« 前の記事 | 農産畜産ブログトップ | 次の記事 »
【01 農産活動報告】
2008-08-13
7月24日 小祝塾2008関西果実 奈良編
【1】 奈良県
開催日時 2008年7月24日(木)1時より
集合場所 奈良産直センター 堂本さんほ場
内 容 イチゴとミニトマトの巡回と座学講習
参加人数 24名
小祝塾奈良編ではイチゴとミニトマトを巡回。ミニトマトの圃場は設備がトマトの生育に的確な設備で、小祝氏も驚きの声が。イチゴはシーズン+一ヶ月が強みの奈良産直センターさんのイチゴの品質をさらにあげる秘策を小祝氏が提案。
夏真っ盛りに関西地方へ勉強会に出席してきました。
今回はフルーツだったので、「関西果実」という名称にさせていただいてます。
ミニトマト
---------------------------------------------------------------
どうやら、見当違いでした! 正解はミニトマトのための環境つくり、設営がよいそうです。ぼくが視察した生産者ではこれまでトマトの生産者が多く、ミニトマトはあまり目にしてなかったので堂本氏のほ場がいかにも変わったスタイルに見えました。
この地域は水田が多く、ミニトマトのほかシソなどが水田に囲まれた一角を畑作転換し野菜の栽培をしています。そういう現地の事情もあるのか、堂本氏のほ場は水耕栽培的な畑作です。
見た目としては、水田に畝を作るために盛り土したようになってます。
畝の間は水が充分にあり、水抜きをできるように排水もしっかりしています。
雨があたらないように上だけビニール天井がありました。実は、生産者さんたちのトマトを見るたびに思うのですが、下の葉はワックス分があってピカピカだけど、中間ぐらいから葉にテカリがなくなってるのを良く見ます。
ワックス分は、「成長の脂身」みたいなものなので、中間の葉でもうテカリが無いということはトマトって食欲旺盛に生長するため多量・微量要素を消耗するようです。
うどんこ病対策
カビなど菌への対策として、ナットウ菌を散布することで病原菌が来る前に場所取りさせてしまおうというものです。 1反当り1パックをミキサーし、砂糖を加え、水20リットルに培養して葉面散布すると効果がみられるそうです。(こういう、横着そうなワザが大好きなのでやってみたい)
葉のしおれ対策
抜いて根の確認まではしませんでしたが、おそらく鉄分の不足により根の主根が短く伸びているため多量・微量要素や水などを吸収することができず、地上部の身体の大きさに見合う吸収ができていないので、鉄分を補給すれば、葉のしおれもなくなり、長く取れるミニトマトになるようです。
イチゴ
------------------------------------------------------------------
堂本氏のイチゴは、らでぃっしゅぼーや側から1月から5月まで長期間出荷されます。 普通、イチゴは3月で終了となるのですが、堂本氏のイチゴは4月と5月と長期間出荷可能で、商品価値の高いものとなってます。
問題は、4月、5月の収穫となる五番果の形が悪いものが増えていくので、それらの対処法をこの勉強会で考えたいということでした。 7月の段階では育苗中で、さっそく苗を見せてもらうことに。
見た目では、葉が大きいけどちょっと葉先が枯れてるように見えました。 イチゴというものはランナーで伸び点々で増え、弱点としてはウイルスにやられやすいと言う、うろ覚の知識しかないのです。
小祝氏、イチゴの種苗ハウスに入るなりイチゴの鉢を引き出して、根を確認。(すばやい!)
根の色が赤茶けていました…。(窒素肥やけかな?)堂本氏によると、イチゴのポットには堆肥が20%ほど入ってるとか。 普通は有機分3%なのですごく多いことになります。
有機物の分解について
堆肥は微生物によって発酵させて植物が吸収できる液状化まで分解させます。
微生物も生きているので発酵作業中に呼吸してます。
有機分が多いとそれだけ微生物が酸素を必要とするため、植物に必要な酸素まで使ってしまい、植物が貧血を起こすことがあります。
さらに鉢の上には玉肥というミネラルを補給してくれる肥料もありましたが、小祝氏の見立てでは「玉肥を撤去するかも考えどころ」らしいです。 それだけ鉢の中に有機分が多く分解中でもあるので、鉢の中での生育時期が終わったあとになって肥効がでそうな状態です。
有機物の量は、炒って水分を蒸発させて軽くしてから焦がし、残ったモノで有機物がどのぐいらいあるかわかります。
※交流ブログで島田先輩がスティックブロッコリーを育ててますが、まさにコレになりました。(根が茶けた色に!) 成田先輩が、肥料を入れず、土壌も有機分を洗い流しさったものへ植え方ところ、見事に復活。 ぐんぐん大きくなってます。
小祝氏が持ち込み器具で、光合成がしっかり行われてるかも確認。
実は、本来は光合成を計測するという機器ではないのですが、光合成も割り出すことができるようです。
(富士平工業株式会社さんの「鮮度アシスト」という機器で、野菜の鮮度を指数値化できるもの) 
イチゴの場合70%を最低確保して欲しいらしいので、ぎりぎり足りません。 (できれば100%いっぱい欲しいんでしょういけど) 成長には光合成が欠かせないので(病気にも強くなりますし)、ここはなんとか一工夫して補う必要があるのでしょうか。
余談なんですが、 小祝塾では、植物の成長に必要な炭水化物の工場が「光合成」なのでその大切さに何度も触れています。植物は光合成しようと葉数を出しますが、成長の仕方が悪いと葉数がどんなにあっても、光合成の効率も悪いままになります。
ということは、定点観測するときに、この機器で葉ごとの数値が予測できるなら、どういった成長をさせると光合成をもっとも効率よく行なえるかということも割り出せるのではないのか?
植物には、生殖成長と栄養(窒素)成長があり、窒素での成長は徒長するし病害虫にも弱いのでなるたけ抑えて、肥料の肥効タイミングの確認ができれば、より正確な施肥設計ができるのじゃないかなと思うのですがどうなんでしょうか。
イチゴ五番果の対策
イチゴは、一番果・二番果までが良く、三番果・四番果になると息切れしてきて、五番果になると形がデコボコになるということでした。 「これはなぜ? どうすればいいのか?」あと、全体的に色も薄めという問題もあるそうです。
小祝氏の対策案は、五番果の形状については、細胞が均等ではないため。つまり養分のバランスが悪いために発生。 色の薄さについては鉄分で赤色をつくるため、鉄分が不足してるということ。これはミニトマトの赤も一緒。JAS規格に拘らないのであれば、クエン酸を水に5%投入した液肥をつくり、水溶性の鉄分を加えて散布すると効果があるとのこと。 食酢でも代用可能だけど、コストは高くなります。(さすが食用)
また、果肉のやわらかいイチゴの形状維持については、フルーチェという牛乳をつかったデザートのベタベタな成分(ペクチン酸+Ca)がヒント。
ペクチン+ホウソによって、弾力性ある接着剤のような植物繊維が形成され、輸送でも崩れにくいイチゴになります。
また今回の勉強会で、ポット用の土壌の袋に、「ミネラル豊富」というフレコミでしたが、小祝氏が「多量・微量要素の種類が多いかもしれないけど、どれがどのぐらいの量を入ってるかはわからない」ため、自分で計測でもしないかぎり施肥設計が難しいものになる、ということでした。
なるほど。ジュースみたいなものでしょうか。 「果汁10%未満とは、9.9%でも0.01%でも当てはまるけど、実際いくら?」という。
施肥設計は、ミネラル優先で窒素の計算を。肥効もミネラル先行の窒素あと効きで。
という図式で、説明されてました。
逆に窒素成長をした場合、細胞が増殖し草丈が伸びて見た目には分りやすいですが、やわらかいため食害を受けやすく病気にも軟弱で、果実のほうは実りが悪かったり、味が水っぽくなります。
病害虫に弱く、成りも悪いのでは、天候一つビクビクしちゃいますし困ったことになります。
ミネラル先行の場合、根はFeによって主根が深く広く伸びきり、広い範囲で窒素やミネラル養分を吸い、深い部分で水分を吸い上げることができるので、どんどん成長できます。
葉のほうでも充分な葉数を光合成を効率よくできるよう展開し、MgやMnを使い効率よく光合成で炭水化物を作り上げます。
また、ホウソで果肉に弾力を、Feで果肉に赤みを作るのは今回の勉強内容でした。
問題は、ほとんどのミネラル要素は高価であり、数量自体も日本国内の陸地で手に入るものは限られているということですが。 鉄って、機械の錆びた物でいけると勘違いしやすいですが、必要なのはレバーとかホウレンソウとかマグロの赤身に入ってる方の鉄分ですよ。実は、堂本氏の奥さんが非常に熱心な生産者で、小祝塾が終わったあと「次には見違えるイチゴを作っているから、また見に来て欲しい!」
(意訳)とある意味、小祝氏にリベンジというか挑戦状を申し込んでました。
たしか、農産課の担当者から最近ドクターソイルで分析を始めた生産者という紹介だったのですが、しっかり成長させようと堆肥を入れすぎたなどはありましたが、ミネラル設計も組んでいて、構今回の結難しい小祝塾の内容をしっかり学んでいたようですから、次回が本当に楽しみです。
きっと小祝氏が「何も言うことないね。ミネラル>窒素でバッチリです」とニッコリしてる姿が次回に…。
カリノタカユキ
« 前の記事 | 農産畜産ブログトップ | 次の記事 »



