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【01 農産会員情報】
2010-03-01
小祝塾開催報告(※Radix会員の高生連さんからの報告です)
2010年1月27日、高知県の高生連さんがJBFの小祝さんをお招きして、
自主勉強会を開催されました。
(高生連さんは高知の自然を守ることを目標に、高知県に無農薬の耕作地を
広げています)
勉強会の概要について高生連生産者の畑さん・鍋島さん・坂本さんに
詳細なご報告をいただきましたので、以下にご紹介いたします。
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2010年1月27日安芸市長野氏(トマト準促成―キュウリ抑制)のハウス圃場にて7,8段目から軟化玉が顕在化する傾向にあるとのことで、この対策を主題に質疑応答をはさみながら小祝塾を開催しました。(参加生産者7名)
■堆肥編 安芸市乳牛50頭飼育の小松さん堆肥場にて
手はじめにすぐ近所にある乳牛農家の小松さん堆肥場で、対策に使用できそうな堆肥の評価と使用法を小祝さんに講義してもらいました。※1)参照
結果、エアレーション量が絶妙で太陽熱消毒用の基材、堆肥マルチ、長期の果菜類に良いのではとのこと。
この場合注意しなければいけないのは初期の肥料分としては期待できないので、必ず元肥をしっかりと入れることとアドバイスをもらいました。※2)3)参照
■トマト軟化玉対策編 長野氏ハウス圃場に移動
全国でも有数の園芸団地の中にある長野氏の圃場に移動し、定植直後の苗や土壌の状態、栽培環境などを点検し座学に場を移し本格的な講義と質疑応答。
圃場やトマトの詳細な状況については※4)参照。
■講義、座学のまとめ
最初に軟化玉のメカニズムの説明が小祝さんからありました。
小祝さんのテキストにも詳しく説明されているように、トマトの実が細胞優先(窒素優先)の生育になっていると軟化につながります。それを引き起こす条件を一つ一つ解決することが重要です。※5)参照
小祝さんがまず指摘されたのは鉄の重要性とその補給のこつでした。※6)参照その後軟化玉対策の具体的アドバイスを中心に植物生理の基本的事項の再確認となりました。
なにごとも基礎が大切だと参加者一同痛感した次第です。
■長野さんの圃場や栽培上の問題点と対策
・土壌の過剰乾燥対策
一度乾燥した土壌は硝酸値が上昇する傾向にあり、この状態で潅水を増やせばさらに細胞優先(窒素優先)生育の悪循環に陥ります。
この硝酸値がいったん上昇した状態での潅水には「酢」の炭水化物を利用することで好循、またチューブが中心に設置された一本タイプなので、畝肩をカバーするタイプに変更すればとのアドバイスがありました。※7)参照
・ 堆肥マルチ(低窒素 C/N比に注意)
酢の利用とともに堆肥マルチをフィルター的に使用する方法も提示されました。
堆肥を水が通過するときに有機酸を含み、炭水化物やミネラルを溶かし込んだ水を供給する方法です。この場合は低窒素、C/N比が高めの堆肥を使用することがこつだそうです。
・ その他
光合成による糖の合成、根からの炭水化物の吸い上げ、それらが配分(転流)されるメカニズムなどを把握し、植物生理的な視点からそのメカニズムがスムーズに動くような肥培管理が必須であると説明がありました。
その他具体的事項については※8参照
■ 研修会参加後
その後参加者とメールなどでさらに情報交換、考察をすすめているところです。
研修会当日に質問できなかったことで議題にあがったことは以下のとおりです。
・土壌分析値の苦土の数値の高さ
150以上ということはカリと比べても相当な比率で苦土過剰となっています。
このままの管理であれば慢性的カリ欠乏の症状が出て、糖の配分がスムーズに働かず、栄養成長気味、窒素優先の草姿になるのは必須ではないかということになりました。
堆肥マルチや追肥で草姿をみながらカリ補給をしていくのか、あくまで標準施肥量を固守するのか、生育の経過も継続で視察させてもらおうということになりました。
・ 光と温度環境
ハウスの設備の問題となりますが、屋根高が低く気温を下げることが難しいハウスでの、高温期、高段収穫の難しさがあると思われます。大きな設備投資をしないままでは、日中と夕方、夜間など生育の日ステージに沿った温度管理を厳しく行わなければならないと思われます。
さてその具体的方法は?と、これも持ち越しの宿題となりました。
光環境は二重被覆を早めに取ることと、次回の被覆資材の変更で対応できると思われます。
■ 以上,小祝塾の概要でした。(その他tipsは※8参照)
参加するたびに新しい考え方や技術が示されますし、普段気づかなかった問題点を明らかにすることができた有意義な研修会であったと思います。
その後の参加者の討議では、数値を重視しすぎ基本的な土壌や作物の管理がおろそかになる傾向であると反省しました。
また、会を重ねた参加者も多くなり、植物生理上の基本概念は会得しつつありますが、その概念を「営利栽培」の現場に移すときの「ずれ」や「概念」の一人歩きが課題であるのではとの共通認識を得ました。
それぞれの現場での最適解を導き出すのに、一人ではなく多数の目で考えることができる自主勉強会を頻繁に開催しようということになりました。
※1)堆肥の製造過程等
・基材は大鋸屑。毎日出てくる糞尿を大鋸屑と混合。
・エアレーションのある場所に積み込んで(堆肥盤の3分の1ほどはエアレーション用の溝がきってあります)冬場で65度~70度。
・夏場で上限75度ほどまで温度を上げて積み込み。
・日々の生糞が混入されるたびに軽く切り返し。
・その後エアレーションの無いストックヤードに積み替え。
・最終製品を薄暗い屋根下に移動し養生。
・水分は少なめ。アンモニア臭なし。
・切り替えし時に甘酸っぱいにおいになるように長年の経験から調整しているとのこと
・年間600トンほど
・エアーコンプレッサーは比較的小型のもの。電気代10000円配管は小祝さんの書籍にあるとおり、太いパイプから細いパイプ。トーナメント方式。問題なし。
・エアーレーション用のパイプは塩ビ管両サイドに丸穴明け。
※2)小祝さんの総評
・堆肥としてはC/N比20~25程度
・発酵温度が63℃程度で、大腸菌は死滅するがたんぱく質の組成は壊しにくい温度に調整しているところがポイント。
・エアレーションが強力すぎず、穴の間隔ともマッチングがとれている。絶妙なエアー量。
・このおかげでコントロールが難しい高温発酵系に移行せず、放線菌と酵母菌(好気性・嫌気性)のバランスが良い組成となっている。
・切り替えし時の甘酸っぱい香りは、放線菌と酵母が働いてセルース分解をしている証拠・窒素が少なめなので、アレンジ用の基材として秀逸。
・団粒構造を長期間維持するための基材として、このような荒物系が優れている。
・長期収穫の果菜用などに向いているが、初期の肥料(元肥?)は不足するので注意。
・太陽熱消毒用基材、堆肥マルチ等にも向く。
・その他 (堆肥の効能・夏作のインゲンへの応用)
・絶妙な水分管理によって酵母菌、放線菌が休眠状態になっている。条件が整えばそれらの菌が一気に増殖し、悪玉菌を抑えるだろう。
※3)参加者の感想
・生産者のあいだで「荒物堆肥」と言われるよく見かける大鋸屑系堆肥である。
・C/N比10~12程度の肥料系ボカシ堆肥と組み合わせると面白いかもしれない。
・中熟堆肥では息切れする長期栽培作物栽培のときに良いかも。
・ただし塩基成分は高そうなのでハウス等には慎重に。化学性も考慮しての投入。特に粘土質。
※4)トマトハウスの状況圃場は2ブロックにわかれており、半分が定植3日目、半分が定植スタンバイの状態。
潅水は塩ビパイプにノズルをつけたタイプ。高知県の施設園芸ではもっとも多いタイプ。軟質チューブと違って潅水範囲が安定しやすいのが特徴です。ハウス内は内張りをサイドと屋根に展開した二重被覆。小祝さん手持ちの照度計で計測すると屋外日向で11万ルクス。外張り下は9万ルクス。二重被覆内張り下で6万ルクス。(午後3時頃)トマトは7万ルクスは最低必要。土質は開墾地で粘土質。
土壌分析結果(ドクターソイルデジタル)
CEC20.9 水PH6.9 KCLph5.9
アンモニア態窒素 0.3 硝酸態窒素10.5
リン酸160 石灰251 苦土150 カリ56 鉄12.2 マンガン5.3
※5)トマト軟化のメカニズムの概要と診断フロー(参加者のその後の討議が加味されいています)
・ 見た目は同じトマトなのに何故軟化がおこるのか?そのメカニズムについて。
・柔らかい=皮が薄い→何故皮が薄いのか?
・皮は主に石灰とホウ素から構成されている。どのような場合にそれらが不足するのか?
・土壌中に必要な養分が不足している場合→追肥
・土壌中に必要な養分がアンバランスな状態で存在する場合→バランスを整えるための葉面散布、単肥の投入。ただし
・ 土壌中に適正に含有されているのに不足が起きる場合
考えられる状況→水分不足や鉄不足による根の発達不足
・なんらかの根の障害(有機物の急激な分解、土壌CN比の低下、栽培環境の負因(高温乾燥、日照不足高温など)
根痛みすると窒素・カリ吸収が優先される⇔石灰等ミネラル類の吸収阻害
※6)硫酸鉄補給のこつ(ミネラル類ほぼ同等の考え方)
・むき出しで土壌に追肥するとすぐに酸化 して不溶化して効き難くなる。
・有機質(堆肥等)でくるんで必ずキレート化すること。有機酸。
・収量が上がれば上がるほど鉄は不足する。
・緊急の処置としての葉面散布は3日ほどで効果が切れる。(陸上植物の限界か?)
・よって必ず土から補給する。鉄の過剰障害は出ぬくい(マンガンは要注意。)
※7)一度乾かしすぎて硝酸過多になった場合のこつ
・水だけで潅水すると硝酸優先吸収の悪循環
・硝酸には有機酸。必ず250倍程度の酢水(有機酸)を使用すること。(生化学的説明あり)
・生育のステージにあわして濃度、量を調整すること
・炭水化物不足(セルロース不足)の印⇒成長点付近の葉露。(生化学的説明あり)
・欲しいのはH・日中に土壌を湿らす⇒過剰な酸素を土壌に入れない(硝酸形成のメカニズム説明あり)
・夜間、根先が酸素不足にならないように注意すること(養分転流に酸素消費が多くなる)
・言い換えると夕方から夜間に過湿にならない程度なら、積極潅水可。
⇒積極潅水できる土壌構造⇒団粒構造
・堆肥マルチのときはC/N比に注意。高窒素の堆肥は積極潅水が出来ず。
・水不足→ミネラルが溶けにくい→光合成能力の低下→軟化、大きさが揃わない
8)その他tips
■有機栽培は水。お日様代わりの有機酸(酢)
・長期果菜は特に。水のコントロールが栽培の肝となる。
・水がなければミネラルは溶けない。
・多すぎると根の腐敗。少ないと硝酸(その他塩基類)濃度の上昇
・日照不足は有機酸で補える。(一日の炭水化物消費量は決まっている)
⇒土壌を乾かしすぎないこと。有機物主体の圃場は特に。(塩基類投入圃場はなおさらに。小祝さんによると塩基飽和度は140ほどが限界値ではないか。)
・潅水チューブの選択に注意。根元ではなく根先。乾かしすぎない工夫。5mm程度の堆肥や籾殻マルチでも効果あり。この場合の堆肥のC/N比には注意。
⇒保水性と排水性のバランスの良い土壌構造(団粒構造)が重要
⇒いかにして団粒構造をつくるか、維持するか(良質の堆肥)という技術
■PHに引っ張られて硫化○○を使いすぎないこと
・たとえば硫化マグネシウムなどは成分の7割近くが硫黄ということを忘れてはいけない。
・硫化水素発生の恐れ
・自然界には水溶性のミネラル
・水溶性とく溶性のバランス施肥(小祝テキスト参考にせよ)
・ECをあげすぎないよう注意。植物体内と体外の濃度バランスが逆転すると漬物原理でしおれる。
■高pHなどで微量要素が不溶化している場合の過剰投入に注意
・太陽熱消毒などでpH下がった場合に急激に可溶化して過剰障害
■クリーニングクロップの活用(田村氏)
■PFメーター使用上のコツ(省略)
■塩基バランスの多少の崩れは大丈夫。それよりも良好な作土層の確保でカバー。(CECも含む)
■アミノ酸使用時の注意点
・慣行農法でも当たり前になってきたが土壌の「前提条件」がないままの使いすぎは逆効果
・アミノ酸過剰投入⇒微生物活性化→急激な土中の有機物分解→土壌構造崩れる
・受け皿となる有機物の質とバランスが必要
・ソリューブルなどの追肥時には有機酸との組み合わせ推奨(例 ソリュ1 酢2)
■団粒構造の簡易測定方法
円筒のパイプで土壌を抜き取り、円筒内に一定水量を潅水し「水の抜け」具合で団粒の程度を判断する。
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