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【01 農産活動報告】

2010-12-14

第5回「めだかの学校」~新井塾~開催報告 講義編後半

第5回『めだかの学校』~新井塾~ 室内講義前半からの続きです。それでは講義後半の概要をご報告します。

IMG_1398 
休憩中に新井さんに質問する若手生産者


【病害虫の発生要因】

今回は北軽井沢有機ファミリーさんの若者達からの依頼で開催された勉強会ですので、こちらで栽培されている野菜を中心に、発生しやすい主な病害について説明します。
病気の原因となるのは、細菌(バクテリア)・糸状菌(カビ)・一部放線菌・ウイルス・センチュウなど主に5つの要素がありますが、地上部病害のもととなる物から順次話してみます。

最初に病害防除を考える手順として、どういう条件が揃うと病原体が繁殖するのか?というのを考えないと防除はできません。自分の畑にどういう病害が出たのか?その病害の発生要因を調べて分類する必要があります。それがわかったら、その病気の発生・繁殖条件の逆を作ってやれば良いのです。例えば細菌のように余分な水によって繁殖するものであれば、余分な雨水などを停滞させないようにするのが重要だと言う事になります。
では、病原体の分類ごとに症状と対処法を確認していきます。

image当日資料より


細菌
(バクテリア)
・軟腐病
この軟腐病細菌は地上部の傷口や、センチュウ害などにより地下部の傷ついた根からも侵入します。レタスの外部は普通なのですが、葉を剥いでみると中が腐っているというような状態になります。これは根から病原菌が侵入した場合の軟腐病です。軟腐病は株全体の腐敗・しおれの症状が現れ、特有の悪臭があるので判断しやすい病気です。防除のポイントは雨水の排水を良くすること。そして窒素過多にしないことです。窒素過多になることで作物が軟弱になり、傷口ができやすくなります。その傷口から病原菌が侵入してしまいます。水対策にはプラソイラー耕起などが有効です。

・腐敗病
腐敗病は作物の軟化・腐敗を起こします。この病原菌は土壌中に被害株の残渣が残ると1年以上生き残ると言われています。ですから被害株は鋤き込まずに畑から出すことが大切です。細菌全てに言えることですが、水があると繁殖しやすいので水対策も重要です。

・黒腐病
キャベツでは結球部が発病すると球頭が淡褐色になり、根茎部が発病すると根の中心部が黒変し、やがて腐敗して根茎に空洞ができます。病原菌は乾燥状態でも1年以上生き残り、アブラナ科雑草によっても越冬するといった特徴があります。種子の乾熱消毒や、汚染されていない育苗土の使用が防除のポイントになります。

image 当日資料より
・黒斑細菌病
この病気は葉や茎に発生し、水浸状の小さな斑点が最初に表れます。後に黒褐色に変わり、拡大して灰色・褐色の病斑を形成します。生育が衰えた時に発生しやすい傾向があり、土壌中の細菌が風雨によって飛散して病気が伝搬するといった特徴があります。防除には無菌の種子・無菌の育苗土を使用し、生育中期以後の肥料切れに注意が必要です。


糸状菌
(カビ)
・レタスすそ枯れ病
外葉(下部)の根元から褐変して枯れていき、それが結球葉にも及ぶ場合があります。土壌から伝染することが多いので、マルチ栽培などで土の跳ね上がりを抑えるのがポイントです。また、降雨後に溜まった水で菌が繁殖します。
糸状菌(カビ)の土壌内での繁殖は、未熟有機物の投入により助長されますので、堆肥などに未熟部分が混入されている場合などは注意が必要です。

・菌核病
この病原菌が感染する範囲は広く、特にアブラナ科野菜やレタスなどに寄生しやすいです。初期は外葉の地面に接する部分が水浸状になり、褐色の病斑ができます。湿度が高いと、この病斑上に白い綿状のカビが生じ、病気が進むと外葉や球全体を黒褐色に軟腐させます。やがてネズミの糞のような病原菌のかたまり(菌核)を作ります。この菌核は成熟すると4~6年と長い間生き続け、それが病気の伝染源となります。防除方法は被害株や残渣を早期に抜き取り、またこの菌は空気がないと生きられないので、菌核病が出た圃場を鋤き起こし、菌を埋めて空気から遠ざけるのが有効です。

・べと病
べと病は日の当たる葉の表側が黄化・茶色化し、裏側(日陰)にカビが発生するのが特徴です。キャベツの場合は外葉の下葉から、葉脈間に淡黄褐色、不整形の病斑が生じます。多湿条件で多発するので、水の溜まりやすいところで発生しやすくなります。防除では疎植、排水の改善が重要なポイントです。


土壌病害等
image 当日資料より
・硫黄(イオウ)病
この病原菌はフザリウムと呼ばれるカビの仲間で、トマト萎凋病、キュウリつる割病、カボチャ立枯病なども引き起こします。この病原菌に寄生を受けた作物は、病原菌による栄養の奪取と導管の閉塞、さらに産生される毒素によって生育が阻害され、枯死に至ります。この病気は典型的な土壌伝染性病害で、一度土壌が汚染されると、病原菌は容易に駆逐できず、高温期に作物を植えれば必ず発病します。そのため病原菌を畑に入れないことが最も重要であり、土・種子・資材などに細心の注意が必要です。他の予防のポイントは、多発圃場では連作を避ける、抵抗性品種の導入、有効放線菌が繁殖した優良堆肥を使用する、といった方法があります。

・バーティシリウム菌による土壌病害
ハクサイ黄化病やトマトの半身萎凋病がこの病原菌によるものです。この病気はアルカリ土壌、多湿土壌で発病しやすくなります。防除には上記の萎黄病と同じく、抵抗性品種の導入、被害株、残渣の抜き取り、農機具の洗浄など総合的な防除が必要になります。

・リゾクトニア菌による土壌病害
立枯病などはこの病原菌によるものです。立枯病の原因となる病原菌は主に3種類ありますが、地上部に症状が出た場合はこのリゾクトニア菌が関わっています。リゾクトニア菌は地上部に沿って繁殖しますが、それは空気を必要とするということです。ですので菌核病菌と同じように、空気を遮断することが有効です。(鋤起こし作業)

・ピシウム菌による土壌病害
ピシウム菌も立ち枯れ病の原因の一つですが、こちらは根を侵します。感染源となるのは主に水で、用水の中にはピシウム菌が存在することがあり、それを散水した場合には感染してしまいます。

image 当日資料より
・根こぶ病

この病原菌も農機具や作業靴にくっついて感染が拡大するので注意が必要です。ハクサイやカブ、アブラナ科野菜に寄生します。pH4.6~6.5で多発するので、酸性土壌では石灰を使用してpHの調整をする必要があります。水分を好む性質もあるので排水の改善や高畝で予防できます。

また、この病気の“おとり作物”があると聞いて調べてみました。東京都有機農業フォーラムで発表されていて、一見の価値があります。
※平成19年度東京都有機農業フォーラム
http://www.agri.metro.tokyo.jp/sinkou-ka/nougyoukankyou-kakari/19yuukifo-ramu/19yuukiforamu-gaiyou.html


ウイルス
・モザイク病
ハクサイなどは数種のウイルスに感染しますが、これらは主にアブラムシにより伝播され、アブラムシの発生とハクサイの初期生育が一致する夏から秋にかけての栽培で発生が多くなります。そのためアブラムシを駆除する以外に防除法はありません。防除方法には、育苗中の被覆、被害株の除去、圃場周辺雑草の除草などが考えられます。

※主な病害防除ポイントのまとめ
① 窒素肥料の多様を避け、作物を軟弱にしない。
② 圃場の排水を良くし、雨水が停滞しないようにする。
③ 株間の通風を良くする。
④ 植物に傷がつかないよう、害虫を抑制防除し、管理作業時に損傷しないよ う注意する。
⑤ 罹病性作物の連作を避け、イネ科、マメ科などと輪作をする。
⑥ 病原菌に汚染されていない育苗土で育苗をする。
⑦ 抵抗性品種を使用する。
⑧ 乾熱処理済種子を使用する。
⑨ 被害確認株は早めに除去する。
⑩ 未熟堆肥(他未熟有機物)を使用しない。
⑪ 病気の発生した圃場で使った農機具や靴などは洗浄する。



【病原菌の繁殖条件】
image 当日資料より
病原菌の繁殖条件を見てみましょう。
一番やっかいなフザリウムは、やや多湿で酸性土壌を好み、酸素要求度が低いという特徴があります。酸素要求度が低いということは、空気の少ない土中の深いところまで繁殖できるということです。バーティシリウムは多湿条件を好みます。リゾクトニアは酸素要求度が比較的高く、地面に沿って繁殖しやすい。ということは空気を遮るような作業をすれば密度を減らすことができると考えられます。コルティシウム(白絹病菌)も酸素を必要とし、多湿、酸性土壌が繁殖条件です。またコルティシウムは有効放線菌により防除が可能ですので、放線菌が充分に繁殖した優良堆肥の施用が不可欠です。


【病害発生の
3要因=スリーサークル】
病原菌などが圃場に存在した場合に、その圃場で確実に病害が発生するわけではなく、いくつかの条件が重なって発病します。これを3つの要因に分けて説明します。

素因作物自身の資質・性質です。作物自身の病害抵抗性・耐病性などで病気を予防できるのは周知のとおりです。この資質・性質と味の良さを考えて品種を選ぶのも大切です。

主因栽培圃場での病原体の有無、密度を示します。病原のもと自体を減らすためには栽培を始める前の太陽熱消毒や、被害株の徹底除去などがポイントになります。

誘因栽培環境を示します栽培環境には生産者自身でコントロールできない自然環境と、生産者のくふうにより改善できる栽培環境とがあります。栽培環境によって病原菌は繁殖しやすくもなり、作物は軟弱にもなる。
作物が健康に育ち、病害も繁殖しにくい環境づくりを擦る必要があります。


これは、8月に成田さん達が土壌分析用サンプル土壌を採取した際に撮影した写真ですが、朝早く収穫したばかりの傷つきやすいレタスを、敷物のないコンテナに入れるのはやめたほうがいいですね。降雨後に日数が経過していないレタスの表面には、土壌より跳ね上がった菌が存在すると考えられ、レタスに傷がつくことでそこが侵入経路になり“とろけ”の原因となります。



【質疑応答】

《質問》
圃場に線虫が出ていて困っているので、対策を教えて欲しいのですが…。

《新井さん》
線虫対策としては堆肥のところでお話しした放線菌を使っています。放線菌を繁殖させることで、線虫を食べてくれるので抑制することができます。だからいかに有効な堆肥を作るかが重要になってきます。ただし、ここで未熟な有機物が入った場合は線虫の防除効果も少なく、カビなども繁殖させてしまい逆効果になりやすいので注意が必要です。
線虫以外でも、例えばネギの根に寄生するバクテリアは上記のフザリウム(萎黄病、萎凋病の原因)も抑制するので、ネギ類とフザリウム害が出るような作物とで輪作をしてみるのも良いと思います。
それと有機対応の線虫抑制剤で“パストリア水和剤”というのがあります。自分は使用したことがないので、効果の程はわかりませんが…。


《質問》
レタスで発生する腐敗病、軟腐病の解釈で、外側の葉が腐るのは腐敗病だと思っていた。はっきり見分ける方法を教えてほしい。

《新井さん》
外見からはわかりにくいですね、中を剥いてみないと。特徴的なのが“腐敗臭”の有無です。ネギをはじめとしてほとんどの野菜の“軟腐病”には腐敗臭があります。それぞれの病害を発生させる菌の種類によって、“腐敗臭”があるかどうかで区別できると思います。また病気が発生してからの防除よりも、発生しない条件を作るほうが重要です。腐敗病、軟腐病であれば“余分な水”をどうするか?ということです。


《質問》
冬場の葉物を作っていて、病害全般に対する対策として太陽熱消毒をしているのですが、細菌やカビの死亡する温度はどのくらいなんでしょうか?ハウスなら60度ぐらいまでは上がります。

《新井さん》
土壌病害菌の最高生育温度を見てみると、大体30~40℃程度になっています。ただ酸素要求度が低い菌などは土壌内深くまで存在できるので、暑さにも強い可能性もあるんじゃないかと思います。私は太陽熱消毒をするときは、畝を南北に作って少しでも陽が当たるようにしています。土の表面積をあげて太陽熱をフルに利用するコツです。(=日陰を作らず太陽熱フル利用)


《質問》
収穫の時に傷をつけないようにと言っていましたが、うちは今水菜やホウレンソウ、チンゲン菜などを作っていてとろけが出るときがあります。新井さんが実践しているような、傷をつけない収穫の仕方を教えていただきたいと思うのですが…。

《新井さん》
私の場合はコンテナに直接入れるというようなことはしないし、入れるときは新聞紙を敷いてポリで包みます。有滴ポリと無滴ポリがありますが、結果的に無滴ポリの方が良い気がします。包んで内側に水滴が着くと良くないんです。有滴ポリを使うと湿っぽくなってしまい、輸送中の温度変化でとろけが出やすくなってしまう気がします。

ただし、“とろけ・傷み”はこれまで話したように、肥料バランスによることが多いので、収穫の時だけでなく総合的な研究が必要でしょうね。土が湿っている時に収穫する場合に、ちょっと傷ついた部分がすぐに“茶色っぽく”なるようだと、チッソ優先肥効で石灰をはじめとしたミネラル分が伴わない状態だと思いますが、どうでしょうか?

最後に今回の勉強会の開催にあたりましては、北軽井沢有機ファミリー代表の清水さん他メンバーには、事前の準備で大変お世話になりました。産地担当の島田さんにも本当にお世話になりました。
そして参加者の皆様、お忙しい中ご出席していただきまして、誠にありがとうございました。


以上、講義内容でした。
参加者の皆さんも大変満足していただける内容で、休憩時間には若い生産者が新井さんを質問攻めにするといった光景も見られました。この勉強会で学んだことを活かして、品質の向上に役立てられることを期待します。
(Radix事務局 高橋)

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【01 農産活動報告】

2010-12-13

第5回「めだかの学校」~新井塾~開催報告 講義編前半

この記事は前に報告した第5回『めだかの学校』~新井塾~“圃場見学編”の続きです。圃場から移動して行った新井さんによる室内講義内容になります。
室内講義は、マンションのような、ホテル:ヴィラ北軽井沢エルウィングで開催されました。


 講師の新井さん IMG_0208
《新井さん》
今回の勉強会のテーマは、①施肥体系+水管理を改めて考えてみる。そして、②病害虫の発生要因を改めて考えてみる。となっています。まず前半では施肥体系と水管理についてお話しします。


【土作り】
最初は土作りの基本についてです。土作りには3つの要素、すなわち物理性・化学性・生物性が存在し、それらがバランス良く保たれたものが優良な土壌であると言えます。これは『小祝塾』でもたびたび講義されている部分です。

当日資料より

まずは物理性から…
ここで重要なのは団粒構造を作るということです。
団粒構造を作ることによって根張りが良くなり、保肥力や保水性、排水性の優れた土壌になります。団粒構造のもととなるものは粘土粒子と腐植です。土壌内にある粘土粒子と腐植とを、微生物の分泌物や微生物自身により結合させて団粒構造が形成されます。団粒構造が形成されていると、施肥をしたときに肥料は団粒の中に取り込まれるので、流亡を抑えることができます。また、土に隙間ができることで植物の根は伸びやすくなり、露地作物の多雨時などにおいての排水対策としても有効になるのです。

粘土粒子の少ない圃場ではそのもとになるゼオライトなどを、腐植は優良堆肥などの有機物をそれぞれ施用することで増やすことができます。優良堆肥を施用した場合には、その作で全てが肥料要分として吸収されるわけではなく、一部は腐植という形で土のもとになるのです。

次に化学性ですこれはpHEC、塩基バランス、CN比などがあてはまります。チッソ、リン酸などの肥料要素はpHによって吸収率が変化します。多量要素(ここではチッソ、リン酸、カリウム、イオウ、カルシウム、マグネシウムを指す)の場合はpH6.8ぐらいの時に最も吸収されやすくなります。それに対して微量要素(鉄、マンガン、ホウ素、銅、亜鉛等)はpH6.0ぐらいで吸収率が最も高くなります。そしてpHが中性以上になると微量要素は吸収しにくくなり、pH7.2以上くらいになると吸収されずに欠乏症状が出やすくなります。pH値が高い圃場で、ホウレン草などにマンガン欠乏などが出やすくなるのはそのためです。

また、pHは作物の病害にも関わってきます。pHによって出やすい病害としては、pHが低いと出やすいアブラナ科の“根コブ病”や、逆にpHが高いときに出やすい“じゃがいもソウカ病”などが代表的です。このような病害のことも考えながら、作物栽培圃場のpHを調整する必要があります。

image 当日資料より

塩基バランス
は今年のような夏の猛暑期等には、最も注意が必要なことでした。
石灰、苦土、カリウムの3つは互いに拮抗しあい、どれか一つが極端に吸収されると後の2つが吸収しにくくなります。特に今年は梅雨季に雨が多く、多雨下においてはカリウムとチッソは水に溶けやすいので、贅沢に吸収されやすくなっていました。その結果石灰などの吸収は抑制されて、カリウムとチッソの余剰吸収で植物の体が緩められ、細胞と細胞の間が離れて軟弱徒長となる。その部分が風雨や収穫時に傷ができやすく、“とろけ”などが発生しやすい原因となったのです。

春や秋には、石灰:苦土:カリウムの割合が521(当量比)になると良いと言われています。ですが夏場では721と石灰を多めに入れた方が良いとも言われます。夏は温度が高いので新陳代謝が激しく、他の養分が非常に吸収されやすいため、夏場には細胞を強化する石灰を多く入れた方が良いという考え方です。

土壌の生物性というのは小動物、微生物などのことです。根圏には糸状菌(カビ)、放線菌、細菌(バクテリア)、菌根菌、センチュウなどの多様な微生物がいて植物の生育に影響を及ぼしています。その中でも特に注目したいのが優良堆肥に含まれる放線菌です。放線菌はカニガラなどに含まれるキチン質を非常に好む性質があり、フザリウム(萎凋病、立枯病等の原因)や、ピシウム(立枯病、根腐病等の原因)などの土壌病原菌の細胞壁はキチン質でできているので、有効放線菌が繁殖することによって土壌病害の原因を減らすことができます。

私が実際に作っている放線菌を繁殖させた堆肥の材料は、下記のようになっています。
・牛糞半熟品…約60%
・モミガラ…約30%
・学校給食コンポスト・米ぬか…約10%
・FTE・カニガラ粉末(上記と共に後半発酵) →微量要素を発酵させて堆肥にくるむと共に、有効放線菌繁殖の目的でカニガラ粉末(キチン質)を配合する。

牛糞は半熟品を使っていて、既に熱が出ています。学校給食コンポストは東京都北区の小中学校(60校)からの物で、それらをモミガラと混ぜています。
この材料を積んで堆肥作りが始まります。堆肥作りでは、まずスタート時の水分量がポイントになります。発酵が始まり切り返しを行う場合に、酸っぱい匂いが続く場合には水分過多です。カニガラ粉末は放線菌の餌のキチン質を含み、何回か切り返しをしていくとカニガラの白い粉末は見えなくなります。こうなったら放線菌がそれを餌にして繁殖したということで、この状態になれば圃場に入れても問題はないと判断しています。この状態になると少しずつ発酵温度が低下してきます。

この堆肥と赤土を半々に配合してモミガラ薫炭を加えたものを、トマトの育苗用土として使っています。果菜類の場合には良い花を咲かせるために育苗の際にリン酸肥効が必要なのですが、堆肥中の米ぬか他でリン酸分をまかなっていると考えています。


image  当日資料より

【肥料要素の役割】
まず肥料成分(5大要素)の効果が、植物のどの部分に必要なのかを確認してみます。
・チッソ … 葉や茎を作る。
・リン酸 … 花や果実の生長に必要。
・カリウム … 根を丈夫にする。炭水化物やタンパク質の合成。
・苦土 … チッソと共に葉緑素の元になる。
・カルシウム … 土壌pHの調整。根の発育と細胞の強化に役立つ。

次は、作物の分類別に上記の肥料成分の吸収量を見てみると、果菜類、結球野菜類、根菜類、葉物類、全てでカリウムが最も要求されています。その次がチッソ、石灰、リン酸、苦土という順番です。

しかしトウモロコシやキャベツなどの例外もあります。
トウモロコシの場合の後半はカリウムよりもチッソをより吸収します。というのは、後半に豆が肥大するにはその実のもとになるチッソ(=タンパク質)が必要になるからです。その次にカリウム、リン酸と続きます。

結球野菜でも順番が変わってきます。キャベツなどの場合は生育後半にチッソ肥効が多いと葉の巻きがゆるくなります。ですから生育後半はチッソよりも石灰に重点をおいた施肥体系となります。チッソが控えめになって石灰がちょっと多いぐらいの施肥体系の方がちょうど良いのです。そのような理由で、ダイコンやホウレンソウ、キャベツ等ではチッソと石灰の必要量が逆転しています。

チッソを多く与えた作物と施用量が少ない物の生育を比べてみると、当然チッソを多く与えた方が葉茎の勢いは良くなります。ところが“根”を見ると逆にチッソが少ない方が伸びていたりすることがあります。ですから地上部だけを見るのではなく、自分が作っている作物のどこを食卓で使うのか? そのことも考えて施肥設計をすべきだと思います。根部を使うのであれば初期はチッソ肥効を低くして、後半肥効で栽培した方が良いのです。

例えばダイコンの場合に、初期からチッソ肥料が効いた場合には葉っぱが旺盛に伸びますが、根は近くに求めたい要素があるために、必要以上に伸びる必要がないということです。普通のダイコンは葉の長さと根の長さは同じくらいですが、最初からチッソ肥料を効かせたダイコンは、葉の方が長くなったりするわけです。そうなると可食部(根部)は小さくなり、葉茎部が軟弱徒長をおこして空気まわりが悪くなり、太陽光を通しにくくなるために病害にもかかりやすくなるという流れです。


【要素欠乏の確認】

要素欠乏については北軽井沢有機ファミリーさんで栽培されている作物、主にキャベツ、レタスなどの症状について話を進めていきます。

image 当日資料より

カリウム欠乏症状は根に近い下葉の周辺部から症状が出ます。下葉周囲部黄化から始まり枯死していくのです。普通カリウムが欠乏して症状が出ることは少ないのですが、カリウムは水に溶けやすく流亡しやすいため、雨が多い年には欠乏の可能性もあります。圃場見学の時に岩田君のキャベツ圃場で見られた症状です。

石灰欠乏の場合はカリウムとは逆に根から遠い部分、新しい組織(新葉、新芽など)から症状が出始めます。石灰欠乏の原因として、カルシウムは植物体内の移動速度が遅いため、植物の急な生長についていけないことや、土の乾燥や根の傷みによって吸収しにくくなることが挙げられます。収穫後の“とろけ”は細胞の弱さが原因で、傷口から細菌などが進入して発生します。チッソやカリウムが強く働くと、拮抗作用で細胞を強くする石灰が吸収しにくくなり、細胞と細胞の間に隙間ができて軟弱に伸びている状態になります。そこが傷つきやすく、病害菌が侵入しやすい場所になるのです。

苦土欠乏症状は全体的に色が淡く、黄色くなります。先に話したように、苦土はチッソと共に葉緑素の核となる重要な成分です。それが不足するため、葉緑素ができにくい状態となって葉脈に近い部分からの黄化が進むのです。

次は鉄分欠乏です。苦土欠乏と鉄分欠乏を比較してみると、苦土欠乏は元葉から症状が出ますが、鉄分欠乏症状は上位葉の黄化が特徴です。元葉の色はあまり変わりません。水に溶けない状態では吸収されず、特に土壌pHが高い場合は不溶化し、鉄分欠乏症状が発生します。石灰と同様に植物体内の移動がゆっくりなのがわかります。

pHの高い圃場に出やすいマンガン欠乏。これはホウレンソウに比較的出やすいです。ほとんどの微量要素はpH6前後が最も吸収されやすいのですが、pH7~7.3くらいになるとこの症状が出てきます。pHが上がると土中にマンガンがあっても吸収できなくなるからです。また、露地では多雨の後にマンガンが流亡して発生しやすいという報告もあります。

ホウ素の欠乏症状は新葉の展開抑制や奇形、葉や茎の亀裂などの形で現れます。ダイコンのス入りや芯腐れなどが代表的で、高いpHや土壌の乾燥が発生の原因となります。逆に過剰症状を見てみると、ホウ素過剰は葉の縁(ふち)の黄化、褐色化といった症状が見られます。
ホウ素については葉っぱの付け根の白い部分に出るのが欠乏症状、葉の縁(ふち)に出るのが過剰症状です。

image 当日資料より


【土壌分析について】

土壌分析といえば施肥設計のための重要な指針となります。しかし、土壌分析だけで施肥設計のすべてを決定していいのかは疑問だと考えます。土壌分析をする場合には大体表層15cmくらいの土を取っていると思いますが、実際の根はずっと深くまで伸びています。それに水に溶けやすいカリウムなどはかなり深い層まで浸透していると思われます。そのため、土壌分析の数値だけを見て施肥設計をするのは大変危険であり、前作でそれぞれの要素欠乏症状が確認されたのかどうか?今現在の作物の生育状況はどうなのか?などを総合的に観察・判断をして、施肥体系を決定すべきだと考えています。

この勉強会を開催するのにあたって、直前に“Radixの会”では今までより踏み込んだ土壌分析を行いました。打ち合わせを兼ねて事前にこちらを訪問した私と成田さん、そして産地担当の島田さんとの発想により、土壌内80cmくらいの深い層までの分析を行いました。その結果報告を成田さんにしていただきます。

《成田さん》
8月中旬に北軽井沢で生育障害が出ているレタス圃場などの土壌分析をしました。土壌肥料障害だけに限らないとは思いつつ、掘ってみてどんな要素の分布があるのかを調べてみようということでやったのがこの結果です。

先ほどの圃場で見ていただいた通り、この地域は黒ボク土壌です。40cmほどで硬盤があり、表土から60cmくらいまでが同じような土が続きます。それ以降は明らかに土質が変わり、上層土質とは違うものになっていました。畝の上から20cm~30cmまでは根が見えるのですが、40cm以下では見られませんでした。

《新井さん》
根が浅くなっているのは、光を通さない白黒ダブルマルチを使っているのが一つの要因です。光を通さないマルチでは水分が上層に浮いてきます。植物の根は水分があるところに伸びていきますので、表層に水分層があると根を下に伸ばさないのです。

《成田さん》
いくつかの圃場で穴を掘って土を採取し、それを事務局内で風乾し、静岡の川合肥料さんに分析をお願いしました。その結果が資料に載っています。
色々なところの数字がかなり大きく出ていると思います。川合肥料さんの分析方法は、普通の土壌分析での方法とは違っていて少し特殊です。だからその分析結果もちょっと癖があるか?ということを念頭に入れてください。分析結果の絶対値を見るのではなくて、そのバランスがどうなっているのか? 相対的な部分を見ていただけたらと思います。

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まず、清水さんのレタス圃場2番の生育良好な畝のデータについて詳しく見ていきたいと思います。表に出ているように、pHはほぼ中性で6.5です。チッソは収穫した後の土ですが少し高めに出ています。70~80cmの深さでも同じような数字が出ていますので、ここは少し気になる点です。ただし以前似たような場所で分析してみた時は、ここまでチッソは高くなかったということでした。逆にチッソが不足気味な生育が見られるという状況もあるとのことで、引き続き調査を継続していきたいと思っています。

そしてリン酸は低いです。黒ボク土壌ということもあり、20とか一桁だったりしています。カリウムは平均ぐらいで苦土は高め。新井さんの話にもあった通り、苦土がカリウムの吸収を阻害しているんじゃないかという気はします。

塩基バランスを見てみると、苦土:カリ比はちょっと上限を超えるような値になっています。石灰は数字上十分入っているようですが、バランスや水分量を考慮すると、吸収がうまくいっていない可能性もあります。

次に清水さんのレタス圃場2の生育不良な畝からの土。これも20cm、40cm、そして作土以下の70~80cmでの分析です。こちらでも苦土:カリ比がちょっと気になるところです。そして数字上は予想したよりもチッソが深いところまで出ています。なぜそうなっているのかを引き続き調べたいと思っています。

《新井さん》
根こぶ病が出ている圃場の分析を見て、一番気になったのがpHです。根こぶ病は酸性土壌ほど発生しやすいのです。pH4.6~6.5くらいまでに発生しやすく、アルカリ土壌になるほど出にくくなります。しかし根こぶ病が出ている圃場と出ていない圃場を比較しても、あまり差はありませんでした。

そして気になるのは関根さんのキャベツで根こぶ病が出ているところはpH6.5と高めでも発生していることです。この場合は病原菌の密度が高いために、pHに関係なく出やすくなっているのだと思います。これがpH6.8とかになればもう少し減ってくる可能性はあります。

もし仮に清水さんのレタス圃場に分析結果そのままの数値でチッソが残っていたとしたら、レタスの巻きが甘くなってしまいますし、そうなれば病気も出やすくなります。後半に“とろけ”やすいということも考えると、分析も実際に近いのかもしれません。こういう時は石灰をなるべく吸収させるようにして、巻きを硬くしてやる必要があります。(チッソと石灰のバランス)

【質疑応答】

《質問》
“根こぶ病”の話で、pHが高いと出なくなるというお話でしたが、pHが高くても表層の根に大きなコブができてしまいます。どう対策すればいいでしょうか?作っているのはアブラナ科のカブやハクサイです。

《新井さん》
普通はpHが上がればカビ自体が繁殖しにくくなるので出ないはずなのですが…。pH7.2ぐらいにしてしまえば出てこなくなるという文献もありましたが、そうすると微量要素不足の障害が出てくるので難しいです。

“根こぶ病”を防ぐ方法としては、前作で罹病した根が完全に分解されれば良いのです。完全に分解してからアブラナ科作物を植えれば“根こぶ病”は出にくくなります。“根こぶ病”の発生のもととなる“プラスモディオフォラ菌”(カビ)は、寄生したアブラナ科植物細胞(根内)だけに生存しており、収穫後のトラクター耕起などにより、前作の“根”が土壌内で完全に分解されれば生き残れません。前作の罹病作物のかけらが残っているかどうかで決まります。

ただし前作の罹病圃場を耕起したトラクター等の、タイヤ・ロータリーなどの洗浄は不可欠となります。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
『めだかの学校』~新井塾~ 前半はここまでです。後半の「②病害虫の発生要因を改めて考えてみる。」は改めて御報告いたします。

                                                                                             (Radix事務局 高橋)

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【01 農産活動報告】

2010-11-12

第5回「めだかの学校」~新井塾~開催報告  圃場見学編

9月3日に群馬県長野原町にて、第5回「めだかの学校」~新井塾~を開催しました。講師は甘楽町有機農業研究会会長の新井俊春さんです。勉強会は北軽井沢有機ファミリーさんの圃場見学から始まり、後半は新井さんによる室内講義でした。
参加者は70名を超え、若い生産者にも多く参加していただき、大変盛況な勉強会となりました。その概要を報告します。

今回の『新井塾』は北軽井沢有機ファミリーの若手生産者より、「新井さんに自分達のところに出向いていただき勉強会をしてほしい。」という要望のもとに実現したものでした。まずはその若手生産者たちの圃場視察からの報告です。

【レタス圃場】
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最初に向かったのが清水明俊さんのレタス圃場です。
白黒ダブルマルチを使用して栽培されているレタスの品種はシニアとファイトです。
圃場では斑点細菌病・軟腐病などの病害が発生していました。
普通の年であれば避暑地として知られ別荘も多い軽井沢ですが、今年はこの北軽井沢でも異常気象で、気温は30度を超える日が続いたといいます。「8月にはほとんど雨が降らず、降るときにはバケツをひっくり返したようなひどい雨だった。」という清水さん。

そこで新井さんがアドバイス。
「出ている病気は軟腐病・斑点細菌病など、ほとんどが細菌による病害です。
細菌の繁殖による病害の場合、風や多雨により作物に傷ができてそこから菌が入ったり、根からの進入もあります。根から進入した場合には導管が侵されて内側から腐敗が進み、雨による土の跳ね上がりと共に傷口から進入した場合には、進入部分より腐敗が進行してしまいます。細菌の種類により軟腐病・斑点細菌病などの症状が発生するという経過です。細菌の繁殖の原因は余分な水、そして未熟な有機物が入っているかどうかです。また、レタスのすそ枯れ(下葉や株元が茶色くなる)などの場合、あれはカビ(糸状菌)による病害です。カビは未熟な有機物を圃場へ投入することにより繁殖が旺盛になります。」
「傷口から細菌が進入するのですから、植物自身の細胞が弱いわけです。症状が出ていないだけで、石灰の欠乏も多分あるんじゃないかと思われます。先日この圃場の土壌分析を見たのですけれども、石灰が過剰という結果でした。ですが石灰欠乏の症状が条件によっては出るんです。カリウム・チッソと石灰(カルシウム)のバランスなんです。雨が降ると水に溶けやすいチッソとカリウムが優先的に吸収されます。チッソやカリウムの吸収過剰は細胞間を離れさせて軟弱気味になるように作用します。細胞を強くするのは主に石灰ですが、石灰の吸収・移行が間に合わないために細胞間に隙間ができて軟弱になり、そのために傷口が治りにくく病気に感染しやすくなるという流れです。」

clip_image003そして、圃場で使用されていた白黒ダブルマルチについても一言。
「夏場の栽培で仕方ないのですが、白黒ダブルマルチは太陽光を透さないので、地温の上昇防止には大変効果がありますが、土壌内の水分が上層に浮きやすくなります。作物は水分がある部分に根を張りやすく浅根になってしまいがちで、土に細菌が繁殖している場合には根からも感染しやすいんです。光を透すマルチだと根が深く張りやすいので、細菌の根からの進入はしにくくなると思われるのですが…。」

【プラソイラー見学】
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次に、同じ圃場内でプラソイラーの実演を北軽井沢有機ファミリーの清水忠雄さんにしていただきました。
新井さん曰く ・・
「長年トラクターを使っていると、トラクターの重量でロータリーの爪が届かない部分が硬い盤になってしまいます。その下までいかに水を浸透させるかという目的でプラソイラーを使うんですけど、プラソイラーの先端部分が硬盤よりも下まで届けば効果がより増します。染みた雨水を硬盤の下に抜くようにするんです。深さはおよそ50センチくらいが目安です。」
「使ってない方は1年に2回、半年に1回くらいは使用した方がいいです。2年目からは1年に1回で十分です。それからトラクターでプラソイラーを引く場合は前におもりを付けた方がいいですね。私の場合はトラクターのバケットをつけて引いています。つけないと前が浮いてしまいますが、浮くぐらい深くしないと意味がないと思います。」

【キャベツ圃場】
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次にキャベツ圃場を見せていただきました、こちらも若手生産者の岩田さん。
「7月に播種をしていて、例年ならば9月に入る頃にはそんなに病気は出ませんが、今年は株腐れや軟腐が出ている。」といいます。

畑を見て新井さん ・・
「一目見てわかるのがカリウムの欠乏症状です。外葉のふちに出ています。全ての野菜に言えることですが、カルシウムの欠乏症状は比較的根から遠い葉っぱに出ますが、カリウムは根に近いところから出やすいのです。」
「このカリウム欠乏は豪雨の影響でも出やすくなります。チッソとカリウムは水に溶けやすいという話をしましたが、それはつまり流亡もしやすいということです。白黒ダブルマルチは土壌内の上部に水の層ができやすく、その結果作物が浅根になる。豪雨の場合には表層の水に溶けやすい養分が流されやすく、深部への浸透もしやすい。ですから水に溶けやすいチッソとカリウムが不足気味になる。特にカリウムは植物にとってチッソ以上に要求される成分なので、この圃場では欠乏症状が出てしまっています。」

「チッソを効かせるタイミングですが、キャベツもレタスも前半型です。外葉を大きく作り結球するときにはチッソが切れるような状態が望ましいです。ずっと後半までチッソが効きすぎていると結球する際に巻きが甘くなりやすく、石灰も吸収しにくくなります。そのような状態で収穫間際に雨が降ると“とろけ”が発生しやすくなる。後半に石灰を吸収させて硬く巻かせたいのであれば、前半にチッソを効かせて後半に切れるようにすると良いということです。結球野菜の巻きが甘く収穫後に傷みやすいのは、チッソが残りすぎているのが主な原因なんです。」

【堆肥場】
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北軽井沢有機ファミリーで作っている堆肥は牛糞堆肥で、C/N比は10程度。微量要素は畑に直接入れているので堆肥にはとくに入れていないそうです。表面に見える白いものが放線菌。 
新井さんのアドバスとして・・
「うちの場合はこの放線菌をより繁殖させるためにカニガラの粉末を入れるんですよ。発酵が始まる前にね。そうするともっとはっきり白い放線菌の繁殖が確認できます。放線菌が好む餌はキチン質ですので、カニガラ粉末を発酵と共に混入させるということです。土壌病害の主要なカビであるフザリウムやピシウムなどの細胞壁はキチン質でできているんです。だから放線菌が繁殖すれば土壌病害は減らせます。微量要素のFTEも混入させて堆肥と共に発酵させます。」
「それから堆肥のかたまりをもっと小さくしないと…。かたまりが大きすぎると中で未熟な部分が残ったまま畑に行ってしまうこともある。そのうえ生のチップのような物が含まれているのが大変気になります。前にこちらに打ち合わせに来た際に、清水君の堆肥にも同様なチップ状の物がありました。それらが圃場に入った場合に、有害なカビ(糸状菌)が土壌内に繁殖する最も大きな要因になります。」

圃場での新井さんの話をまとめてみると・・
①作物によりチッソの効かせどころと、ミネラルとのバランスを考慮した施肥体系が必要であること。
②作物にとって余分な雨水対策として、土の跳ね上がりを防ぐマルチの使用と合わせて、畝の高さや排水性を向上させるプラソイラーの有効利用が大切であること。
③堆肥製造にあたっては水分調整が重要であり、全体に空気がまわるような切り返しが必要となり、有効放線菌の繁殖を促進させること。堆肥内の未熟有機物は、土壌内で作物に害を与えるカビ(糸状菌)などの繁殖を促進させてしまうこと。

以上、短い時間内での圃場視察でしたが、作物の健全な栽培には大切な条件がいろいろ必要であることを改めて感じました。

(Radix事務局 高橋)

農産畜産Blog

【01 農産活動報告】

2010-11-01

稲作技術者意見交換会 開催報告

8月5日、6日に千葉県香取市にて稲作技術者意見交換会を開催しました。意見交換、千葉・茨城の生産者の圃場視察、売り上げ動向の報告などが行われました。圃場を見せていただいたのは佐原自然農法、水郷おみがわネットワーク、あゆみの会の三箇所。その圃場を中心としての意見交換となりました。
その概要を報告します。

圃場視察 あゆみの会 松山さんの2・5抜き栽培

【佐原自然農法 代表 篠塚さん】

佐原自然農法は現在会員数7名です。面積は全部で55haぐらいになります。有機の認証を取ったのは1992年(その前から有機でやっていたけれど)、それからずっと続けています。
除草には紙マルチを使っています。紙マルチは1反あたり16000円程度、とちょっと経費がかかるのが難点ですが除草は楽になっていて、3年前に使い始めてから大分面積も増えました。
今年はスプリング除草を始めました。経費もかからないのでかなりいいんじゃないかと思ってます。ハウスのビニペットを利用するもので、作ろうと思えば自分でも作れるのもポイントです。
私たちの団体の問題としましては、立枯病が苗のときに出ることです。去年は私も蒔き直しをしました。土のpHが高いので、多分それが問題だとは思いますが。そういった問題もあるので、これからも勉強していきたいと思っています。

【佐原自然農法 大竹さん】
佐原自然農法 大竹さん 
4月3日に種まきをしたが、農薬を使っていないので苗のときは余りいい状態ではなかった。
播種して一週間くらいは調子が良かったんですが、その頃の低温の影響で、立ち枯れか何かで根が真っ赤になってしまった。上のマットをまくる頃にはしなびてきてしまっていた。撒きなおしになるかと心配していたが、植えてみたらなんとか持ち直してくれてほっとしている。それに育苗の日数も平年は25日くらいだったのが、今年は30日ぐらいかかりました。

坪当たり60株で植えているが、立ち枯れが多く目立っていた。土壌も悪かったのかもしれない。
元肥はEMボカシが150キロぐらい、ヌカが120キロ、アグレットが一袋、そしてミネラル宝素が80キロ入っています。追肥をやろうと思ったのですが、ヌカをやったせいか、今年は例年に無くよくできました。例年だとあの辺は非常に肥料がいるのですが。いもちの気もなかったので、このままいけばなかなか良くできそうです。
追肥には草木加里を20キロ入れています。
施肥にはブロードキャスターを使っていますが、EM菌は飛びにくいのでなかなか難しいです。
水は2日入れたら3日ぐらい抜いておくようにしている。それに暑さで収穫も早まりそうです。いつもは9月の10日ぐらいですが、今年は8月中になりそうです。

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《質問》

Q・ミネラル宝素の成分はどういうものなの
A・珪酸が主な成分で(60%)、微量要素がたくさん入っている。食味コンクールで金賞をとっているような人もミネラル宝素を使っているもので、使用してみた。食味を良くしようと考えて、去年から使っているが、お客さんからもおいしいといわれている。

Q・紙マルチを共同で使っているということでしたが、田植えの時期は重なると思うけれど、どうやっているんでしょうか。問題とかはおきないですか。
A・順番が決まっているので特に問題もありません。

Q・紙マルチははがれたらどうするのか
A・はがれたらもうだめです。雨が降ったり、風が強いとできない。水が多いと紙が移動してしまう。だから平らにして水が落ちることが重要。低いところに水が多いと、風が吹いたときに紙マルチが移動してしまい、そうすると苗が潜ってしまう。


・ うちでも畑苗は久しぶりに立ち枯れが出てしまいました。それで大半を今はプール育苗に切り替えています。プール育苗に切り替えたらほとんど出なくなりました。特に有機でやる場合はカビの発生がひどいので、立ち枯れが発生しやすいと思います。
・ やっぱりプール育苗がいいんでしょうかね。後は箱の底に肥料をやるといいって言いますね。
・ プールでやっていますが、春先の低温で立ち枯れが出てしまって、1600枚ぐらいだめにしてしまいました。いくらプール育苗でも過信はしない方がいいです。プール育苗でも寒さで立ち枯れが出ることだってあります。


・ チェーン除草とスプリング除草は同じようなものですね。チェーンを引っ張って苗と一緒に倒すんです。そのときには苗は活着しているから問題は無いんですが、雑草はそれで抜けてしまう。ただチェーンの場合は引っ張るのが重いんです。スプリングの方が少しは軽いんじゃないかな。
・ うちでもスプリング除草をやりました。現代農業の5月号に載っていたものをほぼそのまま作りました。鉄管とビニペットスプリングを組み立てて作ります。うちでは有機を10年くらいやっていて草が生えやすいんですけど、田植えをして3,4日で入って、5日ごとに入った場所は一切草は生えていません。チェーンの場合は地面のでこぼことかでチェーンがよけてしまうけれど、このスプリング除草では強制的に全面かけるので、僕の感想としてはチェーンよりもかなり効果が高いです。
・ 3年前に4mのチェーン除草機を作った。ティラガモにそれをつけてやってみたところ1反10分、3反30分で1回は終った。それを5日ごとに3,4回入って完了と。これで草が生えなければめでたしなんですが、多少生える場合もある。処理時間が早いので大面積をするにはいいかなと思っています。


【水郷おみがわネットワーク 岩立さん】
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私はとろとろ層とシロカキを重視した無農薬栽培をしています。
品種はミルキークイーンで、植え付けは5月の中旬、下旬、6月の上旬と分けて植えています。元肥にチッソ3キロ、追肥チッソに2キロ、追肥のときにヨーリンを田んぼごとに40キロ入れています。農薬はもちろん、あまり田んぼにモノを入れるのが好きではないものですからかなり少ないです。チッソはどこで切るかで、すごく食味が変わってくると思います。チッソが無いと育たないんですけど、チッソが多いと今度は邪魔なんです。チッソをずっと使っていらっしゃる方はいないと思いますけど、穂が出たらもういらないです。それこそミネラルだけで育ちますし、おいしくなると思っています。

除草にはシロカキを4回と、田植えから1週間後にヌカペレットを入れています。米ぬかペレットは発酵していないもので、30キロを田植え後1週間後と2週間後で2回撒きます。
私は分げつまでに雑草が出なければいいと考えています。そこまで雑草が出なければ平気なんです。その後に雑草が出てきても一向に構いません。
だから今の時期には雑草もかなり生えています。稲刈りのときに邪魔になるオモダカやヒエは切ってから稲刈りをしています。
シロカキは最初に深くかけて、だんだん浅くしています。4回目にはほとんど圧をかけないようにして、田んぼの上をとろとろ状態にする。1日でシロカキを4回済ませてしまい、その後二日ぐらいで田植えをしてしまうんです。

植え付けは風が良く抜けていくように、40株でやっています。新潟などの寒い地域とは違って、関東では密植していたら絶対に病気が出ると思ったんです。その結果病気も出ないし、強い稲になったと思います。
9月の頭くらいに千葉県には台風が来て、稲が寝てしまう。ところが僕らの作っている稲は2回くらいの台風なら起き上がります。やっぱり植物は太陽に向かって伸びていくので、元気のいい根を作っておけば必ず起き上がります。

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《質問》

Q・追肥のタイミングはどのようにしているのか?
A・先ほど40株で植えるといったが、これは3~5本ぐらいで植え込んでいます。これが大体3倍ぐらい、15本ぐらいになったら追肥を入れます。出穂の45日ぐらい前に追肥を入れます。への字農法ってやつです。

Q・田植え期間が一ヶ月あるんですけど播種も同じように期間をあけているんですか?育苗期間は皆一緒?
A・播種の時期も田植えの時期と同じようにずらしてあります。育苗期間は35日~40日ぐらいで植えます。昔二十日苗を植えたことがありますが、それだと虫が来るんです。若いねーちゃんに虫がつくのと一緒で若い苗はだめだと、ちょっと期間を置いた苗を植えた方が、虫が来ないと思います。実際硬い苗には虫が来ませんので安心して植えられます。

Q・播種量はどのくらいなんでしょうか。坪当たりでは何株植えでしょうか。
A・80~90gです。坪当たり40株植えています。


・ 4回のシロカキの意味を教えてほしい。

・ 最初に大体30~40cm掘り起こします。それでシロカキを25cmで一回目をやります。ついで15cm、次に5cm、最後に圧をかけないでやってしまいます。そのやり方でシロカキを、一日で一箇所やってしまいます。それでとろとろ層を作ったら、一日二日ですぐに田植えもやってしまいます。間をおいてやるんじゃなくて、一気にやってしまうんです。
・ 昔私たちが無農薬栽培をするときのシロカキの方法として、2・3回やっていかに雑草の芽を叩くかが重要だと教えてもらったことがあります。今日の話の場合は中に埋め込んでしまうということでしょうか。そうすれば後は出てこないんでしょうか。
・ そういうことです。でも雑草は出てきます。雑草が繁茂するその前に田植えをしておけば稲が結構抑えてくれます。雑草ほどじゃあないですが意外と稲は強いです。
それに、田植えをしてせっかく根が伸びているのに、除草機を使って根を切ることはしない方がいいじゃないかと思うので、田植え後はできるだけ田んぼには入りたくないのです。
・ うちでもとろとろ層は作っていますが、2日では植えられないですね。どろどろで。有機物が多くてどろどろで入れないです。


・ 春先の低温対策はどのようにしていますか。
・ うちはスチームで育苗するんですけど、スチームの水の中に酢を少量混ぜて、カビ菌は発生するけれど増やさないようにしています。育苗箱にカビ菌は出ている、しかし広がらない。今年はうまくいったなとおもっています。
ただ、低温で蒔き直しが一回ありました。時期をずらしていたので遅まきしてもなんとか間に合い、6月の上旬で無事終わりました。
・ 水に酢を混ぜるそうですがどのぐらいの量を入れるんでしょうか。
・ 適当です。たくさん入れすぎると死んじゃいます。
・ カビの問題ですが、有機の肥料には常についてまわる問題です。そこで少し目を向けてもらいたいのが、焼成カルシウム。ホタテの貝殻を使用していて、いもち病にも効果があります。
野菜にも殺菌剤の代わりに使えます。今の状態ではサルモネラ、ブドウ球菌、大腸菌、その他の菌類やカビに効果がでています。ただアルカリが強くてpH12.5ぐらいあります。新しい資材としてはちょっと面白いかなと思います。


最後に見学し
たあゆみの会、松山さんの圃場では、残念ながらご本人は来られなかったため、あゆみの会代表の斉藤さん、丸山さんに解説をしていただきました。


【あゆみの会 丸山さん】

今回見ていただく松山さんの圃場です。松山さんは土壌分析を参考にした施肥設計でやっています。施肥設計どおりの資材を撒くのはなかなか大変ですが、攪拌機を使ってうまく撒いています。最近の傾向として、今までは少なめだった苦土の量が安定してきている。マグマックスを使用していますが、今は入れなくても問題なさそうなところもでてきています。
あゆみの会の特徴として、ミネラルぼかしペレットという資材を使用していることがあります。これは学校給食や社員食堂で出てくる環境残渣を混合した有機質肥料となっています。らでぃっしゅぼーやのエコキッチンクラブで紹介されています。
この他に使用する資材は、オーガニック853、ハーモニーシェル、マグマックスを使用しています。
この圃場では条抜き栽培、2・5抜きをやっています。収量的には安定していて、ここ何年かは8・9俵ほど取れています。

除草について、松山さんは初期除草をしているのですが、あゆみの会で今無農薬栽培をやっているところは蒸気除草をしています。田植え機の後ろ側に蒸気除草機をつけているケースもあります。無農薬でやっていくには結構面白いかなと思っています。


【あゆみの会 斉藤さん】
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この圃場は2・5抜きで栽培していますが、2・5抜きはコシヒカリが一番合っているといっていました。早生のあきたこまちは良くないらしいです。ただ、条抜き栽培は間に雑草が生えてしまいます。
それから土壌分析をしっかりしていると、下の葉が枯れてこないですね。今年の前半は松山さんもかなり悩んでいたようです。天気もおかしかったですからね、相当苦戦しました。

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《質問》

Q・何俵くらい取れる予定なのか。
A・去年は九俵ちょっと。今年もそれを目標にしていると思います。

Q・普通栽培よりも取れてるんですか。
A・普通ここら辺の収量は8俵ぐらい。

集合写真
圃場視察はここまで。
この他、らでぃっしゅぼーや農産課の上甲さん、株式会社マゴメの馬込社長から最近のお米の売り上げ動向などをお話していただきました。

(Radix事務局 高橋)

農産畜産Blog

【01 農産活動報告】

2010-11-01

東北ブロック会議 開催報告

8月20日、青森の五所川原市にて東北ブロック会議を開催しました。らでぃっしゅぼーや農産課からは売上状況、基準改訂の話など、会員サービスセンターからはセンターの日々の業務、会員さんの声の紹介、参加の生産者からは近況や様々なご意見をいただきました。その概要をご報告します。



東北ブロック会議
日時:8月20日 12時~15時
場所:青森県五所川原市 夢野温泉


会場は夢野温泉ホテル
後藤事務局長より開会の挨拶
去年は庄内でしたが今年は青森での開催となりました。生産者の参加者が80名近くとなっており、かなり大規模なものとなっています。今日の話の中心になると思われるのが、豊作傾向で、高温障害も心配になってきた米の状況について。そして果物ではやはりりんごを中心に意見交換ができればと思っています。

津軽産直組合 斉藤さん 
Radixの会 事を務めていただいている斉藤さんより挨拶
この東北ブロック会議のために遠くからありがとうございました。
私たちのところも各生産者がそれぞれがんばっているのですが、春からの異常気象によって、私たちのところもりんごを中心に雹害に見舞われて大変な目にあいました。皆さんの各地域でも、長雨、集中豪雨、猛暑など、日本全国で被害を被っていると思います。東北は普段なら涼しいところで農産物も沢山できるはずなのですけど、青森でも、もう日中は暑く、さらに夜まで暖かい。今までに経験の無いことが年々増えてきて、今年はどうなるのだろうかと安心できない厳しい状態です。
そんな中で私たちが安心安全なものを会員さんに届ける、というのは、個人の努力だけでは難しいものがあるんじゃないかと思います。たとえば農薬一つ少なくしただけでも、今までは発生しなかった虫や病気が出てきて、どうすればいいんだろうと大変な目にあっている方も多いんじゃないかと思います。この中でらでぃっしゅぼーやも基準などの報告もあるようなので、じっくりと意見交換をしてこれからの農業のやり方や、方向性の決定に役立てていただければと思います。
それから、この東北の生産者からするとらでぃっしゅぼーやの東京でのイベントは遠すぎるものですから、なかなか行けるものではありません。だからこそ、こういったらでぃっしゅぼーやさんと東北の生産者が集まって情報交換するというのはやはりブロック会議ならではのことだと思いますので、皆さんも十分に意見を出していってください。


後藤事務局長、斉藤理事の挨拶が終わるとらでぃっしゅぼーや農産課、会員サービスセンター、Radixの会からそれぞれ報告がされました。

らでぃっしゅぼーや農産課 森﨑課長
らでぃっしゅぼーやからの報告
・ 売り上げ動向について
・ 食味検査実施の呼びかけ
・ 基準外農薬について
・ 会員SCの目あわせについて
・ 欧州視察の呼びかけ

会員サービスセンター根田センター長 会員サービスセンター 中村さん
会員サービスセンターからの報告
・ らでぃっしゅぼーや会員からの意見の紹介
・ 会員サービスセンターの現況報告
・ 会員からのクレームの一例紹介
・ クレームの動向について

Radixの会の活動報告
・ 2009年度の活動説明
・ 今年の活動予定
・ Radixの会役員会 会議報告

以下は生産者の現況報告や意見の紹介です

ライスランド大潟 山田さん
ライスランド大潟 山田さん
今年の大潟村は春に天候不順で低温に見舞われ、私も苗作りを失敗しまして、大変な思いをしましたが、今のところなんとか平年作はいけると思っています。秋田にはこの間台風4号が来まして、非常に心配しましたが特に被害もなく皆一安心しています。大潟村の米作りはすばらしい出来ばえの方が多く、感心しながら参考にして見ています。もし来てみたい方がいたら案内するので是非いらっしゃってください。
米の販売は苦戦しております。私は産直もしていますが、産直の中でも有機的なものが非常に苦戦しております。安いものうまいものを志向する方が多いです。

共同商事みちのく有機共同農場 斎藤さん 福田さん 佐々木さん
共同商事みちのく有機共同農場 斎藤さん
インゲンなど出荷する予定だったのですけど、暑さで花は咲くが実がならない。もしくは実がなっても小さいうちに実入りしてしまって、品質的にものにならない状態が続いてしまっている。りんごも少し作っているのですが、暑くて色のつき具合が大分遅れているような感じです。

共同商事みちのく有機共同農場 福田さん
長芋を生産しています。今年は何はともあれ、暑さと雨で雑草に苦労しています。かんばってきれいにして、いいものを作りたいと思っています。

共同商事みちのく有機共同農場 佐々木さん
今年は5月20日ぐらいから雨が続いて、30年前の東北の大冷害の再現じゃないかといわれたほどです。ゴボウを播種していて、寒さが心配になってパスライトをかけてみたのですが、一週間ほどかかって張り終えたところで手のひらを返したように高温が来て、根が焼けてしまいました。とにかく気候が荒いというか、安定していないことを実感しています。今まで経験したことのない気候でした。
猛暑になって雑草も大変強く、作柄も負けてしまうし草刈の手間も増えている。それにアブラムシが出る季節になって新芽が食われてしまって、なかなか伸びなかった。
とにかく雨が大量に降る、暑さががっと来る、にんにくも雨が続いてしまったせいで割れてしまいました。これだけ雨の影響を受けた年もそうなかったです。

 みずほ有機生産グループ 菅原さん 守屋さん
みずほ有機生産グループ 菅原さん
山形の庄内でやっています。去年は雨や低温の影響でなかなかうまくいかず、上甲さんや皆さんにご迷惑をおかけしました。
今年は出穂の状況から見ると、ササニシキで8月1日から3日間で穂が揃いました。3日間で穂が揃うなんて年は今までなかった。コシヒカリも大体13日から15日ほどで穂が揃いました。去年は日照不足や低温で大変なご迷惑をかけてしまったので、今年はみずほ有機からは絶対にクレームは出さないというつもりでやっていきますのでよろしくお願いします。

みずほ有機生産グループ 守屋さん
いろいろなクレームがありましたが、それをグラフにまとめて発表してくれて、大変わかりやすく勉強になりました。
ぱれっとの販売については、これからは高齢化が進んできて、日本全国での比率で23%ぐらいです。山形県や東北のあたりでは27%で、あともう3年もすると3人に一人が高齢者となるという報告もあります。そして核家族化が進み、近くの店も閉店していきます。そうすると高齢者の人たちはますます買い物に出なくなるので、らでぃっしゅぼーやの仕事はますます増えていくのではないかと考えております。わけのわからないクレームもあるとは思いますが、丁寧に一つずつそれらを解決して高齢化社会を助けてもらえればと思います。

瑞穂ファーム 佐藤さん
瑞穂ファーム 佐藤さん
秋田のみずほファームの佐藤です。らでぃっしゅぼーやと取引を始めたのが今年からです。農家をやって40年になりますが、ツマモノでやってきました。木の芽、刺身に付ける小さい菊などの和モノでやってきましたが、バブルがはじけたころからそういうものが売れなくなりまして、東京の銀座、赤坂、築地などの料亭がつぶれていき、代わりに赤提灯のチェーン店が増えてきました。それから胡坐をかいて座る店も減ってきました。椅子で座るところばかりです。どこも洋風な世界になってきました。
そんな風に変わってきたので私も和モノ中心でやってきましたが、今は洋物であるズッキーニを中心に作っています。

ベジタブルスタイル 信太さん
ベジタブルスタイル 信太さん
大潟村でベジタブルスタイルという団体をやっています。春先の寒さでハウスなどがダメージを受けて心配されたのですが、今ここに来て生育がかなり戻ってきて、見る分には平年通りかなという感じです。
大潟村ということで、お米に関しては個別保障や、新規需要米、加工用米などでにぎわっています。これまで減反等に参加しなかった人たちが参加して、新規需要米に取り組んでいこうとしているように見えるかもしれませんが、私たちのグループでは誰もその流れに参加することを選びませんでした。
それについて確固たる意見を持っているのかというとそうではない部分もあるんですけれど、どこまでも国や補助金に依存するよりも、自分たちの農業の形を変えていこうと思っています。グループ名のとおり10年ほど前から大潟村の中で野菜作りに取り組んでいて、今では大潟村周辺の耕作放棄地などを借り始めました。そしてようやくお米の売り上げの半分くらいまでは野菜で売れるようになりました。そうやって工夫することで、大潟村=米のイメージを払拭し、若い生産者が新しい農業の形を作り出そうと努力している場所というイメージを持ってもらえるよう、自分たちのグループが引っ張っていけるように目指して、役10名でがんばっています。
お米の価格については特に悲観もしていないし楽観もしていないです。考えてもしょうがないことです。そんなことを心配しているぐらいなら、もう自分たちが新しい農業をできるように意識を集中した方がいいと思っています。まだ自分たちの平均年齢は35いってないので、若いうちに悲観する必要も無いし、毎年の農業を新しくして,いろいろなことに挑戦していくことに力を向けた方が建設的だと思っています。

ファーマーズ・クラブ赤とんぼ 浅野さん 森谷さん 竹田さん 
ファーマーズ・クラブ赤とんぼ 浅野さん
今日の話の中でクレームの件がいろいろと出ました。私も米、野菜、さくらんぼなどを作っていますが、会社で事務局としても仕事をしているので、直接クレームを受けることもあります。今までは自分たちが作ったものに過剰な自信を持ちながらやってきたという部分も多少あるんですが、それでもいいものを作ったと思っていてもなかなか売れないという現実はかなりあるなと思います。いろんな方の意見を全て聞くわけには行かないですけれど、作っている自分たちの思いもあれば、食べている人たちの思いも変わってきているということもあるんだと思います。だから今日のクレームの内容というのは凄く興味がありましたし、もっといっぱい聞いてみたかったです。多分ごく一部だったと思うので産地の方に情報が行くようにすれば、もしかしたらもっと違った農産物作りができるかもしれないと思ったので、情報提供していただければなと思います。
産地の状況は、さくらんぼで非常に困っています。かなり温暖化の影響が出ていて、味が乗る時期に気温が高くなって、色が出ない、そして酸味が抜けずに味も乗らないという状況です。そのせいでらでぃっしゅさんに出すときは本当に苦労しました。こんな味で出せるのかなと思ってしまいました。今年は最後の最後まで味が乗らずに申し訳なかったなと思っております。
そんな中で、うちでは土壌分析もよくやっていたんですが、中身をもう少し見直さないと分析してもだめなのかなとも感じています。色づきとか味を乗せるために必要なものがあると思うので、来年は全員で分析の設計の方法を少し変えながらやってみようと思っています。
野菜の方も、特に今年はブロッコリーで被害が大きく、温暖化のせいで大分軟化してしまいました。なのでやはり軟化に対応する技術も必要かなと思っています。
また、投入資材を買うだけしかないという現実があるので、数年前から自分たちでボカシ肥料を作ってます。そのボカシの中に地域の資源を利用して、できるだけ他所から買わなくて済むような形で、コスト削減しつつ味のいいものを作れるんじゃないかと思ってやっています。
そういうことをやっていて、何種類かは面白い結果が出ています。トマト圃場にボカシを入れて実験してみたんですが、トマトがブドウのようになり始めて、味はいいし、面積を去年の半分にしても収量は上回っているという結果が出ました。なので今後は例えば反収を上げるような技術を作りたい。今まで赤とんぼでは米は収量も食味も上げようと考えてやってきました。そういうところをもう一回よく考えて取り組んでいきたい。
最後に、皆さん最近TV買ったと思います。TVや車なんかにエコポイントがついています。自分としては何で有機農産物や特栽の物にエコポイントがつかないのかと思います。例えばそういったところにエコポイントが付くことで消費者が買いやすくなれば、消費が伸びるんじゃないか。国からの補助金に頼らない農業というのもすばらしいと思います。ただ日本国内でメリットを共有できる、買う人は買いやすい、作る人は経済的に安定できる、という形であれば、やる必要があるんじゃないか。是非農産物にエコポイントみたいなものをつけて、らでぃっしゅぼーやさんと一緒にできれば面白いんじゃないかと思いました。

羽山園芸組合 熊谷さん
羽山園芸組合 熊谷さん
りんごを出荷しております。今年の生育は、梅雨明けが早く、雨がぜんぜん降らなくて困っています。最近も少し降ったぐらいで、温度はいらないんですが水がほしいという状況で、果実の玉の大きさも、昨年から比べれば3割くらい小さいです。
私もクレームは出さないように気をつけていますが、たまにセンターからFAXで届きます。後で問い合わせればセンターから写真つきのメールを送ってくれると思うのですが、FAXではなくて最初からメールで写真を添付して送ってくれた方がわかりやすいのです。ぜひそうしてもらえないでしょうか。

八幡平農研 赤坂さん
八幡平農研 赤坂さん
八幡平は夏場は冷涼で、高原野菜の産地ではあるんですが、今年は暑くて苦労しているみたいです。私は高原野菜ではなくて、トマト、ピーマンをらでぃっしゅぼーやさんに収めています。割と今年は技術的にも上達したと思っていて、収量も上がってきております。標高が280~600くらいの地域ですが、寒暖の差が小さく、夜温が20℃以下にならないです。そのせいで味が乗ってこないです。自分たちも不満だし、まずいと思っているので、収量も上げるし、味もよくするという技術を習得していきたいです。
それから我々は除草剤を使用しないので、雑草にどうしても労力を取られてしまいます。そうすると次の作業が遅れてしまったりということがあるのです。そこで労力の確保という部分が重要ですが、中国からの研修生を受け入れるということもこの国際情勢の中で難しくなってきているので、国内で労働力を担保するシステムを今後作っていく必要があるんじゃないかなと思います。そういったときに都会から短期ではなく長期的に人を呼べるようなシステムができればいいなと思っています。
農政について、今の日本の農業は大規模化や集約化を進めているのですが、そうではなくて、日本型の農業というのをきちんと日本として考えてほしい。日本の農業というのは中もあり、小もあり、零細もありという多様化が必要だと思っている。大きくやるとどこか雑になったりするところもあると思う。日本の農業というのはやはりとても丁寧にやるものだと思う。だから是非農水省も小さいところを切り捨てていくのではなくて、そういうところも大事にしてほしいと考えております。

遠野ライフ 菊池さん 三浦さん
遠野ライフ 菊池さん
5月の低温や今の高温で皆さんも困っているかと思います。我々もレタスやブロッコリーを出荷していますけど、予定数量を収めることができないでいます。森田さんにも来ていただいたのですが、大変残念な結果でした。この高温はあと半月ぐらい尾を引きそうです。仲間でもちょっと苦労しています。
クレームについては、長いもに髪の毛が入っているというクレームが私たちにもありました。それで加工場を改装しまして、これ以上こんなことがないように勤めています。
それから会員さんが農家のところに来て、農業体験できるような場を設けてほしいと思っています。

遠野ライフ 三浦さん
新規就農者なんですけど、今年で就農して5年目になります。ずっと無農薬・無化学肥料でやってきたんですが、最初からやることじゃなかったですね。でもそこに信念を持ってやろうと思っていて、ずっと続けています。今はズッキーニを1町歩やっています。ちょっと大変なんですけどがんばってやっています。

なるほど舎 竹内さん
なるほど舎 竹内さん
お話を聞いていて、米以外は皆さん元気がいいなと感じています。私どものところは米中心でやっています。私どもはずっと鳥海山にブナを植えていまして、これまで2万本ぐらいは苗を植えてきました。もう15年くらいになります。
私どもの精米工場はTTKのある工場団地の一角にあるのですが、あそこはバケツ一杯ぐらいで1000万とかの取引をしているわけですが、私たちは12トン車に米を満載しても300万とかなんですね。世界の先端を走る企業の作るものと、人の胃袋に入るものを作るものとの価格の差というのはこういうものだというのを見せ付けられる思いです。
私どもの地域も中山間地帯で、若者が農業を選択しないで製造業の方に進路を求めるものですから、だんだん耕作放棄地の方が増えてきております。米以外のものを作るというのも2重のエネルギーが必要な場所で大きい課題棚と考えております。
米についての最大の関心事はやはり価格です。どこまで下がるのかというのが見極めが難しく心配しております。

新農業研究会 今井さん
新農業研究会 今井さん
うちは米とりんごと野菜を主力にしています。今はタマネギを出荷しているところです。来週からはニンジンが出る予定です。春の異常気象で非常に生育が遅れまして、ようやく出荷できることになりました。うちの野菜も非常に天候の影響を受けています。
りんごは花が出るのが遅れて、作業が非常に遅れています。玉伸びは雨もあるので大分回復してきたように思います。この夜温が下がらないという状況の中で、早生の出荷が始まるのに味と色がどうかなというところですが、最後の追い込みで皆がんばっております。
米については、皆価格に一番関心があるようです。昨日も精米業者さんがうちに来たのですが、やはり話題はそこになりました。高齢化・少子化が進み米を食べる人も減り、ますます米が余ります。これからどうやって消費を増やすかを考えないといけないと思います。
それから今年、世代交代ということを考えて、若い人に副部長を任せました。将来は会を背負ってもらうと思っています。

新農業研究会 奈良岡さん
新農業研究会 奈良岡さん
今年からお米の副部長になりました、奈良岡です。米とタマネギを作っています。お米を作って10年になるんですけど、冷害も経験しましたし、豊作の年も経験しましたが、今年はそれが一緒に来たようなよくわからない状況です。

津軽産直組合 宮崎さん
津軽産直組合 宮崎さん
りんごを作っています。今年は春先に霜の害がありまして、今はりんごにサビが少し出ているような状況です。それに低温でちょっと黒星病も出ていて、今度は暑さで津軽や早生のものに色が乗らないんじゃないかと心配しています。色が付くのを待つと軟化が始まってきたりします。


高橋農園 高橋さん
高橋農園 高橋さん
皆さんと同じ状況でして、新潟県も2000円ぐらい去年より米が安くなるという話です。今までは新潟ということで皆さんよりも高い価格で支えられてきたのですが、その分下がっていくと新潟の農家の方がもろいんじゃないかという気がしています。
たとえばこの前のロシアの小麦の被害などを見ると、世界的な流れの中で豊作というのは喜ぶべきことであって、こういったことを消費者と一緒に考えていくことが大事なんじゃないかと思っています。私も25年くらいお客様に向けて通信を書いて農家の現状を訴えているのですが、本当にお客様に支えられているなと実感しています。


最後に斉藤理事から締めの挨拶を頂きました。

津軽産直組合 斉藤理事
普段はこういう話し合いだとか皆さんに意見を聞くということはまずないと思います。今回非常にいいなと感じたのは、この地元の人が多く参加してくれたこと、そしてこういう場でらでぃっしゅさんの方針だとかいろいろな話を聞けたことです。このブロック会議を今回は青森でやりましたが、次は別のところでやりたいです。そうすれば開催場所の地元の人たちも多く参加できると思います。そういう場にしたいなと思っていますから、何か希望があればどんどん言ってほしいと思います。

                    

         (Radix事務局 高橋)

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