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【02 畜産活動報告】
2011-12-06
食品・畜産合同セミナー 開催報告
2011年10月22日(土)、前日のトップミーティングに引き続き芝パークホテルにて食品・畜産合同セミナーを開催しました。
今回のセミナーでは、日本トップクラスの獣医師でもある、大井宗孝先生を
お招きして、『NonGMO飼料、口蹄疫の実情と今後、東日本大震災と福島第一原発事故の影響』について盛りだくさんのご講演をいただきました。
(豚インフルエンザについては時間の都合でさわりだけお話いただきました)
※大井先生は養豚農場に獣医衛生・生産性のアドバイスを提供する養豚管理獣医師の
クリニック『豊浦獣医科クリニック』の代表をされています。
豊浦獣医科クリニックでは全国で母豚約25000頭のの診療契約、年間約70000検体の
豚疾病検査を受託されています。
大井先生のお話はとてもわかりやすく、畜産業界がおかれている状況について大変勉強になりました。
まずはセミナーの流れにそって感想を交えながら概要を報告いたします。
1)Non-GMO飼料について
2)口蹄疫の実情と今後
3)東日本大震災と福島第一原発事故の影響
◆Non-GMO飼料について
日本で消費される穀物のなかで一番多いのは何だと思いますか?
主食である『お米!』と言いたいところですが、お米と小麦を足した分よりも
多く消費しているのがトウモロコシ。
最新の数字を交えながらお話をいただいた大井先生も、
『日本はお米(瑞穂)の国ではなくて、トウモロコシの国と言ってもいいかも
しれない』とも。
トウモロコシは世界でもっとも生産量が多い穀物で、その生産量は年間で
約8億トン。(※お米の世界生産量は約4.4億トン)
日本が輸入しているトウモロコシは年間で約1620万トン。(※2010年実績)
輸入先でもっとも多いのがアメリカで輸入量の約90%を占めています。
世界一のトウモロコシ産地アメリカでは、食用・飼料用が42.5%、輸出が15.7%に対して、燃料用エタノールの原料用に32.1%も出荷されています。
(燃料用途がなんと輸出量の倍も!トウモロコシ価格が高騰するわけですね)
ということで、アメリカ産トウモロコシがないと日本の畜産、ひいては日本の
食も成り立たないという現実が厳然と立ちはだかっているわけです。
この現実を直視しつつ、遺伝子組換えの話に入ります。
アメリカでは遺伝子組換えトウモロコシの作付面積の割合が88%(※2011年)になったと報告されています。
反収が高く生産コストの面からも有利であることから、アメリカの生産者は遺伝子組換えトウモロコシを優先的に作付るため年々作付面積が増加しています。(その結果Non-GMOトウモロコシの値段が相対的に高くなります)
日本はアメリカから 年間約1600万トン(飼料用は1170万トン ※2008年)を輸入しているので、相当量の遺伝子組換えトウモロコシが輸入されているといわれています。(詳細は、ウィキペディアの『遺伝子組み換え作物』などをご参照ください)
Non-GMOトウモロコシが高いのは収量・生産コストの面はもちろん、日本に輸入されるまでの手続きが非常に煩雑で書類(証明書)が多いこともコストアップ要因になっています。
大井先生は煩雑な書類の例として以下のような証明書をあげられました。
1.NonGMO証明
2.I/Pハンドリング(分別生産流通管理)証明
3.PHF証明(残留農薬検査結果)
Non-GMO飼料の将来については以下のように予想されるそうです。
・一定の需要がある限り生産は続く
・契約栽培などプレミアムをつけて栽培する傾向が強くなる
・IPハンドリングにより価格が高くなる
・米国でトウモロコシと大豆の非遺伝子組み換え割合は10%を切っているが
量的には十分あるものの価格は高くなっていく
一方、遺伝子組換え穀物の功罪としての功の面を見てみると
・2009年産トウモロコシで2940万t、大豆で970万tの生産量増加がGM作物で
もたらされた
・GM作物が利用されなかった場合
2009年 トウモロコシ・・563万ヘクタール、大豆・・382万ヘクタール
の農地がそれぞれ必要になる(日本の農地は460万ヘクタール)
また、GM作物が導入された1996年以降に不作がない理由のひとつにGM作物の安定した収穫が貢献したともいわれています。厳しい気象条件の中でも害虫などの被害を受けにくいため世界の食糧供給に対する安定の一助となっている現実も知る必要もありそうです。
以上のように、大井先生から畜産物を安定して消費者にお届けする畜産業界としての責任を持ちつつ、 獣医師という立場から科学的な根拠を重視しながら遺伝子組み換え飼料についてのお話いただきました。
◆口蹄疫の実情と今後
2010年宮崎で発生した口蹄疫を事例としつつ牛と豚の口蹄疫の写真を交えながら、口蹄疫の発生農場でどのようなことがおきていたのかをお話いただきました。 (痛々しく辛い映像と写真が続き、二度と起こしてはいけないという気持ちになります)
まず宮崎県の口蹄疫発生事例を時系列順にご説明いただきました。
・4月28日:川南町で豚の口蹄疫発生、豚の発症は国内で初めて
・ ~ :発生頭数が殺処分頭数を上回る、未処分頭数増加!感染爆発!
・5月18日:宮崎県が非常事態宣言発令
・5月22日:ワクチン接種開始(非常に効果あり)
(もし5月連休時に国がワクチン接種を決断していたら ⇒ 被害が1/3程度に
収まった可能性あり)
・7月27日:非常事態宣言を解除
・8月27日:終息宣言
最終的に殺処分されたのが牛・豚・ヤギ・羊すべてあわせて288643頭・・。
そのうち豚が最も多くて174132頭と殺処分の60%を占めたそうです。
大井先生も現場に直行し口蹄疫対策で奔走されました。
その現場で大井先生が感じたこととして、
・現地はとにかく混乱していた
・防疫意識の不足が目立った
・指揮および命令系統(国と現地)、情報伝達が統一されていなかった
・疫学調査の遅れ
・安楽死に関する規定(ガイドライン)がなかった
さらには、埋却地が充分に確保できなかったなどの課題もあったそうです。
口蹄疫がこれほど広がって被害が大きくなったのは何よりも口蹄疫を甘くみていたことが要因であるとのご指摘もいただきました。
また初発とされた発生農場・担当獣医師が犯人扱いされるなど、早期発見・早期通報に障害となるような風潮も問題視されていました。
大井先生曰く、『初発農場・発見獣医師は(被害者で)功労者です!いまのままでは早期発見・早期通報に障害となる』と警鐘をならされていました。
1例目の発生が確認された4月20日の時点ではすくなくとも10農場以上にウイルスが侵入していたと推察されていて、日本への侵入経路の特定は現時点では困難とも。(現在も空港などでの水際対策が不十分)
獣医師として今後の防疫訓練を考えると
「実際にやってみて『何ができなかった』『何に手間取った』を明らかにしておく
ことが重要」とのこと。
口蹄疫についてはまた発生することを前提にして、地域全体、全畜種で防疫意識を高めていく必要がありと強調されました。
最後に宮崎県では畜産再建に向けた新たな動き『新生プロジェクト』が始まっているそうです。(※5月31日現在、復興状況は全体で51%、養豚で30%ほど)
(こちらも参考になります⇒ウィキペディア『2010年日本における口蹄疫の流行』)
◆東日本大震災と福島第一原発事故の影響
東日本大震災では東北の多くの養豚場で地震被害、沿岸部では津波で甚大な被害をうけました。
大井先生の契約先農場も津波を受けて、信じられないような被害を受けました。(上記写真。太い鉄骨でできた豚舎もグニャリ・・)
福島第一原発事故の影響の話では、放射線の基礎的な内容から食品汚染と暫定基準値についても詳しくご説明いただきました。
放射線の影響についてのメカニズムでは遺伝子中の塩基の変化、二量体形成、塩基喪失、一本鎖切断、さらに二本鎖切断などの影響があり、特に遺伝子の二本鎖切断では修復しきれない可能性が高くなるそうです。
(修復が困難な二本鎖切断が放射線障害に大きく関与)
被ばく線量と生物効果では、1mSv~100Sv(=100,000mSv:100%致死線量)
まで各線量での人体に対する影響についてお話をいただきました。
ちなみにチェルノブイリ事故では以下のように報告されています。
0.8-2.0Sv( 800-2000mSv) 140人中死亡者は0人
2.0-4.0Sv(2000-4000mSv) 55人中死亡者は0人
4.0-6.0Sv(4000-6000mSv) 21人中死亡者は8人
その他、下記の内容も詳しいお話をいただきました。
・放射性ヨウ素とセシウム、プルトニウム、ストロンチウムについて
・土壌-植物の移行率や海産物への影響
・放射性物質の食品汚染
・牛肉の放射性物質の汚染
・粗飼料(稲わら、牧草、飼料作物)中の放射性物質
・食品の放射性セシウム基準
等々
安全性の面からは、とにかく内部被ばくを減らすことが大切。
まだまだ予断が許されないですが、今後も最新の情報をもとに冷静に行動していくことが重要とのことです。
(報告:Radix事務局)
【02 畜産活動報告】
2011-08-16
中津ミート豚舎視察レポート
6月28日神奈川県愛川町にある中津ミートさんの豚舎を視察させていただきましたので報告させていただきます。
ウィルスを持ち込まないようにチェーンや看板を使って消毒を呼びかけます。
まずは、中津ミートさんの事務所に入る前に靴を消毒。
事務所で除菌した見学用の服に着替えまた靴を消毒。髪の毛が落ちないよう帽子をかぶります
畜産での脅威はウィルスによる病気だそうです。豚舎のように集団で豚を飼育しているとウィルスの感染拡大が早く、対処することが難しいのです。
去年宮崎を中心に猛威を振るった口蹄疫も凄い早さで感染を広げていきました。あの様な事態を未然に防ぐ為に念入りな消毒が行われているのです。
現在、修復中の豚舎です。右の写真の真ん中にある溝は豚のふんと尿を撤去します。下は深く溝掘られていてここで発生したふんは一箇所に集められて乾燥させられ堆肥になります。尿はふんと分けられて浄化槽へ向かいます。この豚舎が完成すれば中津ミートさんが1ヶ月で出荷できる豚は約1000頭以上になります。
続いて、分娩豚舎です。ひとつの区切りの中には生まれたばかりの子豚や、お乳をあげるために母豚がいます
親の豚が子豚を踏んでしまわないようにするためパイプで柵を作っています。また、出産前後の豚は神経質になるため、柵を作らないと他の豚たちとケンカになってしまうそうです。
子豚に親豚がお乳を与えています。豚は一度の出産で11匹から12匹の子供を産むそうです。豚は年2回、季節を問わず年間を通して繁殖、出産が可能なので一匹の親豚から年間20匹以上の繁殖が可能です。
分娩豚舎内部の気圧を左の換気扇で下げ、分娩豚舎の反対側にあるフィルターを通して外の空気を取り入れます。フィルターは上部から水を流し、室内の温度を下げています。
豚舎で集められたふんはここに集められ、中でかき混ぜられそして乾燥し、堆肥になります。
出来上がった堆肥です。さらさらでにおいはほとんどありません。
出荷される前の豚です。豚たちにストレスをできるだけ与えないよう、スペースにゆとりをもって飼育されています。豚たちの飼料には通常生の穀物を砕いたもの(マッシュ)が使用されますが、中津ミートさんでは穀物を蒸した飼料をペレット状にし、それを更に豚が食べやすいよう細かく粉砕した飼料(クランブル)が使用されています。マッシュの栄養分は約75%ほどしか豚の体内に吸収されませんが、クランブルは約82%豚の体内に吸収されるそうです。またクランブルを与えた豚はマッシュを与えている豚に比べふんがにおわないそうです。
最後になりましたが、中津ミートさんの松下社長、ならびに社員のみなさん忙しい中見学をさせていただきありがとうございました。
【02 畜産活動報告】
2009-06-18
〔02 畜産活動報告】 第4回畜産合同会議 in 四賀 開催報告<ダイジェスト版
近年、畜産飼料用穀物の価格高騰や鶏インフルエンザへの対応など、畜産業界を取り巻く環境は大変厳しいものとなっています。また、2005年に制定された有機畜産JAS認証への対応、non-GMO飼料の代替生産国開発や国産飼料(飼料米)への取り組みなど、今後の畜産業界を考える上で早急かつ継続的に取り組まなくてはならない課題も山積みの状況です。このような背景がある中、長野県松本市四賀地区(旧四賀村)にて第4回・畜産合同会議は開催されました。
本会議には、かつて村長として四賀地区の地域循環型農業実現に尽力された、会田共同養鶏組合の中島理事長を筆頭に、安心・安全を軸とする畜産業の礎を築いてきた、そうそうたるメンバーが集結。四賀地区の視察に始まり、日本農業に各種提言をされている株式会社農林中金総合研究所特別理事・蔦谷栄一氏のセミナー、関係者による原状報告・意見交換などが行われました。ここでは、その様子をかいつまんでご紹介します。
※会議の詳細につきましては報告書を作成し、関係者全員に配布の予定です。
会議参加者以外で報告書(A4版24P予定)をご希望の方は、Radixの会・後藤までご連絡ください。
<会議概要>
◆開催日:2009年6月5日(金)~5日(土)
◆会場:長野県松本市四賀地区(旧四賀村)
◆参加者:65名 ※スタッフ含む
◆主催:Radixの会、らでぃっしゅぼーや株式会社、会田共同養鶏組合![]()
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1-四賀地区(旧四賀村)・視察 ----------------------------------------------------------
本会議の舞台となったのは長野県松本市四賀地区。四賀地区は2005年に松本市に編入されましたが、それ以前より「エコビレッジ四賀」をスローガンに掲げ、有機、地域循環型農業を官民一体となって実践してきた地域です。その取り組みは全国の農村が抱える問題を打破した具体的事例として注目され、視察依頼も後を経ちません。1998年には財団法人あしたの日本を創る協会からふるさとづくり大賞・内閣総理大臣賞を、2004年には農林水産省有識者会議による「立ち上がる農山漁村」に選定されるなど、数々の受賞歴からみても、その先駆性は歴然。本会議のテーマのひとつに、「畜産農家が地域循環型農業の一端として潤滑に機能するために、何をすればいいのか?」という課題もあったことを考えると、まさに四賀地区は今回の舞台にふさわしい地であったといえます。
“ゆうきの里・四賀地区”の取り組みが凝縮された、
JAS認定の畑で、もぎたてキュウリに感動。
最初にお邪魔したのはアルプス自然農場のハウス。四賀地区の地域循環型農業の一端を担う存在です。当日はちょうど初なりキュウリの出荷日。「どうぞ、遠慮なく召し上がってください。除草剤や農薬は使っていませんから、そのままどうそ。」とアルプス自然農場のスタッフさん。そのみずみずしさと濃い味に感嘆の声を上げる人も。キュウリのお供にと味噌も用意されていましたが、むしろ何もつけずにキュウリ本来の味を味わいたいと思わせる出来は、お見事の一言に尽きます。このように、四賀地区で有機農法を実践する農家は決して特別な存在ではありません。駆け足での見学となった水田には当然のように合鴨の小屋があり、忙しく泳ぎ回る合鴨の姿が見られました。聞くと四賀地区で合鴨農法に取り組む農家は49件もあるとのことでした。
キュウリを間近で見ようと、思わずしゃがみ込む人も。
連綿と続く水田には、風にそよぐ苗が並びます。
自分たちが使う堆肥は自分たちで作る。
“ゆうきの里・四賀”を支える、松本市四賀堆肥センター。
松本市四賀堆肥センターは四賀地区の畜産農家などから出される厩肥や生活汚泥を集め、良質な堆肥へと転換するための施設。有機を柱とする四賀地区の農業には必要不可欠な存在です。敷地面積は16,000平米、1日の処理能力は40.5トン、1年に生産できる堆肥の量は3,224トンにもなります。堆積発酵方式で作られる堆肥は、1次発酵に30日、2次発酵に60日、さらに熟成に30~60日、トータルでは120~150日という長い時間を要しますが、土が柔らかくなり、糖度が増しておいしい作物ができるとして、四賀地区の農家だけでなくクラインガルテンの利用者からも愛用されています。厩肥をいかに有効活用するかは、畜産農家なら誰もが気になるところ。質問も次から次へと飛び出していました。ちなみに「福寿有機1号」という商品名で販売されているこの堆肥。長野県堆肥共励会『優秀賞』を2年連続受賞も果たしたというから驚きです。
日本版・滞在型市民農園の先駆けとなった
緑ヶ丘・坊主山クラインガルテンへ。
四賀地区の代表的施設と言えば、滞在型市民農園・クラインガルテン。休憩や宿泊のできる小屋(ラウベ)で過ごしながら、小屋と共に提供される畑で花や野菜の栽培を楽しめるため、自然や農業に興味を持つ層から注目を集めています。四賀地区のクラインガルテンは日本における先駆けとして有名で、現在は坊主山に53区画、緑ヶ丘に78区画があり、募集のたびに応募が殺到するそうです。その人気を支える理由のひとつに、地域住民が利用者に農作業などのアドバイスを行う「田舎の親戚」制度というものがあります。この制度は利用者に好評なだけでなく、地域住民と利用者の交流のきっかけとなり、地区の活性化に一役買っているのだそう。また、花や野菜の栽培は有機農法で行うというルールも。地区外から招き入れた人も、地域循環の中に取り込む仕組みの在りようは、今後の循環型農業を考える上での重要なヒントとなるだろうと予感させるものがありました。
クラインガルテンの説明を行う会田共同養鶏組合の中島理事長。
三角屋根の建物(ラウベ)を拠点に利用者は四賀地区での時間を過ごします。
大型自家配合飼料施設の規模とシステムは圧巻。
non-GMOトウモロコシ配合実演に驚嘆の声も。
視察のトリを飾ったのは、本会議の主催にも名を連ねている会田養鶏共同組合でした。一番の見所はなんといっても、日本でここにしかない大型の自家配合飼料施設。当日は、non-GMOトウモロコシを使った飼料の配合実演も行われるとあって、参加者のテンションも自然と高まっていたようです。降りしきる雨の中、大型トラックの荷台から配合機械へと流し込まれるトウモロコシ。その瞬間を捉えようと、思わず近くへと走りよる参加者も。1976年に開設したこの施設は、100トンサイロ10本を擁し、月産1000トンの稼動にも対応。トウモロコシだけでなく、飼料米の配合も可能です。現在、Radixの会を中心にチャレンジが進んでいる、アジア(ミャンマー)産non-GMOトウモロコシを使った配合飼料のテスト生産も、この施設で行われる予定となっています。
大型トラックから機械に移されるトウモ視察の様子を長野放送さんが取材に来られました。
2-蔦谷栄一氏セミナー 「食と農・畜産の再生戦略」-----------------------------------------
今回の畜産会議の目玉企画であったのが、株式会社農林中金総合研究所・特別理事である蔦谷栄一氏のセミナーです。講演のテーマは「食と農・畜産の再生戦略」。蔦谷氏は持続的循環型地域社会形成論、特に環境保全型農業、都市農業、地域資源といった分野を専門に執筆や各地での講演活動を精力的に展開。国内・海外問わず農業の現場に積極的に赴く、自らの手で自然農園を営むといった、フィールドワークをベースとした独自の活動を行っておられます。その理論と提言には現場を知る人だからこそ導き出せる鋭さと深さあるとして、多くの農業・畜産関係者が注目。セミナーには参加メンバーのほかに、会場となった会田共同養鶏組合スタッフも詰めかけ、大盛況となりました。
<蔦谷栄一氏・プロフィール>
1948年生まれ。宮城県出身。1971年に東北大学経済学部卒業し、農林中央金庫に入庫。数々の役職を務めた後、1996年に株式会社農林中金総合研究所の基礎研究部長に就任。農業部副部長、常務などを経て、現在、特別理事職。同時に早稲田大学非常勤講師、国際農林水産センター顧問なども務める。
◆著書
持続型農業からの日本農業再編(日本農業新聞)、エコ農業~食と農の再生戦略~(光の家協会)、海外における有機農業の取り組み動向と実情(筑摩書房)、日本農業のグランドデザイン~地域社会農業のネットワークで田園都市国家をつくる~(農林漁村文化協会)他多数
畜産農家が切実に感じている厳しい現実と
日本農業に対する蔦谷氏の憂いが重なった、1時間半。
「日本の農政・農業を思うと、鬱々とした気持ちになる」セミナーが挨拶から本編へと移行した時、蔦谷氏からこのような言葉が飛び出しました。日本の農政には具体策がない、あらゆる施策が対処療法的だと。特に蔦谷氏を憂鬱にさせる3つの原因として語られたことは、畜産農家が常日頃感じている不満・不安と驚くほど重なっていました。
1つめは、日本農業の全体像が見えてこない。この背景には行き過ぎた消費者重視があるのではないかと。2つめは、消費者と生産者の関係を再構築する時期であるにも関わらず、地方への目線がかけているのではないかと。そして3つめの憂いは、大手町主導の政治。紋切り型に数字で物事を決め、自らの利権を守ることを優先する官僚の在りようが、畜産業界、日本農業の発展を阻害しているのではないかと。蔦谷氏の言葉に、深くうなずく人、目を閉じて蔦谷氏の言葉を反すうする人も。会場を包み込んだ真剣な空気は、畜産業界がいかに切迫した状況に置かれているかを、如実にあぶり出したのかもしれません。
セミナーはさらに、中国やヨーロッパの国々の実情、蔦谷氏が考える農業の要素と日本農業のあるべき姿、動物福祉の重要性、グランドデザインを描くことの大切さなどへと発展。このセミナーから、多くの気づきを得られた参加者も多かったのではないでしょうか?
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会場は満員御礼。セミナーに対する期待の高さが伺えます。
3-畜産会議(参加者による原状報告と意見交換)-------------------------------------------
視察、セミナー、そして懇親会。盛りだくさんのイベントに追われた畜産合同会議1日目。2日目は前日のハードスケジュールをものともせず、朝8時からの畜産会議で幕を開けました。懇親会終了後も遅くまで論議を戦わせた参加者も多い中、皆さん元気いっぱい。朝からハイテンションでの報告と意見交換が繰り広げられました。
この会議で元々予定されていた報告は3つ。Radixの会と生産者がタッグを組んでトライしている、アジア地域でのnon-GMOとうもろこし輸入代替国開拓に関する進捗報告。現在、有力候補として名前が挙がっているミャンマーへの視察結果を中心に、パシフィックトレードジャパンのペイソー氏にご報告いただきました。また、制度との距離感をどのように保つか生産者によって意見の分かれることも多いオーガニック畜産の実情については、オーガニックチキンの商品化実現などを通じて、この分野を牽引してきた共栄ファームの中村氏が発表。自らの豊富な体験から導き出した方法論と信念は、さすがパイオニアと思わせる説得力に満ちたものでした。また、らでぃっしゅぼーやからは、上原食品課長が登場。飼料を取り扱う大手商社の動向、関係者間でのコミュニケーションのあり方、さらには自社、商品のブランド価値を高める際に自分たちがとるべき戦略などについて、熱く語られました。
さらに、参加者から原状の取り組みや目指したい方向、どのようなスタンスで消費者や農政と対峙していくかといった意見が次々に出され、情報共有と同時に大いに刺激しあえる会議となりました。
データや写真を中心としたスライドを交えて報告を行うペイソー氏。
共栄ファームの中村氏。オーガニック畜産を切り開いた立役者だ。
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でぃっしゅぼーやからは上原食品課長が代表として報告。
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「家畜は生き物だから常に目を離せない。たった一日現場を離れることさえ難しい仕事です。だからこそ、これだけ多くの畜産農家が集まれたのは、本当に画期的で凄いこと。」と語った、ある生産者。畜産業界の重鎮と呼ばれる面々が一堂に会した今回の畜産合同会議は、常に新たな方向を模索し続ける畜産農家の強い想いが大盛況という結果を引き寄せました。楽にやり過ごす道があると分かっていながらも、自分の信念を貫き通そうと、あえて厳しい道を歩み続ける畜産農家と共に、らでぃっしゅぼーや、Radixの会といった生産者と消費者をつなぐ組織が担わなくてはならない役割は決して小さなものではないはずです。また、消費者も商品を享受するだけでなく、日本の食糧事情と真剣に向き合う時期に来ているのではないかと、改めて痛感させられた2日間でした。
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※取材 ライター 小川 恵
【02 畜産活動報告】
2009-05-27
★北海道内初!お米で育った放牧豚 試食会 報告 後藤和明
●北海道内初!放牧豚による飼料米給与試験
近年、米余りによる減反政策の課題や不耕作地の増大などにより、多用途米の取り組みが積極的に推し進められています。その中の一つが、海外のトウモロコシ飼料に頼りきる代案として飼料米の取り組みが推進されています。(農水省ホームページ参照 )http://www.maff.go.jp/j/soushoku/keikaku/shiryouyoumai/pdf/siryo_torikumi.pdf
そんな折の昨年春、Radix畜産部会の活動に関心をもっていただき、北海道農業研究センターの清水博之さんの要請をいただきました。
要請は、2009年登録の新品種飼料米「きたあおば」の給与試験に協力してほしい。
JA北海道中央会が道内5箇所のJAに呼びかけ、栽培された貴重な飼料米の肥育試験です。今回試験したお米はJAとまこまい広域厚真支所のお米農家の生産した1トン。これをホクレンくみあい飼料に配合委託、全飼料中10%を輸入のトウモロコシ(非遺伝子組み換え)に代替した「IPあつま」として、放牧豚の肥育後期約3ヶ月給与しました。
果敢に挑戦していただいたのは、北海道厚真町で豚の放牧飼育(放牧豚)をする希望農場代表中島道義さん。発案から1年目の試食会が開催されました。
●お米で育った放牧豚のおいしさに驚き
2009年5月15日、有名イタリアシェフ・堀川さん(トラットリア・テルツィーナ・札幌市)のアレンジメニューとファーマーズジャパンの協力で、通常の放牧豚とお米で育った放牧豚の試食会をらでぃっしゅぼーやの会員様も含め関係者30名で行われました。北海道内初の試みとして北海道テレビや農業新聞社の取材からも関心の高さが伺われました。
らでぃっしゅぼーや上原課長からは、らでぃっしゅぼーやの活動と畜産の取り組み、企画実施に尽力した竹内さんからは、会員様にもよく理解できる「米給与試験の背景と意味」の説明が加わり、改めてらでぃっしゅぼーやのこだわりが伝ったようです。
そして、飼料米推進の立場からJA北海道中央会 柴田浩一郎次長 、栽培協力の立場からJAとまこまい広域 服部啓三本部長 、最後に高品質の手ごたえをつかんだ希望農場 中島道義代表のメッセージをいただき、報道関係者ほか皆有意義なひと時でした。 今後の取り組みにも注目したいものです。
※ 肉質に満足 生産者 中島代表 ※左が通常放牧豚、右が米で育った放牧豚
最後に、アンケートの集計報告も掲載します。
放牧豚試食会アンケート結果
実施日 2009年5月15日 主催:Radixの会
(1)お米で育った放牧豚と通常エサの食べ比べについて
| お米 エサ | 通常 エサ | 変わら ない | 回答 なし | |
| お米で育った放牧豚と通常エサは どちらが美味しい? | 8 | 0 | 2 | 1 |
| (脂の感じ方)しつこい感じは? | 0 | 9 | 2 | 0 |
| (脂の感じ方)あっさりした感じ? | 10 | 1 | 0 | 0 |
| (脂の感じ方)ちょうどよい感じ? | 9 | 2 | 0 | 0 |
| (香りの感じ方)臭みを感じますか? | 1 | 6 | 3 | 1 |
| (香りの感じ方)特に問題ないと思う? | 6 | 3 | 2 | 0 |
| (味の感じ方)ジューシー感がある? | 5 | 2 | 4 | 0 |
| (味の感じ方)ぱさぱさ感じがある? | 2 | 3 | 6 | 0 |
| (味の感じ方)旨味の強さ | 8 | 0 | 3 | 0 |
2)お米の飼料化の取り組みについて
| 違和感ある 0 | 違和感ない 10 | 回答なし1 | |
| そう思う 7 | 価格次第 4 | ||
| 100gの値段 | 高くても良い 2 | 同じがよい5 | |
| ①MAX350円 | |||
| ②現在の価格の30円高まで |
〔3〕その他ご意見、ご要望等、自由にご記入ください
・やはり価格だと思います。
・脂身が通常エサのほうが臭かった。
・若干、お米エサの方が柔らかく感じた。いち早く商品化出来る様に願っております。
・価格についてはブランド志向を高めるためには高くても良いと思う。
・とても美味しいお米エサ豚なので北海道をはじめ、全国に広めていくPR次第だと思う。
食べてもらえば、そして生産者の方々の気持ちが消費者に伝われば愛される商品だと思う。北海道ブランド品として、また北海道発信ブランドとして頑張ってください。応援してます。
・ 価格は安いほうが消費者としてはありがたいが、お米エサ豚の方はとても美味しかったので高い価格でも買ってみたいと思います。
・ 繊維のほぐれかたが口の中で心地良いのはお米エサの豚の方でした。
・ 価格安定のためにもお米の飼料化を進めて欲しいです。
・初めて生産者さんのお話を生で聞きました。加工会社さんのハム・ベーコン製造の実際など勉強になりました。
【02 畜産お知らせ】
2009-05-08
★畜産合同会議セミナー講師 蔦谷さん白州郷農場 視察 :記 後藤和明
4月29日、ゴールデンウィーク初日 講演(6月5日長野にて)依頼のきっかけから、 子供たちの学校と有機農業を実践する白州郷農場に蔦谷栄一夫妻を案内しました。蔦谷さんは「日本農業のグランドデザイン」「エコ農業―食と農の再生戦略」「都市農業を守る」他多数の名著があり多くの人に刺激を与えています。ご本人も山梨市牧丘で教鞭を執る奥様とみんなの家・農土香(のどか)を主催しています。同県なこともあり、新緑の香りと青空の下野菜畑や平飼養鶏、肥育牛、BMM(バクテリア・ミネラル・ウォーター)生物活性水を見学。年5回開催する「キララの学校」の概要と施設を見学し、最後に大人気の卵かけごはんで締めてきました。
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いろんな里山を歩く蔦谷夫妻にとっても白州の景観と暮らしが息づく風景に感嘆。自分も改めて白州の里山の美しさと価値を再認識する貴重な時間でした。案内していただいた井上さんありがとうございます。
「食と農と環境をつなぐ」蔦谷栄一著 農林中金総合研究所 特別理事 発行 全国農業会議所
蔦谷氏の多数の名著の中、ここ5年間のコラムになっているのでゆったりした気持ちでページをめくることができます。農林中金総合研究所の立場から、センセーショナル(マスコミ受けを求めず)な提言ではなく、地に足の着いた人柄が伺えるコラムの数々から農水省の法案や自給率目標、品目横断的経営安定対策、WTOドーハ・ラウンドなどなど冷静なコメントは事務局スタッフ他、自分の意見を整理するにも役立つコラムです。
マスコミ他の話題で一喜一憂する自分にとっても冷静になれるコラム集 ぜひ ご一読をお勧めします。
氏が提唱する五つのグランドデザインのポイントは
Ⅰ 食料安全保障という観点から主食用と非主食用米、そして畑作物による土地利用型農業を日本農業の中にしっかりと位置づけていくこと
Ⅱ 都市から農村への人口の大々的な還流をつくり出し、市民参加型の農業を広げていくこと
Ⅲ 食と農の持つコミュニーケーション能力の偉大さを再確認し、多少なりとも国民すべてが農との関わりを持つことができるようにしていくこと
Ⅳ 日常的に子供たちに食農体験させていくことが、日本の将来の国力・水準そのものに直結する
Ⅴ海外から日本を見ることの重要性。いずれの国の家族農業経営者も暮らし、地域を大事にしていることに変わりはない
短く要約してしまいましたので、後は本でお楽しみください。


