農産畜産Blog

【01 農産活動報告】

2009-12-29

丸山塾in千葉 開催報告【宮城さん堆肥場・圃場見学編】

2009年11月13日(金)、千葉県香取市にて丸山塾を開催しました。
講師は、あゆみの会の丸山訓さん。 
(丸山さんは、あゆみの会の生産者の施肥設計や現場指導などを幅広くご担当されています。また丸山さんのDr.ソイルによる土壌分析数は日本有数だと思います)

今回の勉強会では、丸山さんから土壌分析の活用、土づくりや腐植の大切さについてお話をいただきました。
同時に、あゆみの会を代表する生産者の一人、宮城さんの堆肥場・圃場を見学しながら宮城さんの種菌堆肥の活用法と土づくりについてのお話をいただきました。

それでは、午前中の宮城さんの堆肥場・圃場見学編よりスタートです。
(※丸山さんの講義と蒸気除草機の実演概要については丸山塾in千葉 開催報告【講義編】にて報告します)

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宮城さんの堆肥場見学

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 (宮城さんの堆肥場  右写真の左下に見ているのがエコキッチンクラブの乾燥残さ)

【丸山さん】
左側の堆肥置き場では、らでぃっしゅぼーや会員さんからのエコキッチンクラブの乾燥残さと、首都圏・神奈川センターから出た乾燥残さが持ち込まれて活用されています。これが種菌堆肥の原料となります。
1週間に400~500kgぐらい持ち込まれます。
そのため切り返しは頻繁に行われています。
乾燥残さが雨にあたると生に戻り虫などが発生してしまうので、すばやく種菌堆肥と混ぜて良好な発酵をすすめています。

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(エコキッチンクラブの乾燥残さと拡大写真)


左の堆肥置き場には今回の勉強会のため、乾燥残さを混ぜないで置いてあります。その上の部分は3日前に切り返ししたものです。

IMG_5757(参加者に説明する丸山さん)  

乾燥残さと近くの養豚場からもらってきた豚糞に放線菌が繁殖している種菌堆肥を混ぜて発酵させています。
養豚場でも堆肥化処理をしていますが、堆肥になる前のものをもらってきて、この種菌堆肥を混ぜるようにしています。

IMG_5763 (参加者に種菌堆肥を説明する丸山さん)

右側の堆肥置き場の堆肥は完成した種菌堆肥。
白っぽく見えるのが放線菌のかたまりです。

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宮城さんは堆肥にエアレーションをかけていません。
エアレーションをしなくてもこのような(乾燥した)種菌堆肥ができます。

このように宮城さんの種菌堆肥はかなり乾燥しています。
これは宮城さんがわざと発酵を止めているところがあるからです。

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現代農業の宮城さんの紹介記事にもある通り、近くに養豚場があるので、そこからの豚糞をもらってきて、種菌堆肥と1:1ぐらいの割合に混ぜて発酵をかけます。
その際、屋根のある堆肥場の中にいれるのではなくて、屋根のない堆肥場で発酵をおこないます。
(※屋根がなくても堆肥の上部にシートが覆われます)

発酵が進むと放線菌が表層で繁殖しはじめます。
表層から少し内側に入ったところに放線菌が繁殖するので、ある程度繁殖したらその表層をけずりとって種菌堆肥の中にもどします。
表層が削られると内部が表に出て酸素が供給されることによって放線菌の層が再びできます。そしてその部分を削って種菌堆肥場へもどす、その繰り返しで種菌堆肥
を確保しています。
そのため屋根のある堆肥場の中は放線菌豊富な種菌堆肥となるわけです。 

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畑に入れる堆肥は新鮮な豚糞堆肥に種菌堆肥を混ぜて1週間ぐらい発酵をかけてから畑に入れます。畑に入れてしばらく時間をおいたり、太陽熱処理をしたりして、十分に土になじませてから播種をする流れになっています。

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現在の種菌堆肥の温度は60度前後です。
乾燥残さの扱いが難しく、いかにうまく種菌を仕込むか、種菌の量と餌の新鮮具合がキーポイントになっているのではと思っています。

農学の先生がよく完熟堆肥を使いなさいと言いますが、現場の農家の方々は「完熟では力がない」とか「効かない」という声が多くて、どうしても生の力のある堆肥を入れたいと思う傾向があります。

宮城さんも同じ考え方です。
種菌堆肥をそのまま畑に入れても力がないと判断しています。
宮城さんの場合、生糞と種菌堆肥を混ぜて少し寝かせて施用することで活用しています。

IMG_5753 (参加者に種菌堆肥を説明する宮城さん)

【宮城さん】
原料は籾殻入りの豚糞と乾燥残さです。これを混ぜているだけ。
(ここにある堆肥は)種菌堆肥だと思っています。
皆さんは堆肥は畑にまくもんだと思っているかもしれませんが、うちは種菌堆肥として使っています。あくまで土壌改良材をつくりたくてこれをやっています。

土壌改良材として優良な菌がふんだんにある堆肥を作りたくて、考えて考えて、四苦八苦してこうなっています。
最初はサカタのバイオ21という微生物資材から始まりました。
バイオ21は高温菌が主体だということだったので太陽熱処理と併用できるかなと考えたわけです。米ぬかと堆肥を使って増やして活用していました。
それ以降、自分で種菌を増やして活用する今のスタイルになってきました。
今では鉄、マンガン、FTEなども堆肥に入れています。

(※宮城さんの種菌堆肥は肥料成分の補給ではなく、中熟堆肥をつくる際の優良な菌の補給源として活用されています)

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堆肥を作る場所が十分にない方は、種菌堆肥の(菌)密度を高くして、米ぬかなどを入れて発酵させてやればOKです。緑肥をすき混むときに一緒にやればすごくよくなります。はっきりわかるほど圃場の改善になります。
緑肥をうないこんだときにもさらっと土が変わるような感じになります。
この種菌堆肥でもいいんですけど、緑肥と一緒に入れてあげると全然違う。
春先から夏にかけてロータリーをかけて2日ぐらいおいて雨が降ったその後を見てみると畑の状態が変わります。
毎年毎年少しずつ良くなってきています
大きな間違いもなく改善できる、そう感じています。

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住宅街の中では堆肥場はつくれません。
そのためこの種菌堆肥を少し持っていって米ぬかとまぜて少量ずつ堆肥をつくれば迷惑もかからない。
そして緑肥をすきこむときに使う種菌として使えば畑が変わってくると思います。

あくまで土壌改良をする堆肥を作りたいと考えています。
肥料的につかう生糞に種菌堆肥をまぜて使用していますが、自分が力を入れているのは種菌堆肥づくりです。 

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【質問】
土壌改良を目的にというお話でしたが、そういう気持ちになったという原因が圃場の方にあったということでしょうか? 

【宮城さん】
あゆみの会、らでぃっしゅさんとのおつきあいをきっかけに有機栽培を始めて2年ぐらいはまあまあとれたんですよ。3年目からガタガタということで資材代ばかりかかって収入が少ないということに・・。
これで本当にやっていけるのかなというぐらいになったんですよ。
一時は有機栽培をやめようかなと思ったことも・・。
まわりに聞いてみると有機でうまくいっている人もいるので、どうにかしようと思いたって始めたのがきっかけです。 

良い畑にしようと思って市販の菌体を買ったりもしましたが、それにお金をかけすぎるよりも自分で培養した方がよいと思うようになりました。
微生物って培養できるじゃないですか。
だからこのように始めました。

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【質問】
堆肥の原料となる豚糞の窒素・リン酸・カリの成分比などは、どれぐらいのものを使っていますか?

【宮城さん】
低いよ。
自分の圃場にやってあうかどうか、やってみないとわからない部分もある。
百姓ならわかると思う。
肥料をあげたってそれだけのことができないし、逆に徒長しすぎてしまったり、良いものがとれなかったり・・。
やはり自分の観察、前回こうなったからこうだな、というようなことをやっていかないとうまくいかないと思うんだね。

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 (宮城さん(右)と中部・関西のエコキッチンクラブを受けて入れている、ゆうき伊賀の里の福広さん(左)のツーショット)

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宮城さんの圃場見学

宮城さんの圃場で団粒の確認を行いました。
丸山さんが団粒の塊を参加者に見せながら、団粒化が進むと保水性、排水性が良好になり、根張りも促進することなどの話を行います。 

また2mほどの棒を参加者自ら圃場に刺していただいて、宮城さんのふかふかで柔らかい圃場の様子を体験していただきました。
上の写真のように2mの棒がすーと全部入ってしまいます。 

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続いて宮城さんが実践している太陽熱処理についての話。

【宮城さん】
太陽熱処理につかうマルチは1m80cm幅のもの。
実際に張る幅は1m60cmぐらい(※両サイドは畝に沿って折り曲げるため)
マルチを張って太陽熱処理をしたところは草がなくて、マルチをしていない通路部分に少し草が残る感じになっています。
そのため通路は草取りをしています。

太陽熱処理したところだけに播種しています。
ニンジンとネギには堆肥を入れるけど、カブやジャガイモの前にには入れない。
主にネギとニンジンを交互に作付け(例:ニンジン2年やった後でネギ1年とか)
堆肥(生豚糞+種菌堆肥)の施用量は反あたり5t弱ぐらいです。

堆肥をつくるタイミングは自分の作業の合間を見ながら養豚農家さんから豚糞をもらってきて種菌堆肥とまぜて準備をします。
雨が降りそうだとブルーシートをかぶせます。
ブルーシートを直接堆肥にかぶせてしまうとたぶんウジがわくと思うので、風が通るように堆肥の上にシートをかぶせるようにしています。

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作付けされているニンジンの品種は愛紅(あいこう)、パワフルレッドなど。  

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【丸山さん】  
太陽熱処理で草取りがだいぶ省力化できています。
また宮城さんは発芽がそろうように灌水にかなり気を遣っています。 
 


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区民センターにて

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【丸山さん】
土の表層で団粒ができやすく、特に太陽熱処理をした後は団粒ができやすいと思います。
団粒は力を加えるとぽろぽろと崩れます。
団粒が増えることで保水性・排水性・根張りが良くなり、肥料成分もうまく吸着しています。

圃場視察質疑応答

【質問】
畑の耕盤ですが、あれは機械で崩したということはないんですか?
サブソイラーなどを入れていますか?

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【宮城さん】
サブソイラーはやります。
以前はトラクターが動かなくなるぐらいまで目一杯入れて引っ張っていました。
今は普通走行の1~2速ぐらいで十分です。

【質問】 
連作・輪作の話などを聞かせていただけますか?

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【宮城さん】
ネギ、ニンジン、ジャガイモとカブを栽培しています。
秋冬ニンジンと秋冬カブの前に太陽熱処理をします。 
その後にネギ。うちらの方ではネギをつくると畑を荒らします。
畑をこわすので、その後に太陽熱処理をしたニンジンを作付けし、カブという流れです。
 
緑肥は入れます。
春夏ニンジンの場合はどうしても太陽熱処理ができないので、緑肥を栽培してそれを鍬き込む時に堆肥をいれています。

今年はヘイオーツなど。
緑肥は生長してくると自然と倒れてくるので、浅く軽くロータリーでうなってしまいます。(土の中に入れるのではなく、倒して少し土が被さるような感じに)
もうじき雨が降るなというタイミングでロータリーをかけると良い感じになります。

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【福広さん】 
宮城さんの堆肥づくりの話があるということで参加しました。
棒があそこまで刺さるのにはびっくりしました。
以前、浅く耕すだけの栽培方法だったんですが、新井さんの影響などもありまして去年プラソイラーを購入し深耕でやるようになっています。
入れた後は少し水はけが良くなります。徐々に目が詰まってくるというか、時間がたつとだんだんと雨が降って水はけに時間がかかるようになります。
まだまだ底の方は変わっていないかな。
うちの堆肥は肥料成分重視で窒素濃度が高い堆肥を使って、施肥設計をしています。
宮城さんの堆肥の成分ですが、何か分析結果などあるんですか。

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【丸山さん】
分析はしてません。
炭素率的にはそんなには高くはないのかなと感じます。
宮城さんが緑肥を使って地力を維持しているのは必要なのかなと感じています。
堆肥だけだと地力を維持するには少し弱いかもしれません。 

【福広さん】
堆肥+有機質肥料という組み合わせでやっているんですか?

【丸山さん】
はい、そうです。

【宮城さん】
今は8-5-3(※JBFの有機質肥料)を使っています。

【福広さん】
私もどの程度の炭素率で有機栽培をしていくのが理想なのかなと考えています。うちの堆肥の炭素率はだいたい9ぐらいです。
施肥設計でも炭素率9でやっていますけど、もう少し高い方がいいのか、低い方がいいのか・・。
普通は炭素率15ぐらいの堆肥をつかって炭素率5ぐらいの有機質肥料を足してやると、比率にも関係しますが、たとえば炭素率10前後になるとします。
そのあたりに炭素率をするのが理想的かなとも思うんですが、トータルの炭素率についてはどれぐらいが病害虫が出にくいとか、そのあたりについて感覚的にわかりますか?

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【丸山さん】
一番怖いのが数値だけを見てしまって、熟度がどの程度なのか、菌体量がどのぐらいあるのか、畑の条件だとかも関係してくるので、なかなか一言では言えないと思います。 
経験則から考えていかないと、イメージだけではわからない。
現実はどうなったのか、それに対してどうやったのか、そして検証しながら解決していく方があっているのかな。
現状は緑肥と堆肥を併用した方が土づくりにとって良いと感じています。 

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【津田さん】
私たちの圃場にくる方は皆、「こんなところで農業ができるの?」と言われます。
(※渥美半島の先端近くで砂利混じりの圃場)
大きな河川によって砂や石が堆積した地域なので、私のところは砂とレキばかりで開拓農家の親が麦を植えても全然生育しなかったほどです。
農業をやるには非常に過酷な条件で、ずっと有機物を入れながら土づくりをやってきました。

肥料と農薬をのぞいたら農業が成り立たない土地で、30代までは慣行栽培をやってきました。
今は20年近く化学肥料・農薬に頼らない農業をしています。

自立して後継者も育ってきています。
これまで機械的な深耕、プラソイラー・サブソイラー、ロータリーなどでやってきましたが、今日の見学で学んだことを取り入れることができたらと思っています。

有機肥料の8-5-3を使用されているとのことですが、それ以外の資材を使っていますか?

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【丸山さん】 
カルシウム、マグネシウム等は基本的に入れています。
カルシウムはハーモニーシェルを、マグネシウムはブルーマグかキーゼライト等を使っています。
鉄・マンガン、FTEとかホウ素系のものを入れています。 

生産者の圃場を見ていると苦土が蓄積しているような感じがします。
ハウスの場合はク溶性の苦土は気をつけて施肥する必要があります。
宮城さんの場合、硫酸系の肥料があった方がネギがしっかりするということで、同じ苦土でもブルーマグよりキーゼライトのような硫酸根が入っている苦土の方がいいのかなと感じています。
作物を見ながら作物に適した肥料を入れていくことが、作物の健康にとってもいいのかなと思います。

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【野口さん】
いい堆肥をつくっているというのが率直な感想です

3ヘクタールを栽培されているそうですが、今日見た堆肥の量で間に合うのかなと感じたのですが・・・。

【宮城さん】
種菌堆肥をそのまま圃場に入れるのではなく、(豚糞と混ぜて発酵させることで圃場に入れる前には堆肥が)倍・倍に増えています。
種菌堆肥を直接畑に入れるわけではないので大丈夫です。 


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以上で午前中の見学と質疑応答は終了です。
引き続き、丸山塾in千葉 開催報告【講義編】へと続きます。

(Radix事務局 成田)


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