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【01 農産活動報告】
2009-06-06
福広塾 “春”編 開催報告【とまと編】
福広塾”春編” 【露地野菜編】に続いて、今回は【とまと編】をお届けします。
************** 【とまと編】 *************
(福広さん)
こちらのハウスが定植が早いほうのとまとです。
1月30日頃の播種、4月1日ぐらいの定植です。
むこうのハウスが2月20日ぐらいの播種、4月17~18日ぐらいの定植です。
両方とも品種は桃太郎ファイトです。
こちらのとまとの着色が始まったところです。
今年の5月の気温変動が激しかったので、やや(とまとの茎が)細めで推移しています。
クルマルハナバチは巣箱を閉めてしまったので、もう飛んでないかもしれません。巣箱に戻っていない蜂もいるかもしれませんので、(昨晩の懇親会でたくさん飲んだ方など)アルコールの匂いをさせている方にマルハナバチが寄ってくるかもしませんよ。
それでは、4月1日定植したハウスから見てみましょう。
(福広さん)
自分の理想より(トマトの茎が)すこし細めにしあがってしまっています。
もう少し太くしたいぐらいだったんですけど・・。
(新井さん)
かなり水はくれているね。
(福広さん)
水はやっています。
細くしあがってしまったので。
(新井さん)
水をくれればくれるほど、とまとの葉っぱはたれてしまいます。
乾いてくると葉っぱはあがってきます。
これだけ葉がたれているということは、かなり水がきいている状態ですよね。
(福広さん)
これから温度が上がってくる時期なので、あまり水をきってしまうと、とまとに尻腐れが出てくるので、水をあげています。
特に大玉のトマトは水を切るとてきめんです。
(新井さん)
もう追肥をしているんですか?
(福広さん)
元肥一回だけですから・・。
(新井さん)
灌水チューブは点滴?
(福広さん)
点滴です。
(新井さん)
この株もとにも入っているんですか。
(福広さん)
株もとには入っていないです。
通路だけです。
(新井さん)
最初の段階だけ?
(福広さん)
最初は株もとで、その後は株から離して・・。
(新井さん)
トマトのカリの欠乏症状が一番先に出てきます。
次に窒素欠乏が出てきます。
生長点(トマトの樹最上部)を見ればわかるんですけど、まだ窒素は切れていない状態です。
窒素が切れてくると、この間が縮まってくるんですね。
一番上の花と生長点の間の長さが縮まるんです。
もうちょっと硬い感じで、窒素欠乏だと色もかわってきますよね。
ぼちぼち窒素が切れてきているのかなという感じかな・・。
窒素が切れてくると、一番上の花と生長点との間が縮まってきます。
この葉の幅も狭くなってきます。
カリの欠乏がでたら、じきに窒素の欠乏も出てきますので、この状態で窒素を補ってやらないといけないと思います。長期でトマトをとろうという人は特にね・・。
これがカリの欠乏症状ですよね。
葉脈の間が黄色くなってきているのはカリの欠乏症状です。
(福広さん)
今年は6段でピンチをしようと思っています。
6段の年と7段の年といろいろですけど・・。
今年はちょっと弱くしあがってしまったので、6段でピンチします。
収穫量はすこし少なくなるかもしれないけど・・。
(質問)
これ最後に縛ったりはしないんですか?
このまま垂らしておくんですか?
(福広さん)
6段だとこのままでも垂れないですね。
7段だと針金でうまくいくんですけど、8段ぐらいになると上にうまく誘引をしないと落ちたりしますね。
上で混んでしまうと梅雨の時期に品質の悪いトマトが多くなるんですよ。
あんまり横に伸ばさない方が良いのかなと考えています。
(福広さん)
収穫しやすいようにこちらの通路側に実がつくようにしています。
(成田注:左側の写真のように実のついている通路側。右はとまとがついていない方の通路)
こちらの通路に収穫用の箱が通るようにしています。
(質問)
これを使ってどうやって向きを変えるんですか?
(福広さん)
葉っぱとかで引っかけるんですよ。
なるべくこっちに向くように統一してやっています。
(質問)
以前とまとを作っていたことがあるんですけど、なるべく砂をつかって無肥料状態で育苗しないといけないのでは?
苗づくりで収量も決まってしまうと聞いたことがあるんですが、それはどうですか?
(福広さん)
まず病気のでない育苗土でつくります。
それだけですね。
あと、肥料バランスをとるんですけど、堆肥を何年も積んで用意するのも大変なので、うちでは即効の育苗土をつくるんです 。
(質問)
種から発芽して、これぐらいになるまでの間に肥料が少しでもあると、とまとが失敗することがあるのでは?
(福広さん)
うちは肥料成分を入れますね。
(有機系の)窒素を入れますね。
(質問)
栃木県で40t取り、50t取りをしている生産者のところに行って勉強をしてきたんですけど、従属生長が非常に重要だということでやったことがあるんですけども・・。
従属生長、つまり発芽した時に無肥料状態で、最初の双葉まで無肥料にしていかないと、あとのコントロールが難しいと言われたことがあるんですけど・・。
(福広さん)
うちはしていないです。
(質問)
とってきた土を何回も何回も水で洗って、そこにとまとの種を蒔いて、これぐらいになってから育苗用の土の中に鉢上げしたりして、昔はやっていたんですけど・・。
そこが決めてだと言われたことがありました。
(質問者に対する質問)
今はもうされていないんですか?
(質問者)
もう10年ぐらいはやっていないです。
とまと作りをやめてしまったので・・。
(質問)
カリ欠の葉っぱとはどんな感じなんですか?
(福広さん)
葉の色の濃いのと薄いのと・・・。
カリ欠がでないほど肥料をやると、実がふくらむことはふくらむけど、うちの理想としてはあまり・・。
実はふくらむけど、味が落ちるんです。
カリの欠乏は品種による違いも大きいんですよ。
桃太郎系はよくカリ欠がでるんです。
あんまりカリをくれてやると病原菌が入りやすくなったりするんです。
ある程度、カリ欠の症状がでるぐらいにしています。
カリが多すぎると実がふくらんで、味が薄くなりやすいんです。
細胞を大きくすると病気の抵抗力が落ちますからね。
ある程度、少ないといけないけど・・、バランスが難しいです。
(質問)
尻腐れがたまにでるということですが、カルシウム欠乏の症状がでると尻腐れがでやすくなるんですけど、カルシウム欠乏とかは?
(福広さん)
カルシウム欠乏は一番気をつけていますよ。
だから灌水量で調整するんです。
うちは有機栽培だから葉面散布剤は使えないけど、慣行栽培では葉面散布をする人もいますね。
なかなか(尻腐れが)止まらないでしょ。
気温が低い場合は(尻腐れは)でないんですよ。
気温が上がってくると、(尻腐れを防止するためには)一番は灌水を増やすこと。
灌水を増やしてトマトの実がふくれすぎないようにするのは、カリを抑え気味にしてカルシウム濃度を高めにする施肥設計の方がいいんですよ。
うちは7:3:1ぐらいにするんです。(成田注:左の比率は石灰:苦土:カリの比率)
普通は5:2:1でしょ。慣行栽培で推奨しているのは・・。
まあ、作物で多少ばらつくけど。
うちはほかの畑でもだいたい7:3:1になるように施肥設計しています。
その方が有機栽培向けで病気に強いかなと考えています。
元肥はぼかしでつくった堆肥一発で、あとは鉄とマンガンをやるぐらいです。
そこはまだ試行錯誤の途中です。
(質問)
鉄とマンガンだけですか?
(福広さん)
おもに鉄ですね。
(質問)
カルシウムは300mg/100gぐらいですか?
(福広さん)
だいだい300ぐらい入っていますね。
今日の資料にトマトの施肥内容が書いてあると思いますが、これがベースになっています。
(質問)
風はあまり入れすぎない方がいいんですか?
自分のハウスの腰のビニルを上げて風がびゅんびゅん通るようにしているんですよ。
(福広さん)
あまり風が強く入りすぎるとトマトの実がこすれて傷つく場合があるでしょ。
だから今日ぐらいの風だと、ハウスを閉めたいぐらいなんですよ。
ちょっと風がきついんで。
(成田注:勉強会当日はかなり風が強く、ハウス内も横風がやや強めに入り込んでいました)
(新井さん)
ハウスを開放しておくと葉が濃くなってきます。
葉が濃くなると、とまとの玉のまわりの皮が固くなってくるんですよ。
雨が降ったときに裂果がでますよ。
玉の皮が固くなっている状態、
とまとの樹が全体に濃くなると言うことは弾力がないんですよ。玉自体に。
風通しをよくすればいいんですけど、風通しが良すぎると樹全体がかたくなるんですよ。
(質問)
福広さんみたいに、さんさんネットのようなものでやわらかく風をあてるようにした方が良いことですね。
(新井さん)
そうです。
濃い樹にしてしまうと、必ずアブラムシがセットで寄ってきます。
(質問)
堆肥に鶏糞を入れているのでは?
(福広さん)
堆肥の中の比率で3割ぐらいですね。
採卵鶏の鶏糞を使っています。
鶏糞を入れるのはカルシウム補給のため。
鶏糞でカルシウムを補えるような量を入れるんですよ。
だから他のカルシウム資材は入れないんです。
(新井さん)
リン酸過剰はあまり関係ないとのことでしたよね。
(福広さん)
リン酸は300mg/100gより上がらないし下がりもしない。
現状維持なんです。
いまの堆肥を畜糞100%にするともっとリン酸が上がりますよ。
(質問)
トマトは自根ですよね。
(福広さん)
はい、自根です。
接ぎ木は大変でしょ。
新井さん、有機栽培で接ぎ木は技術的に十分?難しい?
(新井さん)
有機で接ぎ木?
接ぎ木やったことないからなぁ。
(質問者)
連作障害がでるので、どうしても接ぎ木でないと・・。
(新井さん)
なにがでるの?
青枯れ?萎凋(いちょう)?
(質問者)
自根だともたないですね。
期間も短いですし・・。
(新井さん)
フザリウムの萎凋なのか、青枯れの細菌なのかによって対処が違うんですよ。
だからどっちの病気なんですかということなんです。
カビが原因か、細菌が原因かということ。
細菌であれば水を切るしかないんですよ。
(質問者)
水は極力、一週間に二度ぐらいにおさえています。
マルチは黒マルチを使用しています。
(新井さん)
どっちの病気なんでしょうか。
フザリウムだとカビなんですけど、生のものが入ると必ずフザリウムが繁殖するんです。
完熟しているものが入っているかどうか。
(質問者)
完熟しているものですね。
秋に藁を切り込んで藁と一緒に畑に入れています。
(新井さん)
それがだめなんです。
それをすると、必ずカリ過剰になります。いずれは・・。
(質問者)
去年・今年と2年、鶏糞を・・・。
(新井さん)
藁がやっぱりよくないなぁ。
(福広さん)
秋に入れて春までに分解が進まないでしょう。
(質問者)
もう何十年もやってきたんですよ 。
(新井さん)
ある人が田んぼの中にハウスを建てて、藁でマルチをしていました。
それをすき込んで長年やってきたら、最近になって青枯れがでてきたんです。藁のすき込みは絶対にやらない方がいいです。
(質問者)
去年から籾ぬかに・・。
なんとかしないと、草がとりきれないんですよ。
(新井さん)
生のまま入れて翌年に定植するまでに完全に熟しているかどうかというと、カビがそれだけ繁殖するということは熟していないんですよ。
(質問者)
水をくれて、足で踏み込んでいけば藁も秋になれば・・
(新井さん)
有機栽培では使ってはいけないんだけども、例えば石灰窒素のようなものをふって早く分解するんであればいいんだけど、そのまますき込んだだけなら多分翌春まで分解していない。
それが原因でカビが発生してしまう。
生が入るとフザリウムが繁殖しちゃうから。
自分でフザリウムを育てている状態ですね。
(質問者)
よく相談してみます。
(福広さん)
むこうのトマトはちょっと失敗ぎみなんです。
ちょっと細くしあがって、天候の波もあったのでちょっと落花させたし、こっちのハウスは今のところ、まあまあかな。
ただ、育苗の温度管理がやや低温で・・。
最低で移植まで14度で管理しています。
今年、2月が曇天多かったでしょ。
日中の温度が上がりきらんかったんです。
来年の温度管理は最低温度をもう少し上げるか・・。
7節目に1段つくと2段目が4つ飛ぶでしょ。
3つで理想的には上げたいんですよ。
なるべく8節につくと上がるから、9節以上につけると育苗で時間がかかるんです。
そのへんの育苗の管理でちょっとミスをしました。
毎年、いろいろなミスをするんです。
(質問)
理想は何節なんですか?
(福広さん)
理想は8節以上につくと、必ず3節目の上に花がふいてくるんですよ。
そうすると花の向きが全部一緒になるので、収穫も同じパターンで上がっていくんです。
気温が低いほど下がってくるんですよ。
7節とか6節とか5節とか・・。
そうすると2段目の花が上につくので、間があくんです。
7節につくとだいたい4つあがるし、6段目に花芽がつくと今度は5つ飛ぶんですよ。逆に育苗が高温時期になると下がらないんです。
一段目の着花節位がだいたいうちらでやると12節目ぐらいにつくんです。
7月播種のトマトだと、1段目の花が12節ぐらいしかつかないんですよ。
抑制栽培やっている人にはよくわかると思います。
下げるのはダメですけど、上げるのは調整できます。
今の場合、いかに順調よく花芽をふかしていって、さっと収穫を終わること。
ちょっと、育苗の方で温度ミスしたかな。
今できることは水コントロールと樹勢コントロール、あとは天候まかせ。
(質問)
葉面散布は面倒だからやらないですよね。
(福広さん)
やらないです。
あまり手間がかかるようなことは、やらないようにしているので。
(質問)
点滴灌水する時間帯とかは?
(福広さん)
難しいんですけど、今はだいたい9時前後ぐらい。
1時間から2時間くらい。
(定植の遅いハウスでは)1時間ぐらい、(定植の早かったハウスでは)2時間ぐらい。
(質問)
大きさによって灌水量を変えているのですか?
(福広さん)
毎年、(定植の早かったハウスでは)尻腐れがでやすいので灌水は多めですね。
こちらは尻腐れがでにくいんですよ。
(質問)
どれぐらいとれるんですか?
(福広さん)
13アールのハウスで、6トンぐらいはとれますね。
灌水の目安として朝に葉露がうかない程度で尻腐れがでない程度にしています。
葉露がうく樹が1本か2本あるかどうかで、かつ尻腐れがでない灌水量の幅。
栽培面積があるので幅をもたせないと・・、一株づつ水はやれないので。
(質問)
灌水の間隔は?
(福広さん)
基本的に毎日。
昨日は(雨だったから)やらなかったけど、今日は勉強会の日だから(9時には)水はやれないし・・。
朝7時半ぐらいから1時間ぐらい灌水しました。
(質問)
これぐらいになるとかなり根も下に入って、まわりに山があったり田んぼがあったりすると、1mぐらい根が入ると安定した水分があったりしませんか?
(福広さん)
地下水位は全然低いです。
ハウスの下が川になっていて10mぐらい落ちているんですよ。
いくら水をやってもどんどん下に抜けていきます。
水が多すぎるかなと悩むところですが、これ以上灌水を減らすと尻腐れがでるんですよ。
高糖度とまとを作る場合には作型をずらさないといけないんですよ。
1月~2月定植をすると、高糖度とりやすいんです。
いまのように気温が高くなってからの定植はやはり生育が早い分、高糖度を目指すのは有機栽培ではしない方がいい。
カルシウムの葉面散布剤など、いろいろなカルシウム剤で補いながら今の時期に高糖度を目指すんなら目指すけど・・。
有機栽培であるなら普通の作型でいいです。
こだわりすぎるとあまり良くないです。
ビニルハウスに書いてある数字(メモ)は、ハウス内の場所別のECの数字です。
『-2』と書いてあるところは、樹が細いところ、『+5』と書いてあるところは樹が太いところ、今作が終わったら、ここから一輪車で2台土をとって少し下げていって、こっちに一輪車5台分の土を足していくことを示しています。
高低差の調整で灌水を平均化させています。
樹の太さを平均化させるのに、毎年微調整するんです。
どうしても湿気るところは樹ばかりが太くなるでしょ。
そうなると、とまとがまずいし、味も薄くなります。
栽培面積が大きくなるほど誤差も大きくなるでしょ。
その誤差をなるべく少なくするために毎年微調整をかけるんです。
********************************
以上で、福広塾の【とまと編】は終了です。
次回は、堆肥編です。
Radix事務局:成田
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