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【レポート】
2010-08-27
農業経営者定例セミナー 参加レポート
農業経営者定例セミナー
日時:平成22年8月17日(火) 16時~18時
場所:農業技術通信社内セミナー会場
テーマ:おいしさの科学-食の原点-
講師: 山野善正
《講師プロフィール》
1938年滋賀県生まれ。京都大学農学部農芸化学科卒業後、食品包装会社に勤務。レトルト食品の開発を担当し、手がけた崎陽軒のパック入りシュウマイはロングラン商品となっている。1968年より香川大学農学部で教鞭をとり、食品学科教授、農学部長として活躍した後退官。2006年より生活協同組合コープかがわ理事、2007年よりおいしさの科学研究所の理事長を務める。香川大学名誉教授。農学博士
《著編書》
「おいしさの科学事典」、「おいしさの科学」、「食品の物性」、「フィルム包装食品」、
「レシチン」など食品感性学、食品物理学、応用コロイド学などに関し30編
研修生の高橋です。
普段の生活の中でおいしさについて考えるということはなかなかありません。私の場合はさっき食べたあれはおいしかった、ぐらいのものです。
そんな私ですがおいしさに関してのセミナーに参加してきました。テーマはおいしさの科学。講師の山野先生は、食は人を作る原点であり、おいしい食は魅力的な人間を育むと考え、食べ物やおいしさの研究をしているそうです。
以下にセミナーの内容を個人的にまとめます。
おいしさの科学
―食の原点―
1、おいしさとは何か
2、おいしさの3要素
3、おいしさの評価
4、調理とおいしさの科学
5、まとめ
1.おいしさとは何か
食べ物の品質には3つの要素があり、それは栄養、安全性、おいしさです。栄養と安全性は食品に因るものですが、おいしさは同じ食べ物でも食べた人の感性によって変化するように、相対的なものなのです。
おいしさの要因は下記の4つ
①生理的要因
欠乏による生理的な欲求が強い場合、それを満たす食物はおいしい。
②文化的要因
民族や集団の中で発達した食文化に合致するものはおいしい。
③情報要因
情報(TV、思い込み)がおいしさを規定する場合がある。
④薬理的要因
欠乏していなくても本能的な報酬の会館を強く刺激する特殊な食品がある。
そして人の好み、嗜好の要因もいくつかに分けられる。
① 先天的要因
人種、民族、性別、体質
② 後天的要因
生活様式、地域の風土・習慣、宗教、教育
③ 現在の状態
年齢、健康、経験、職業、時代
このように、人の嗜好はもちろん、おいしさの要因というのも人によって大きく変化しうるものです。
2、おいしさの3要素
次に、おいしさとはどのような要素で構成されているのかということ。一般的には食べ物を口に入れて感じる「味」ですが、それはあくまで狭義の味です。
おいしさというのは、味、匂い、テクスチャー(食感)の3つの要素で構成されています。この3つはどういうものなのか、そして私たちはそれをどういう風に感じているのかを、それぞれ説明していきます。
【味】
先に述べたように味の感じ方や好みは人によって様々です。そもそもどんな味があるのかというと、各民族で認識される基本味としては、以下のものがあげられます。
日本: 甘、酸、塩、苦、辛、渋、旨
インド: 甘、酸、塩、苦、辛、渋、淡、不了味
中国: 甘、酸、塩、苦、棘(辛)、鮮
欧米: 甘、酸、塩、苦、アルカリ味、金属味
各地域ではこのような種類の味があると認識されていたが、その中の「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の4つ、これをドイツのヘニングは4原味と名付けました。ヘニングはこの4つの味の組み合わせであらゆる味を作ることができるという説を唱えました。
しかし、今では食品には5つの基本味があるといわれています。日本の学者が「旨み」を発見し、発表したものが世界でも認められたからです。旨味はヘニングの4原味説だけでは説明できなかったのです。
味は舌の表面にある味蕾によって感じることができ、グルタミン酸、イノシン酸やグアニル酸というアミノ酸が旨味をもっています。これらのアミノ酸は一緒に食べることで、相乗効果によってよりおいしくなることがわかっています。例えば、日本のだしはグルタミン酸を多く含む昆布と、イノシン酸を多く含むかつお節が使われています。
【匂い】
食事の際に感じる匂いというのは実は2種類あって、食べる前と後で分けられます。匂いを感じるセンサーは鼻の奥の上の方にある嗅粘膜という場所にあり、外部の匂いだけでなく、体の喉の方からも匂いを感じているのです。
食べる前に感じる匂いによって私たちは食べるものを選別したり、食べ物の味を予想したりしています。匂いの種類は多様で、味にあるような基本味といえるようなものはありません。
また、食品の香気成分数を見てみると、
ブドウ 466、チェダーチーズ 213、かつおぶし 280、
などの固体に対し、液体はコーヒー 789、白ワイン 644、紅茶 537、と総じて固体よりも香気成分数が多い(香りが強い)傾向があります。
【テクスチャー】
テクスチャーというのは食品の物理(化)学的性質の総合的食感、または構造及びレオロジー的性質の食べるときの感覚(外観、噛む時の音、温度を含む)のことです。
舌で感じる味、鼻で感じる匂いは科学的なおいしさで、それに対して食感は物理的なおいしさといえます。おいしさに貢献する化学的なおいしさ、物理的なおいしさの割合を調べてみると、米や豆腐、ようかん、団子などではこの物理的な要因がおいしさの大部分を担っていると考えられています。
日本では外来産の食材を生で食べることが多く、テクスチャーを感じやすいため、それを表現するオノマトペ(擬声語)もかなりの数になります。
3、おいしさの評価
おいしさを評価する方法としては、官能検査と測定器を使った検査があります。
官能検査というのは人間が実際にモノを食べてそれについて評価するというものです。
測定器には、食味計、粘度計、匂いセンサーなどがあり、それらによって品種ごとのおいしさの評価や、生のときと調理したときの評価などができます。これによって目に見える形での客観的な品質評価、そして差別化ができるようになります。
4、調理とおいしさの科学
人が先天的にわかるおいしさには、砂糖の甘味、旨味、油のおいしさがあり、これは他の動物たちも当てはまります。
では、この味覚はいつごろから発達するのでしょうか。基本的な味覚機能は出生時に備わっていて、3歳頃から浩二の味覚機能は完成していくが、その程度は個人差があり、いかなる食生活をつんだかに依存します。
逆にいつから衰えたのかといえば、味覚の老化ははっきりとはしていません。60歳ぐらいからあるかもしれませんが、たいていの場合、味覚の衰えは薬剤性や亜鉛欠乏症といった病気などが原因で味覚障害となることがほとんどです。
では次にどのようにしたらよりおいしく食べられるのかを考えて見ましょう。
私たちが普段からしている料理もその方法の一つです。その時には香辛料や油、旨味物質(出汁)、発酵食品やアルコールといった味覚増強物質を使っています。
吸い物の塩分は0.8~1.0%が好まれますが、これは血液中の塩分濃度とほぼ一致しています。他にも、合わせ味による旨味の相乗効果などで体に良く、おいしく食べる方法を私たちは気づいていないうちに実践しているのです。
5、まとめ
農林水産省は食生活指針を定めています。これも正しいとは思いますが、もう少し付け足したいこともあります。
「癒しと健康の食生活指針」
1・毎日3回規則正しく食事する
2・食事の前後で「いただきます」、「ごちそうさま」を言う
3・できるだけ多種類の食材を食べる
4・日本の伝統料理や食材を大切にする
5・国産国消
6・自ら料理する
そして食事の作法として、重要なこともあります。
A・正しい箸の使い方をする
B・ひじをつかない
C・バックミュージックの廃止
D・「いただきます」「ごちそうさま」を言う
こういった正しい食生活、マナーが日本人には必要かと思います。
そして、生命の原点である本物のおいしい食の生理的・心理的充足により、心豊かな人間的な生活の達成を目指したいのです。
しかし今は日本全体での味覚の均一化が進み、人間の多様性もなくなっていると感じています。
種の多様性と同じように、食・味覚の多様性も重要なのです。多様なおいしい食事により、多様な魅力ある人が育まれる社会を作るべきなのです。
これは山野先生のセミナーを受けて、私がこんなことを言ってるのかなと思ってことを書いています。なのでこの記事を読んだだけで山野先生にケチつけたりしないようにお願いします。
ここからセミナーの感想
味覚の均一化というのは、作られる作物、食べ物が皆甘いものを目指していることだそうだ。全体的な傾向として、甘いものが増えている。
野菜の食味を計るときには糖度を見るものだし確かにその傾向はあると思う。その結果として苦いものや昔は食べていたものを食べなくなってきているだろう。
とはいえ、糖度や甘さを重視するようになったのは皆が甘くておいしい食べ物を望んでいたからではないのか。苦いものと甘いものでどちらかを選ぶなら甘い方がいいと思うし、野菜・果物に限って言えばおいしくなるのは良いことだろうと思っている。人が変わってきたのではなく、甘いものの入手のしやすさが変わってきたということではないでしょうか。
苦味・渋みのある野菜だって変わらずあるのだから認められなくなったわけではないはずだし。
味覚の均一化ということであれば、コンビニやファミレスなどの全国で同じ商品を出すチェーン店の方が問題はあるように思う。しかもこれらは大変便利でよく活用していて、なくなってしまったら困る人も多いだろう。
だから山野先生が言っているように食育、食生活の改善が必要になる。特に子供の内から進めるのが肝要だと思う。子供の食生活が変わり、大人になれば、それをターゲットにする飲食業界にも変化は出るのではないか。
地方からこつこつと変えていくことがまず必要なことだと感じます。
【レポート】
2010-08-09
食の学校セミナー 参加報告
2010年7月13日(火)、銀座の中央会館で開催された食の学校の定例セミナーに参加してきました。Radixの会 研修生の高橋です。
セミナーのテーマは漁業問題。自分も魚は大好きです。
魚が少なくなっているとは時折聞くことはありますが、それを実感したことは一度もありません。つい最近のクロマグロ漁獲規制についても海外からの不当な圧力に屈しなかった日本という風に見ていましたが、それはどうも認識が違っていたようです。ここでは、勝川先生のセミナーより特に印象深かったお話をご紹介したいと思います。
食の学校セミナー
講師 勝川俊雄さん
(三重大学生物資源学部 准教授)
<プロフィール>
昭和47年、東京都出身。東京大学理科Ⅰ類に入学するが「21世紀は食糧の時代になる」と確信し農学部に転部。東京大学農学部水産学科卒業後、東京大学海洋研究所の修士課程に進学し水産資源管理の研究を始める。カナダのブリティッシュコロンビア大学に留学後、東京大学海洋研究所に職を得る。専門は、水産資源学。不確実なデータをもとに、乱獲を回避するための管理理論を数理モデルを使って研究して高い評価を得る。世界中の漁業の現場を周り、各国の資源管理を研究し、資源管理によって、日本の漁業を持続的な産業に再生するための社会活動を行っている。世界中の漁業の現場を周り、各国の資源管理に精通している。国内きっての漁業改革派の論客。日本水産学会論文賞、日本水産学会奨励賞を受賞。
<著書>
「魚のいない海」(NTT出版 監訳)、「海の生物資源」(共著)、「レジームシフト」(共著)
など
魚は、これから、食べられなくなる?
-消費者が知らない魚と漁業の話-
1・日本の漁業の現状
日本人の魚離れが進んでいると最近耳にします。一方、大西洋クロマグロ規制が話題となったように、海外では水産資源の減少が問題視されており、日本人は魚を食べすぎだとも言われているのです。実際のところ、日本の漁業はどうなっているのでしょうか。
日本人の一人当たりの水産物消費量は2000年頃に70キロほどになったのをピークに下がってきています。かつて、国内の漁獲量は消費量よりも多かったものの、それは70年代の話。そこをピークに漁獲量は、して減少を続けています。減ってしまった国産魚の分は輸入品で補われてきました。国産魚が無ければ輸入すればよいという考えで、私たちの食卓は満たされてきたのです。近年、日本での魚の消費量と輸入量は相関しており、魚を沢山輸入できれば消費量も増える傾向にあります。魚離れで消費者が食べないのではなく、国内の漁獲量も輸入量も減っており、そもそも出回る魚の量が減っているのです。
それでは、食卓に上ることになる国産天然魚、国産養殖魚、輸入魚の状況を見てみましょう。
A・天然魚
日本の漁獲量が落ちてしまった理由は、200海里規制によって遠洋漁船が撤退してしまったこと、そして東シナ海や日本近海で長い間乱獲を続けてしまったことです。日本周辺の魚は量も質もかなり低いものになっています。
B・養殖魚
日本の養殖生産は漁業生産全体の4分の1ぐらいありますが、大部分は貝と海草です。魚の生産量は少なく、ブリとマダイの2種が生産量の9割を占めています。さらに養殖魚の餌である魚粉の自給率は27%。輸入したくてもEUと中国が奪い合っていて入手するのもなかなか難しいのです。
C・輸入魚
和食ブームなどの影響で、世界中で魚が食べられるようになり、魚の輸入単価が上がっています。輸入量は海外に買い負け、年々減ってきています。中でも高級魚の輸入量はここ5年間で半分になってしまいました。
このように、いずれも厳しい状態で、このままでは魚を食べたくても食べられなくなるかもしれません。では次に日本人はどのくらい魚を食べているのか見てみましょう。
2・消費者を取り巻く環境
日本人1人当たりの魚の年間消費量は大体60キロぐらいです。しかし明治時代の消費量は年間10キロに満たなかったという統計もあります。魚を食べていたのは主に沿岸地域の漁村の人たちでした。それがここまで消費量が伸びたのは、冷蔵庫の普及や、国策によってタンパク質を魚から摂るという方針が取られたためです。日本人が魚を食べるようになったのは戦後の話なのです。
世界の一人当たり水産物消費量を見ると、日本はOECDでは、アイスランドに次ぐ第2位になっています。人口100万人以上の先進国の中では1位です。しかし、日本の水産物自給率は60%程度に過ぎません。これでは好き勝手に食べ続けていいわけがありません。これからも魚を食べていきたいと思うなら、持続性をもっと考えていかなくてはなりません。
お金があるから他国から輸入すればよいとか、魚が乱獲されても値段が下がっていいじゃないかとか思うかもしれませんが、そのツケは途上国や次の世代にいくのです。消費者にも持続性について考える義務があるのです。
そうは言っても消費者には乱獲された魚とそうでない魚の区別はつきません。そこでそれを見えるようにするために作られたのがエコラベルです。中でもメジャーなのがMSCエコラベルというもので、持続的な漁業で漁獲された魚だけに付けられるものです。世界ではMSCエコラベルの製品は普及しつつあり、MSC認証の商品しか売らないという小売店も増えてきています。日本での認知度は非常に低いのですが、なんらかの対策を取らなければ日本の漁業は衰退する一方です。消費者には漁業の実情を正しく認識してもらい、日本の漁業は今のままではまずいと問題提起して行かなくてはなりません。
3・日本漁業の問題点
日本の漁業システムは、組合などの組織に割り当てられた漁場があり、自分の漁場内での漁獲は、各組合の裁量に任されています。そこで漁獲枠の範囲で漁をするというもの。魚は当然移動するので、自分の漁場に魚がいるうちにすべてを獲ろうとするのは自然な成り行きでした。しかし、技術・漁法の進歩によって、今や漁獲能力は自然の生産力を完全に上回ってしまった。それによってさらに早い者勝ちの競争になり、魚は育たず、小さな魚しか獲れなくなってきています。
大きくなるのを待った方がよいのは皆わかっているものの、待っていれば誰かに獲られてしまう。だから小さくてもいいから獲りにいくしか手段の無い状態に日本の漁業者は追い込まれているのです。このままでは本当に魚がいなくなるかもしれません。
世界でも水産資源の枯渇は問題になっており、2048年に漁業は崩壊するという説を唱える人もいます。しかし、水産資源の管理をしっかりしていれば崩壊することはありません。資源管理をしている国の漁業は回復に向かっているし、それによって生態系のインパクトを修復できるのです。
4・日本と欧州の漁業比較
世界の漁業は二極分化が進んでいて、ノルウェー・アイスランドなどの国が順調に漁業生産を伸ばす一方、日本・ポルトガルといった国は漁業が産業として崩壊しています。この両者の違いが何かといえば政策の違いであり、資源管理をしている国、していない国で別れているのです。資源管理をしている国では漁業の構造が変わって生産的になるのです。
水産物輸出国であるノルウェーを見てみると、毎年輸出金額ベースで増加していて、13年で倍ほどになっています。ノルウェーも昔は日本と同じような状態で、魚を乱獲して資源を減らしていましたが、ほぼ禁漁猟にしました。それによって経済は大混乱しましたが、資源の回復には成功しました。きちんと卵を産ませる、生息地を守るといったことをすれば魚は戻ってきます。また、ノルウェーは再度乱獲には走らず、漁獲量を一定に保って高い品質を維持し、高値で売る選択をしました。これによって生産量は一定でも輸出金額を上げることに成功したのです。
また、ノルウェー人に聞くと補助金はよくないと言います。補助金によって非生産的なセクターが温存され、そこが利益を出さずに魚を消費してしまう。その結果、漁業産業が傾くことになってしまうのです。
また、欧州にはノルウェーだけでなく、ヨーロッパ全体で資源管理をしようという姿勢があります。日本との違いを見てみましょう。
<欧州の資源管理システム>
1.科学者が勧告した漁獲枠を遵守
-生物の持続性のみを考えて、きわめて保守的
2.漁獲枠を国ごとに配分
-国際的な枠組みで早獲り抑制
-国内での漁獲枠配分、漁具規制、販売については各国の裁量による
3.不正漁獲には国として厳しいペナルティーが与えられる
<日本の資源管理システム>
1.漁獲枠があるのは7種だけ
2.持続性を無視した過剰な漁獲枠
-科学を無視して役人が漁獲枠を決める
3.漁獲枠を超過して獲っても罰則はなし
欧州の厳密な管理システムと比較すると、日本の資源管理はとても管理と呼べる内容ではありません。
今の日本の漁業はひどい悪循環に陥っています。
漁獲量を増やせば資源が減少し、それによって収益は悪化。そして収益を増やすためにもっと漁獲を増やそうとする。必然的に漁業者はとにかく生き残ろうと必死の努力をしますが、それは結果として自分の首を絞めることであり、体力が尽きた経営体から潰れていくことになります。ここで国が補助金で延命助けようとするのもよくありません。必要なのは公的資金で乱獲をのサポートすることではなく、きちんと質が高い魚を安定的に取れる漁獲制度を作ることなのです。
5・クロマグロの話
つい先日、ワシントン条約で激減を続ける大西洋クロマグロの取引規制をしようという動きがありました。ワシントン条約というのは絶滅の恐れのある野生生物の国際取引を規制するもので、クロマグロはすべての取引を禁止する方向で動いていましたが、日本はそれに対して「留保」を表明し、一切従わない姿勢を示しました。日本のメディアは、これは不条理な規制であり「留保」はやむを得ないことだと報道しました。しかし本当にこれは欧米の資源囲い込みで、規制が理不尽かというと、私はそうは思いません。
もはやクロマグロが枯渇絶滅寸前なのは確かなであり、もはや獲り尽くすか禁漁するしかないところまで来ていると思います。その部分が日本ではあまり報道されて来ませんでした。
もうひとつの問題としては、資源管理をしてきたICCATという国際機関がありますが、ここの機関の資源管理能力が非常に低いことが挙げられます。ICCATは今まで資源に対して有効的な措置は何一つとってこなかったといってもいい。科学者が出したアセスメントを無視した漁獲枠を設定し、現実にはそれすら守られていなかったのです。
そのような背景があったから、ワシントン条約で取引を禁止しようということになったのです。2009年にはヨーロッパウナギがワシントン条約で取引を規制されましたが、日本はヨーロッパウナギの世界一の消費国でした。日本人もヨーロッパウナギの減少に大きく荷担していたのです。こういう歴史を繰り返してはなりません。だからこそ、大西洋クロマグロに対する今回の日本の姿勢は非常に残念なものでした。世界のひんしゅくを買いながらも絶滅の恐れのある資源を食べ続けるのが食文化だ、やむをえない選択だと言えるのでしょうか。
実は大西洋クロマグロを守りながら、日本人が今までと同様にマグロを食べ続ける方法はあります。難しいことではなく、日本の沿岸で獲れるマグロをしっかり管理していれば、日本人が消費している量は十分にまかなえるという話です。
日本海の大型巻き網拠点である境港では2004年からマグロの漁獲量が上昇していました。これはアジやサバをほぼ獲り尽したので、今度はマグロを獲りはじめた。結果、2009年にはマグロの親も獲りつくし、漁獲量、漁獲重量ともに激減してしまいました。問題はそれだけでなく、未成魚も獲られていることです。太平洋クロマグロの9割以上は1才までにカツオ程度のサイズで漁獲されています。この1歳以下のマグロ(ヨコワ)を7歳ぐらいまで待ってから漁獲すれば、漁獲重量は日本のマグロの流通量である4万トンを超えます。当然金額で見ても大幅に利益が上がる。そう考えると、今の漁業は非常に効率の悪いものなのです。
未成魚の乱獲をやめれば日本人が食べる分のクロマグロはまかなえる。しかもこの大きさになれば卵も産んでいる。きちんとした資源管理をしていれば、わざわざ海外の資源に頼る必要もないのです。
つまり私達がすべきことは、
1・漁獲枠をしっかり設定する。
2・大型船と組合に漁獲枠を配分する。
3・産卵期に産卵場でのマグロ漁を禁止にする。
これをやっていけば資源は復活する余地はあると思います。でも、現状の操業を続けたら、日本の漁業が成り立たなくなるのは時間の問題でしょう。
6・これからの「漁業」の話をしよう
とはいえ、情報収集、分析、政策設計、提言、情報公開を自力で行うには大変なお金と手間がかかります。だからこそ、これらを自力で行なえる第三者研究機関が必要だと考えています。
世界の中で漁業がうまくいっている国は全て保護団体が強い、つまり保護団体が口うるさいから国としても下手なことはできないのです。こうして海外の保護団体の働きかけがその国の政策設計のレベルを押し上げているのに対し、日本には強い提言を行う団体がないので、業界の意見だけで政策が決められてしまう。海外では消費者がそういった専門家を支援しているからこそ、国の予算や業界のしがらみにとらわれない専門家が自由に提言をできるのです。
日本でもそういった政策提言のできる専門組織を民間で作ることが必要です。そのためには消費者の意識改革が必要です。乱獲という問題が消費者に認知されていない中では消費者からのサポートには期待できません。私は第一の課題は消費者の教育だと考えています。消費者に今の日本、世界の漁業は大変だということ、魚を消費するということは持続性に対して責任が生じるということ、未来のための投資も必要になるということを様々な場面で発言したり、雑誌で発表したりしています。この問題をどのようにして消費者に伝えていくか、そして自分たちの問題として取り組んでもらうか、今はそれが大切です。日本の漁業を変えるためには、消費者を変える必要があるでしょう。
【レポート】
2010-05-27
第1回 エコデザイン会議 開催報告
初夏を思わせる陽気に恵まれての開催となった、第1回エコデザイン会議。予想を大きく上回る参加人数に、会場を急きょ変更するといった嬉しいハプニングもありましたが、皆様のご協力で無事に会議を終了することができました。今回は、大盛況に終わった当日の様子をご報告します。
(詳細は8月末発行予定のRadixニュースレターでもご報告いたします。)
【開催概要】
日時
2010年5月21日(金)
・会議/14:00~17:30
・懇親会/18:00~20:00
会場
・東京グランドホテル
参加者数
・お取引先様/59社・75名
・らでぃっしゅぼーやスタッフ/15名
・Radixの会スタッフ/4名
全94名
進行スケジュール
14:00~ ご挨拶(らでぃっしゅぼーやMD部 泉原兵庫部長)
14:10~ Radix Official Movie上映
14:20~ らでぃっしゅぼーやエコデザイン課報告
1/売り上げ状況報告
2/イレギュラー・クレーム状況報告
お客様委員会からの声報告
3/商品開発の方向性
16:10~ ご挨拶(らでぃっしゅぼーや販促企画課 小林哲雄課長)
休憩
16:30~ Radixの会 会員取り組み事例報告
1/エコキッチン倶楽部を介した会員拡大提案(アグリクリエイト 斉藤公雄氏)
2/日本におけるい草文化の実情と取り組み(株式会社水の子会 上村茂則氏)
3/らでぃっしゅぼーや・Radixの会への提言(株式会社リバーライト 岡山晄生氏)
17:00~ バイオエタノールの話題を含めた入会のご案内
17:20~ 入会フォローと閉会の挨拶(Radixの会 後藤事務局長)
18:00~ 懇親会
食べ物だけで、人は健康で幸福になれない。
生活を取り巻く環境の健康も重要だ。
会議は、らでぃっしゅぼーやMD部の泉原部長のご挨拶からスタート。自ら畑を耕し、農業と向き合ってきた経験を持つ泉原部長のお話は、実経験から得た教訓を交えたものでした。
野菜を育てる時、土作りが大切だと言われるが、それだけではいい作物にはならない。水はけや日当たりといった“環境”が作物に与える影響は非常に大きい。それは、人間が健康に生きるためにも同じことが言えるのではないかと。ただ食べ物(栄養)がよいだけではなく、日々生活する環境が健全であること。これは、人間の健康に大きな影響を与えるのではないかと。
らでぃっしゅぼーやが世の中に対して提供していこうとしているのは、企業理念にも掲げている通り、“健康で豊かな生活”であり、“次世代に存続すべき地球環境”です。主な取扱品が食品であるため、どうしても「食品の会社」という認識をもたれがちですが、泉原部長はらでぃっしゅぼーやにおける、エコデザイン商品や環境問題への取り組みの重要性を十分認識し、そのことを参加された皆様にお伝えしたかったのだと感じました。
販売状況、売上、お客様の声。
厳しい発言も、信じているから伝えられる。
Radixの会の活動を紹介するムービー上映後、早速始まった、エコデザイン課からのさまざまな報告。らでぃっしゅぼーや全体の販売状況とエコデザイン商品の状況、イレギュラー・クレームの報告、お客様委員会に寄せられるご意見やご要望の紹介、さらには今後の商品開発の方向性まで。トータル1時間50分もの時間を費やし、深く熱い発表が行われました。
社外秘レベルと思われる情報も随所に盛り込まれ、会場では熱心にメモを取る参加者の姿が見られました。また、イレギュラー報告の場面では、具体的な取引先名も交えたスライドが映し出される場面も。
受け取り方によっては、大変厳しいと思える発表を松井課長が決断した背景には、皆様と共に上を目指したい、そのためには、たとえ痛みを伴う情報でであっても、許される限り率直に伝えたいという強い意志があったのでしょう。それができたのは、日々のお取引で育まれた皆様への強い信頼があるからこそ実現できたことなのだと感じさせられた瞬間でした。
ぜひ、自分たちに続いて欲しい。
先進事例を作り出した先駆者のメッセージ。
エコデザイン課からの密度の濃い報告の緊張感をほぐす小休止の後に始まった後半戦は、先進的な取り組みを成功させた3名の事例発表・提言から始まりました。
エコデザイン部会の副会長のアグリクリエイトの斉藤公雄氏からは、2007年度グッドデザイン賞(新領域デザイン部門)を受賞した、消費者参加型家庭生ゴミ循環システム「エコキッチン倶楽部」を会員拡大に活用できないかという提言が。
また、農産部会副会長としてもご活躍いただいている水の子会の上村茂則氏から、この十数年の間に壊滅寸前まで追い詰められた、日本の伝統産業“い草”を守り、復活へと導いた苦難と戦いのお話と、廃棄処分されていたい草防虫雑草抑制の事例を。
さらに、前エコデザイン部会理事であり、調理道具研究家としてもご活躍。さらに著書「料理のきほん食の常識」も好評のリバーライトの岡山晄生氏からは、「質の高い、本物の情報をわかりやすく発信しよう」という強い提言が。今、日本に必要なのは、生活者の教育、賢い消費者を育てるための情報発信であると。利潤の追求だけではない、これこそが“本物の企業”というものに、らでぃっしゅぼーやが成長できれば、我々の取り組みや想いも成就していくのではないか、と。そして、会場を埋め尽くした参加者に対して「私たちと一緒に、これからの日本を作りましょう!一緒にやりましょう!」という温かく力強いお言葉は、皆様の心にも強く響いたのではないでしょうか?
分野も取り組み事例も全く異なるお三方ではありますが、共通するのは“道なき道を切り開いたパイオニア”であるということ。力を合わせれば、必ず新たなムーブメントを生み出せる。そう確信させる、力強いメッセージでした。
乾杯前から、大・名刺交換大会に。
大いに盛り上がった、懇親会。
18時より、会場を3階の桜の間より5階の欅の間に移して開催された懇親会。乾杯のご挨拶・ご発声を待ちきれないかのように、会場ではあちこちで名刺交換を行う参加者の姿が。後藤事務局長が「まずは乾杯をしましょう」という呼びかけをするまで、この様子は続きました。ここからは、多忙な業務の合間をやりくりして駆けつけた、らでぃっしゅぼーや販促企画課スタッフも参戦!お酒がすすむにつれ、あちこちで熱く語り合う参加者の姿に、後藤事務局長も、このエコデザイン会議の成功を確信したようです。また、参加者の皆様からは「また、ぜひやりましょう」という嬉しいお言葉も多くいただきました。
今後のエコデザイン部会の活動、ますます目が離せなくなりそうです。
(取材・文/Radixの会 小川)
【レポート】
2009-11-06
先月のお話ですが、“土と平和の祭典”行ってきました
10月18日日曜日。とってもうららかな陽気の東京は日比谷公園。
大地に感謝する収穫祭!として『種まき大作戦 2009 “土と平和の祭典”』が開催されました。今回で3回目の開催です。
らでぃっしゅやRadixの会でもおなじみの生産者・メーカーさんも多数出店
らでぃっしゅぼーやも出店
ちょっとふらっと立ち寄りました。
【レポート】
2009-01-13
ストップ!温暖化? ママチャリグランプリ参戦しました
F1サーキットを1万名の素人レーサーがママチャリで激走!
スーパーママチャリグランプリ
(第2回 ママチャリ日本グランプリ)
ママチャリグランプリ2008シリーズ最終戦
極寒チーム対抗7時間耐久ママチャリ世界選手権
最終戦 2009年 1月10日(土)
このレースに参加したらでぃっしゅぼーやスタッフは、日ごろより通勤に自転車で1時間かけるなど、普段からエコライフを心がけている面々です。
車より自転車!? このイベントが広まりママチャリ利用率が上がることを願って、らでぃっしゅぼーやの本社、首都圏センター、神奈川センター、大阪センター、中部センター、Radixの会から集まった2チーム、19名が参戦しました。


