農産畜産Blog

【01 農産会員情報】

2008-11-13

さんぶ野菜ネットワーク20周年

千葉県山武市の生産者団体さんぶ野菜ネットワークの母体、JA山武郡市有機部会の設立20周年のイベントに、事務局長と参加した。折からの低気圧であいにくの雨模様、肌寒い天気ではあったが、参加者はらでぃっしゅぼーやの会員さんはじめ団体が日頃お世話になっている生協さんを含めてなんと300名を越えた。

R0120263 なんか成田闘争のような集合舞台(?)は、イベントを象徴する写真ではありませ~んので。あいさつもそこそこに、ここから田園ウォーキングがスタート…

これまで●周年とか銘打てば、あぁどっかのホテルで、お歴々の長~い挨拶から始まる宴会と相場は決まっていた(?)気がするが、今回は違った。

開始時間は午前10時。
「みなさ~ん。今日は足元の悪いなか、さんぶまで来ていただいてありがとうございま~す。云々」とあいさつもそこそこ、8班に分かれてスタートしたのは田園オリエンテーリング。片道約2.5kmの野道、畑の畦道散歩。なだらかに続く丘陵の畑、小川に沿って田んぼ、こんもり点在する森、縫うようにくねくね続く小道。房総半島の北、成田空港の南に位置する千葉県山武は、それはのどかな農村地帯だ。 (タケウチ)

こんなに都会から近いのに「だっぺよ~」「こりゃいいべぇ~」と方言も飛び交う、何というか癒しの空間。近年はサラリーマン家庭も増え、それらしき建売住宅も目に付くようになったが、その「なごみ系」ランドスケープはいまだ衰えず。

「やあ、後藤さん竹内さん、久しぶりだネェ~」「元気だったかい」と自ら受付に立つ代表の雲地康夫さん、のっけからあいさつされると、こわばり気味の顔が一気にほころんで、回りを見渡すとみんな笑顔な感じがしてしまう(密かにネクタイをはずす)。

今回の参加はらでぃっしゅぼーやから森崎課長、野島、そして大阪出身期待の農産新人・高平くん。さすが20周年で、もともと大地を守る会さんとの取組から始まったこともあり、そちらの方々も多く顔を見せていた。ともあれ、先輩後輩関係なく、老いも若きも「みなさ~ん、班の番号のついた旗の下にいるイイ男がリーダーさんですから、ついていってくださいよ~」と導かれ、会員さんたち、消費者の皆さんたちと散策へと出発した。

 R0120273右は有機部会創設の立役者、下山久信さん。左は現有機部会長の富谷亜喜博さん。根っからの山武有機部会人間。

散歩の道々生産者とのんびり話す心地よさ。有機部会の歴史。1988年、農協の支所長を務めていた下山久信さんの呼びかけに応え集まった組合員農家は約30名だったという。今、有機部会の代表をし、有機の生産のみならず啓蒙にもばりばり積極的な富谷亜喜博さん、「有機で無農薬なんてできるんかぃ、って本気で思ってたヨ」と当時を懐かしむ。下山さんも農協の重責を勤め上げ、今は団体の業務は余技とばかり、4,5町歩の畑を切り盛りするお百姓さんに。久しくお会いできなかったが、ひきしまった精悍な顔つきに時代を感じる。

幸い雨も小降り。今日の予定はコースを巡りながら、今が旬の葉つきニンジンとサツマイモの収穫。そうこうしてるとお昼になるので、ちょうどお腹がすいた頃合、へぇ、途中の公民館で山武のお母さんたち、ごはんを用意して待っててくれた(ていうかそういう段取りでした)!

R0120280 こんな感じでサツマイモ収穫体験。8班が時間差スタートだから、順繰りに掘っていくのですね。畑担当のかたはずっとここにいて「ハイいっらっしゃい。一人2株掘ってってね~」と。

軒先に並ぶお料理のおいしかったこと! 里芋の田楽、しいたけの軸のつくだ煮、炊き込みご飯、けんちん汁、お漬物、房総の伝統料理、姿寿司ののり巻きに…とにかく盛りだくさんで、しかもほとんどがここで穫れたものばかり、お母さんたちの手作り。ちょっとばかり寒かった体も、ウォーキングと心温まるお料理でぽかぽかだ。ニンジンのいい香りのするリキュールは試作品で、酒好きと思ってか、だいぶ勧められてしまった(^^; っていうかこのシチュエーション、どこかで出会ったことがある気がしたが…なんだっけか。

※すみませんすみません。おいしいお料理に舌鼓で写真撮るの忘れましたm(_ _)m
代わりにさんぶ野菜ネットワークさんのHPにあるblog「さんぶの風景」(←クリック)。最近更新してないようですが、心温まるエピソードが…

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さて有機部会、一時は60名に増えた今のメンバーは、部会の直販組織として2005年に現在の“さんぶ野菜ネットワーク”としてスタートした時点で40名ほどに減った、というか絞られた。

基本理念として、土壌消毒剤・除草剤の不使用を掲げ、土作りと輪作を重視、消費者と顔の見える関係作りを目指すなどを掲げた実践集団だから、組合員平等を旨とするJAの枠組みでは困難だった、画期的な進化を遂げたと言える。

有機に掲げる熱い熱い、声の大きい下山さんの声に惹かれ(引きずられ?)て、ネットワークに集う40人。40家族、40の農地。ほとんどのメンバーが、この肥沃な北総台地で、先祖代々の土地と、悲喜こもごもの歴史を重ね、土地への思いも強い。有機を云々する以前に、どうやってこの土地を継承していくかは、大きな課題だったと言ったら怒られるだろうか。

その有機部会の栽培面積と販売高は格段に増えてきたそうだ。20年、精鋭の皆さんが、あと10年、もう10年と“有機”という誇らしくも重たい看板を背負って、面積を増やしてがんばってきた。だから明るい。

北総台地はにんじんや里芋、すいか、落花生など特産品の多い土地柄だから、作物優先で土は疲弊しやすい。そんな現実に土作り、輪作。だから少量多品目を掲げる。産直、顔の見える関係が大切だからと、野菜単品の価値も大切だが、山武の農業、生産者と消費者の信頼関係を、真剣に考えて行動する。こうしたすべてを、40の家族が集まって、大切なことだよと、みんなで考えをひとつにしている。なかなかできることではないと思う。

ここでは生産者個々、品目個々の優劣より、全体としてどういう価値を後世に残すかでまとまっている気がする。その価値とは、山武の豊かな土地であり、家族であり、みんなが納得する農業の姿であるような気がする。決して先を急がず、この土地での、農家としての暮らしのありようを模索しているのだ。このどっしりとした、じわじわ温まっていく光……

R0120284 もっとかっこよく撮りたかったんですがウデが未熟で。もやに包まれしっとり佇む肥沃の大地。森。続く丘…。さんぶはいいところですヨ。

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このイベントはどうして思いついたんですかと聞くと、「感謝しなきゃなんねぇっぺよ」「らでぃっしゅさんとか、みんな、普段からお世話になってるよぉ。何にもないけど、こんなんがいいかな、って思ってね」…。心に引っかかった田園オリエンテーリング、公民館でお母さんが「ブラよ、ブラのやつだよ、知ってますか」と問われピンと来た。この情景は、イタリアスローフード協会の、CITTA DE SLOW、食べ歩きイベントの趣向だった。

ブラとは、イタリアのピエモンテ州クネオ県ブラ。協会本部のある小さな田舎町のことだった。ワイングラスの納まる布袋を胸に下げ、歩く道すがら町の伝統料理をひと口ずつ、アペリティフからプリモ、セコンドと最後はデザートまで食べ飲み歩く。ほろ酔い加減、同時に土地の伝統音楽や建築、農家の皆さん、道行く人との会話も弾み、心からその土地のファンになってしまうころに夕日が傾く。

※4年前にRadixで視察したときのイタリアのお祭りの写真あったんですが見つからず。今度見つけて載せておきます。

CITTA de Slow。ああ、山武のお母さんたちも、知っていたんだ。ふだんバリバリの森崎課長も小学生の娘さんと手をつないでのどかである。このほぐれるような安心感、凝りがほぐれるというか、なんと山武にしっくりくる趣向だったろうか(悠長だったのはボクだけ?(^^;

イベントは最後まで晴天とは行かなかったが、山武という場所のあたたかい、朴訥な人柄、土地柄、というかさんぶ野菜ネットワークの皆さんの心づくしに浸った半日となりました。この山武の皆さん、山武に関わる様々な方々の、真ごころのこもったコトバたちが、20周年の冊子にまとめられています。山武のみなさん、ありがとうございます。これからも私たちをよろしくおねがいします!


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