農産畜産Blog

【02 畜産活動報告】

2009-02-23

畜産合同会議開催!

DSC_48462月13日、東京浅草にて、2年ぶりに開催された2009Radixの会畜産合同会議。事例発表、らでぃっしゅぼーやの方針説明、畜種別分科会、全体の総括と、盛りだくさんの4時間はかなり充実した内容だった。様々な意味で今後が問われる日本の畜産。その方向性が、らでぃっしゅぼーやと共に確認されただけでなく、この動きをより深めていこうと、早くも6月の畜産集会の開催が提案、承認された。これからの畜産の活動を、日々の取り組みにより近づけていく始まりが、始まった。 (報告:竹内周)

 ◆地域と共にある畜産を!

「畜産農家っていうモンは、いつも“いかに安く買うか”で考えてしまう」と切り出したのは、常盤養鶏農業協同組合の石澤直士さん。

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エサの話だ。日本の畜
産物は、牛乳、卵を筆頭に、いつも「安く安く」の大きな圧力にさらされ、鍛えられてきた。それは日本に、本格的に畜産業が根付く当初から「安い輸入の穀物飼料の導入」ありきでスタートした事情からもうかがえた。
常盤養鶏農業協同組合の石澤直士さん

安くするにはエサを安く輸入し、規模拡大で生産効率を上げて、など、過去50年のそんな努力の積み重ねで、一般の畜産品の「安い価格」が実現され、他方中小の畜産農家が淘汰されていった。 

その過程で土地から離された工場のような生産方式が主流となり、1箇所で大量に生産する弊害として薬剤の多投や、畜産公害も構造化されていった。石澤さんは話を続ける……。
「しかしそれでは地元の農家さんたちはどうなってしまうんだろう。私たち畜産をやっている者が、高く買うことができないか。健康な家畜に与えるエサとして、お米を食べさせて、お米の農家さんたちも生産が続けられるようにならないものだろうか。そう考えて、無謀とも言われましたが、最終的には農家さんたちの手取り(収入)がいくら必要か、から原価積み上げて、今回の“卵”の試行錯誤が始まったのです」。

石澤さんは5年前から、お米を鶏に食べさせて育てる“玄米卵”のエサとなる飼料米の栽培試験、鶏への給与試験に着手。昨年やっと試験販売にこぎつけ、今年からは生産量も増やして、耕畜連携、地域とともにある国産卵の生産を軸に、さらなるチャレンジを進めるという。

◆2年ぶりの畜産合同会議

今回の畜産合同会議で集まったらでぃっしゅぼーやの畜産生産者は約40名。この常盤養鶏さんのほか、北海道で自給率100%の肉牛生産を進める北十勝ファームさん、宮城県からは放牧豚へのお米の給与率を徐々に高めより安定的で地域に密着した取り組みを進める高橋精一さん、山口県から秋川牧園さん(肉鶏)、島根県から木次乳業さん(乳業・酪農)の5者が、飼料の国産化をメインテーマに、事例発表を行なった。

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  秋川牧園の秋川正さん、田尻生産組合の高橋精一さん

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北十勝ファームの上田金穂さん、木次乳業の佐藤貞之さん。
佐藤さんは事例発表の全体をまとめてくださった

  今回の会議は、らでぃっしゅぼーやと取引をしている全国の畜産生産者が一同に参集したという意味では2年ぶり。満を持しての開催だった。生産に携わる皆さんはよくご存知と思うが、昨年は輸入の肥飼料、そして燃油などの原料価格が高騰した。なかでも飼料価格は4年前の価格をはるかに上回る上昇を見せ、国内の畜産農家に大きなダメージ、だけでなく、いつかこういう時が来るといわれ続けた“輸入依存のしっぺ返し”が現実と、先行きへの大きな不安を遺すことになった。
  かねてより飼料の自給化を目指してきたらでぃっしゅぼーや、そして生産者の皆さんにとっては、この苦しい状況の真っ只中にあり、これからどのようにらでぃっしゅぼーやと提携していくかを問う、まさに必然的なタイミングである。
会議の前半を各地の先進事例の報告、後半はらでぃっしゅぼーやからの概況報告と2009年度の方向性を共有し、畜種別の分科会を行ない、最終的には、すべての意見を踏まえてRadixの会の活動計画に落とし込む、という内容で進んだ。

◆食べ物の向こう側

日本の畜産品はご存知のとおり牛乳、卵、牛肉、豚肉、鶏肉と5系統ある。そのそれぞれの分野から現在の取り組みが発表された訳だが、全体を通して、ああなるほどな、と改めてナットクしたことがあった。それは“食べ物の向こう側”について。畜産品はどれも、カタログや店頭に並ぶ姿からは見えてこない、食べ物の向こう側に、それぞれの姿があるのだということだ。畜産には肉・牛乳・卵など提供される“食べ物の姿”と、牛・豚・鶏という“生き物の姿”の“ふたつの姿”があるのだ。

先述したように、日本の畜産物は、まず輸入の穀物飼料をベースにスタートし、その前提から様々な規格や価格体系、品質などがひとつの“常識”として消費者の間に認知されてきた。今回の事例報告で気付いたのは、その“輸入穀物飼料”から脱却しようとして大きく立ちはだかるのが、これらの“常識”なのだということだ。

冒頭のあいさつに立つRadix理事、
会田共同養鶏組合の中島学さん
DSC_4825 卵については、トウモロコシの代わりに米を与えると黄身の色が白くなってしまう、豚肉に米を与えすぎると肉のシマリが悪くなるなど、生産者は輸入のトウモロコシで生産された畜産物が“正しい”と前提しなければならない現実を抱えている。デントコーンサイレージを主体とした国産100%の肉牛生産を進めている北十勝ファームの上田金穂さんなど、「国産飼料原料でも輸入にひけを取らない肉質を実現」とこれまでの試行錯誤、研究研鑽の成果を語られていた。

共通する課題は、価格もあるが、安定して入手できてきたトウモロコシを前提とした製品の品質との葛藤である。

そして、飼料を国産でまかなうことを前提に見えてくる、本来の日本の畜産は、風景としてそこに必ず、田んぼや牧草地、飼料生産の畑が広く広く拡がっていることだろうし、地域での畑作農家との連携作業のなかから、家畜小屋だけではない、畑や田んぼで額に汗する生産者とのつながりも連綿と生まれていることだろう。
そのような風景から生み出される畜産物は、きっと輸入の飼料体系から導き出された規格とはまた違う、独自の、すなわち日本の畜産ならではの規格の体系化がなされていることだろう。そのような姿になって初めて、ムリのない、継続的な国内生産が可能になるのではと思えた。

こう考えると、食べ物の向こう側が美しく結ばれている、そんな日本型の畜産をかたちにする試行錯誤を、らでぃっしゅぼーやと共に進める、歴史の現在進行形の原型、それが今回の畜産合同会議の意義ではなかったかと思われた。

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会議後半の畜種別分科会。まとめ役はRadix理事、中津ミートの松下憲司さん

◆活動を膨らましていこう!

それを、販売の側、消費者の側から見て、生産のあり方の実際としての方向の大枠を示したのが、らでぃっしゅぼーやからの発表だった。食品課長として、畜産のみならず水産、加工食品全体の統括責任者をしている上原篤志の報告だ。上原は冒頭、昨年のらでぃっしゅぼーやの業績等の報告を行なった。

その中で(検証が済んだわけではないとしつつ)畜産品カテゴリーの成果が上向いており、業績に貢献していることが報告された。これを前提として上原は、慎重に言葉を選びつつも、2009年の畜産活動について「飼料の外部依存から脱却する方法を継続して模索していく」と宣言。そしてDSC_4909、輸入飼料の高騰より、むしろお客様としてのらでぃっしゅぼーや会員の皆さんに提供する畜産品の供給不安定化が問題として、会員さんへの責務としての「供給の安定化」を図ろう!と呼びかけた。


らでぃっしゅぼーやMD部食品課長の上原篤志

  「畜種、地域ごとの生産者の活動を“見える化”していく」という。
これには様々な意味合いもあるが、骨子は、日本の畜産物の本来の姿を消費者に理解していただけないことには、適正な価格や必要な施策への理解も得られないということと捉えたい。食べ物の向こう側にある風景。消費者の皆さんに知っていただくこととセットで歩みを進めないことには、いくら高邁な理念を掲げたところで画餅に帰すとの戒めでもあるだろう。
「皆さんのお話を聴いていて、情報の重みをつくづく感じる。Radixの会を通じて、伝えることも含めて、活動を膨らませていきたい」と話す上原を、生産者の皆さんに、ぜひ盛り立ててほしいと願う。

◆畜種をこえて集まろう!

畜種個別には様々課題もある。らでぃっしゅぼーやの報告後の分科会(4畜種。豚・鶏肉鶏卵・肉牛・乳牛)は予定時間を過ぎても終わる兆しもなく、各所で真剣な議論が進んだように思う。それぞれの現状、思いを話し、意見を戦わせて、最終的には全体をRadix畜産役員会にて預かるとして、会議の行程を終了。分科会全体のまとめ役、Radixの会畜産理事、中津ミート代表の松下憲司さんから、全体の総括と以下の提案が行なわれた……

今回の会議で、皆さんの課題はしっかりと話された。畜産の課題はまだまだ大きい。しかし個別に悩むだけでなく、エサのこと地域のことなど共通の課題もある。今年をスタート地点として、畜種をこえた定期的な集まりの場を生み出そう!
業種をこえて、豚、牛、鶏それぞれが、それぞれを学ぶ研修、時に有識者を招いての勉強会、らでぃっしゅぼーやとの販売課題の共有と改善、何よりお互いがお互いをより良く知る、そして我々生産者がお付き合いを続けているらでぃっしゅぼーや“らしさ”を共有する場だ。
場所は産地持ち回りということにして、最初の開催場所を長野県松本の、会田共同養鶏組合さんとした。

 ……畜種をこえて集まろう! 力強い提案が、満場一致の拍手をもって承認された。2009Radixの会畜産部会は、しっかりとスタートを切った。大成功である。6月6日、長野県松本市、旧四賀村(会田共同養鶏組合)に集まりましょう! あらためてご案内します。


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