« 前の記事 | 農産畜産ブログトップ | 次の記事 »
【01 農産活動報告】
2008-07-31
7月14日 小祝塾2008北海道野菜 富良野地方編
二日目 富良野地方
開催日時 2008年7月14日(月)9時より17時まで
集合場所 なかふらのすりーしーず 太田氏ほ場
参加人数 19名
小祝塾富良野編は、少し曇り模様のなか開催されました。
同じ北海道でも地域が変わり、十勝編の品種はズッキーニやアスパラなどが栽培されています。
今回は、数多くの圃場を巡回しました。失敗談や裏話など交えつつそこからどう対策していったかという変化のわかりやすい勉強会となりました。
■なかふらのすりーしーず
1.徳弘氏、2.布施氏、3.太田氏、4.長田氏(各圃場)
■NOF.麓郷生産組合
5.菅野氏、6.白井氏(各圃場)
本日のお昼は気温28度もありました。とても日差しの暑い日でした。
北海道は日照はきちんとあるんですよ。シベリア気候、北極気候のうんと冷えた風が流れているだけで。
この日、富良野地方の小祝塾の参加者にらでぃっしゅぼーやからの出席者はありません。そして、Radixの会からは狩野という生産者後継者の研修生が一人。これはいろいろと話を聞けるに違いない!!と、期待を膨らませながら開催させていただきました。
■「なかふらのすりーしーず」
----------------------------------------------------------------------------------
1.徳弘氏圃場
----------------------------------------------------------------------------------
今は鉄骨が値上がりしていて、木材のほうが安上がりに建築できるそうです。数年後、ペンキ塗りなどメンテナンスが大変になりそうですけど。
木目なのが格好良い!
値段をみると、機械収納とか目的別に建築していけそうです。
ほ場視察のまえに、使用した肥料の中で、「これを使ってみたけど、どうですか?」という生産者さんからの質問が。小祝氏が「これは狩野君も知ってる鶏糞だね」と一言。
狩野「ぅ・・・Σ(@△@)(鶏糞なんて東北小祝塾で見せてもらったぐらいでさっぱりなんですが)」
確認したところ実際に東北小祝塾でみた鶏糞の一つでした。
---------------------------------------------------------------------------------
2.布施氏圃場
---------------------------------------------------------------------------------
布施氏の圃場では、タマネギとニンジンが栽培されている場所を視察。
ここでも問題は、「小バエ」でした! 誰も何も言わなくても原因はわかってしまいました。
実はほ場の入り口に堆肥舎があり、生の堆肥の匂いがぷんぷんだったもので!!
(生産者の後ろにあるのが堆肥舎。かなりの匂いでした)
農業に関わる者として堆肥の材料である糞尿とは付き合わねばならぬのですが、実は実家で動物の糞を扱わなかったのもあり匂いに耐性がなく、鼻を止めて口で息をしてないと耐えれないです。
(そしらぬ顔で実はメロメロになってることは、関係者には秘密でお願いします)
…ということで、前述した「小ハエはアンモニアの匂いでやってくる」という図式がここにも!
(正確には、人間がアンモニア臭を知覚して、害虫はアルコール・ガスに誘引されてますが)
布施氏によると、堆肥舎をつくることはつくったが、そこから手をかける時間がないそうです。
エアレーションのパイプは通したが換気扇はなく、切り返しのための手を回せないという状態。
(このときの説明が如何にも生産者らしい口調で、弱点を突付かれるとどんどん言い負けちゃいそうな気配が、自分の父親を眺めているような気分に!)
ともかく、堆肥の量自体は大量にあり、これをきちんと切り返しをした中熟堆肥にできれば、低コストで高品質!多収穫を実践できて周囲にも堆肥が受け入れらる端緒となりそうなのですが。
小祝氏も社員や生徒を研修目的として派遣し、布施氏の堆肥舎を完成させる手伝いをして経験としたい、とのことでした。
見張り番 兼
堆肥原料調達要員 兼
農作業の疲れの癒し(?)係り。
ポニー君。見張り頑張ってました!
(ボクは警戒された)
セットで犬もいたのですが、尻尾ふりまくりではしゃいでいて、まったく見張り番してません。害獣になる鹿がきても喜んでいそうですよ。
北海道では、堆肥舎というものが後発でまったく普及してません。原因は何故なんでしょうか?
ボクは勝手に、北海道は周りが海に囲まれているため、魚の肥料や、貝の石灰分、カニのキトサンなど、堆肥がなくても豊かな海洋資源で作物の栽培が可能だったから普及してない、と思ってます。
しかし、農業資材が185%値上がりをしてる現状では、少しでもコストカットする意味でも堆肥舎設備を整えることで安上がりな肥培管理ができるようになります。それに、分解の遅い肥料やミネラルも堆肥の中にいる微生物によって発酵させ植物が充分吸収できる分解度までコントロールできるようになりますし、施肥するときの作業も堆肥に全て混入していれば一括して作業できることになります。
本州では圧倒的な生産者数が堆肥を活用してますし、温暖化で気候が本州化してることに加えて毎年違うパターンで発生している異常気象もある北海道になってます。今後は、参考としてでも本州の農業生産を知っておく必要があると思います。(ちょうど勉強してるボクが言うのも何ですが!)
そういう意味もあって、布施氏の堆肥舎が完成して「堆肥は必要」という認識がいち早く広がれば今後の世情変化や環境変化に対応する手段になりうるのではないでしょうか?
----------------------------------------------------------------------------------------
3.太田氏圃場
----------------------------------------------------------------------------------------
・ニンジン圃場の視察
「どうじゃぁぁぁぁ」とニンジンを抜いて掲げてるように見える太田氏。(そんなことは言ってません)
とにかく見ごたえのある、大ぶりのニンジンです。
このニンジンも、実は過去の失敗から学び、その対策がこの結果を生み出されています。
その経験を生かしたのか「これでもか!」ってぐらいの散水設備。
この張り巡らされた散水設備。 ニンジン圃場のとなりはタマネギ圃場なんですが、共にホース官が張りめぐってます。これによって水不足になっても散水できます。小祝塾で何度も繰り返されてるように、水は肥料です。根が水を吸収するほど光合成もでき、炭水化物へと作り変えていきます。
タマネギもニンジンも大きいし、被害になりそうな病害虫もついてないしで、なんていい野菜たち。 羨ましいを通り越して呆然と眺めてました。
・次に研修生が栽培担当しているというナスビを見学。
太田氏は、多くの研修生を受け入れていて、ハウスを一つ受け持つ研修生もいるようです。
これだけ敷地だけでもかなり広く、設備も充実しているのはなかなかない気がします。
肝心のナスビですが、小祝氏は見ただけで鉄分不足とわかり、土は充分保水してるのに水不足になっているナスビは主根がなく根が地表近くにあるからと指摘していました。
ナスビというものは普通の野菜よりも栄養を取るので多量・微量要素も含め肥料がたっぷり必要とのこと。 
不思議だったのが栽培用のピーマン栽培ハウスにシャッターがついていたことでしょうか。 元々、残土をおいて置く予定のハウスや、機械を置いておく予定のハウスだったそうで、シャッターを付けていたそうです。
小祝氏に言わせると、「シャッターもいいけど、その上に熱風と湿度を抜く場所が欲しいね」とのことでした。
-------------------------------------------------------------------------
昼食のため一旦休憩!
そういえば勉強会の開催地域によってお昼の取り方が違いますね。
11日の十勝地方でもお弁当を取っていてそれが普通かと思ったのですが、富良野では「各自飯屋へ。ただしまとまっていくと時間がかかるので分散して」ということでした。
実は来る途中に「トマトソースのパスタのお店」というのが気になっていたので、こそこそと一人でいってきました。 美味しかったです!
見た目にも綺麗なログハウスで、パスタも美しい!(しかし写真を人前で撮る勇気はなかった)
-----------------------------------------------------------------------------
-----------------------------------------------------------------------------------
4.長田氏圃場
-----------------------------------------------------------------------------------
トマトを主体とする生産者、長田氏の圃場を視察しました。太田氏圃場のシャッター付きのハウスで指摘されたハウス上部に換気が設備されてあり、中は暑いことは暑いけど、苦しいほどでもなく作業もできる環境でした。もちろんトマトを見ながら小祝氏の講義を聴いてられました。
長田氏によると、トマトは桃太郎の大玉を育てていて、今回しりぐされが出てきたのが悩み。
このハウスのトマトはJAS認証をとっていて、調子がJASでは認められていないいくつかのミネラル資材が使えなかったため、トマトの木の具合が不調でどうしたものかという悩みを抱えていました。
小祝氏が確認すると、トマトの木を上下で3分割して見ると、
@上部
光合成ができていない・鉄欠乏がみられる・葉にテカリが無い。
@中部
葉にワックスが無くなりかけテカリが悪い。
@下部
葉にテカリが充分にある・多量・微量要素が有る。
この大きさではわからないので、下部の拡大写真を見てください。
葉が光を反射しているのがわかると思います。他にも葉が反り返っていたり(窒素過多ぎみ?)、
黄色い色落ちの斑点が見つけられると思います。
これは、(下部)最初は多量・微量要素が充分だったが、(中部)次第に多量・微量要素などを消耗し、(上部)現在葉を付けている場所には鉄欠乏により栄養のあるところまで根を伸ばせないため微量要素欠乏を起こしている。また、トマトの葉の色が悪いときの目安として、上部 微量要素不足(不足)、下部 多量要素(過剰)かどうかを観察することができます。
今回の鉄欠乏については、鉄成分の粉の資材を食用酢などに10倍から100倍に溶かして効かせれば効果があるとのことでした。 ただし、JAS認証で使える鉄成分の資材は水にとけにくいので、できるかどうかはわからないが、効果さえあれば今すぐにでも回復していきます。
うーん。いつも思うのですが、小祝氏は畑のお医者さんですよね。あとは如何に生産者がどう活かしていくかということでしょうか。
ここでは、後継者となる息子さんも別の場所にトマトを栽培していて、丈夫にすくすくと育ってるそうです。 将来も有望な生産団体に!ですね。
もう一つ、ニンニクを栽培していたそうですが、農協にすべて売ったようです。 すでに茎上しか残っていませんでしたが、茎が太くて、ニンニク自体は重量感あるおいしそうなのが実っていそうでした。
北軽井沢有機ファミリーさんでも栽培してましたし、ニンニクもらでぃっしゅぼーやと取引されないかな…。
■「NOF.麓郷生産組合」
----------------------------------------------------------------------------------------
5.菅野氏圃場
----------------------------------------------------------------------------------------
Radixの会 農産Webのトップページ写真でもある菅野氏のほ場に到着。
残念ながら曇り気味で写真ぴったりとはいきませんでした。
準高原地帯というところなのか標高300mもあるそうです。
タマネギ畑では、「小バエ」の被害があったそうです。
おそらく豚糞肥料からアンモニア臭もしていたので、成分が溶け出してから害虫被害が散発的に出ていたようですが、今年は雨天もありつい最近の雨と散水設備による冠水で肥効も落ち着いたのか害虫被害も一応は落ち着いたそうです。
実は去年の北海道のタマネギは全体的に芯腐れが多く、うちの実家でも年を越えると全て腐ってるんじゃないかという悲惨な状態だったんです。そういう経緯もあってか、菅野氏はEM菌でタマネギの首部からはいるカビを抑える対策をしてるそうです。
ほかの悩みとして、ヨトウ虫(野菜を貪欲に食べ尽くす芋虫)やスリップス(小さい虫で刺して養分を吸う)が出てきているとか。
虫が寄ってきて食害するということで、セルロースを作らせて硬くし美味しい匂いを出さないことが思い浮かんだのですが、小祝氏からはもう一つ対策が提案されました。
ニガリ
トウフを凝固させる成分で、海の塩から抽出されるやつですよね。
マグネシウム分が豊富なことで有名ですが、ほかに含まれている塩素によって殺菌と虫が嫌う効果にもなるとか。 また、細胞を硬くするので食害を受けにくくするそうです。
ただし、トマトなど果実系だと「ガリっ」という食感の硬いモノになってしまうので散布使用するには品目を選ぶ必要があるそうです。
どういうものがいいのか聞いてみました!
狩野「ジャガイモに使ってもいいですか!」
小祝「うん、効果あるね」
狩野「ニンジンに使ってもいいですか!」
小祝「うん、効果あるね。パキパキだね」
良いようです! (ガリガリに実が硬くなりますが・・・)
価格帯はばらばらですが、目安ニガリ20ℓで二万円ぐらいでしょうか。
菅野氏のほ場では、タマネギに雑草をはやさないために、 「緑肥→タマネギ→緑肥→タマネギ→緑肥」 と繰り返すことで随分雑草が減ったそうです。実家が雑草畑なもので、うらやましいです!
忘れてましたが、「乳酸菌」というのは発芽促進効果があり、すぐに種として使いたいニンニクなどは収穫すると休眠活動に入ってしまうので発芽促進させるのですが、「乳酸菌」を秋に畑に散布することで雑草が発芽。寒い冬が到来し枯れてしまうため、除草効果があるそうです。 これは試す価値ありですね!
次に、ジャガイモほ場へ。
山の谷間ですごいところにあって、ジャガイモは小ぢんまりと株数もすくなかったのですが!掘ってみると充分な個数と大きさのジャガイモが掘り出されてきました。 上を見ただけじゃ下はわからないんですね。 しかし、そこには害獣のシカの足跡が点々と…。 菅野氏曰く「遊びに来て食べるどころか、寝ていく奴までいる」とのこと。 なんという害獣安全地帯。山森に囲まれた圃場は狙われやすいとはいえ、「ちょっと脅かしてあげたほうがいいような」と言ってみると、一晩警戒して突っ立ってたこともあったようです。
そして、監視していたはずが実は鹿に監視されていて、それを寝そべりながら眺めている鹿がいたようですが…。うーん。見てみたいです。観光気分な意味で、ですけど。
----------------------------------------------------------------------------------------
6.菅野氏圃場
----------------------------------------------------------------------------------------
実は、前日の11日に出席されていたフルタイムファームの市川夫妻が富良野にも出席され、その目的はアスパラ勉強。市川氏はアスパラを生産していて近場の十勝を見学に来ていたのですが、「14日は富良野でアスパラ視察もするけど来る?」という菅野さんの誘いもあって午後から同行していました。
そしてさっそくのアスパラほ場だったのですが。
ここの土壌、凄いです。現場では気が引けて一言も言えなかったのですが、川砂と山砂利の土というんでしょうか。握りこぶしほどの石がこれでもか!ってほど石まみれの土壌です。
どうしてこんな土地で農業してるのか理解できず、聞いてみたい欲求があったのですが、なぜか聞けませんでした。
それほどすごい環境なのですが、アスパラは施肥設計が充分できてることもあってか、「太いアスパラしか取れない」そうです。
太いのがわかる写真がありません…。男性の親指2本分。直径で4cm、サイズで3Lということです。
出荷規格として「Lサイズ」が標準規格として考えるとめちゃくちゃな太さです。
アスパラでステーキできちゃいますよ…。
市川氏の生産しているアスパラのサイズを聞くと、M~Lとか。やっぱり太い。白井氏がいうには、アスパラは鉄分がしっかり入っていれば、太いサイズで多収穫できるそうです。 他に、最近追肥としてカルシウム分とマグネシウム分を不足分追加したとのことでした。
以前とくらべて下部の枝払いをして整理するようになり、茎がピンと立ちあがり、葉先も枯れず、色艶も良くなり収穫しやすくなったそうです。ホウレン草も巡回したのですが、夏場のホウレンソウは人気が高いらしく、仕入れ契約しにくる人が絶えず訪れるようです。
ホウレン草も以前は背丈が高かったそうですが、最近は多量・微量要素を含めた施肥設計をするようになって背丈が短くても首元が太く葉数の多いホウレン草が収穫できるようになったとか。(作ってみたくなりますね!)
さて、ここも木造の倉庫やご自宅だったんですが、変なものを発見!
5tコンテナの1/3ほど姿が。残りは倉庫に埋まってる様子??
冷蔵キットを取り付け、貯蔵用にしてるそうです。 外からも中からも取り出し収納できるから便利だとか。 なるほど。
こんな利便性を考えたつくりもできるんですね。 「なんだこりゃ」的な楽しさもあるしいいなー!
最後に公民館で小祝氏に講義をして頂いたんですが、微量要素と微生物を使った話で、これまでの文中に含ませてもらいました。
注目すべき話として、北海道の温暖化でしょうか。
温暖化してきてることは生産者でなくても気がついてますが、小祝氏は感覚的ではなく具体的な事前対策をどんどん進めるべきということでした。資材経費も上昇し本州のように堆肥舎で経費節減を図り、これまで免れていた病害虫(小バエなど)の被害も凶悪になるので備えること、です。
去年だと、稲作だと順調で温暖だったのが、受粉の時期や徒長時期などピンポイントで雨が降り続いたり冷え込んだため、稲藁として形は良いのですが、コメとしては不作という天候任せにはできない気候状態です。
もう一つは、小祝氏が富良野に7月12日からオーガニックアカデミーを開設。
生徒も募集中ですので、興味のある方はどうでしょうか。
正直、地域に一人は小祝氏に次ぐ植物生理に詳しい人がいると心強いですよね。
« 前の記事 | 農産畜産ブログトップ | 次の記事 »


