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【01 農産活動報告】
2009-12-17
『めだかの学校』新井塾par t4 開催報告【圃場見学編】
台風一過の2009年10月9日、サラダボウルさんの地元山梨で出張版『めだかの学校』新井塾par t4 を開催しました。
( サラダボウルさんのHPはこちら → サラダボウル )
講師はもちろん、甘楽町有機農業研究会の新井俊春さん。
今回の勉強会は前半がサラダボウルさんの堆肥場、作業場、圃場見学など、後半が新井さんの講義です。(※参加者は69名)
それではサラダボウルさんの圃場見学からスタートです!
【堆肥場】
堆肥場ではビール粕ぼかしの準備がすすんでいました。
ちょうど9月4日の訪問時に見せていただいたぼかしの改良版です。
(※9月14日のブログ「サラダボウル訪問記」を参考)
見学の際、ぼかしから少しアンモニア臭が出ていました。
残念ながら発酵がうまく進んでいなかったようです。
新井さん曰く、
「籾殻くん炭・ゼオライトを入れるともう少し匂いは少なくなります。
本来これぐらいの時間がたつと放線菌が繁殖して白っぽくなるんですが、
まだ繁殖していないところを見るとうまくできていないようです」。
ぼかしの水分についての質問に対して、
「ぼかしの水分は60%ぐらい、ぼかしをにぎって離したらひび割れができるよう
な状態が良い」とコメント。
(※にぎったぼかしが団子になってしまうと水分過剰、指の間からこぼれるよう
だと乾燥しすぎの目安です)
アンモニア臭がでている点について、参加者から発酵途中で水分過多であった可能性について体験談を交えた指摘がありました。
「堆肥づくりで水分が少なく温度が上がらなくて、水分を補うために水を(少しず
つ入れれば良かったところを)一気に入れたところ、急にアンモニア発酵が
進んでしまい、目がチカチカするほどになってしまったことがあります」。
水を入れるときは少しずつ入れていくこともポイントのようです。
新井さんは堆肥原料についてもアドバイス。
「堆肥を作るとき自分もカニ殻を入れています。
放線菌を繁殖させたいんです。放線菌の餌がキチン質なんですね。
(キチン質でできている)カニ殻を入れることで放線菌はかなり繁殖します」。
まとめると、ビール粕ぼかしづくりのスタート時には、籾殻くん炭とゼオライト、あとはカニ殻の粉をいれると良いそうです。
(※ゼオライトには肥料成分の流亡を防ぐ役割があります)
ちなみにカニ殻の使用量は新井さんの堆肥の例では10tの堆肥に対して2~3袋が目安とのこと。
最後に堆肥舎の屋根が光を通すタイプのため、ぼかし温度の上昇を防ぐ遮光ネット導入の話も。
ぼかし肥料を作るには温度が上がり過ぎる条件下のため、有効菌の繁殖ができないとの指摘がありました。
その点に関してはぼかしの上部を遮光しなさいとアドバイスされました。
【農機具置き場】
サラダボウルさんの農機具や資材置き場は5Sが徹底されています。
5Sは製造業の現場でよく目にするスローガン。
現場で守るべき5つの事項『整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)』のことです。
随所にスタッフの改善や効率化が見られます。
管理機も軽トラのあおりをおろして横付けして、すぐに乗せられるようになっています。
農機具も定位置・数量管理の徹底により、壊れたり紛失することが激減。
鍬一本まで番号が振られているのでなくなってもすぐにわかるそうです。
置き場では少ないスペースをうまく立体的に活用されていました。
スタッフの話では、「これまで物がなくなっても気づかない、気づいた時には1本しかなかった、壊れていたことも多かった。このように管理することで物がなくならなくなって、壊れなくなった」とのこと。
とても参考になる管理方法でした。
【作業場】
収穫してきた野菜類は水洗いするものは水洗いをしてから、予冷庫に入れられます。
予冷庫は反対側から取り出せるようになっています。
予冷庫の横で調整作業(トリミング)、袋づめ・パッキングをおこない、バーコードが入れられて出荷用の予冷庫に。
作業の動線がうまく計算されています。
ここでもスタッフの工夫が随所に見られます。
出荷時の入れ数間違いが頻繁に発生したことに対して『パッキングカウンター』という道具を塩ビ管で考案し、間違いがでないように改善されています。
考案されたスタッフの話では、
「パッキングをして黄色のテープを消していくようにパックを並べていくと5つ
並びます。そしてバーをひとつ倒して同じように5つ並べて再びバーを倒
す・・・。全部できたら箱詰め。これを活用してから入れ数のクレームがなく
なってきました」。
パッキングカウンターの使い方はいたって簡単!
入れ間違いも激減!
さらに導入コストも自作のため格安!
いいことづくめのパッキングカウンターでした。
作業で使う毛布も、使用しないときはじゃまにならないように作業場の上に吊るされていました。
トマトの調整・箱詰めの作業スペース。
ここでも省力の工夫が随所に見られます。
出荷箱の移動も滑車を活用したコンベアを自作されていました。
(出荷箱をわざわざ持ち運ばなくても、横に軽く押すだけでOK!)
【トマト圃場】
トマトハウスはサラダボウルさんの事務所近くにあります。
またサラダボウルさんが最初に立ち上げたハウスです。
このハウスでは華クィーンRという中玉トマトが栽培されています。
サラダボウルの佐藤さんよりトマト栽培の説明をいただきました。
今年は畝を階段状(二段)にしている点、畝の下段のところでムラのでないように水分供給している点、畝施肥をおこなっている点などについてお話をいただきました。
新井さんも中玉トマトを栽培しているので得意中の得意な品目です。
まずは水管理の話から。
茎に対して葉が直角に出るように水分管理をするのが良いとアドバイス。
(水をくれればくれるほど葉が垂れてくるそうです)
「裂果がでるという話なんですけど、今うちもでています。
裂果がでる状態というのは中身の生長に皮が追いつかない状態。
高温であれば皮が柔らかくなるので割れにくくなり、夜温も低くなりすぎない
ようにして、昼夜の温度差が極端にならないように管理する」。
と裂果防止のポイントを指摘します。
チッ素が切れてくるとトマトの生長点と一番上の花までの長さが短くなったり、
一番上の葉っぱの長さが縮まってくるそうです。
新井さんはカルシウム不足の症状も説明して、現状からはチッ素よりもむしろカルシウムの補給をしたほうが良いかもとアドバイス。
倉渕の鈴木さんからはトマト栽培の施肥と水の関係についてのお話がありました。
「2年前、アブラムシ害がひどく新井さんから水が少ないと指摘をうけました。
そこで今年は無施肥で始めて、水をどぼどぼになるぐらい圃場に入れて、
おさまった時に畝をつくり定植したところ初期生育時にアブラムシもでなくて、
2年前よりやりやすい状態に。
実も大きなトマトが収穫でき、2段で8度の糖度になりました」。
新井さんは、
「ある程度の水分があってチッ素を控えてつくるとアブラムシってつかないんで
すよ。アブラムシがつきやすい条件はうどん粉がつきやすい条件と同じ」。
「アブラムシの被害などを防ぐには有機質肥料の追肥を一度に施用するので
はなく、回数で追っていくこと」。
つまりこまめに追肥をした方が良いということです。
新井さんはハウス内の温度が低めなことからトマトの裂果がでることを再度指摘します。
「湿度はあるのでもう少し温度を高めていかないと割れてしまいます。
ハウスに入ってちょっと気持ちが良すぎです」。
「マスクメロンを長く作っていてメロンの網目がありますよね。
あれは温度と湿度の調整により均一なネットに仕上げているんですよ。
花が咲いて17日目ぐらいでひび割れが始まるんですよ。
そのひび割れをいかに細くだすかということがポイントになります。
ひび割れを細く出すには表面(皮の部分)をゆるめる必要があり、そのため
に高温と適度の湿度をもたせます。
皮を柔らかくする状態にするんですよね。
今の状態というのは低温で湿度がある状態。だから割れちゃう。
マスクメロンとトマトの作り方には共通点があります。
昼夜共にもう少し温度を高めにもって行った方がいいですね。極端に昼夜の
温度差もつけないように」 と改めて指摘しました。
トマトのカルシウム不足の症状の説明では、
「葉(の付け根の茎)が扁平に、断面が丸ではなくて扁平になっている。
カルシウム欠乏の初期。チッ素が優先に効いてしまってチッ素の吸収に対し
てカルシウムが追いつかない状態。これがもっと進むと実の尻ぐされや生長
点の止まりもカルシウム欠乏ででます」 。
(トマトハウスからナス圃場へ移動中)
【ナス圃場】
台風の影響が残り、露地ナスはあまり良い状態ではありませんでした。
サラダボウルの島田さんより説明をいただきました。
霜の心配がなくなった4月30日と5月1日に定植。ナスの株間は50cm。
去年まで通路に追肥をやっていたそうですが、水田だったこともあり水分が多いのと6~7月に雨が多いため、通路に追肥しても効きにくい状態だったそうです。そこで今年は最初に堆肥を5t強を投入。
初期の効きが弱かったので、株元に穴をあけて4回ぐらい追肥。
その後に通路の肩部分に粒状肥料をさらに追肥。
結果的に追肥量の調整がうまくいかなかったそうです。
(新井さんからメタボのナスだねとの指摘あり)
新井さんからは、V字仕立てになっているナスの葉がやや混みすぎている様子からもっと空間が開くようにした方がよいとのコメント。
「先月訪問した時に『近いうちに“うどん粉病”が出るだろうな』と思って帰ったと
ころ、昨夜確認したらやはり考えていたとおり発生したそうです」。
島田さん、
「9月10日ぐらいからポツポツ(うどん粉病が)出始めて、ちょっとほったらかし
にしていたのと、葉かきで対応していたんですけど、うどん粉病の方が早くて
葉っぱが黄色くなった感じです。それでどんどんやられて・・」。
新井さんからは総合的アドバイスとして
「島田さん本人からも聞いたんですけど収穫した実が腐りやすいんですよね、
チッ素優先の場合。
追肥をして雨が降ると、一番先に吸収されるのはチッ素とカリウムなんです
よ。というのは水に溶けるんですよね、チッ素とかカリウムというのは。
なので雨が降るとチッ素とカリウムが優先に効いてしまって先ほどのトマトと
一緒でカルシウムが一緒に行かないんですよ。
カルシウムの移行はすごく遅いんですよね」。
「カルシウムというのは実を締める効果があって、チッ素・カリウムというのは
実をゆるめる効果があるんです。
柔らかい状態で傷になったところが腐るという流れですね」。
「追肥は少なめに数をやること。
肥料が入りすぎです、追肥も、一回で量が入りすぎ。
有機質肥料のチッ素の数字の低い肥料を少量ずつ数回に分けて入れる
んです。それがコツ。
チッ素の高い物を入れると雨が降ると腐りやすくなります。
チッ素の少ないものを少しずつ数回に分けて施肥してください」。
(※チッ素・リン酸・カリの低い肥料を入れること)
「あとは硫酸マグネシウム系統。
マグネシウムも入れること。
キーゼライトのようなものを2回に1回ほど入れること。
カルシウムの場合は追肥はなかなか効かないので元肥で。
追肥の場合はチッ素とマグネシウムを少なめに数を入れていくこと」。
追肥タイミングについては、
「トマトの場合は生長点を見なさいという話をしました。
ナスの場合は雌しべと花びら、チッ素が効いていると生長点に近い花の紫色
が非常に濃い色をしているんですよ。切れてくると赤っぽくなるんですよね。
それで雌しべが飛び出ないんですよね。花で見るんですよね」。
作物観察、とても大切です。
またトマト同様、追肥タイミングでは一番上の花と生長点までの長さも参考にするそうです。
ここが長すぎるとチッ素が効きすぎ、短かすぎるとチッ素切れの状態です。
アブラムシが少々でているとのことから、
「うどん粉病がでる条件というのはアブラムシもつきやすい条件なんですよ。
アミノ酸・硝酸値が必要以上に上がると、うどん粉病が出やすいしアブラムシ
もよってきますよね。
追肥ががっと効いて雨が少なくなり乾いた状態になると必ずアブラムシが
よっ てきます。硝酸濃度を上げないことがコツです」。
うどん粉病とアブラムシをつかせないようにするためには、少なめ少なめに
追肥することがポイントです!
新井さんからは株元に日がはいるぐらい、少し株間の間隔をあけて定植した方がよかったとも。
青枯れ病の発生については、水の過多が原因との話もありました。
新井さんは排水性の改善のためにプラソイラーを何回もかけることを強く推奨。降った雨水を根のまわりに停滞させないようにします。
島田さんの話では、今年のナスの収穫は早めに終了になりそうとのこと。
うーん、残念。来年に期待しています。
(ナスの葉にたくさんいたアマガエル)
【プラソイラー実演】
新井さんの助言により、サラダボウルさんではプラソイラーの活用がはじまりつつあります。
使いこなしについてマスターである新井さんからアドバイスをいただきました。
まずはプラソイラーを新井さんのアドバイスなしで一回ひいてみます。
それを見ていた新井さんは引き方があまいと指摘。
「あと20cmぐらい下を引くように!」
耕盤(25cm前後)の下にプラソイラーの羽が入るようにひくことが重要なポイントになるとのこと。
「プラソイラーの刃で縦に水を浸透させ、羽のところで耕盤の下で横方向に水を流していきます。だから45cm間隔でプラソイラーを引くのがベストとなります」
(プラソイラーの刃の間隔が90cmなら、引いた間にもう一回引くこと!)
21馬力のトラクターだと前が浮いてしまって引けないこともあります。
新井さんはトラクターの前に重りとなるバケットをつけてひいたほうがよいともアドバイス。
プラソイラーの位置決めをきちんとしないと効果なしになることも。
この点、要注意です。
「初めてプラソイラーを引く方は1年に2回、2年目からは1回で十分です。
これだけで全然水の引きが違います。プラソイラーを一回引くと1/5ぐらいの
土が上にうき上がってきます。天地返しにもなるんですよね」 と新井さん。
興味津々でトラクターの周りに参加者が集まります。
きっとプラソイラーの導入が増えることでしょう。
【キュウリ圃場】
トマトに続いて佐藤さんから説明。
「初期に水を絞りすぎたようで根の本数が少ない感じがします。
だからこんな日には萎れてしまうのかなと。萎れに弱い感じです。
芽の吹きも全然悪くて、追肥とかも軽くやったんですけど芽も出てこないので
まずいなぁと感じています。初期の灌水でミスをしているなというのが正直な
感想です」
前回訪問時にも新井さんが気にしていた葉っぱの縁が黄色くなる症状。
あゆみの会の丸山さんからホウ素過剰の可能性について指摘がありました。
新井さんもカリが十分に入っているようなら、葉の縁が黄色くなる症状はホウ素過剰の可能性があると指摘します。
植物の葉の縁がつながって黄化したり枯れたりする症状は、カリウム欠乏かホウ素過剰によるということです。
佐藤さんによるとホウ素が流れやすい圃場なので元肥でホウ砂をいれているそうです。
新井さんからは発酵させた堆肥でホウ素をくるんで施用すると良いとのコメントがありました。
丸山さんからも
「ホウ素は過剰と欠乏が極端にでやすい成分と言われています。
特に単体の場合は過剰になりやすいので堆肥とまぜて腐植に抱かせて少し
ずつ出させないと一気に過剰になるおそれがあるという話があります」
お二人の話を総合すると、ホウ素などは堆肥でくるんでマイルドに効かせることが良いみたいです。
ハモグリ被害も見受けられたことから、新井さんは黄色プレートをもっと下に吊すようにアドバイス。
「ハモグリは土の中で羽化して浮き上がってきます。
そのため吊すよりも下で寝かせた方が良いという説もあるとのこと。
虫の生態にあわせて効果的な設置法を」
(ハモグリの場合、作物の上に吊してもあまり意味がないそうです)
【竹チップ堆肥】
サラダボウルさんの事務所近くの竹チップ堆肥置き場。
ある会社が竹を粉砕して持ってきてくれるそうです。
「そのまま畑に使ったことがあるんですが、当然未分解なので障害も。
そのため堆肥化をすすめているところです。
ただしチップが大きいので腐熟させてからプラスアルファで堆肥化しようと
思っています。ここに2年ほど置いてあります」 と佐藤さん。
「掘るとカブトムシの幼虫がごろごろ出てきますので分解はしてくれていると
思います」
参加者が何気なく掘ってみると丸々太ったカブトムシの幼虫がごろごろと。
いい感じで分解がすすんでいるようです。
以上でサラダボウルさんの圃場見学は終了です。
この後、場所を移して新井さんの講義となります。
『めだかの学校』新井塾par t4 開催報告【講義編】へと続きます。
(Radix事務局 成田)
(おまけ:圃場見学に使用したバス
なんと路線バスを格安で借りることができました。
このバスには参加者もびっくり! ありがとう、富士急行! )
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