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【01 農産活動報告】
2009-12-25
『めだかの学校』新井塾par t4 開催報告【講義編・前半】
『めだかの学校』新井塾part4開催報告【圃場見学編】に続いて、甘楽町有機農業研究会の新井俊春さんの講義概要をお知らせいたします。
(※長文のため、施肥体系の話を前半、病害虫防除以降を後半に分けてアップしています)
今回のテーマは『高品質な野菜づくりのための再確認』。
過去3回の『めだかの学校』の総集編(+α)です。
最初に有機質肥料の特性を生かした施肥体系の話、次に病害虫防除の再確認、今年のトマトづくりの様子など、質疑応答を交えながら講義は進みます。
それでは新井さん、よろしくお願いします。 ![]()
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(当日資料表紙:当日資料はすべて新井さんの手作り)
【新井さん】
最初に「土」というものから確認していただきます。
基本は粘土粒子があるかどうかで団粒構造が決まってきます。
団粒構造が十分できていない場合、堆肥やゼオライトなどを活用して団粒構造をつくります。
腐植は堆肥中の炭水化物を微生物が分解してできる物質です。
堆肥を入れて8割ぐらい吸収されるのですが、残りの2割ぐらいは腐植として残ってきます。
粘土粒子と腐植を結びつけているのが、微生物が分泌する多糖類というネバネバです。
団粒構造をつくって肥料成分を中に閉じこめます。
これによって肥料成分が流亡しにくくなります。
(当日資料より)
土の主な化学性に、pH、EC、塩基バランス、C/N比があります。
pH5.5以下は一般的に石灰とか苦土が不足している状態です。
6から6.5ぐらいが、いろんな成分が植物に吸収されやすい状態です。
7.2を越えると微量要素が吸収されにくくなります。
ジャガイモソウカ病は土壌pHの上がりすぎが原因の一つ。
ソウカ病の原因は一部の放線菌。
この放線菌はアルカリ性の圃場に繁殖しやすい。
酸性圃場では繁殖しにくいと言われています。
だからジャガイモを植える場合、酸性圃場に植えてください。
堆肥にしても配合肥料にしても発酵鶏糞にしても、多くの有機資材はアルカリ性です。量を入れれば入れるほど、土壌pHは上がりやすくなります。
慣行栽培している近所の畑を見ると、ジャガイモ畑に石灰を入れているんですね。石灰を入れる場合にはpH確認をした方が良いと思います。
pHが上がれば上がるほどソウカ病は出やすくなります。
ソウカ病の原因となる有害放線菌が繁殖しやすくなるということです。
次はEC。
特にハウスで問題になります。
ハウスの場合、入れた肥料が雨ですべて流れることがありません。
EC値が高いということは硝酸濃度が高いということです。
硝酸濃度が高くなると土壌pHが下がりやすくなり、石灰の使用などを考えがちになりますが、石灰の使用+酸性肥料の使用(過多)などにより、更にEC値が上昇しやすくなります。
EC値が上昇する条件は過剰施肥+水分不足であり、EC値を下げるにはこの条件の逆の施肥調整+充分な潅水ということになります。
EC値の高い圃場で野菜を作るとアブラムシが寄ってきやすくなります。
(※葉中のアミノ酸・硝酸濃度が濃くなる→アブラムシを呼びやすい)
(当日資料より)
次に塩基バランス。
塩基バランスは苦土を中心に考えます。
苦土はリン酸の吸収を助ける働きがあります。
塩基バランスでは石灰・苦土・カリ比を5:2:1にするようにと言います。
この石灰・苦土・カリ比ですが、土壌分析結果の比率ではありません。
等量比になおす必要があります。
石灰の分析結果を28で割ります。
苦土の場合は20、カリの場合は47で割ります。
この割合が5:2:1になるようにしなさいということなんです。
この数値の石灰÷苦土の割合が6以下になればいいんですね。
苦土÷カリを2以上に、最終的に5:2:1がベストですということです。
また夏場は7:2:1という考え方もします。
石灰を少し増やすんです。
なぜかというと、夏の場合は地温が高くなるので雨が降った場合に石灰の吸収が重要になってくるからです。
雨が降った場合、窒素・カリの吸収が早くなります。水に溶けるからです。
そうすると石灰の吸収が追いつかなくなるために腐りがでやすい状態になります。そのため夏場は石灰を多めにした方がいいという考え方です。
細胞を強化するのは石灰の役割。
固めるというか、しめる効果があるということです。
土壌の生物性。
土壌に有用な放線菌が入るのは非常に重要。
放線菌が入るとなぜ良いかと言いますと、土壌病害軽減につながるからです。
『優良堆肥に含まれる放線菌は抗生物質を出して糸状菌の菌糸を溶かしたり、伸びるのを抑えたりなど、その抗菌作用が注目される。キチン質を好むため、キチン質を含むネコブセンチュウの卵を食べてしまう。フザリウム菌やピシウム菌などの土壌病原菌の細胞壁はキチン質でできており、土の中に放線菌が多ければ発病が抑えられる。カニガラはキチン質の宝庫で、これを素材に放線菌が豊富な堆肥やボカシ肥ができる』(当日資料P.4より抜粋)
写真は青カビ(トリコデルマ)がフザリウムを溶かしているところです。
このトリコデルマを発生させる堆肥は草質堆肥です。
牛糞とか籾殻などを混ぜて堆肥をつくりますが、炭水化物の多い堆肥ほどトリコデルマは繁殖します。
このような堆肥を使うことによって土壌病害を防ぐことができます。
次にC/N比の話をします。
ここまでに何か質問などありますか?
【質問】
硝酸が増えるとpHが下がりECが上がりますよね。
pHが下がっているところだけに注目して石灰をやると、さらに塩類濃度が高まる、ECも高まるということでしょうか?
【新井さん】
ECが上がると酸性に傾くんだけど土中には石灰はあるんですよ。
硝酸が増えるとpHが下がります。そこで、(石灰があるにもかかわらず)石灰を足してしまうと、こんどは石灰過剰になってしまう。
pHだけで単純に石灰を足すのは危険ということです。
つぎにC/N比の話。
C/N比という言葉をよく耳にすると思いますが、Cが炭素、Nが窒素のこと。
炭水化物のもとになるものです。微生物の好物です。
炭水化物というのは光合成によって植物がつくるもので、空気中の炭酸ガスを吸収し、根から水を吸い上げてCH2Oができ、余った酸素が放出されるんだよという話を小祝さんがしますが、その炭素と水とがくっついたのが炭水化物です。
炭水化物、タンパク質あるいはアミノ酸の割合によって肥料効果は違ってきます。窒素量が増えれば増えるほど、C/N比の数字が小さくなります。
C/N比が小さい肥料(窒素が多い=タンパク質・アミノ酸等が多い)ほど早く効く。だけど早く切れやすい(持続性がない)。
数字が大きな肥料ほど遅効き、または長く持続します。
8-8-8という(有機系の)配合肥料と4-4-4という(有機系の)配合肥料があった場合、数字が大きい肥料ほど早く効きます。そのかわりに早く切れる。
4-4-4の肥料の方が効き始めは遅いけど長く効くということです。
(当日資料より)
表の下ほどC/N比の数字が小さくなっています。
C/N比の考え方でいくと、上に書いてあるものほど効き始めは遅い、下にいくほど窒素の効き始めは早いということです。
各肥料成分、塩基が植物のどこで働くかという図です。
窒素は葉とか茎を作るのに有効な成分です。
マグネシウムは窒素とともに葉緑素のもとになりますね。
そしてリン酸は良質な花を咲かせるのに有効な成分になります。
苗にリン酸を効かせないと良い花が咲かないですよね。
一方、圃場とくにハウスの場合はあまりリン酸を入れすぎない方がいいです。
育苗期にリン酸を効かせることが大切であるという話をしましたが、トマトの場合、定植苗に、ほぼ5段目までの花芽が分化しています。
仮にトマトを10段まで収穫しようとした場合、下段5段目くらいまでは苗の質で決定されてしまうということです。
苗の床土でリン酸吸収を良くすることにかかってきます。
育苗が非常に大切になります。
カリウムは植物体をゆるめる働きがあると共に、根の伸びを促進させます。
圃場視察で里芋の葉っぱにカリ欠が出ているよと言う話をしました。
夏に雨が多かったので、かなりカリが吸収されているんです。
秋になって里芋がこれから伸びるという時期にカリが必要になるんですが、足りないために葉っぱに症状が出たんです。
葉のふちが枯れていると言うことはそういうことです。
五大要素の中で最も吸収されやすいのはカリウムなんですね。
次に窒素、カルシウム、リン酸、苦土という順番になります。
グラフから果菜類、根菜類にはカリが一番必要だということがわかると思います。
自分がトマト栽培をしていて、窒素の欠乏症状が出る前にだいたいカリの欠乏症状が先に出てきます。
下葉が黄色くなってくる症状では、苦土欠よりもカリの欠乏症状が先に出てくることも多いです。
(当日資料より)
作物毎に三要素とか五大要素がどのぐらいの割合で吸収されるかを調べてみました。
まずは豆。
豆のように種を利用するものは、粒の肥大に応じて窒素を要求するのがわかります。
次にカリ、そしてリン酸ですね。大豆も窒素、カリ、リン酸の順番です。
なぜ窒素が優先されるのか、わかりますよね。
豆がタンパク質でできているからです。
豆の場合、カリ優先ではなく窒素が後半効かなければだめだということです。
初期から窒素が優先に効いてしまうと樹勢ばかりが強くなってしまい、実の付きが悪くなってしまいます。
後半効くような作り方をしなさいということです。
次にほうれん草。
ほうれん草は他の葉物野菜よりも石灰を多めに入れて作ることが一般的になっていますが、一番吸収されている要素はカリウムのようです。
次に窒素、石灰、リン酸の順番です。
次にダイコン。
スタート時は窒素の吸収量が多い。
生育の真ん中あたりからカリを吸収してきます。
なぜカリを吸収すると思いますか?
根の生育に重要なのはカリ、根が肥大するときには窒素よりカリが必要なんです。
次にキャベツ。
キャベツはカリの次に石灰を必要とします。これはなぜだと思いますか?
石灰は細胞を強化し丈夫な体をつくるのに必要なんですが、かたくしまるキャベツをつくるために石灰が窒素よりも吸収されるんですよね。
窒素が勝ってくるとキャベツの巻きが弱くなるんです。
次にレタス。
前にJAへの出荷を予定している結球レタス圃場で、全然結球せずにサニーレタスのような状態の生産者の相談を受けたことがあります。施肥体系を確認したところ、夏場の休閑期にマメ科緑肥を播種・すき込み、レタス用の肥料を教科書通り投入してしまったとのこと。
結果的に窒素優先肥効となってしまい、石灰等の吸収が間に合わず結球できない状態になったと説明した例があります。
窒素が優先になってしまうと結球野菜類は巻きが弱くなると共に、軟弱徒長(軟弱細胞)となるために、とろけや日持ちの悪さにつながります。
次にサツマイモ。
これもカリ優先ですね。
根が肥大するにはカリが必要ですよということを示しています。
次にトマト。
窒素の倍ぐらいカリを吸収します。
実がゆるくなければ肥大しないわけで、実をゆるくするにはカリなんですね。
カリを吸収しながら窒素という順番になります。
窒素欠乏の前にカリ欠乏が先に出やすいというのはこういうことです。
次は欠乏症状。
キュウリのカリウム欠乏症状というのは葉のふちにでます。
ナスはふちではなくて葉脈の間、ちょうど葉ダニがついたような症状になります。
(当日資料より)
石灰の欠乏症状。
トマトの茎が扁平になってきて、ひどくなると真ん中が空いてきます。
窒素が優先的に吸収されて石灰の吸収が追いつかないとこのような症状が出てきます。写真上部左はトマトの芯止まり症状です。右が実の尻腐れ症状。
共通点は根から一番遠い部分にカルシウムの欠乏症状が出るということです。
トマトの先端部、あるいはトマトの尻腐れなんかそうですよね。
キャベツの場合、外葉が先についた葉で内側ほど後につく葉になります。
内側の方が養分のいきわたる時間がかかるみたいで、キャベツの石灰欠乏は一番内側のやわらかいところからでます。
なぜトマトの尻腐れが出るのかといいますと、主枝を通って養分が運ばれて、枝で曲がって、(トマトの実の少し前)ここが折れているんですよね、トマトの場合。
なぜ折れているかと言うと、農家のおじさんがトマトを取りやすいようになっているわけではもちろんありません。
トマトは自分の子孫を残そうと思って実をつけるのであって、熟してくるとここがポロっと折れて下に落ちるようになっているんです。
下からの養分の通り道がストレートでなくて途中で曲がっているため、これが植物体内の移動が緩慢な石灰の吸収移行を、更に手間取らせる原因になっているんです。
ストレートにずっといってくれれば吸収は早いんですけど・・・。
一番遠い(トマトの)尻に症状が出ると言うことです。一番遠い部分です。
里芋の例です。
苦土欠と違ってはっきりとでてくるのが里芋のカルシウム欠乏です。
(当日資料より)
次に苦土欠です。
窒素と苦土で葉緑素をつくっていくんですが、葉脈近くから外に向かって広がっていくのが苦土の欠乏症状です。
カリウムの場合は葉脈と葉脈の間が黄色くなるんですけど、苦土欠は葉脈から広がっていきます。
小松菜の苦土欠です。
一番下の葉っぱです。
葉脈の外に向かってだんだん黄色くなっていきます。
トマトの苦土欠症状です。
葉脈間だけでなくて葉の先端近くに向かって黄色くなっています。
葉脈の間だけか?葉脈から外に向かって全体が黄色くなりやすいのか?が、苦土欠かカリウム欠乏かの違いのようです。
これが里芋です。
初期の段階ですけど、これが広がると黄色い部分がより鮮明に出てきます。
コンニャクイモの苦土欠です。
(新井さんのハウス隣の)おじさんの畑にでています。
原因はわかっています。
おじさんは牛の肥育をしています。牛舎に麦わらを入れて堆肥をつくり、それをコンニャク畑に入れています。傾斜畑に畝をたてると土が流れるので、畝の低い窪地にも麦わらを敷くんですよ。
牛糞も藁もカリウム成分が結構高いんです。
そういう作り方を毎回繰り返しているとカリウムの過剰障害がでて、拮抗しているマグネシウムが吸収できない土になってしまうんですね。
カリウムが過剰に吸収されるとマグネシウムの欠乏症状が出てきます。
苦土があっても吸えない状態です。すべてこのような畑になっています。
特に畑のまわりに出やすいんですよ。コーナー(角)に出やすいんです。
「おじさん、苦土が欠乏しているよ」という話をしたら去年ぐらいから苦土石灰をふるようになりました。だけどコーナーまでふってないんですよね。
背負いでふるとどうしても角までふれない状態になるんです。
次にトマト。
右側が石灰欠乏。
左側のトマトは窒素と並行してカルシウムが吸収できているものです。
右側の場合は窒素優先。水を入れすぎるとどうしても窒素優先的になりがちになります。窒素は水に溶けやすいので優先的に吸収されます。
窒素に対して石灰の吸収が追いつかないのでこのような症状になってくるという例ですね。これが進むと尻ぐされがでてきます。
(当日資料より)
トマトの肥料成分過不足の例、窒素からホウ素までを調べてみました。
欠乏症状と過剰症状、けっこうトマトをつくっている人が多いので参考にしてみてください。
作物によって肥料の使い分けが必要となります。
葉っぱなのか、根っこなのか、実なのか。
その部分を豊作になるようにつくりましょうということです。
例えばトマトで初期から肥料を効かせると茎や葉っぱが大きくなりすぎて空気まわりが悪くなります。そうするとカビなどの病気が出やすくなります。
トマトの場合、実が肥大するときから肥料が効くようなつくりかたをしなさいということなんですよ。
(当日資料より)
それを3つのパターンにわけてみました。
後半に効かせた方がいいという作物が根物とカボチャの類。
初期にあまり効き過ぎると良くない作物です。
ダイコン、ニンジンの場合は根を利用する作物ですから、初期から窒素が効いてはだめなんです。
肥料を薄くめにしておいて主根がぐっと伸びていってから側根、こまかい根が伸びた時に効くような作りかたをしようということになります。
最初から肥料が効いてしまうと地上部の葉っぱが伸びすぎて垂れてきて太陽の光を遮る、雨が降って株元がじめじめして病気がでる・・、一方で根は伸びないという状態になります。
日当たりを良くして根を伸ばすのであれば生育初期は効かせないで後半に効かせましょうという作り方になります。
ダイコンの場合、炭水化物優先の肥料、たとえば牛糞と籾殻をつかった堆肥でつくる場合には籾殻の量が多い堆肥が良いということになります。
8:8:8という(有機系)配合肥料と4:4:4という(有機系)配合肥料があった場合には数字が小さい方の肥料がいいということです。
葉っぱを伸ばさないで、根を伸ばすという作り方というのは窒素の少ない肥料を入れてくださいということです。
たとえば10aあたり窒素を8kg入れる場合、8:8:8の肥料より4:4:4の肥料を倍入れた方がダイコンには良いですよという考え方です。
次にトマト、ネギ類です。
コンスタント型の野菜です。
スタート時はなるべく窒素の肥効をおさえて追肥で追っていきます。
基本的に濃度の低い肥料で回数多く追肥していくほうがいいですね。
前半に肥料を効かせた方がいい作物には、レタスやジャガイモがあります。
これは前半に効かせて後半切れるようにつくらないと絶対にダメです。
レタスの場合、後半に窒素が残った状態で雨あがりに収穫すると、だいたいとろけがでます。
窒素が多くて水が多いと細胞と細胞の間に隙間ができてくるんです。
いわゆるメタボ状態です。
筋肉の間に脂肪が入っているような状態なんです。
この状態で雨が降った後でレタスを収穫し隣同士がこすれて出荷されると、腐りやすい、とろけやすい状態になります。
窒素優先でカルシウムが追いついていない状態です。
******************************
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
以上が『めだかの学校』新井塾part4開催報告の前半部分です。
引き続き『めだかの学校』新井塾part4開催報告【講義編・後半】へと続きます。
(Radix事務局 成田)
【01 農産活動報告】
2009-12-17
『めだかの学校』新井塾par t4 開催報告【圃場見学編】
台風一過の2009年10月9日、サラダボウルさんの地元山梨で出張版『めだかの学校』新井塾par t4 を開催しました。
( サラダボウルさんのHPはこちら → サラダボウル )
講師はもちろん、甘楽町有機農業研究会の新井俊春さん。
今回の勉強会は前半がサラダボウルさんの堆肥場、作業場、圃場見学など、後半が新井さんの講義です。(※参加者は69名)
それではサラダボウルさんの圃場見学からスタートです!
【堆肥場】
堆肥場ではビール粕ぼかしの準備がすすんでいました。
ちょうど9月4日の訪問時に見せていただいたぼかしの改良版です。
(※9月14日のブログ「サラダボウル訪問記」を参考)
見学の際、ぼかしから少しアンモニア臭が出ていました。
残念ながら発酵がうまく進んでいなかったようです。
新井さん曰く、
「籾殻くん炭・ゼオライトを入れるともう少し匂いは少なくなります。
本来これぐらいの時間がたつと放線菌が繁殖して白っぽくなるんですが、
まだ繁殖していないところを見るとうまくできていないようです」。
ぼかしの水分についての質問に対して、
「ぼかしの水分は60%ぐらい、ぼかしをにぎって離したらひび割れができるよう
な状態が良い」とコメント。
(※にぎったぼかしが団子になってしまうと水分過剰、指の間からこぼれるよう
だと乾燥しすぎの目安です)
アンモニア臭がでている点について、参加者から発酵途中で水分過多であった可能性について体験談を交えた指摘がありました。
「堆肥づくりで水分が少なく温度が上がらなくて、水分を補うために水を(少しず
つ入れれば良かったところを)一気に入れたところ、急にアンモニア発酵が
進んでしまい、目がチカチカするほどになってしまったことがあります」。
水を入れるときは少しずつ入れていくこともポイントのようです。
新井さんは堆肥原料についてもアドバイス。
「堆肥を作るとき自分もカニ殻を入れています。
放線菌を繁殖させたいんです。放線菌の餌がキチン質なんですね。
(キチン質でできている)カニ殻を入れることで放線菌はかなり繁殖します」。
まとめると、ビール粕ぼかしづくりのスタート時には、籾殻くん炭とゼオライト、あとはカニ殻の粉をいれると良いそうです。
(※ゼオライトには肥料成分の流亡を防ぐ役割があります)
ちなみにカニ殻の使用量は新井さんの堆肥の例では10tの堆肥に対して2~3袋が目安とのこと。
最後に堆肥舎の屋根が光を通すタイプのため、ぼかし温度の上昇を防ぐ遮光ネット導入の話も。
ぼかし肥料を作るには温度が上がり過ぎる条件下のため、有効菌の繁殖ができないとの指摘がありました。
その点に関してはぼかしの上部を遮光しなさいとアドバイスされました。
【農機具置き場】
サラダボウルさんの農機具や資材置き場は5Sが徹底されています。
5Sは製造業の現場でよく目にするスローガン。
現場で守るべき5つの事項『整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)』のことです。
随所にスタッフの改善や効率化が見られます。
管理機も軽トラのあおりをおろして横付けして、すぐに乗せられるようになっています。
農機具も定位置・数量管理の徹底により、壊れたり紛失することが激減。
鍬一本まで番号が振られているのでなくなってもすぐにわかるそうです。
置き場では少ないスペースをうまく立体的に活用されていました。
スタッフの話では、「これまで物がなくなっても気づかない、気づいた時には1本しかなかった、壊れていたことも多かった。このように管理することで物がなくならなくなって、壊れなくなった」とのこと。
とても参考になる管理方法でした。
【作業場】
収穫してきた野菜類は水洗いするものは水洗いをしてから、予冷庫に入れられます。
予冷庫は反対側から取り出せるようになっています。
予冷庫の横で調整作業(トリミング)、袋づめ・パッキングをおこない、バーコードが入れられて出荷用の予冷庫に。
作業の動線がうまく計算されています。
ここでもスタッフの工夫が随所に見られます。
出荷時の入れ数間違いが頻繁に発生したことに対して『パッキングカウンター』という道具を塩ビ管で考案し、間違いがでないように改善されています。
考案されたスタッフの話では、
「パッキングをして黄色のテープを消していくようにパックを並べていくと5つ
並びます。そしてバーをひとつ倒して同じように5つ並べて再びバーを倒
す・・・。全部できたら箱詰め。これを活用してから入れ数のクレームがなく
なってきました」。
パッキングカウンターの使い方はいたって簡単!
入れ間違いも激減!
さらに導入コストも自作のため格安!
いいことづくめのパッキングカウンターでした。
作業で使う毛布も、使用しないときはじゃまにならないように作業場の上に吊るされていました。
トマトの調整・箱詰めの作業スペース。
ここでも省力の工夫が随所に見られます。
出荷箱の移動も滑車を活用したコンベアを自作されていました。
(出荷箱をわざわざ持ち運ばなくても、横に軽く押すだけでOK!)
【トマト圃場】
トマトハウスはサラダボウルさんの事務所近くにあります。
またサラダボウルさんが最初に立ち上げたハウスです。
このハウスでは華クィーンRという中玉トマトが栽培されています。
サラダボウルの佐藤さんよりトマト栽培の説明をいただきました。
今年は畝を階段状(二段)にしている点、畝の下段のところでムラのでないように水分供給している点、畝施肥をおこなっている点などについてお話をいただきました。
新井さんも中玉トマトを栽培しているので得意中の得意な品目です。
まずは水管理の話から。
茎に対して葉が直角に出るように水分管理をするのが良いとアドバイス。
(水をくれればくれるほど葉が垂れてくるそうです)
「裂果がでるという話なんですけど、今うちもでています。
裂果がでる状態というのは中身の生長に皮が追いつかない状態。
高温であれば皮が柔らかくなるので割れにくくなり、夜温も低くなりすぎない
ようにして、昼夜の温度差が極端にならないように管理する」。
と裂果防止のポイントを指摘します。
チッ素が切れてくるとトマトの生長点と一番上の花までの長さが短くなったり、
一番上の葉っぱの長さが縮まってくるそうです。
新井さんはカルシウム不足の症状も説明して、現状からはチッ素よりもむしろカルシウムの補給をしたほうが良いかもとアドバイス。
倉渕の鈴木さんからはトマト栽培の施肥と水の関係についてのお話がありました。
「2年前、アブラムシ害がひどく新井さんから水が少ないと指摘をうけました。
そこで今年は無施肥で始めて、水をどぼどぼになるぐらい圃場に入れて、
おさまった時に畝をつくり定植したところ初期生育時にアブラムシもでなくて、
2年前よりやりやすい状態に。
実も大きなトマトが収穫でき、2段で8度の糖度になりました」。
新井さんは、
「ある程度の水分があってチッ素を控えてつくるとアブラムシってつかないんで
すよ。アブラムシがつきやすい条件はうどん粉がつきやすい条件と同じ」。
「アブラムシの被害などを防ぐには有機質肥料の追肥を一度に施用するので
はなく、回数で追っていくこと」。
つまりこまめに追肥をした方が良いということです。
新井さんはハウス内の温度が低めなことからトマトの裂果がでることを再度指摘します。
「湿度はあるのでもう少し温度を高めていかないと割れてしまいます。
ハウスに入ってちょっと気持ちが良すぎです」。
「マスクメロンを長く作っていてメロンの網目がありますよね。
あれは温度と湿度の調整により均一なネットに仕上げているんですよ。
花が咲いて17日目ぐらいでひび割れが始まるんですよ。
そのひび割れをいかに細くだすかということがポイントになります。
ひび割れを細く出すには表面(皮の部分)をゆるめる必要があり、そのため
に高温と適度の湿度をもたせます。
皮を柔らかくする状態にするんですよね。
今の状態というのは低温で湿度がある状態。だから割れちゃう。
マスクメロンとトマトの作り方には共通点があります。
昼夜共にもう少し温度を高めにもって行った方がいいですね。極端に昼夜の
温度差もつけないように」 と改めて指摘しました。
トマトのカルシウム不足の症状の説明では、
「葉(の付け根の茎)が扁平に、断面が丸ではなくて扁平になっている。
カルシウム欠乏の初期。チッ素が優先に効いてしまってチッ素の吸収に対し
てカルシウムが追いつかない状態。これがもっと進むと実の尻ぐされや生長
点の止まりもカルシウム欠乏ででます」 。
(トマトハウスからナス圃場へ移動中)
【ナス圃場】
台風の影響が残り、露地ナスはあまり良い状態ではありませんでした。
サラダボウルの島田さんより説明をいただきました。
霜の心配がなくなった4月30日と5月1日に定植。ナスの株間は50cm。
去年まで通路に追肥をやっていたそうですが、水田だったこともあり水分が多いのと6~7月に雨が多いため、通路に追肥しても効きにくい状態だったそうです。そこで今年は最初に堆肥を5t強を投入。
初期の効きが弱かったので、株元に穴をあけて4回ぐらい追肥。
その後に通路の肩部分に粒状肥料をさらに追肥。
結果的に追肥量の調整がうまくいかなかったそうです。
(新井さんからメタボのナスだねとの指摘あり)
新井さんからは、V字仕立てになっているナスの葉がやや混みすぎている様子からもっと空間が開くようにした方がよいとのコメント。
「先月訪問した時に『近いうちに“うどん粉病”が出るだろうな』と思って帰ったと
ころ、昨夜確認したらやはり考えていたとおり発生したそうです」。
島田さん、
「9月10日ぐらいからポツポツ(うどん粉病が)出始めて、ちょっとほったらかし
にしていたのと、葉かきで対応していたんですけど、うどん粉病の方が早くて
葉っぱが黄色くなった感じです。それでどんどんやられて・・」。
新井さんからは総合的アドバイスとして
「島田さん本人からも聞いたんですけど収穫した実が腐りやすいんですよね、
チッ素優先の場合。
追肥をして雨が降ると、一番先に吸収されるのはチッ素とカリウムなんです
よ。というのは水に溶けるんですよね、チッ素とかカリウムというのは。
なので雨が降るとチッ素とカリウムが優先に効いてしまって先ほどのトマトと
一緒でカルシウムが一緒に行かないんですよ。
カルシウムの移行はすごく遅いんですよね」。
「カルシウムというのは実を締める効果があって、チッ素・カリウムというのは
実をゆるめる効果があるんです。
柔らかい状態で傷になったところが腐るという流れですね」。
「追肥は少なめに数をやること。
肥料が入りすぎです、追肥も、一回で量が入りすぎ。
有機質肥料のチッ素の数字の低い肥料を少量ずつ数回に分けて入れる
んです。それがコツ。
チッ素の高い物を入れると雨が降ると腐りやすくなります。
チッ素の少ないものを少しずつ数回に分けて施肥してください」。
(※チッ素・リン酸・カリの低い肥料を入れること)
「あとは硫酸マグネシウム系統。
マグネシウムも入れること。
キーゼライトのようなものを2回に1回ほど入れること。
カルシウムの場合は追肥はなかなか効かないので元肥で。
追肥の場合はチッ素とマグネシウムを少なめに数を入れていくこと」。
追肥タイミングについては、
「トマトの場合は生長点を見なさいという話をしました。
ナスの場合は雌しべと花びら、チッ素が効いていると生長点に近い花の紫色
が非常に濃い色をしているんですよ。切れてくると赤っぽくなるんですよね。
それで雌しべが飛び出ないんですよね。花で見るんですよね」。
作物観察、とても大切です。
またトマト同様、追肥タイミングでは一番上の花と生長点までの長さも参考にするそうです。
ここが長すぎるとチッ素が効きすぎ、短かすぎるとチッ素切れの状態です。
アブラムシが少々でているとのことから、
「うどん粉病がでる条件というのはアブラムシもつきやすい条件なんですよ。
アミノ酸・硝酸値が必要以上に上がると、うどん粉病が出やすいしアブラムシ
もよってきますよね。
追肥ががっと効いて雨が少なくなり乾いた状態になると必ずアブラムシが
よっ てきます。硝酸濃度を上げないことがコツです」。
うどん粉病とアブラムシをつかせないようにするためには、少なめ少なめに
追肥することがポイントです!
新井さんからは株元に日がはいるぐらい、少し株間の間隔をあけて定植した方がよかったとも。
青枯れ病の発生については、水の過多が原因との話もありました。
新井さんは排水性の改善のためにプラソイラーを何回もかけることを強く推奨。降った雨水を根のまわりに停滞させないようにします。
島田さんの話では、今年のナスの収穫は早めに終了になりそうとのこと。
うーん、残念。来年に期待しています。
(ナスの葉にたくさんいたアマガエル)
【プラソイラー実演】
新井さんの助言により、サラダボウルさんではプラソイラーの活用がはじまりつつあります。
使いこなしについてマスターである新井さんからアドバイスをいただきました。
まずはプラソイラーを新井さんのアドバイスなしで一回ひいてみます。
それを見ていた新井さんは引き方があまいと指摘。
「あと20cmぐらい下を引くように!」
耕盤(25cm前後)の下にプラソイラーの羽が入るようにひくことが重要なポイントになるとのこと。
「プラソイラーの刃で縦に水を浸透させ、羽のところで耕盤の下で横方向に水を流していきます。だから45cm間隔でプラソイラーを引くのがベストとなります」
(プラソイラーの刃の間隔が90cmなら、引いた間にもう一回引くこと!)
21馬力のトラクターだと前が浮いてしまって引けないこともあります。
新井さんはトラクターの前に重りとなるバケットをつけてひいたほうがよいともアドバイス。
プラソイラーの位置決めをきちんとしないと効果なしになることも。
この点、要注意です。
「初めてプラソイラーを引く方は1年に2回、2年目からは1回で十分です。
これだけで全然水の引きが違います。プラソイラーを一回引くと1/5ぐらいの
土が上にうき上がってきます。天地返しにもなるんですよね」 と新井さん。
興味津々でトラクターの周りに参加者が集まります。
きっとプラソイラーの導入が増えることでしょう。
【キュウリ圃場】
トマトに続いて佐藤さんから説明。
「初期に水を絞りすぎたようで根の本数が少ない感じがします。
だからこんな日には萎れてしまうのかなと。萎れに弱い感じです。
芽の吹きも全然悪くて、追肥とかも軽くやったんですけど芽も出てこないので
まずいなぁと感じています。初期の灌水でミスをしているなというのが正直な
感想です」
前回訪問時にも新井さんが気にしていた葉っぱの縁が黄色くなる症状。
あゆみの会の丸山さんからホウ素過剰の可能性について指摘がありました。
新井さんもカリが十分に入っているようなら、葉の縁が黄色くなる症状はホウ素過剰の可能性があると指摘します。
植物の葉の縁がつながって黄化したり枯れたりする症状は、カリウム欠乏かホウ素過剰によるということです。
佐藤さんによるとホウ素が流れやすい圃場なので元肥でホウ砂をいれているそうです。
新井さんからは発酵させた堆肥でホウ素をくるんで施用すると良いとのコメントがありました。
丸山さんからも
「ホウ素は過剰と欠乏が極端にでやすい成分と言われています。
特に単体の場合は過剰になりやすいので堆肥とまぜて腐植に抱かせて少し
ずつ出させないと一気に過剰になるおそれがあるという話があります」
お二人の話を総合すると、ホウ素などは堆肥でくるんでマイルドに効かせることが良いみたいです。
ハモグリ被害も見受けられたことから、新井さんは黄色プレートをもっと下に吊すようにアドバイス。
「ハモグリは土の中で羽化して浮き上がってきます。
そのため吊すよりも下で寝かせた方が良いという説もあるとのこと。
虫の生態にあわせて効果的な設置法を」
(ハモグリの場合、作物の上に吊してもあまり意味がないそうです)
【竹チップ堆肥】
サラダボウルさんの事務所近くの竹チップ堆肥置き場。
ある会社が竹を粉砕して持ってきてくれるそうです。
「そのまま畑に使ったことがあるんですが、当然未分解なので障害も。
そのため堆肥化をすすめているところです。
ただしチップが大きいので腐熟させてからプラスアルファで堆肥化しようと
思っています。ここに2年ほど置いてあります」 と佐藤さん。
「掘るとカブトムシの幼虫がごろごろ出てきますので分解はしてくれていると
思います」
参加者が何気なく掘ってみると丸々太ったカブトムシの幼虫がごろごろと。
いい感じで分解がすすんでいるようです。
以上でサラダボウルさんの圃場見学は終了です。
この後、場所を移して新井さんの講義となります。
『めだかの学校』新井塾par t4 開催報告【講義編】へと続きます。
(Radix事務局 成田)
(おまけ:圃場見学に使用したバス
なんと路線バスを格安で借りることができました。
このバスには参加者もびっくり! ありがとう、富士急行! )
【01 農産活動報告】
2009-10-26
柑橘勉強会in水俣 JGAP講習報告
柑橘勉強会in熊本の午後の部で、JGAP審査員の資格を有している肥薩自然農業グループの丸山博光さんよりGAP(ギャップ)に関する基本的なお話をいただきました。 (GAP:Good Agricultural Practice = 農業生産工程管理:良い農業のやり方)
なお、柑橘勉強会in熊本の詳細報告は、下記の記事をご参照ください。
2009柑橘勉強会in水俣
丸山さんは、もともと肥料やガスなどの販売をしていましたが、このご時世もあり3年前に2町3反の畑を購入し肥薩自然農業グループの一員となって農業生産を始めています。
早生柑橘がほとんどで、デコポン(不知火)が少し、極早生、グレープフルーツ、タマネギも4反ほど作付けされています。
それでは丸山さんのGAP講義のお話からの要約です。
********************************
(講義中の丸山さん)
GAPとは『良い農業をしましょうね』ということです。
このGAPの頭に「J」がついたりします。
JGAPとは、日本(Japan)のGAPのことです。
(JGAPは「適切で、効率的な農場管理」を実現するための手法)
鹿児島県の普及所にGAPを広げたいのでご協力お願いしますと話をしにいったら、「うちはKGAPをしているのでJGAPはいらないよ」と言われました。
KGAPの「K」とは鹿児島の頭文字の「K」のことですね。
このように日本には地域や団体ごとに20~30の独自のGAPがあります。
いまなぜGAPなのか?
国内でより安全な農産物の生産と出荷が求められているのですね。
つまりGAPを通じて国内農業の体質強化をすすめること。
JAS有機と違って、GAPの場合は慣行栽培でも有機栽培でもシステムの中で農業をしましょう、システムをつみかさねて農業をしましょうということなので、より幅広く応用・活用ができます。
GAPには農薬を基準通りに使用しているかどうか、完熟堆肥を使用しているかどうか、作業している生産者の安全性を考慮しているかどうかなどのチェック項目も入っています。
(安全な農産物の生産、環境に配慮した持続的的な農業、労働安全の面でもチェックがはいります)
(128項目のチェック項目表)
JGAPには128項目のチェック項目があります。
これがチェック項目表です。
チェック表は穀物、青果物などの品目ごとにわかれています。
(最近、日本緑茶に関するJGAPの基準ができました)
JGAP審査員はこの128項目を4時間かけてチェックします。
(日本緑茶のJGAP基準の表紙)
JGAP協会に申請してGAPを取得するには5~6万ぐらい、旅費を加味すると
10万円以上かかります。
そのためJGAP協会からJGAP基準(チェック表)を取り寄せて、まずは自分で
確認してみるのもいいと思います。
基礎GAPというものを農林水産省がやっています。
農林水産省も基礎GAPからJGAPの方にしましょうねという流れになりつつあります。 (農林水産省 → 農業生産工程管理(GAP)に関する情報 )
冒頭にお伝えしたように日本には地域ごとのGAPがあります。
いずれも農産物の安全に関する適切な農場管理の仕方です。
JGAPで解決できる農業生産現場の課題には次のようなことがあげられます。
1.安全な農産物の生産と出荷
2.環境に配慮した持続的な農業
3.農業生産者の労働安全と福祉の確保
4.信頼できる販売管理体制の実現
つまり、生産者と消費者が信頼関係を形作る枠組みです。
GAPの究極の目的は、「つくる人、食べる人、農地と環境、利潤との間に矛盾のないかたちで持続的な農業生産を確立するための一つの手法」になることです。
種や苗の安全性についてもGAPでは記録することが多いです。
記録ができないと安全性が担保できません。
とにかくGAPでは毎日記録を取りなさいということです。
記録はすべて取ってくださいね。
(さまざまな資料をつかって説明する丸山さん)
ベルリンの壁が崩壊して西欧に東欧からものすごい量の農産物が入るようになりました。それがきっかけになりがヨーロッパでGAPがはじまりました。
西欧と東欧は地続きなので20tトラックでどんどん安い農産物が入ってきす。
ドイツ、フランス、イギリスの大規模な小売店が、大量に輸入される農産物のリスクがどこにあるのか、そのリスクをひとつひとつ排除していく方法を検討しました。そして最初のユレーップGAP(EUREPGAP:欧州小売業組合適正農業規範)ができました。
1997年にはじまったユーレップGAP(※現在はグローバルGAPに名称変更)、いまでは約70カ国で50000以上の農場がGAPを取得しています。
いまではJGAPをはじめ、KGAP(韓国)、CGAP(中国)などもあります。
また農業だけでなく水産業でもGAPがあり、チリが鮭で取得しています。
日本ではじめてGAPを導入したのは片山りんご園さんです。
ヨーロッパにリンゴを販売していたのですが、販売先からユーレップGAPを取得してくれといわれたそうです。
当時、日本に検査員がいなくてニュージーランドの検査員を招いて取得しました。(初年度に300万円の交通費がかかったそうです)
その後、皆さんもご存知の千葉の和郷園さんもGAPを取得されています。
JGAPの審査は早くて6ヶ月で認証されます。
なぜ6ヶ月かというと必要な書類として過去6ヶ月の記録がなければいかないからです。また審査は一年に一回受けなくてはならなりません。
いまでは団体認証として団体一括で認証する方向性になりつつあります。
128項目のチェックリストを購入していただき、現場で活用していただくのが一番簡単なのでぜひ活用してみてください。
*******************************
参考までにJGAP協会のWebと3分でわかるGAPをご紹介します。
わかりやすくまとまっているのでぜひご参照してください。
→ JGAP協会
新3分でわかるGAP
(Radix事務局 成田)
【01 農産活動報告】
2009-10-19
柑橘生産者向け除草機の実演会in熊本が開催されました!
10月8日(木)、熊本県で水の子会主催の柑橘生産者向けの除草機実演会が開催されました。
水の子会代表の上村さんより報告をいただきましたので、その概要をお知らせいたします。 ![]()
今年度の九州ブロック会議にて除草作業で困っているという柑橘生産者の声を聞き、Radix理事でもある上村さんは現場で役立つ除草機の調査に着手しました。
先日の柑橘勉強会(※新田塾)でも、現場で求められる除草機の機能などについて参加生産者と意見交換しながら、除草機のイメージをかためてきました。
そして今回、上村さんがこれだと思う除草機の実演会を開催することになりました。
当日実演された除草機は以下の製品です。
・(株)アテックス 『刈馬王ハンマー』
クローラー式(180mm幅)、刈り幅650mm、8馬力
最大作業能率 21.6a/時間(3速時)
斜面15度まで除草作業可
※『刈馬王ハンマー』についての詳しい情報はこちら
→ 歩行型草刈機 刈馬王ハンマー RX-651
上村さんによると、この除草機はうまく出来ていて作業能率の向上と労力の軽減に役立ちそうとのこと。
実演を通じて、ほぼ満足できる性能だったため、上村さん自ら『刈馬王ハンマー』を導入することにしました。
(※「刈馬王ハンマー」の気になるお値段は47万2500円。なお左記値段には昇降ブリッジ代が
含まれています。本体価格は約42万円ほどです)
導入に際しては、㈱水の子が除草機を購入して、水の子会の生産者があらたに組織する除草機械利用組合に貸与するという方式をとるそうです。
貸与方式だと会の生産者の経済的な負担が軽減され、除草機を共用することで機械の効率的な活用もすすみます。
水の子会では、より高機能な機械類の導入も視野にいれつつ、今回のような共同購入・共同利用を進めていくそうです。
上村さんは、みかんの樹冠下の除草が簡単にできる小型除草機の調査も並行して進めています。
すでに2機種の候補が見つかったそうで、近日中に実演会が開催できるよう進めていきたいとのこと。
実演会の予定が決まりましたら、あらためてご案内しますので、柑橘生産者の皆さん、今しばらくお待ちください。
(また、おすすめの除草機がありましたら、Radix事務局までご一報ください)
【除草機『刈馬王ハンマー』の実演写真】
ごらんの通り、足元もすっきり!
【追伸】
水の子会の柑橘生産者の方が実際に刈馬王ハンマーを活用したときの写真が届きました。
上村さんによると、『生産者が荒れた畑で使用して見ましたが予想以上に いい結果でした。大きな石さえなければかなり能率もいいようです』とのこと。
刈馬王ハンマー、これからの活躍が楽しみです。
【01 農産活動報告】
2009-10-19
2009柑橘勉強会in水俣
2009年9月18日(金)
・新田農園視察 8時30分スタート
・座学 11時00分スタート
・農産課 加川さんより報告11時50分スタート
昼食
・ JGAPについて 13時30分スタート
・ 除草機について 14時30分スタート
以前は、一度に大量にボカシ肥料を作っていましたが小祝さんの話や本を読んで勉強をしたところ、その時々に合った量を作った方が良いことを学びは、
2回に分けて作っている。
今回は9月5日に作り始めましたので、現在13日目の状態。
材料は、魚カス、骨粉、醤油カス、油カス、米ぬかである。
ボカシ肥料作りで一番難しいのは水分調整である。それさえ、間違わないとほとんど腐敗になることは無い。腐敗になるか、発酵になるかは、匂いを嗅ぐとわかる。それと腐敗すると必ず、ハエが寄ってくる。今は、ハエが1匹もいないから成功している。ボカシ肥料の良さは、アミノ酸肥料を作れて糖度を上げる手助けになること。そして成分を出しました。チッ素→5、リン酸→5.5、カリ→1.7 また、自分で作るので値段が安く出来ること。人件費は含まれていませんが、有機肥料の半値くらいで現在作れる。 ![]()
ボカシ肥料の現在の温度は48℃、だいたい仕込んで3日目くらいに50℃くらいまで上がっていて切り替えした。今、2回切り替えした。48℃に今下がっている。これからまた下がっていくと思う。酵母菌というのはだいたい45℃が限度、それ以上に温度が上がれば酵母菌が死にますから最高でも45~50℃までに抑えておかなければならない。
水分調整は、だいたい水が材料の20%~25%、その中に糖蜜を200倍、天恵緑汁を300倍それから海水を25倍になるように薄めて入れている。ボカシ肥料作りの秘訣は海水を混ぜるということ。海水の中にはミネラル分が入っていますし、生物の繁殖に良いので入れる。なぜ、糖蜜を入れるか、天恵緑汁を入れるか、というのは乳酸発酵だからである。乳酸菌というのは名前から言うように甘いものを好む。だから、糖類を入れる。天恵緑汁の中にいる微生物が早く発酵させてくれる。
土着微生物の採取方法は、山から腐葉土を取ってきて本当は杉の箱の中に入れるのが一番いいのですが、この箱に入れています。そして、米ぬかを腐葉土の倍くらい入れる。水分を少し入れてあげる(湿度50%)。箱に入れて2~3日置く間は、ワラをかぶせておくと一番繁殖しやすい。それを元菌としてボカシを作る。大切なことは、山から必ず腐葉土を取ること。
(質問):水の変わりに海水だけ入れるのは?
(答え):材料が1tの時は水が200㍑必要。その中に海水が25倍になるように、そして糖蜜が200倍になるように入れる。海水だけだと濃過ぎる。
ボカシを作る3日前に天恵緑汁、海水を準備しておくのが一番良い。微生物が繁殖している状態になっているからである。
また、ボカシ肥料を作るときは場所が広い方が良い。同じ所をユンボで切り替えしているが、本当は右から左に移しながら混ぜるのが一番よい。
(質問):乾燥はするの?
(答え):出来上がったら乾燥します。資料にも書いての通り堆積物を徐々に低くしていく。
(質問):カリは全然入れないの?
(答え):有機質の材料でカリが含まれているのは木灰だから、カリが欲しい時はボカシを作るときに木灰を混ぜればいい。
(質問):カリをみかんの圃場に入れる?
(答え):カリは元々圃場にあるし、今の一般栽培で問題になっているのはカリ過剰だから特別にカリを入れようとは思わない。
(質問):骨粉はどれくらい入れる?
(答え):全体の10%~15%入る。
(質問)一番骨粉を入れたときはどれくらい?
(答え)25%くらいかな
(質問)土壌分析をされて今、リン酸の値はどれくらい?
(答え)150(mg/100gDr.ソイル読み)でオーバーしている。
ボカシは面倒だからと言って意外と作らない方がいるが、作業のローテーションの中に組み込んでいれば大した負担にもならない。だいたい1ヶ月~2ヶ月前くらいから材料寄せを始めればいいので大変な作業ではない。
(質問)醤油カスは最近入れ始めたの?
(答え)はい。最初は、小祝さんに大豆カスはあまりよくないよ、と教えて頂いていたから醤油は大豆から出来ているので良くないと思っていたが、醤油カスの話をしたらそれが一番いいよ、とおっしゃったからそれからは目の色変えて使ってる。ボカシの成分はあまり気にしなくていいんです。目安として計算しているだけであって、いわゆる微生物を肥料として与えているのだから。
(質問)微量要素は?
(答え)亜鉛とマンガンを一年に一回入れる。
(質問)ホウ素は?
(答え)葉面散布です。
(質問)堆肥は?
(答え)堆肥は木の疲れているところに入れて、3~4年に一度。
基本的に反に2~3㌧。もみ殻を米ぬかで発酵させたもの。温州みかんはやらない方がいい。中晩柑にあげる。
今年の春先はこの辺がダニだらけで、真っ白になっていたが今は回復した。赤ダニは3年毎に発生している。ハウスは発生するが、露地栽培は発生しない。
サビダニは6月中・下旬にフロアブルで防除する。今年は、こんな天候だからサビダニが出やすい。注意をしながら見回っている。あと1ヶ月くらい用心しなければならない。
(質問)これからサビダニが発生したらどういう防除が必要になる?
(答え)やはりフロアブルで防除する。外気温が32℃~33℃くらいならば、薬害は出ない。ただ、温州みかんだったら、不向きだけど不知火(デコポン)、ポンカンなどだったら日焼けも出にくい。なぜかというと、果皮に凹凸があるでしょう。凹凸は光を屈折するから日焼けになりにくい。パール柑などは果皮がツルッとしているでしょう?だから日焼けが出やすい。
(質問)不知火(デコポン)は日焼け出ない?
(答え)不知火(デコポン)はあまり出ない。また、栄養バランスが崩れているところは、日焼けしやすい。ちゃんとカルシウムやマグネシウムを与えているところは、あまり出ない。
(質問)この不知火に(デコポン)にビニールを被せるのはいつくらいですか?(答え)だいだい12月の初め。本当は3月くらいでも良いのですが、12月の天候をみて雨の多かったときには12月に被せた。
***圃場内を移動中***
![]()
圃場を移動しているとなにやら大きな機械を発見!傾斜に向いている草刈機です。
・レモン畑にて
(質問)加川さん、こんな見かけはどうです?
(答え)厳しいね。ここまで許すと目揃いの基準が緩くなるからね。レモンの皮は、結構使いますからね。これくらいが、ギリギリOKだね。
【今年の状況について生産者からの報告】
肥薩自然農業グループ
吉田さん:今年の実っているところと実っていないところもあって、また不知火(デコポン)は割れるものもあるのでまだ土作りが出来ていないのかなと思う。晩柑は去年より少ないような気がします。グレープフルーツは去年より倍の量に増えると思う。
(質問)割れるのは何か原因がある?
(答え)やはり土が出来てくれば割れるのも少なくなる。
水の子会
桝永さん :今 年は摘果しても摘果してもみかんが小玉でなっている。その上、雨が降らないので小玉。先週の土曜日に久々雨が降って『肥のあかり』の劣化が見られてきた。そして、去年すす病が多く見られたが、今年は今のところ見られないが新田さんに先ほど石ケン液で防げると聞いたので参考にしたい。
森下さん:パール柑が特に不作です。(私の圃場だけですが…。)
鹿内さん:全体的にみかんの皮が薄いです。昨日、加川さんに極早生の腐敗について言われたのですが、来年の対策はカルシウムなど入れていこうと思うけど今年の出荷前の対策はどうしたら良いのか?
今村さん:雨が少ないので小玉傾向である。内容は良いので宜しくお願いします。あと、見栄えなどの許容なども宜しくお願いします。
(加川さん):防除暦はどうですか?
(今村さん):去年は全く使用していない。今年はICボルドーを使った。
中山さん:皆さんのお話があったと同様に雨が少ないので、内容的には良いのです。どうぞ宜しくお願いします。
草枕グループ
右田さん:皆さんと同じような感じで、豊作で干ばつなので玉の伸びが悪い。潅水もしているけど、焼け石に水で恵の雨が欲しいです。
また、今年の木の状況を見ていて4年前に受けた台風の被害から樹生が立ち直ってきたかな、と思う。葉の色艶が良くなってきているから。
そして農薬改定の見直しでは、本当に果樹は厳しい状況に立たされるので対応の方を宜しくお願いします。
(森下さん):右田さんのところは、極早生の腐れが少ないという報告を聞いたのですが、その秘訣はなんですか?
(右田さん):ここ最近、肥料で炭酸苦土石灰などをよくふっている。カルシウム分を意識している。
(加川さん):収穫してから出荷までの流れは?
(右田さん):極早生の時期はまだ暑いので乾燥しやすいので出荷までの流れは、収穫してすぐに選果する。色が完着していない時期のみかんは劣化が早いから。
(森下さん):雇用状態は?
(右田さん):常時雇用で若手男性を1人。あとは、パートさんを1人。
(加川さん):選果は何人でやるの?
(右田さん):選果台の上でチェックするのは2人。量が多いときは、他の選果段階で忙しくなるので台の上でチェックするのは1人になってしまう。あとは、最後の箱詰めの段階で1人チェックする。
(上村さん):腐れが多いということで選果を2回やるようになった。(1回目は選果機を使って。2回目は手でチェックしていく)それから、腐れの件数が減った。やっぱり、選果の段階で見落としが多いのかもしれない。もちろん圃場の管理も大切だけど。
長崎有機農業研究会(長有研)
太田さん:去年より3割UPの見込み。しかし、みかんのサイズ(玉伸び)が心配。病害虫の発生は今年少ない。そして、腐敗対策としてカルシウム分を施肥した。
(長有研のお二人で左:長尾さん、右:太田さん)
もっこす倶楽部
中嶋さん:勉強会を重ねて実行してくように努力はしていますが、年によって気候の変動が激しいのでその年・その年で対応するのが大変なので悩んでいる。今年のみかんの生育状況は皆さんと同じですが、作業面や経済面などを考えると機械を入れたりし経営もまた見直していきたい。また、廃園が多くなってきているのでそれで病害虫の対策が大変になってきている。そのため、グループの枠を越えて皆さんの知恵を共有できたら一番経営のためになると思う。だから、こうゆう技術・経営の勉強会を頻繁にやっていきたい。そして、ひとつ・ひとつクリアしていきたい。生産者も頑張りますので、らでぃっしゅぼーやさんも頑張って売って欲しい。
浦下さん:豊作ですが、8月15日から雨が降っていないので小玉傾向である。
【座学in昇陽館】
新田さんのボカシ肥料の作り方・使い方、柑橘の生理について
現場で見たこと、そして私の実践していることを話していこうと思う。
*作物栽培の基本
みかんの木を健康に育てることが基本だと思う。どういうことかというと、生育初期に(種を蒔き発根して最初に吸収した栄養分が)化学肥料を吸収すると樹液が酸性になる、そうすると病害虫に対する抵抗が弱くなる。そして、その樹液の匂いに寄ってきて虫が付きやすくなる。だから、有機質肥料・ボカシ肥料でやるのが良い。微生物の力によって有機質肥料を分解するので微生物の住み良い環境を作ってあげる。
*発酵と腐敗について
同じ有機質でも腐敗と発酵は全く違う。これは、人間でも同じ。腐れたものを食べたら、腹を壊す。植物も同じ。腐敗した有機質を食べたせると病気になりやすい。何を気を付けるのかというと、水分調整をきちんとすると良い。それと、微生物の好む食べ物を与えること。要するに、微生物の衣・食・住の環境を整えてあげることが人間の仕事である。(衣は微生物には不必要ですが) 菌のほとんどの系統が乳酸菌である。乳酸菌は甘いものを好むので、私達が土壌微生物を採取しに行くときは雑木林や竹やぶに行ったりする。こうゆう場所の土は食べると甘い。だから、有機農業にとって一番必要な資材は黒砂糖や糖蜜である。
有機物の分解には発酵分解と腐敗分解がある。同じ分解でも発酵させたらアミノ酸、脂肪酸、たんぱく質を合成させ作物は健康に育つ。人間が健康に生きるための食べ物も同じ。味噌、醤油、納豆、お酒。みんな甘い。いわゆる発酵したもの。逆に腐敗したものだと、病気になる。注意しなければならないものがたとえば、牛フンや鶏フンを生で与えると腐敗するので発酵したものを与える必要がある。
*微生物による土作り
土を改良してくれるのは、土壌微生物である。だから、善玉の微生物を沢山土の中で増やすことである。耕運機で耕すのは表面の15~20cmである。それ以上の土の下は耕してくれない。しかし、微生物は草を生やしていることによってその根をたどってどんどん下へ下へ行き耕してくれる。あるいは、みみずがいれば1mくらいはもぐって行くし1匹で年間20㍑の土を食べて吐き出すので、私達の仕事はその住み良い住居と食事を作ることである。
微生物の排泄物や死骸は、作物の栄養として最適である。有機質肥料・ボカシ肥料は土壌中の微生物の密度を高める上で最適である。
*草生栽培
果樹の場合、草は歓迎である。今の気候を考えると(夏から秋にかけて)草のある土と草の無いところの土の乾燥の具合や地表面の温度が違う。外気温が33~34℃のときは、地表面は47~48℃ある。しかし、草の下を測ると27~28℃である。だから、草を生やして土を保護してやる必要がある。そして、春の気候の時には地温を上げてあげる効果がある。私達が衣類をきている状態と同じでる。
また、微生物は直射日光に大変弱い。七陰三陽といって日陰を好む(7割が日陰で、3割が日当たる)。草が無いと(日陰が無いと)住めないので分解してくれない。そういったことで果樹には草生栽培が向いている。
*草刈
草生は土を肥沃にする働きがあるのであまり神経質になることはない。『草刈は満月にせよ』と言うがこれは草が一番伸びきった時に刈り取れ、ということである。そのため私達は、春草を5月に入ってから刈る。なるべく遅く刈って夏草を抑えてくれる。そのときに夏肥を与えるので時期的にちょうど良い。
*作物栽培上不可欠の施肥管理
作物の生長に合せて施肥することが大切である。ようするに生育の過程でそれぞれ要求する養分は異なるので適期に適量を施すことが必要であって元肥中心の施肥に頼らないことである。
*栄養周期
栄養成長期(子ども)、過渡期(青年期)、生殖成長期(大人)と三段階に分かれる。その中で、過渡期時に要求する養分は特に違う。『ツワリ処理』というものを行う。
母が妊娠するとツワリがあるが植物にもある。それは、いつかというと花が咲いて実にかわる時である。たとえば、沢山花が咲いたが落ちてしまった場合のは、ツワリ処理をしておけば花が落ちることはなかった。ツワリの時には何を好むか?というと酸っぱいもの葉面散布してあげれば良い。だから、5月下旬頃~6月の初め頃にリン酸処理(酸っぱいものを散布してあげる)をすれば実止まりが良くなる。花が少ない年にも効果的である。この作り方は、水60㍑に対して8kgくらいの過リン酸を混ぜる。そして、出来るならばその中に天恵緑汁を1~2㍑入れ、1日1回混ぜる、1週間混ぜると出来上がり。その上澄み液を150倍~200倍薄めて葉面散布する。そうすると、実止まりがよくなる。裏年の花が少ないときに行うと良い。
果樹には一年の周期があり、一生の周期がある。生涯を通じて若樹時期、壮樹時代を経て老樹時代へと段階があるので同じ管理をずっと続けていてはいけない。若樹時期は、チッ素中心の管理でもいいが壮樹、老樹になったらカルシウムやリン酸を中心に与える。
*果樹の施肥
春肥は軽く、夏はたっぷり、秋はおいしく。だから、春肥(元肥)中心ではなく、軽く与えるそして早めに施肥してあげること1月~2月の間に与える。遅くとも2月の中旬まで。
夏肥はたっぷりあげるため2回に分けて施肥するとよい。秋肥は、10月下旬までに与える。
また、4月頃にカルシウムを施肥。8月下旬くらいにマグネシウムを施肥。
*ボカシ肥料の作り方
まず、地元の土着微生物を雑木林か竹林に行き取ってくる。(地元の菌なので一番強く、定着しやすい。)採集した腐葉土と米ぬかを混ぜ、適度な水分を与える。このときに手で握って団子が出来たら失敗。サラッとすれば成功。また、採集するときの天候も(晴れなのか、雨なのか)考慮して水分調整すること。できれば糖蜜をちょっと入れてあげる。これを2~3日置く。繁殖したものを元菌としボカシを作る。
*ボカシ肥料作りの手順
一次発酵:まず米ぬかだけ発酵させる。(米ぬかに糖蜜と水分を入れる、5日間ぐらいで出来上がる)
二次発酵:次は残りの材料を全部混ぜて(魚カス、骨粉、醤油、油カス)、土着微生物、糖蜜、天恵緑汁、海水を入れ発酵させる。できれば、そこの地元の土を10%くらい混ぜてあげるとベストである。
山積みにした堆積物は温度が50℃くらいあるので、まずは切り返してやる。あとは、1週間おきくらいに3~4回切り返しをする。
ボカシの出来具合の良し悪しは、匂いで分かる。最初の1週間は、こうじのような匂いがする。この匂いだと成功である。
放冷・乾燥して完成:切り返しの度に堆積物を低くしていくのがコツである。
また、ボカシ肥料の基本は、微生物肥料であるから、発酵の途中で止めることを忘れないように。発酵が過ぎるとエネルギーが無くなり肥料の効果がない。
*ボカシ肥料の施肥方法
施肥をする場合、あまり日向にまかない。主幹から60cm以上離して与える。
*天恵緑汁について
これは、回数を重ね与えることが重要。
おすすめの材料は、たけのこ、ひじきが一番良い。また、魚も良い。
水分の多い材料を使う場合は、黒砂糖を多く使うようにする。
作り方は、カメの中に筍、黒砂糖と交互に入れ最後は黒砂糖で覆う。次に重石を置く。和紙でフタをした状態にする。
(質問):デコポンのハウスはあの木で樹齢はどれくらい?
(答え):18年です。
(質問):その収量は?
(答え):反あたり平均3㌧半です。腐敗が少なく、見掛けも綺麗なので、ロスが少ない。
(質問):春肥の時期を3月から1~2月に早く施肥することによって何か変化は?
(答え):春の芽吹きの時期に芽吹く力が凄いです。
(質問):2年前の勉強会時に摘蕾の話を聞いたのですが、その結果と今年工夫されたことは?
(答え):摘蕾の作業は大変。だから、今年は成り年と分かっていたので、枝を落としていった。だから今年の剪定は、ビックリするくらい落とした。高さも2mくらい低くするほど落とした。そして、今年の摘果は7割くらい落とした。この結果は収穫してみないと分からないね。
さて、今年もいよいよ収穫が始まりますね。頑張って今年も良いみかんを皆さんに届けて行きましょう。
おまけ写真集
Radix事務局 右田利香


