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【01 農産活動報告】
2009-12-25
『めだかの学校』新井塾par t4 開催報告【講義編・後半】
『めだかの学校』新井塾part4開催報告【講義編・前半】に続いて、甘楽町有機農業研究会の新井俊春さんの講義後半の概要をお知らせいたします。
それでは新井さん、引き続きよろしくお願いします。
(新井さんのミディトマト 2009-06-02写真)
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【新井さん】
病害虫防除の話に入ります。
病害虫防除を考える手順として、まず病原体を分類してみようというところから始めています。
まずはカビ(糸状菌)、細菌(バクテリア)、一部の放線菌、ウイルス、線虫。
この5つが土壌病害原因のほとんど100%を占めています。
(当日資料より)
まずどういう条件が揃うと繁殖するのかを考えてみます。
どんな有機物を好むのか?、生育しやすい温度は?、水分量、pH、酸素が必要な菌か?・・・。
次に作っている作物にどういう病気がでるのかを考えます。
それを5分類したどこにあてはまるかを見るわけです。
繁殖しやすい条件の逆の条件をつくれば発生しないということです。
このように考えると結構ヒントが生まれてきます。
ウドンコ病や青枯れ、萎ちょう病・・、その病気のもとになる菌がどういう状態だと繁殖するんだろうと考えて、その逆をやれば出なくなるという考え方です。
まずはカビ。
病害の約80%がカビによるものです。
フザリウム、これが一番やっかいなものです。
萎ちょう病なんかです。あとキュウリ蔓割病、イオウ病なんかもそうです。
バーティシリウム、半身萎ちょう病の菌です。
次にリソクトニア、これは立ち枯れ病なんかを出す菌ですよね。
立ち枯れはリゾクトニアかピシウムのどちらかの影響が多いようです。
地上部の土1cmぐらいでくびれて倒れるのがリゾクトニアです。ピシウムは根を侵すために全体が枯れてきます。
次に菌核、疫病、根こぶ病菌。
あとは白絹病のコルティシウム。
土壌病害のカビはそんなところですね。
細菌の関係だと軟腐病系、青枯病系です。
放線菌だと、ジャガイモのソウカ病、サツマイモの立枯病等です。
土壌病害のウイルスなどはモザイク病、レタスのビッグベイン病などです。
線虫はネコブ、シストセンチュウ、ネグサレセンチュウなどです。
まずは糸状菌のカビから。
フザリウムによるダイコンの硫黄病。
フザリウムによる病害の場合、だいたい全体的に侵されます。
次にバーティシリウム。これは半身症状。
リゾクトニア、これは立ち枯れ病ですが、これは地上部が細くなって倒れるのがリゾクトニアの症状です。
これは地面に沿って繁殖する菌です。
ピシウム、立ち枯れとは違いますが、このカビによっておこる障害です。
菌核、最近深谷地方のネギ産地で出てきているのが黒ぐされ菌核病です。
水が留まるような畑に必ず出てきます。
次が疫病関係。
ネギ類の白色疫病。
疫病はトマトにもでますし、いろんなものがありますね。
先ほどサラダボウルさんが届けてくれたこれがネコブ病ですね。
これから出てくるんですが、どういう条件で出てくるかというと酸性土壌で水がたまりやすい場所に必ず出てきます。
「連作土壌」+「酸性土壌」+「水がたまりやすい場所」が繁殖条件ですね。
(当日資料より)
私も春・秋にアブラナ科の野菜を5種類ぐらい連作しています。
でもネコブ病は出ないんです。
というのは酸性土壌ではないからです。
pHも6.5前後で、そのような土壌ではネコブ病はでないです。
やっぱり酸性土壌ですね。pH5.5とかという土壌でつくると出やすいです。
次に白絹病。
畑のはじからだんだんと出てくることが多いですね。
作業道路の方から入ってくる、雨とともに流れ込む例が多いです。
次に細菌。
細菌の場合は多すぎる水です。
逆に言うと水がないと生きられない。
根のまわりに余分な水がたまらないような状態にしておけば発生しないものですね。
次に青枯病。
ナス科野菜にでやすいです。
排水対策が一番です。
プラソイラーをまず引いて降った雨を早く浸透させる。
そして畝を高くすることを併用する。
もう一つは団粒構造を増やしていくこと。
それらを改善していくのが一番いいと思います。
ソウカ病関係。
放線菌の一部ですね。
本来放線菌というのは抗生物質を分泌したり有害な菌をやっつけるほうに働くんですけど、ソウカ病の菌だけは作物に悪さをします。
次がウイルス。
緑斑モザイクという、左がウリ科野菜にでるカボチャなんかにもでてくる緑斑ウイルス病、これは土で伝染します。
こっちがレタスのビッグベイン。
これも土壌で伝染します。
(当日資料より)
昨年も話をしましたが、どのぐらいの深さまでそれぞれの菌が繁殖するのかというのを記したものです。
表面近くには白絹病とか疫病、あとネコブですね。
ネコブが出るのはだいたい20cmぐらいまでです。
あとはピシウム、リゾクトニア。
フザリウム以降はかなり深くまで繁殖をしていることを示しています。
この表が非常に参考になります。
病原菌がどのぐらいの温度を好むのかを表していますが、黄色がついているのが高温性の菌です。
疫病は低い温度で発生しやすいということです。
水分の状態。
カビですからほとんどが多湿の条件ででるんですけど、ソウカ病の放線菌だけは乾燥状態ででやすい。
細菌でもカビでも水分過多の条件ででます。
だから排水対策は大事、プラソイラーを使ってくださいというのはそういう意味です。
繁殖に適したpH。
酸性土壌で繁殖しやすいのがフザリウム。ネグサレの関係です。
あとはネコブ。酸性土壌ですよね。
白絹病も酸性土壌の方がでやすい。
ジャガイモソウカ病はアルカリ性。
ジャガイモをうえるところはpHがなるべく低いところが良いというのはそういうことです。石灰はなるべく控えた方がいいということです。
(当日資料より)
有害菌等がどこに影響を及ぼすかを示したものです。
根にこぶを出すというのは根コブ病ですね。あとはセンチュウ。
導管の通り道が侵されてしまうのが、フザリウムとか、半身萎ちょうのバーティシリウム、あとは青枯病なんかです。
根の地際、地面のすれすれの部分をやられるのが、ピシウム、疫病関係、白絹病、紋羽、センチュウの根腐れ関係ですね。
地面のすれすれの上がくびれて倒れるのがリゾクトニアです。
(当日資料より)
どういう状態がそろうと病気になるかという部分です。
まずは素因。
作物自身にどういう素質があるのかという部分です。
よく種の袋にウドンコ病耐病性とか、アブラナ科の野菜の抵抗性があるかどうか、耐病性があるかどうかが書いてあります。
こういう素質が植物自身にあるかどうかが素因です。
次に主因。
病原体の密度がどれぐらいになっているかということです。
(当日資料より)
誘因。
生産者自身が工夫するところなんですけど、栽培環境がどうなのかなという部分になります。
特に自然環境、雨が多いとか少ないとか、湿度が多いとか少ないとかです。
次に栽培環境ですね。
カビの場合には作物の残さだとか有機物を畑にもどしてすぐ種を蒔いて植え付けする。これはカビのもとです。
適期適作といいますけど、時期ですよね。
アレロパシー効果のある緑肥などを利用していますかどうですかということもあります。
土壌病害の病原体ごとに防除方法を考えていきましょうという内容に入ります。
ここからが大切な部分になります。
まずはカビ(糸状菌)。
連作をしているかどうかということですね。
カビの繁殖には未熟有機物が土の中に投入されていないかどうかが一番問題になります。
細菌(バクテリア)。
連作と根のまわりに余分な水があるかどうかが細菌(バクテリア)の繁殖のもとになります。
次に放線菌。
ソウカ病のような放線菌の場合はpHの上がりすぎがキーポイントです。
ウイルスは害虫が伝染しますので、害虫とpHですね。
センチュウは連作をしているかどうか、保護作物を利用しているかどうかがキーワードになります。
まずはカビから。
抑制方法は輪作、未熟有機物を入れない、あとは放線菌堆肥です。
雨水の停滞が一番良くない。あとはpH関係。
次に細菌。バクテリア関係は余分な水です。
抑制方法は輪作体系、排水対策、高畝マルチ、プラソイラー。
あとは放線菌堆肥等です。
佐藤さん、去年トマトに根こぶが出たと言っていましたよね。
それどのように対処したかをちょっと話をしていただけますか。
【佐藤さん】
基本的に(太陽)熱とたん水処理で嫌気にしてしまうこと。
今年は天気も悪かったこともあり2回代掻きをして土中の空隙に残る空気を抜きながら、たん水をしたままでビニールをかけて自然落水させて熱をかけるという方法をとっています。
【新井さん】
結果はどうでした?
【佐藤さん】
一粒もとれなかった畝も今は普通に生育をしているので、ある程度の効果はあったと思います。一方、疑わしい場所もちらほらあるんですね。
そういう場所もあることはあります。
【新井さん】
センチュウ自体というのは空気がないと生きられないですから、やはり空気を遮断するということですよね。
たん水と太陽熱消毒です。それを佐藤さんは実行したということになります。 ![]()
(当日資料より)
センチュウの抑制対策ということで緑肥利用。
空いている土地に緑肥作物、保護作物を蒔く例があると思いますが、センチュウに対して効果のあるものを選びたいですよね。
二重丸のあるものを選ぶのがコツかなという気がします。
空いているから何でもいいから蒔いてみようではなくて、どういうことを目的にして保護作物を利用するかを考えて利用してください。
夏場でおすすめするのがギニアグラス、ソイルクリーンです。
春とか秋であれば、エンバクの類ですね。
クロタラリアの場合にはネマキングなどはネコブに効くんですけど、初期生育が非常に遅いんです。
クロタラリアを利用するんであればギニアグラスを混播してまいたほうがいいです。そのようなやり方をした方が雑草も防げます。
(当日資料より)
地上部にいきます。
まずは糸状菌、カビ。
土壌病害と同じようにカビ類が一番多いです。
約8割はカビに関したものです。
症状だけを見てあとは解決方法に入っていきます。
最近多いのがネギのベト病です。
うちの団体でも3年ほど続けて出ているところがあります。
タマネギです。
春先の天候によって決まってしまうんですけど、収穫間際になって雨が降って前年に(ベト病が)出ている場合、土の跳ね上がりで葉について空気伝染してしまいます。
ベト病の症状は不鮮明な楕円形の症状が出てきます。
かならず出始めるのが畑の水がたまるところです。
やはり水に関係していることがわかります。
キュウリのベト病です。
日光を嫌うので裏側にカビが生えて表が不鮮明になってきます。
斑点細菌病とまぎらわしいのですが、ベト病の場合は葉脈と葉脈の間が明らかに変わってきます。
枠の中の色が変わってきます。
次に疫病。
ピーマンによる疫病です。
窒素過多と水分過多ででることがあります。
菌核です。
出荷するときにはカビはなかったはずが到着したらカビが繁殖してしまっている写真です。
キュウリの場合、菌核の始まりは花の場合が多いです。
キュウリの下にしぼんだ花が付いていますよね。
しぼんだ湿気った花から菌が繁殖するんです。
荷づくりをする際にポリで覆ってから出荷しますので、湿っぽくなっているところに菌糸がはびこってしまうわけです。
次は灰色かび病と葉かび病。
これはトマトです。
灰色かび病も葉かび病も比較的低温のところにでます。
人間が暮らすのにちょうどいい20度から25度くらいの温度、湿度が高い場合なので、灰色カビ病がトマトに出てしまった場合は侵された部分を摘んでですね、ハウスを一回締め切って温度を上げるんですね。
朝8時ぐらいに屋根を開放するのを1時間か1時間半遅らせると、ハウス内の温度がぐーと上がります。
温度が上がった後で一気に屋根を開けると、湿気がすーっと飛んでいきます。これを何回か繰り返すと灰色カビ病は乾いて死滅します。
温度を上げるというのがコツです。乾かすということですね。 ![]()
(当日資料より)
(当日資料より)
次に細菌、バクテリア関係。
バクテリア関係は根から入って内側から腐らせるものと雨の跳ね上がりなどで外から腐らせるものとがあります。
バクテリアによる腐敗はたいてい匂いがあります。
ネギの軟腐病。非常に臭いですよね。
ハクサイもそうですし、レタスも非常にいやな匂いがするのが特徴です。
斑点細菌病です。
ベト病の場合、このように枠の中でわかるんですけど、バクテリアの場合には区別がつかないですね。
全体的に枠の中だけでなく広がっていくのが特徴です。
ウイルスです。
コナジラミが媒介する黄化えそ病ですね。
こちらがカボチャモザイクウイルス。
これはアブラムシが媒介します。
これが今問題になっている黄化葉巻き病です。
コナジラミ関係です。
次に虫関係に入ります。
当日資料に虫とウイルス関係がまとめてあります。
キュウリの黄化えそ病、これはアザミウマですね。
虫の方はざっと読んで頂くとして、ここで質問を受けましょう。
【質問】
トマトで苗の状態でリン酸を効かせる必要があるんですけど、新井さんはどんな工夫で、リン酸を効かせているんですか?
【新井さん】
去年参加した方は私の堆肥場を見たと思うんですが、あの堆肥の中に米ぬかがかなり入っているんですよ。
育苗用につくった堆肥なんですけど、米ぬかですね。
赤土を混ぜて育苗土をつくっています。
【質問】
発酵させて?
【新井さん】
そうです。
【質問】
糸状菌(かび)の抑制のところで、前作残さ、未熟有機物の投入をしないという未熟有機物の種類なんですけど、特に籾殻とか落ち葉、ピートモスとか今日見せて頂いた竹などもこの悪い糸状菌の餌になりうるんでしょうか?
【新井さん】
なります。
【質問】
木質系であろうと草質系であろうと?
【新井さん】
なりますね。
入れた場合には期間をおけば問題はないです。
入れて時間もたたないうちに播種・植え付けをすると、必ずカビが繁殖します。
それを食べるカビがね。
糸状菌の餌というのは有機物、炭水化物ですから。
草だと草むしりをして山にしておくと下の地面すれすれのところにカビが繁殖するでしょう。あの状態です。
あれが土の中でおきるんです。
【質問】
ナスなんかで青枯れ対策としてプラソイラーをかけているんですけど、圃場に植えている期間が長いじゃないですか。その時にできる対策などがあれば。
【新井さん】
半身萎ちょうの場合はカビだし、青枯れの場合は細菌・バクテリアですよね。
好む物が変わってくるんですよ。
カビの場合は有機物。細菌・バクテリアは水なんですね。
カビの場合もほとんど水がからんできます。
途中でも抑制するのは難しいですよね。
放線菌の堆肥が十分入っていて繁殖できる状態であって、なおかつ排水対策を併用していくしかないですよね。
【質問】
堆肥の話がでたので聞きたかったんですが、堆肥は有機物を入れるためにどうしても入れたいんですが、あまり良い物が手に入らない。
それでも入れたいとしたら、いつ入れたら一番いいですか?
【新井さん】
完全に有効な放線菌が繁殖するまで追加発酵できないんですか?
面倒だからといって未熟な堆肥をもってきて入れると必ず糸状菌・カビが繁殖します。トラクターのバケットなどがあれば貝殻でも足して放線菌を繁殖させて圃場に入れることはできない?
【質問】
半分できるかもしれないけど、できない部分もあると思うので、できない部分をなんとかしたい場合には?
【新井さん】
入れてから期間をおくしかないですね。
【質問】
いろいろな種類があるかと思いますが、どれぐらいの期間をおいたらいいですか?
【新井さん】
C/N比の関係ですよね。
おが屑などC/N比が200とか300とかのものが入っている場合には、相当期間をおかないとムリですね。
【丸山さん】
次回、勉強会を行う宮城さんの堆肥ですが、もとは豚糞堆肥で、あとはらでぃっしゅさんから出てくる乾燥残さ、生のものです。
いかに菌体をつけて発酵過程にもっていくかというところがキーポイントになっています。
宮城さんのところでは太陽熱処理をしながら中熟堆肥を使うことで土壌団粒がつくられています。
このあいだ棒を刺してみると1m半とか2mぐらい刺さりました。
微生物をどう活かす環境をつくるかがキーポイントになってくるのではと感じています。
いかに根域範囲を広げていけるか、微生物がすむ環境をとれるかが安定した野菜づくりにつながるのではないかなと思っています。
【新井さん】
その中熟堆肥を入れて植え付けする場合、どのぐらい期間をあければいいんですか。?
【丸山さん】
そんなに長くはないです。
太陽熱処理をする場合は期間をあけますが、それ以外の時は少し寝かせるぐらいです。
【新井さん】
今年のトマトとキュウリについてお話したいと思います。
まずは播種から。
私の場合は30cm×60cmの箱にまきます。
ここ(上記写真のコテの部分)に1cmのコンパネが貼り付けてあります。
縁に沿ってコンパネを動かすと縁から1cm下がったところが整地できます。
この状態でキュウリの種をまきます。
トマトの場合は種が小さいのでもう少し浅く、縁から7~8mmほどを整地します。
写真が1cm縁が下がった状態でキュウリを蒔いた状態。
たぶん230粒ぐらい入っています。
こうするとすべての種が1cm、7~8mmに全部、おなじ覆土になるんですね。
これでスタートします。
ちょっと上をコテで押して灌水をして下がらないようにしてスタートします。
発芽の状況です。
キュウリの場合、かけるのはバーミキュライトを使っています。
というのは230粒もまくと土をもちあげちゃうんです、よいしょっという感じで1cmほど浮いてしまうんです。
バーミキュライトをかけるとほぼ100%、3日目にはこのような状態です。
土の温度は28度から30度。
ウリ科の野菜は3日。ナス科の野菜で5日です。
キュウリ、トマトの鉢上げ状態です。
播種が揃うので、ひとつひとつの苗がすべて揃います。
とにかく播種をそろえるということです。
温度・地温は28度から30度。
そして発芽したら25度。
鉢上げする場合は20度に下げます。
鉢上げする方の土の温度を逆に上げておくんですよ。
移動する先の温度を高め高めにもっていくと萎れずに活着が良くなります。
トマトです。
福広さんのところもそうですし、私のところもそうなんですが、産地担当の神保さんが見ても、すごくいじけた苗に見えるんですよ。
小さないじけた苗。
「こんな細いのに実がなるの?」とよく言いますけど、だいたいこんな細い感じです。
これが植えて二週間ぐらいです。
小さい実がついていますので、もう少したっていますね。
とにかく暴れさせない苗です。
リン酸中心の苗です。窒素優先になっていないです。
1mぐらいになっています。
細くて貧弱なトマトに見えます。
茎の細さ、葉っぱが混んでいなくて、向こうがすけて見えるでしょう。
茎に対して葉が直角に出るように水管理をしています。
(新井さんの今年のミディトマト 6月の写真)
実がついた状態。
向こうがすけて見える状態で実が鈴なりになっています。
トマトは無肥料です。
スタートが無肥料で連棟ハウスでは今年最後まで肥料を使っていません。
冬に葉ものを2回転して、それで整地しただけです。
なにも入れていません。
生長点を見ながら肥料が必要なら入れようと思ったんですけど、最後まで生長点が衰えなかったんですね。
下葉に欠乏症状が出ていないんですよ。
(新井さんの今年のミディトマト 実が色づいた時期の写真)
色づきが始まっている状態です。
葉を見ていただけるとわかるんですが、先ほど見ましたカリの欠乏症状、苦土の欠乏症状、出ていないですよね。
樹に対しての中玉トマトの大きさを見てくださいね。
昨日も話をしたんですけど、「土壌分析プラス何か」ではなく、私の考え方は『観察力プラス土壌分析』なんですよ。
もうここ3年ぐらい土壌分析はしていないです。
作物を見ながら次の施肥設計を考えています。
トマトの生長点が衰えない場合には追肥もしない。
欠乏症状が下葉にでてこないんですよね。
無肥料でやっちゃいました。そして最後まで水を入れていないです。
植える前にみっちり水をあげてから定植、12段とるまで全然水をあげていないです。
【質問】
前作の葉ものの様子を見て、無肥料か肥料を少し入れるかを決めたとのことですが、前作の葉ものの様子というのは、元肥を入れない時と決めたときの状態と肥料を入れようと決めたときの状態、前作の葉ものの状態ですよね・・。
【新井さん】
おもに窒素切れです。
葉ものというのは先ほどの施肥パターンでいうと、コンスタント、初期から後半まで効かせたい作物です。
とくに小松菜なんかはかなり肥料がいります。
後半切れてしまうと茎が赤くなってしまいます。
そうなってから葉をかくと繊維が強くなっておいしくないんですよね。
平均して水をあげているつもりでも、やっぱり灌水量が多いところは流れてしまいます。部分的に窒素欠乏が出ました。
その部分には特に入れて全体的に薄くいれたということです。
ミネラル、微量要素、すべてです。普通より少なめです。
症状を見ながら、観察しながら足せばいいという作り方。
樹があばれないしカビも繁殖しないんですよ。
実が太るときに効けばいいから生長点の下葉の様子を見ながら追肥をするというやり方をすればカビはでないです。
福広さんもそうだと聞いていますけど、最後のピークになってくるとウドンコ病が出てきます。
ただウドンコ病の場合は収穫を仮に12段までとる場合でも、そんなに気にならないんです。
取りきるまで繁殖していてもほとんど問題ないですね。
通常ウドンコ病は下部の葉から少しずつ上部の葉に移っていきますが、実の善し悪しを左右するのは、実のすぐ下の1枚の葉と上2枚の葉と言われています。
実が充実する際にこの上下3枚が健全であればОKということです。
【質問】
元肥を入れようと思ったところの葉ものの症状というのは、下葉がちょっと黄色くなっていたり・・ ?
【新井さん】
全体がかたくなります。
窒素切れになってくると繊維が出てくるんですよ。
小松菜なんかの場合、貝割れの葉と一番外の葉をかきますよね。
かいたときに繊維がでてくるんですよ。かたい状態。
ぱきんぱきんとみずみずしくかける状態が窒素がきれない状態なんです。
窒素が切れてくるとかいたところから繊維がずっとでてくるんですよ。
かたい繊維がね。それでわかりますよね。
食べてみたって美味しくないです。えぐみがちょっと強くなってくるので。
間口3間で長さ50mのパイプハウスが6棟あるんですけど、傾斜が少しあるので手前と最も奥とがおよそ60~70cmぐらい高低差があると思います。
だいたい欠乏が出る位置というのは決まっている。
この辺がいつも切れるよねという場所がきまっているんです。
チューブの関係かわからないですけど、その部分をちょっとだけ入れて全体を薄めに入れてあとは欠乏症状を見ながら足してやるというやり方です。
入れすぎると必ず茎が太くなって、葉っぱが垂れてきて、空気まわりが悪くなってカビがでてくるんです。そういう悪循環です。
【質問】
うちの生産者もウドンコ病がでて終わってしまうというパターンが何回か続いています。なにか対策は?
【新井さん】
ウドンコ病がでるということは葉の中のアミノ酸・硝酸濃度が高いという状態です。だから灌水ですよね。
水が切れてアミノ酸濃度・硝酸濃度が高くなるとウドンコ病。
ウドンコ病になる場合はアブラムシがつきやすい状態です。
後半になってでるウドンコ病の場合、樹が伸びて日陰になったことも要因だとおもいます。
ちなみにうちが出始めるところというのは連棟のトヨの陰から始まります。
日当たりの悪い場所です。
窒素過多だけでなくて、日当たりの悪い場所、株元に日があたる状態だとウドンコ病はでにくいと思います。
トヨの陰からウドンコ病が出るというのはそういうことなんですね。
水管理は初期からよく効かせるのですか?
【新井さん】
キュウリはそうですね。
一回でやらないで一日に10分でもまめにあげるということです。
とくにウドンコ病をださないようにするにはそうしますよね。
【質問】
こまめに水をやったほうが根がいたまない?
【新井さん】
そうですね。
圃場でキュウリの曲がりがあるという話をしましたけど、ストレスなんですよ。
一気に水をあげて幾日も放置しておいて乾燥し、また水をあげて乾燥の繰り返し・・。それが植物にとってストレスになります。
ストレスをなるべく出さないようにしていくと曲がりがでなくなります。
忙しくてキュウリの誘因ができなかった時、しばらくしてから誘因しますよね。
必ずキュウリが曲がります。ストレスが一番大きいです。
コンスタントに水が効いている場合は曲がりは少ないです。
【質問】
さっき見ていただいた圃場、けっこう水分多いんですけど、追肥した後はそれでも灌水は?
【新井さん】
水分多ければ大丈夫ですよ。
どういう追肥をしているかわからないですけど、たとえば有機の配合肥料をふって、そこからカビがでるようだといらない。
カビがばぁーと繁殖する状態だと水分があるということだから。
無理に水分を足す必要はないと思う。
【質問】
ナスもたまに曲がりが出てくるんですけど・・。
【新井さん】
やはりストレスがあるのかなぁ。
あとはカリウムだよね。
トマトの例なんだけど窒素の倍ぐらいカリウムが必要。
根の肥大にも必要、かたい状態だと伸びないわけだから、ゆるめる部分でカリウムが必要だと思うんですよ。
曲がりもそのへんがあるのかな。
仕上げに今回のまとめということで病害虫防除と有機質肥料の特性をいかした施肥体系ということでまとめに入ります。
野菜のどこを使うのかが非常に大事なことで、その部分が豊作になることを考えればいいんです。
窒素が優先に働いて、灌水や雨水が多かった場合に植物がメタボ状態、暴飲暴食という形になるので病害が出やすくなります。
肥料を入れすぎて窒素が優先になった場合で灌水不足になるとアブラムシなどがつきやすくなりますね。
それから作物ごとの吸肥特性を知りなさいということです。
特に窒素の効かせどころとC/N比です。
どのような肥料を使い分けているかということと施肥量です。
根張り促進として団粒構造、堆肥の関係ですよね、あとバランス、水管理、一番大事なのが水なんですよ。
上手にできるかどうかというのは施肥以上に水管理です。
特に排水対策です。
そして「土壌分析+作物の観察力」。
実を言うと私は逆だと思っているんですね。
『作物の観察力+土壌分析』と考えています。
最後に、予想もしなかった“台風”襲来の中、生産者の皆様に参加していただき、誠にありがとうございました。
*******************************
以上が新井さんの講義概要です。
長文にもかかわらず最後まで読んでいただいた方には感謝します。
それでは、当日参加された方も参加できなかった方も新井さんの講義から何か栽培上のヒントを得られることを期待しています。
(Radix事務局 成田)
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