込んでいくと去年この時期に播種して、いつ出荷できたかということがわかるので、それをもとに今年の播種計画などを書いていきます。
このメリットは、パートさんとか外部の方が入ってきたときに、こういった形にしておくことによって相手からの信頼を得ることが出来ることです。
播種計画、管理計画、施肥計画などはすぐに書けますが、資金計画になると説明に時間がかかりますので今回は省略します。
この資金計画も重要な部分ですので、独立支援プログラムで新しく農業を始める方は全てこれに記入します。お金がどこで足りなくなるか?などといったものが分かるようにしています。
これも重要なことですが皆様は当たり前にやっているものを形にしたものです。栽培方式と管理の向上を図るためのものです。
パートさんがいらっしゃるならば一緒に書き込んでいくことが一番望ましいです。パートさんなどが良いアイディアを持っているときがあるからです。
うまくいったときのものから分析を始めるのが良いです。次に今年の反省点へ進んだ方が、脳に良いそうだからです。今年の作付けで良かった点などを挙げるときにうまくいかなかったなかでも良かった点を挙げることが良いのです。
たとえば、長雨が続いていたのにあの時期にこれだけ収穫できたとか、播種がうまくできたとか必ずあると思います。そして、その要因を次に欄に書きます。
たとえば、播種機を交換したことやトラクターのクローラーを交換したとなどといった要因を書く。それで来年の強化点としてこの部分をどうしていけばよいのかと作戦を練ります。
播種機のメンテナンスを毎日やるとか、クローラー式を改造してみるとか、トラクターに屋根をかけて雨の日でも播種が出来るようにするとか、そのような強化点として書いていきます。
それが、終わったら次に反省点を書きます。
たとえば、ロータリーがかけられなかったところはどうしたら良いか?
それには収穫したらすぐにロータリーをかけるようにすると決め、収穫時にトラクターを持っていき、すぐにロータリーをかけられるように準備するというような事を具体的に書きます。
すると、一緒に働いている人と今年のうまくいった点とうまくいかなかった点とが整理できるので主体的に働く人が行動できるようになります。
農業支援プログラムを卒業した子がこの手法でうまくやってきています。
有機で作ったホウレンソウの畑が2haあるんですが、そこを管理しているのは今年で4年目になる女の子です。
去年は、草だらけであまりよくなかったのですが、この要因分析で効率的な作業体系に自ら変えるようにしてからうまくできるようになり、ホウレンソウの収穫量は非常によくなりました。
農業している人、経営している人は、頭では分かっています。
しかし、頭の中のものは相手に伝わりません。
そこで一緒に考えると反応し合う。同じ事を考えているからということは、仕事のなかで何が問題で、何がいいんだということを皆で考え共有しあう。
その人が納得すると行動に移せるようになり、自分で言ったことは責任を持つようになります。
逆に他人から言われたことは忘れることもあり責任を負わないという心理学の理論があります。ですからコーチングというコミュニケーションの方法があるのです。
これは相手の中からあるもの引き出すことがメインで、ティーチングというものは自分の持っているものを相手に教えるというもの。だいたい農家さんは自分が知っているので相手に教えたがります。それは技術的な面などですごく重要なことです。
作業のやり方までがティーチングの役割です。
あとの作業の流れや段取りはコーチングになってきます。
これはコーチングの要素を取り入れた分析方法で人が育っていくな、と思い私も参考にしています。この方法は実際に成果が出ていると思います。
このように来年への強化点、来年への改善点を書いていくことにより、1つか2つ、多くて3つくらいのものを解決することによってほとんどのことが解決に結びつくのです。
来年への管理のポイント(方針)ですが、その書き出した中から、たとえば草が多いということを強化点に取り上げた場合、収穫後の片付けが遅いとか草の管理がなってないなど色んな理由が挙げられます。
それだと、草刈りの人員を増やすとか、常に収穫のあとは草を刈って帰るようにするとかやり方が変わってくると思います。
今度は、その中から重要なものを取り出し3つ方針を決めます。たとえば草のない畑にするという方針を決める。そのために3つの目標をつくります。
①収穫後のロータリーをすぐ行う
②太陽マルチを敷いた1週間後に播種をする
③施肥管理の設計をする
などの目標を立てることにより次第にクリアされていきます。
これは、家族でやっている農家では当たり前のことだと思いますが、他人が入ってくると頭で考えていることは相手には分からないので見える化してあげるということが大切です。
この手帳は社員さんが全員持っていて、先ほど何回も出てきました経営指針書、組織図や全社方針などを社員さんと全員で作っています。
たとえば、全社方針というものは中期・短期・今年度というものがあって
①増収増益
②整理整頓
③顧客満足の基軸商品開発
④全員参加の組織体制の確立
この4つの方針について、それぞれの部門ごとが2つ以上目標を決めて取り組んでいます。そして、毎月ごとに個々人が目標達成出来たか?ということを書き込み、翌月の目標を立てます。
毎週行う月曜日の会議では、売り上げ報告、会議記録などを書き留めています。この資料の内容があればパートさんが入ってきても、パートさんたちの動きが全く変わります。
日本人は経営に参加したいと思う人が多いです。仲間に入りたい、という所属意識が高いので話をしてパートさんの力を発揮できるようにします。
自分の頭の中を見える化していくことが農家の重要なところだと思います。
我社もこの手帳を使い始めて5年くらいで、本格的に指針書などを作り始めて今年で3年目です。この計画は皆で作るので、一生懸命取り組みます。
しかし社長が作ってこれをやれといってもやらない。これはどうしてだろうと思うと、計画作りは夢があって結構楽しいからだと思うのです。
たとえば、家の間取りの設計を考えるのは楽しい。しかし、建ち終わるとつまらない。この間取りの設計を考える部分が、計画の部分に当てはまると思います。一番楽しい仕事を皆で計画することによって、社員さんと一緒に夢が叶えられる農業経営体になり良い野菜ができればいいなと思います。
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■質疑応答
(質問)
新規就農し独立して9作目が終わったところです。
澤浦さんは3人からスタートして今の56人の仲間を持つにあたって、一般の慣行栽培で作ってきた方を仲間として受け入れる際、技術的な面でクリアしていかなければならない問題もあるかと思います。
どのようにして仲間を受け入れてきたのかを教えて下さい。
(澤浦さん)
野菜くらぶに入るためには、有機農業をやっていないと仲間に入れないというのは一切ないです。
なにが一番重要な事かと申しますと「正直なこと」です。正直ならば、慣行栽培でもいいと思います。
実例がありますが、慣行栽培している方がいて、その人は正直な方です。その方が、仲間に入りたいと申し出があり、そのときに有機農業をやっていない人がなぜ仲間に入るのか、というような波紋がありました。しかし次第に有機農業に変わっていけばいいじゃない、正直な方だからということで仲間に入れました。その方の農産物の出荷を始めました。販売先から毎月・毎週、農場を訪れて「このキャベツ美味しいですよね。どんな風に栽培されているのですか?」と聞かれるようになり、徐々に有機農業に変わってきました。
そして、その方が言うには有機農業はコストが掛からないですねと言います。もう一歩で、らでぃっしゅぼーやさんとお取引できる基準になってきました。
やはり、お客さんに会うのが一番の効果だったと思います。だから、有機農業や特別栽培をやっていないからといって仲間に入れないというような芽を摘むことはしません。
野菜くらぶのお取引先で基準が一番厳しいのはらでぃっしゅぼーやさんで、そこにお取引できるようになるのが1つの目標で、まだ到達できない仲間もいます。その仲間達にも裾を広げて対応出来る販売先の道筋を作ってあげることで、頑張ってステップアップしていければいいなと思っています。
独立支援でスタートした方たちにも初めは有機じゃなくてもいいといいます。その土地のことを知らないのに有機でやれと言うのは、自殺しろというのと同じです。その土地の有機農業者に教わって始めるならば別の話ですが、技術がないので、まずはそこの地域で行われている方法を取り入れてやることを第一にしています。まずは、そこの地域の方法で作って出していかないと生活していけません。それをやりながら有機に変えていこうよという流れで青森では去年から、らでぃっしゅさんに出荷できるようになりました。
そういった意味で 正直さ というものが一番大切ではないしょうか。
(質問)
農業は目先のコスト削減で成り立つとは思わないのですが、何を意識したら良いのでしょうか?
(澤浦さん)
コストを下げることは、良い作物を作ることです。経営や経理の面からみてもそう言えます。だから、土作りや小祝さんの勉強会などは非常に重要です。
たとえば、草のない畑にホウレンソウがあるならば収穫が凄く速い、そしてクレームも少ないのです。目先のコストといってもそういう意味でのコスト削減というのは凄く大事だと思います。
長期的にみると人の教育と思います。 家族経営でいくと自分の息子だと思います。現実的なことを考えると自分の息子を育てる必要があると思います。他に優秀な人がいれば当然ナンバー2で働いてもらう必要性もあります。自分の息子や社員さんなどを育てることが一番大事かなと思います。
もう少し中期的に見れば、自分の農業をどうしていくべきか?という夢を持ち、方向付けをしていく必要があると思います。たとえば、有機で農業をやると決めたらその方法をどんどん考えていくと良いと思います。
(質問)
独立支援プログラムの話で青森など行かれたときに農業委員会の方が簡単に農地を貸してくれたのかというような話をもう少し掘り下げて聞きたいと思います。
(澤浦さん)
ちょうど青森は耕作放棄地がありました。
いろいろ問題がありましてやめようかなと思っていたころに、ナチュラル農究の故原田さんが相談に乗ってくださって市長をご紹介していただきました。
この方も粋な人で「本当にここに来るのか?あそこから逃げ出す人はいるのに、来るのは本気か?」と言われて「本気です」と答えると市長さんが色々と動いて下さって、その市長さんの力で場所が見つかったのです。農業委員会を動かすことは本当に難しいです。自分たちでは動けないのです。たとえば、土地を持っていないと農家ではない。農家でないと土地を貸せない。卵が先か、鶏が先か?の関係です。そこは、事務局として当然の課題です。外部から入ってきて、まして関東から来るということは怪しい業者だと思われてしまいます。逆の立場でも、自分もそう思います。だから、資料など持っていき、テレビに出演したビデオなども送り、本当に農業をやっています、と信用してもらい市長さんからあそこの土地があるから良いよという了解を得ることができ借りることができました。そして、一旦耕作が始まって実際に畑で働く作業を見て信用してもらうことができ、その後は色々と話が来るようになりました。やはり、新しいところに行くことは色々と疑われますから、もし逆の立場でも同じようなことをしますからそこは粘り強くやることです。そして静岡も同様でした。
(質問)
澤浦さんは日々スタッフの方とどんなコミュニケーション方法で取られているのですか?大半は出張されている澤浦さんが普段スタッフの方たちとどんなやり取りをしているのか、宜しくお願いします。
(澤浦さん)
毎週月曜日に会議をやっていて、野菜くらぶではそこで業務報告などを受けています。何かあれば、電話ですぐに対応しています。それから、グリンリーフでも毎週月曜日に営業会議、幹部会議があり、そこで全部情報収集をしています。
これはグリンリーフの掲示板です。工場の売り上げの報告や、クレームのあった内容や、独立支援プログラムの研修生の人たちもここに書き込んでいます。
静岡などの離れている人たちのことは日々の状況が分らないので、役員の人たちがこれを見てすぐに連絡などをしています。
あとは、重要なことはメールや電話などで対応しています。日々の数量の調整など自分は聞いていないので、野菜が余っている、クレームがあるなどの状況は月曜日の会議で聞いています。
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