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【01 農産活動報告】
2008-06-23
6月12日小祝塾実施報告…遠野
この時期東北地方はまだ梅雨に入っていなかった。どんより明るい高曇り、時々かっと輝くお日様。今年2回目の小祝塾は、遠野ライフ農法研究会(岩手県遠野市青笹)の畑を会場に開催された。
実施の目的は出荷前ほ場を観察しながら、参加者全員で品質の高い野菜作りを学ぶこと。また、流通の過程で野菜が受ける様々なストレスを想定しつつ、クレームの発生しにくい肥培管理も確認していこうという欲張りなものだ。
クレームの低減は、せっかくいい野菜をつくっても、傷んだ品物が届いてしまっては、畑でのご苦労の意味がくなってしまうから、らでぃっしゅぼーやとしても改善していきたい大きなテーマになっている。
東北ライフ農法研究会は、菊池文市さん、菊池京一さん、奥寺晴夫さんの3名からなる小さな団体。春から夏にかけてブロッコリー、レタス、キャベツなど、晩秋からは長いもを生産、出荷している。今回のポイントを出荷前体制のブロッコリーなどの葉物野菜として、まずは菊池京一さんのブロッコリー畑を見学させていただいた。
おっと、今回は事務局研修生の狩野くんが初司会! しっかり最初のあいさつをして進行役を務めてくれた。参加者は合計12名。遠野ライフの皆さんのほかアグリ福島の松川さん、八幡平農研の赤坂さん、鈴木さん、新潟は高橋徹さんご夫妻が参加された。

雨が降らない。何とかしよう!
一行は畑に到着。さて、定植後のブロッコリーが出荷時期ごとに並ぶ1haほどの畑がみごとに乾ききっていた。本来ならそろそろ出荷のはずの区画も芽が出たか出ないか、茎もかわいそうな位にか細い。これはどうしたことか……
「雨が降らないので困っている」と京一さん。作物の生育に欠くことのできない雨がまったく降らないという。それで生育が止まっている。大問題だ。勉強会は生育確認から畑での対策講義、協議に。
色々と他の原因もあったようだ。小祝さんによると、育苗上の課題も指摘された。畑の1本を引き抜いて観察すると、移植後すばやい活着が必要な苗の根が、水枯れで根に生気がないだけでなく、とぐろを巻いて絡まり、生育が止まっている。これは育苗の時間を取り過ぎたためだった。苗が老化してしまう、所謂「老化苗」というそうだ。
施肥にも問題があったようだ。元肥に施した発酵鶏ふんが良くないという。この問題は巡回後の座学で詳しく説明してもらうことになる。

今回同行のらでぃっしゅぼーやスタッフ森田さん上甲さんもケータイで本部と対策を協議する。これから雨が降って肥大を始めたとして、らでぃっしゅぼーやの大きさの規格に達するかどうか、使用可能な資材の範囲を確認したりと必死になる。課題を抱えているにせよ、どうにかして作付けの約束を守りたい、何より生産者の1年のご苦労になんとか報いたい。お届けができなかったら、遠野の野菜を期待して待っている消費者を裏切ることにもなってしまう……。
農業は、自然の摂理と人間の知恵の合作だ。摂理を無視して野菜は育たないし、知恵がピタッと来れば、作物はすばらしい潜在能力を発揮する。人間が雨を降らせることはできないが、苗作りや土作り、肥培管理は人間の知恵の見せ所だ。ここを学ぶのが小祝塾。そして作付けの約束、お届けする責任は生産者とらでぃっしゅぼーやが果たさなきゃならない。
今回の勉強会は、奇しくも畑での人間の知恵を小祝さんから、約束を果たすという人間の知恵をらでぃっしゅぼーやから学ぶような勉強会に展開していったのだった。
アミノ酸と土作り
座学は遠野ライフの事務所で行なわれた。小祝さんはまず、肥料をコップに入れてお湯に溶いたものをみんなに回し始める。
「みなさんこの香りを嗅いでください。どうですか?」
ぜんぶで3つの土色の液体。お湯に溶く前のものから嗅ぐと、どれもそんなにキツくなかったのだが、液状のものは違いが瞭然とする。ひとつはまんまオシッコの匂い! もうひとつは臭みの強い魚、最後のものは縁の下の土の香りがした。
オシッコの匂いがするものは、今回京一さんが使用した発酵鶏糞であるという。発酵したもののはずなのに、小祝さんによれば「みなさんわかりますよネ? これは発酵していない。乾燥鶏糞ですね」。
肥料は水に溶くと素性を露にするそうだ。今回のいちばん大きな教訓はここにあったという。当たり前のことだが生産者は自分の使う肥料を把握すべきだ。まず良否の見極め。次善の策としては、その肥料の特性に合わせた施肥の調整だ。
小祝さん、今回の乾燥鶏糞は、水が供給されない環境下ではお手上げで、易分解の炭水化物が含まれるアミノ酸系のものが必要だったという。そして土作り、堆肥の大切さも共有されていった……
◆おさらい◆
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これまで耳にタコができるほど小祝さんから聞かされてきた光合成の話を思い出そう……
光合成は、簡単に言えば水を太陽光で電気分解して炭水化物を合成する流れ。小祝理論では有機栽培の優位性を、曇りの日続きの栽培を無機栽培と比較して教えている。
普通の指導では根からのN成分と、光合成で産出される炭水化物(CHO)が結ばれて植物の細胞が作られるとする。即ちCHOのCは空気中のCO2のみから、HOは土中の水のみからしか得ることが出来ないと教える。
これに対し小祝さんは、根はアミノ酸(CHO+N)程度の大きさの分子なら吸収すると前提する。とすると光合成が弱くても、植物は根からの養分だけである程度の生育が可能となる。生育に必要なCHONのすべてが吸収できることになるからだ。この説は学会でも一部実証(ハダカムギの実験)されており、何より現在、アミノ酸施肥による成果を実感している生産者は全国に数多く存在している。
このことから小祝さんは、曇りの日では無機栽培(土中にアミノ酸系の成分を施さない)と有機栽培では、有機栽培が優位であると説く。晴れるともっとすごい。有機栽培なら光合成で得られる炭水化物のほか、根から吸収される炭水化物も利用されるので、余剰の炭水化物が、穀物根菜類ならでんぷんの貯蔵に、果実類なら糖度の向上に回されるということだった。だから有機栽培は高収量と高品質の両立が可能なのだ。
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しかし今回は光合成に問題がある訳ではなかった。施肥内容を見ても、ミネラル系の施肥もばっちりだ。しかし小祝さんは同じ論で今回の問題の見立てを行なった。
曰くアミノ酸系施肥の肝要なポイントは土中に吸収可能なCHOが含まれていることであり、乾燥状態の鶏糞の施された土からはCHOを吸収できる見込みが立たなかった。そこには遊離したNH4(アンモニア態窒素)と水溶化していない固形の窒素成分しかなかったことに加えて基本的な土作りの重要性。
今回話された内容としては、堆肥など炭水化物(この場合繊維質)を十分に含んだ土壌では、その繊維質が分解し水溶化していく過程で、co2などの気体が放出される点。このふるまいは固層気層液層の3層のバランスの悪い土壌を改善し、ほどよい空げきを土につくることから、より深く発根できるという。
今回の場合、乾燥した環境下でも、より深い発根は水分供給に差を生んだのではないかと指摘する。多少なりともの水分さえ供給できれば、アミノ酸施肥と相俟って、今回のような最悪の状態を回避することができたのではないかと結論した。とうぜん堆肥による保水力の向上も旱ばつの対策になるのだ。
備えることが人間の知恵
小祝さんとて、さすがに雨を降らせることはできない。しかし予測できない様々な気候要件に対応する術を教えてくれる。備えの部分だ。雨が多くても、逆に少なくても対応できる段取りが、次に雨が多かったら、雨が少なかったらどうするかが来る。苗半作というが、まさに今回は事前の段取りの大切さを勉強させていただいた。そして最悪の事態になっても、どうにかしてムダにしないようにする努力を、らでぃっしゅぼーやの対応からも学ぶことができた気がする。
また、今回の勉強会では石油や資材価格が高騰している昨今、生産者の資材選定について構造的な問題が生まれつつあることも話された。
資材費の高騰が明白な状況でも、生産者は「収量さえ確保できればなんとかなる」といった期待の下で、価格競争を勝ち抜こうとしがち。原価計算そのものを収量頼みにしてしまっている傾向がある。天候が良い前提、購入した資材が良い効果を発揮してくれる前提で、生産者は良い収穫がもたらされることを前提してしまう。いい事づくめでものを考えがちになるから、資材の選定も場合により甘くなってしまう。
確かに競争を勝ち抜く技術として、収量や品質を高める生産者の努力なくしては、自立した農業経営は覚束ないだろう。しかしこのクセは、備えることが最善の知恵であるはずの“人間の知恵”としてどんなものなのだろうか? 必要以上のリスクは失敗したときのつぶしが効かないだろう。そこには作り手と買い手の間のビミョーな関係も作用しているだろう。
生産者だけではなく、流通も加わって、そこらへんのこともざっくばらんに協議できる場をつくってはどうだろうか?
雨よ降れ
露地栽培はどの地域でも灌水対策が課題になるが、世界の水問題は大規模な灌漑農業が大きく影響してもいる。天の恵みとしての雨が、ほどよく全国の農地を潤すとよいのだが、地球温暖化の影響だろうか最近の天気は極端な傾向だ。そんな中で、これからも日本の農業は元気であってほしい。京一さんちではアイガモで自家用の米をつくっている。この水使えないかなと素人は思うのだがそうもいかないらしい。このほか京一さんの畑には簡易ハウスに瑞々しくアスパラ。おじいちゃんがこだわってつくっているという行者ニンニクが花盛り(売るほどありそうだ)!
……いろいろと。遠野の3人の皆さんとささやかに語り合い別れることとなった。


この原稿を書いている6月23日、京一さんに電話をした。あれから10日を過ぎ、東北地方の梅雨入りの後も、いまだ遠野の土地には数ミリの雨しか来ていないという。北上中の台風6号がうまく関東以西に横たわっている前線を押し上げて、東北地方に恵みの雨がもたらされることを祈りたい。
元気に今年を乗り切りましょう! ありがとうございました。
タケウチアマネ
【01 農産活動報告】
2008-06-06
5月29日 2008交流勉強会in三重
【交流勉強会】
開催日時 2008年05月29日(木)18時00~
集合場所 名張シティホテルロビー
今回、福広塾の前日に交流会が開催されることになったのは、生産者からもRadixの会からも「情報共有の必要性」が提起され開催の運びとなりました。情報の共有化もしたいけど、そんなことよりもまず同じRadixの会の生産者の仲間が、どんな人たちなのかお互いに知りたい。交流を深めたい。
その要望のもと交流会が開催され、例えば結果的にそれで情報を共有化も進み1団体や個人で抱え込んでいた問題も解決できるかもしれない。
…しかし、潜在的には商売敵であったり、自分こそプロと自負する生産技術者としてのライバル意識が邪魔し火花バチバチとなったりしないのだろうか?!
なんてドキドキしながら見守ることになるのでした。
【01 農産活動報告】
2008-05-30
5月30日 2008福広塾春編
開催日時 2008年05月30日(金) 9時30分~12時30分
集合場所 ゆうき伊賀の里 福広博敏さん圃場
講 師 福広博敏さん
内 容 圃場見学、堆肥舎見学、講義(移動はありません)
参 加 者 21名
関西の生産者福広氏が講師となり、生産者による生産者塾「2008福広塾春編」を、関西にある三重県名張市の福広氏ほ場にて開催いたしました。
福広講師はトマトが主な生産物で、他にも葉物としてチンゲン菜・小松菜・レタス・エン菜・ズッキーニ・モロヘイヤを露地栽培されています。地形的には東側から来ると「伊賀の隠里」のような場所で、川砂で作業のしやすそうな立地でした。本日は21名の参加者で講義開始となりました。
露地の葉物、トマトハウス、堆舎と、栽培の現場を視察したあとに座学での勉強会です。
【01 農産活動報告】
2008-05-23
歴史の今を刻む北軽井沢有機ファミリー
今年、第1回目の開催となる小祝塾を5月16、17日の両日、群馬県北軽井沢と倉淵で開催した。共に春から秋にかけての高原野菜を生産・出荷する地域で、幹事団体は北軽井沢有機ファミリー(代表:清水忠雄さん)とくらぶち草の会(代表:佐藤茂さん)。両産地とも今シーズンの出荷がスタートし、生産者は秋の出荷まで続く定植準備などで大忙しの季節。
そんな時期でも「オウ、やろうか!」と快い意欲を見せてくれた両団体。いやはや実際、不安定な天候が続く中、小祝さんも驚く伸張。1日目のお話。実施のもようは研修生狩野の報告に譲るとして……
北軽井沢有機ファミリーは名峰浅間山の北東に位置する標高1000メートルの高原地帯。今回は若手後継者メンバー4名が中心になって、小祝さんをそれぞれの畑へと案内していく。品目はレタス、キャベツ、ブロッコリーなど。皆しっかりと土壌分析と施肥設計を行ない、独自につくった設計書を小祝さんに見せながら畑の状況を説明していく。
いやあ、若手ががんばっていた!
彼らの名前は、さすが代表ご子息、おおらかでざっくばらんな清水明俊、緻密な参謀ふうの岩田修一、やさしいイイ男の桐淵正芳、そして誠実肌の関根貴志。みんな30代。それぞれの個性、話しふりで質問を投げかけ、しっかりと小祝さんの見立てを吸収していった。
農業はデザイン。
目的に沿って計画を組み立て、全体感を畑に描いていく。普及所や系統組織のレシピをなぞるのではなく、ユーザーのニーズをもとに設計図面を引き、自分で計算をして、見立てを行ない、調整しながら完成をめざす。彼らの設計書の下半分の空白には勉強会で得たアドバイスがみっしりと書き込まれ、明日からの作業計画に反映されていく。そんな勉強会で話をしている小祝さんも幸せそうであった。
小祝さんの指導は、特に意欲のある若者のモチュベーションを高めていく。Radixの会が北軽井沢の大地で勉強会を始めたのは2001年。当時らでぃっしゅぼーや農産課長だった横山くんの発案で、元会長の信末清さんを招いて開催された堆肥づくり勉強会からだった。北軽井沢でその冬、100名規模の勉強会を3回連続で進めた。とうぜんその時代から小祝さんのお世話になってきた。
北軽井沢は酪農が盛んな土地柄。牛ふんの堆肥は諸刃の剣で、造り方で土にとって毒にも薬にもなる。手近な材料だが未熟な堆肥では土壌消毒から脱却できず。有機農業に舵を切った清水忠雄さんはじめメンバーの皆さんにとり、土づくりは大きな課題になっていた。高原産地の宿命、多忙を極める農作業の傍らで、わかっちゃいたが堆肥を改善し管理することは、誰もが二の足を踏んできたのだ。
そこを準備し育ててきた先駆者として、北軽井沢の皆さんにまず敬意を表したい。堆肥そのものにはまだ改善の余地があるものの、農業というデザインの、土づくりという基礎部分を、しっかりと北軽井沢の土地に打ち込んだのだから。そして大きく、小祝さんのおかげだ。
次のステップを歩もう!
10年後の北軽井沢は、もっともっと進化しているだろう。農畜の地域連携がより質的な結合を遂げるだろう。土が宝物になり、他の産地からも羨まれる土地になっているかも知れない。そんな時代の現場に居合わせて、わずかながらでもお手伝いができるRadixそしてらでぃっしゅぼーやの存在を、誇りにも思うのだ。
さて、現在のらでぃっしゅぼーやの担当者は野島くんという。勉強会に同行してれて知ったのだが、奇しくも2001年の堆肥勉強会に入社したてで参加していたのだそうだ。みなさん、夢をもってがんばろうじゃありませんか!
ということなんで、クレームもなんのその。今シーズンはザクっと、半減と言わずゼロ目指して、うまい野菜届けましょうよ、忠雄親分!
タケウチアマネ
【01 農産活動報告】
2008-05-17
5月17日小祝塾2008高原野菜
【2】くらぶち草の会
開催日時 2008年5年17日(土) 9時00分~12時00分
集合場所 高崎市役所倉淵支所
内 容 高原野菜の畑を巡回
17日は倉渕の「くらぶち草の会」さんにて、小祝氏とほ場視察に行ってきました!
山間の川辺にある、準高原地帯という場所で、最近はわりと集中的な雨が続いてるそうです。
こちらは軽井沢のように後継者というわけではなく、新規就農者の三名でやはり若くて新規就農者だけに的確に何をやるかということをしっかり持っている生産者さんたちでした。
(コメント)実は、ボクの地元でも新規就農者は確かにいるんですが、夢と現実の差を埋めきれない人が多いというか。こちらみたくバランス感が欲しいです。


