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【01 農産活動報告】
2009-12-25
『めだかの学校』新井塾par t4 開催報告【講義編・前半】
『めだかの学校』新井塾part4開催報告【圃場見学編】に続いて、甘楽町有機農業研究会の新井俊春さんの講義概要をお知らせいたします。
(※長文のため、施肥体系の話を前半、病害虫防除以降を後半に分けてアップしています)
今回のテーマは『高品質な野菜づくりのための再確認』。
過去3回の『めだかの学校』の総集編(+α)です。
最初に有機質肥料の特性を生かした施肥体系の話、次に病害虫防除の再確認、今年のトマトづくりの様子など、質疑応答を交えながら講義は進みます。
それでは新井さん、よろしくお願いします。 ![]()
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(当日資料表紙:当日資料はすべて新井さんの手作り)
【新井さん】
最初に「土」というものから確認していただきます。
基本は粘土粒子があるかどうかで団粒構造が決まってきます。
団粒構造が十分できていない場合、堆肥やゼオライトなどを活用して団粒構造をつくります。
腐植は堆肥中の炭水化物を微生物が分解してできる物質です。
堆肥を入れて8割ぐらい吸収されるのですが、残りの2割ぐらいは腐植として残ってきます。
粘土粒子と腐植を結びつけているのが、微生物が分泌する多糖類というネバネバです。
団粒構造をつくって肥料成分を中に閉じこめます。
これによって肥料成分が流亡しにくくなります。
(当日資料より)
土の主な化学性に、pH、EC、塩基バランス、C/N比があります。
pH5.5以下は一般的に石灰とか苦土が不足している状態です。
6から6.5ぐらいが、いろんな成分が植物に吸収されやすい状態です。
7.2を越えると微量要素が吸収されにくくなります。
ジャガイモソウカ病は土壌pHの上がりすぎが原因の一つ。
ソウカ病の原因は一部の放線菌。
この放線菌はアルカリ性の圃場に繁殖しやすい。
酸性圃場では繁殖しにくいと言われています。
だからジャガイモを植える場合、酸性圃場に植えてください。
堆肥にしても配合肥料にしても発酵鶏糞にしても、多くの有機資材はアルカリ性です。量を入れれば入れるほど、土壌pHは上がりやすくなります。
慣行栽培している近所の畑を見ると、ジャガイモ畑に石灰を入れているんですね。石灰を入れる場合にはpH確認をした方が良いと思います。
pHが上がれば上がるほどソウカ病は出やすくなります。
ソウカ病の原因となる有害放線菌が繁殖しやすくなるということです。
次はEC。
特にハウスで問題になります。
ハウスの場合、入れた肥料が雨ですべて流れることがありません。
EC値が高いということは硝酸濃度が高いということです。
硝酸濃度が高くなると土壌pHが下がりやすくなり、石灰の使用などを考えがちになりますが、石灰の使用+酸性肥料の使用(過多)などにより、更にEC値が上昇しやすくなります。
EC値が上昇する条件は過剰施肥+水分不足であり、EC値を下げるにはこの条件の逆の施肥調整+充分な潅水ということになります。
EC値の高い圃場で野菜を作るとアブラムシが寄ってきやすくなります。
(※葉中のアミノ酸・硝酸濃度が濃くなる→アブラムシを呼びやすい)
(当日資料より)
次に塩基バランス。
塩基バランスは苦土を中心に考えます。
苦土はリン酸の吸収を助ける働きがあります。
塩基バランスでは石灰・苦土・カリ比を5:2:1にするようにと言います。
この石灰・苦土・カリ比ですが、土壌分析結果の比率ではありません。
等量比になおす必要があります。
石灰の分析結果を28で割ります。
苦土の場合は20、カリの場合は47で割ります。
この割合が5:2:1になるようにしなさいということなんです。
この数値の石灰÷苦土の割合が6以下になればいいんですね。
苦土÷カリを2以上に、最終的に5:2:1がベストですということです。
また夏場は7:2:1という考え方もします。
石灰を少し増やすんです。
なぜかというと、夏の場合は地温が高くなるので雨が降った場合に石灰の吸収が重要になってくるからです。
雨が降った場合、窒素・カリの吸収が早くなります。水に溶けるからです。
そうすると石灰の吸収が追いつかなくなるために腐りがでやすい状態になります。そのため夏場は石灰を多めにした方がいいという考え方です。
細胞を強化するのは石灰の役割。
固めるというか、しめる効果があるということです。
土壌の生物性。
土壌に有用な放線菌が入るのは非常に重要。
放線菌が入るとなぜ良いかと言いますと、土壌病害軽減につながるからです。
『優良堆肥に含まれる放線菌は抗生物質を出して糸状菌の菌糸を溶かしたり、伸びるのを抑えたりなど、その抗菌作用が注目される。キチン質を好むため、キチン質を含むネコブセンチュウの卵を食べてしまう。フザリウム菌やピシウム菌などの土壌病原菌の細胞壁はキチン質でできており、土の中に放線菌が多ければ発病が抑えられる。カニガラはキチン質の宝庫で、これを素材に放線菌が豊富な堆肥やボカシ肥ができる』(当日資料P.4より抜粋)
写真は青カビ(トリコデルマ)がフザリウムを溶かしているところです。
このトリコデルマを発生させる堆肥は草質堆肥です。
牛糞とか籾殻などを混ぜて堆肥をつくりますが、炭水化物の多い堆肥ほどトリコデルマは繁殖します。
このような堆肥を使うことによって土壌病害を防ぐことができます。
次にC/N比の話をします。
ここまでに何か質問などありますか?
【質問】
硝酸が増えるとpHが下がりECが上がりますよね。
pHが下がっているところだけに注目して石灰をやると、さらに塩類濃度が高まる、ECも高まるということでしょうか?
【新井さん】
ECが上がると酸性に傾くんだけど土中には石灰はあるんですよ。
硝酸が増えるとpHが下がります。そこで、(石灰があるにもかかわらず)石灰を足してしまうと、こんどは石灰過剰になってしまう。
pHだけで単純に石灰を足すのは危険ということです。
つぎにC/N比の話。
C/N比という言葉をよく耳にすると思いますが、Cが炭素、Nが窒素のこと。
炭水化物のもとになるものです。微生物の好物です。
炭水化物というのは光合成によって植物がつくるもので、空気中の炭酸ガスを吸収し、根から水を吸い上げてCH2Oができ、余った酸素が放出されるんだよという話を小祝さんがしますが、その炭素と水とがくっついたのが炭水化物です。
炭水化物、タンパク質あるいはアミノ酸の割合によって肥料効果は違ってきます。窒素量が増えれば増えるほど、C/N比の数字が小さくなります。
C/N比が小さい肥料(窒素が多い=タンパク質・アミノ酸等が多い)ほど早く効く。だけど早く切れやすい(持続性がない)。
数字が大きな肥料ほど遅効き、または長く持続します。
8-8-8という(有機系の)配合肥料と4-4-4という(有機系の)配合肥料があった場合、数字が大きい肥料ほど早く効きます。そのかわりに早く切れる。
4-4-4の肥料の方が効き始めは遅いけど長く効くということです。
(当日資料より)
表の下ほどC/N比の数字が小さくなっています。
C/N比の考え方でいくと、上に書いてあるものほど効き始めは遅い、下にいくほど窒素の効き始めは早いということです。
各肥料成分、塩基が植物のどこで働くかという図です。
窒素は葉とか茎を作るのに有効な成分です。
マグネシウムは窒素とともに葉緑素のもとになりますね。
そしてリン酸は良質な花を咲かせるのに有効な成分になります。
苗にリン酸を効かせないと良い花が咲かないですよね。
一方、圃場とくにハウスの場合はあまりリン酸を入れすぎない方がいいです。
育苗期にリン酸を効かせることが大切であるという話をしましたが、トマトの場合、定植苗に、ほぼ5段目までの花芽が分化しています。
仮にトマトを10段まで収穫しようとした場合、下段5段目くらいまでは苗の質で決定されてしまうということです。
苗の床土でリン酸吸収を良くすることにかかってきます。
育苗が非常に大切になります。
カリウムは植物体をゆるめる働きがあると共に、根の伸びを促進させます。
圃場視察で里芋の葉っぱにカリ欠が出ているよと言う話をしました。
夏に雨が多かったので、かなりカリが吸収されているんです。
秋になって里芋がこれから伸びるという時期にカリが必要になるんですが、足りないために葉っぱに症状が出たんです。
葉のふちが枯れていると言うことはそういうことです。
五大要素の中で最も吸収されやすいのはカリウムなんですね。
次に窒素、カルシウム、リン酸、苦土という順番になります。
グラフから果菜類、根菜類にはカリが一番必要だということがわかると思います。
自分がトマト栽培をしていて、窒素の欠乏症状が出る前にだいたいカリの欠乏症状が先に出てきます。
下葉が黄色くなってくる症状では、苦土欠よりもカリの欠乏症状が先に出てくることも多いです。
(当日資料より)
作物毎に三要素とか五大要素がどのぐらいの割合で吸収されるかを調べてみました。
まずは豆。
豆のように種を利用するものは、粒の肥大に応じて窒素を要求するのがわかります。
次にカリ、そしてリン酸ですね。大豆も窒素、カリ、リン酸の順番です。
なぜ窒素が優先されるのか、わかりますよね。
豆がタンパク質でできているからです。
豆の場合、カリ優先ではなく窒素が後半効かなければだめだということです。
初期から窒素が優先に効いてしまうと樹勢ばかりが強くなってしまい、実の付きが悪くなってしまいます。
後半効くような作り方をしなさいということです。
次にほうれん草。
ほうれん草は他の葉物野菜よりも石灰を多めに入れて作ることが一般的になっていますが、一番吸収されている要素はカリウムのようです。
次に窒素、石灰、リン酸の順番です。
次にダイコン。
スタート時は窒素の吸収量が多い。
生育の真ん中あたりからカリを吸収してきます。
なぜカリを吸収すると思いますか?
根の生育に重要なのはカリ、根が肥大するときには窒素よりカリが必要なんです。
次にキャベツ。
キャベツはカリの次に石灰を必要とします。これはなぜだと思いますか?
石灰は細胞を強化し丈夫な体をつくるのに必要なんですが、かたくしまるキャベツをつくるために石灰が窒素よりも吸収されるんですよね。
窒素が勝ってくるとキャベツの巻きが弱くなるんです。
次にレタス。
前にJAへの出荷を予定している結球レタス圃場で、全然結球せずにサニーレタスのような状態の生産者の相談を受けたことがあります。施肥体系を確認したところ、夏場の休閑期にマメ科緑肥を播種・すき込み、レタス用の肥料を教科書通り投入してしまったとのこと。
結果的に窒素優先肥効となってしまい、石灰等の吸収が間に合わず結球できない状態になったと説明した例があります。
窒素が優先になってしまうと結球野菜類は巻きが弱くなると共に、軟弱徒長(軟弱細胞)となるために、とろけや日持ちの悪さにつながります。
次にサツマイモ。
これもカリ優先ですね。
根が肥大するにはカリが必要ですよということを示しています。
次にトマト。
窒素の倍ぐらいカリを吸収します。
実がゆるくなければ肥大しないわけで、実をゆるくするにはカリなんですね。
カリを吸収しながら窒素という順番になります。
窒素欠乏の前にカリ欠乏が先に出やすいというのはこういうことです。
次は欠乏症状。
キュウリのカリウム欠乏症状というのは葉のふちにでます。
ナスはふちではなくて葉脈の間、ちょうど葉ダニがついたような症状になります。
(当日資料より)
石灰の欠乏症状。
トマトの茎が扁平になってきて、ひどくなると真ん中が空いてきます。
窒素が優先的に吸収されて石灰の吸収が追いつかないとこのような症状が出てきます。写真上部左はトマトの芯止まり症状です。右が実の尻腐れ症状。
共通点は根から一番遠い部分にカルシウムの欠乏症状が出るということです。
トマトの先端部、あるいはトマトの尻腐れなんかそうですよね。
キャベツの場合、外葉が先についた葉で内側ほど後につく葉になります。
内側の方が養分のいきわたる時間がかかるみたいで、キャベツの石灰欠乏は一番内側のやわらかいところからでます。
なぜトマトの尻腐れが出るのかといいますと、主枝を通って養分が運ばれて、枝で曲がって、(トマトの実の少し前)ここが折れているんですよね、トマトの場合。
なぜ折れているかと言うと、農家のおじさんがトマトを取りやすいようになっているわけではもちろんありません。
トマトは自分の子孫を残そうと思って実をつけるのであって、熟してくるとここがポロっと折れて下に落ちるようになっているんです。
下からの養分の通り道がストレートでなくて途中で曲がっているため、これが植物体内の移動が緩慢な石灰の吸収移行を、更に手間取らせる原因になっているんです。
ストレートにずっといってくれれば吸収は早いんですけど・・・。
一番遠い(トマトの)尻に症状が出ると言うことです。一番遠い部分です。
里芋の例です。
苦土欠と違ってはっきりとでてくるのが里芋のカルシウム欠乏です。
(当日資料より)
次に苦土欠です。
窒素と苦土で葉緑素をつくっていくんですが、葉脈近くから外に向かって広がっていくのが苦土の欠乏症状です。
カリウムの場合は葉脈と葉脈の間が黄色くなるんですけど、苦土欠は葉脈から広がっていきます。
小松菜の苦土欠です。
一番下の葉っぱです。
葉脈の外に向かってだんだん黄色くなっていきます。
トマトの苦土欠症状です。
葉脈間だけでなくて葉の先端近くに向かって黄色くなっています。
葉脈の間だけか?葉脈から外に向かって全体が黄色くなりやすいのか?が、苦土欠かカリウム欠乏かの違いのようです。
これが里芋です。
初期の段階ですけど、これが広がると黄色い部分がより鮮明に出てきます。
コンニャクイモの苦土欠です。
(新井さんのハウス隣の)おじさんの畑にでています。
原因はわかっています。
おじさんは牛の肥育をしています。牛舎に麦わらを入れて堆肥をつくり、それをコンニャク畑に入れています。傾斜畑に畝をたてると土が流れるので、畝の低い窪地にも麦わらを敷くんですよ。
牛糞も藁もカリウム成分が結構高いんです。
そういう作り方を毎回繰り返しているとカリウムの過剰障害がでて、拮抗しているマグネシウムが吸収できない土になってしまうんですね。
カリウムが過剰に吸収されるとマグネシウムの欠乏症状が出てきます。
苦土があっても吸えない状態です。すべてこのような畑になっています。
特に畑のまわりに出やすいんですよ。コーナー(角)に出やすいんです。
「おじさん、苦土が欠乏しているよ」という話をしたら去年ぐらいから苦土石灰をふるようになりました。だけどコーナーまでふってないんですよね。
背負いでふるとどうしても角までふれない状態になるんです。
次にトマト。
右側が石灰欠乏。
左側のトマトは窒素と並行してカルシウムが吸収できているものです。
右側の場合は窒素優先。水を入れすぎるとどうしても窒素優先的になりがちになります。窒素は水に溶けやすいので優先的に吸収されます。
窒素に対して石灰の吸収が追いつかないのでこのような症状になってくるという例ですね。これが進むと尻ぐされがでてきます。
(当日資料より)
トマトの肥料成分過不足の例、窒素からホウ素までを調べてみました。
欠乏症状と過剰症状、けっこうトマトをつくっている人が多いので参考にしてみてください。
作物によって肥料の使い分けが必要となります。
葉っぱなのか、根っこなのか、実なのか。
その部分を豊作になるようにつくりましょうということです。
例えばトマトで初期から肥料を効かせると茎や葉っぱが大きくなりすぎて空気まわりが悪くなります。そうするとカビなどの病気が出やすくなります。
トマトの場合、実が肥大するときから肥料が効くようなつくりかたをしなさいということなんですよ。
(当日資料より)
それを3つのパターンにわけてみました。
後半に効かせた方がいいという作物が根物とカボチャの類。
初期にあまり効き過ぎると良くない作物です。
ダイコン、ニンジンの場合は根を利用する作物ですから、初期から窒素が効いてはだめなんです。
肥料を薄くめにしておいて主根がぐっと伸びていってから側根、こまかい根が伸びた時に効くような作りかたをしようということになります。
最初から肥料が効いてしまうと地上部の葉っぱが伸びすぎて垂れてきて太陽の光を遮る、雨が降って株元がじめじめして病気がでる・・、一方で根は伸びないという状態になります。
日当たりを良くして根を伸ばすのであれば生育初期は効かせないで後半に効かせましょうという作り方になります。
ダイコンの場合、炭水化物優先の肥料、たとえば牛糞と籾殻をつかった堆肥でつくる場合には籾殻の量が多い堆肥が良いということになります。
8:8:8という(有機系)配合肥料と4:4:4という(有機系)配合肥料があった場合には数字が小さい方の肥料がいいということです。
葉っぱを伸ばさないで、根を伸ばすという作り方というのは窒素の少ない肥料を入れてくださいということです。
たとえば10aあたり窒素を8kg入れる場合、8:8:8の肥料より4:4:4の肥料を倍入れた方がダイコンには良いですよという考え方です。
次にトマト、ネギ類です。
コンスタント型の野菜です。
スタート時はなるべく窒素の肥効をおさえて追肥で追っていきます。
基本的に濃度の低い肥料で回数多く追肥していくほうがいいですね。
前半に肥料を効かせた方がいい作物には、レタスやジャガイモがあります。
これは前半に効かせて後半切れるようにつくらないと絶対にダメです。
レタスの場合、後半に窒素が残った状態で雨あがりに収穫すると、だいたいとろけがでます。
窒素が多くて水が多いと細胞と細胞の間に隙間ができてくるんです。
いわゆるメタボ状態です。
筋肉の間に脂肪が入っているような状態なんです。
この状態で雨が降った後でレタスを収穫し隣同士がこすれて出荷されると、腐りやすい、とろけやすい状態になります。
窒素優先でカルシウムが追いついていない状態です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
以上が『めだかの学校』新井塾part4開催報告の前半部分です。
引き続き『めだかの学校』新井塾part4開催報告【講義編・後半】へと続きます。
(Radix事務局 成田)
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