交流部会Blog

【レポート】

2008-09-22

「食の学校」 9月の定例セミナー 頑張れニホンミツバチ!

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【セミナー情報】 食の学校」 9月の定例セミナー
【テーマ】 日本みつばちに東洋文明の復権をみる
【講  師】 藤原誠太さん(ふじわらせいた) 養蜂家
日時: 2008年9月5日(金)13:30~16:30
場所: 中央会館(銀座ブロッサム)7階 中央区銀座2-15-6
参加者: 28名

         


交流ブログで初めて書き込みます。カリノタカユキです!
北海道の農業生産者の後継者として次世代への経験を積むべく、ただいまRadixの会の事務局にて研修してます。


「食の学校」のセミナーに参加してきました!
みつばちを主体とした内容ということで、実家の仕事にも関係あるので興味津々で聞くことができました。
講師は、藤原誠太さん。
藤原養蜂場場長で、日本在来種みつばちの会の会長もされています。

この方…。
銀座のビル郡でミツバチを飼い、ハチミツを作っていると言う一風変わった方です。

「えっ!銀座でハチミツが?」

と聞いた人はビックリするかと思われます。
ビル郡の乱立する「東京」という日本の首都圏でも、緑の多い自然は銀座の周辺にも沢山あります。
半径4キロだけでも、銀座の街路樹のほか、日比谷公園、皇居、浜離宮など緑の豊かな自然があります。
2007年の3ヵ月だけで260キロも取れました。

普通に考えて、都市の中で採れたとはいっても排ガスなどあって良いハチミツとは言えないと思うでしょ?
でも、山林のある農業盛んな田園地帯は一雨ごとにいろいろな品種ごとの殺虫剤等の農薬を散布してます。
それと比べると銀座の街では農薬なんて散布してません。
このためミツバチに安全な環境で、人が食べても安全なハチミツが取れるのです。

※サンプルがあったので舐めさせて貰いました!ものすごく美味しいです!
「甘いーっ」とかそんなレベルじゃない美味しさなんですよ。
(説明は後ほど)

実は、実家でもメロンやカボチャやマメの栽培をしているのでみつばちにはお世話になってます。
養蜂の蜂を購入・レンタルなりして受粉を頑張ってもらってます。

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■セイヨウミツバチの養蜂家

現在、日本の養蜂家が育てているみつばちは、「セイヨウミツバチ」というヨーロッパ生まれの種類です。
日本にも、「ニホンミツバチ」という在来種がいます。
まったくの野生種なので「気紛れ屋」で、集団で巣から逃げ出すこともあれば、ミツバチ達が出かけても花粉を持ち帰るとは限らないという理由で、経済的にまったく注目されてきませんでした。

今ある養蜂技術は、明治以降に導入されたヨーロッパからの輸入モノです。
導入当時は養蜂セット1組の購入代が、家1軒分の価値(!)があったそうです。

セイヨウミツバチはヨーロッパで品種改良されたハチミツを多く集めるエキスパート。
ニホンミツバチと比べると五倍もの差があります。

藤原さんの学生時代のころは、セイヨウミツバチ=養蜂家のようなもので、ニホンミツバチは存在として薄いものだったそうです。
しかし、素人がニホンミツバチを飼いたいと言い出し、養蜂セットと一応の注意を挙げてあとは任せていたところ、二年立っても飼育継続できたことで興味を抱き、ニホンミツバチを見る目が変わったそうです。

■ミツバチ失踪事件の行方

二年前から発生したこの事件は、養蜂業界だけでなく農業関係者やその加工業者を震撼させました。

1.ミツバチがいない
2.植物が自分で受粉できない作物がつくれない
3.作物がなければ加工して商品も作れない

関係者にとっては危機的状況ともいえます。

この現象はアメリカから始まりました。
アメリカでは、広大な地域でアーモンド畑だけという生態系上において非常に限定された環境でセイヨウミツバチが働いてます。
元々、砂漠のような荒野に散水設備をつけてプランテーション型の農場にし、ミツバチを使用していただめ、生態系がおかしくなってきていました。
(害虫を捕食する天敵がいないので、代替に農薬が天敵になっていたとも言えます)

まず四年前にダニの突然変異で薬剤の効果が無くなった時期と同時に、アメリカでミツバチの1/3が行方不明。
ミツバチに対して、ダニはミツバチのさなぎに寄生して羽の養分を吸い取るため、飛べなくなってしまう。
羽がなくても、巣の中の掃除やハチミツ作りなどはできるが、花粉を取りに行く作業はすることができない。

そして二年前。忽然とミツバチは姿を消した。

原因の一つに、イスラエルマヒウイルスとも言われている。
しかし、このウイルスは世界中で感染報告があるのに、これまで忽然と姿を消すということはなかった。

もう一つの原因が、ネオ・ニコチネイドという農薬。
これは、フランスでトウモロコシとヒマワリに対しての農薬だったが現在では使用禁止になっています。
しかし逆にこの農薬はアメリカでは大量に使用されている。

ミツバチの行方不明に対して、いろいろな原因が考えられていたが、ネオ・ニコチネイドの成分がある農薬の使用頻度とミツバチの行方不明の報告数のグラフ化が比例しているため、一部では有力と考えられるようになってきている。

この「ネオ・ニコチネイド」の毒性によってミツバチになにが起こっているかは、藤原さんが想像する範囲では、ミツバチというものは「巣の位置」と「花粉のある植物の位置」を覚えるため、巣の位置から高く上昇しながら写真撮影するように位置を完全記憶していくそうです。
そしてこのときの完全記憶の能力が狂ってしまい、ミツバチは巣に戻れなくなっているのではないかということでした。
ネオ・ニコチネイドというのは、タバコにあるニコチンの一種です。
(たしかにタバコに慣れないボクなんかは、密室にいれば副流煙のみで丸一日仕事にならないほどダメージ受けてますが、ミツバチ達もそうだとすると、ちょっと仲間意識がわいて来ました)

ネオ・ニコチネイドの毒性は初代には影響が無いことも発見が遅れた原因のようです。(摂取しないので)
ミツバチの成虫は、花粉を集めて巣に持ち帰えります。花粉を食べるのは幼虫で、毒性の影響を受けます。


このネオ・ニコチネイドは、もちろん日本でも使用されています。
なぜ、この農薬が使われるようになったかというと、それまで防除に有効だった「有機リン農薬」の使用禁止が叫ばれ、代わりにポジティブリストにあがったのがネオ・ニコチネイドでした。

ポジティブリスト制とは?
基準が設定されていない農薬等が一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止する制度。

この農薬は一応、魚や蜘蛛にも影響がないということで採用されているそうですが。
実際には、ミツバチだけでなく魚や蜘蛛なども姿を消してるようです。次世代までは確認しなかったのかもしれません。
(なんとも静かそうな農地になりそうです)

「有機リン農薬」は、うつ、不眠症、多動障害の原因になっているのではといわれ、一時は非常に問題視されていました。
こういう問題もあり、むしろ有機栽培している生産者のほうが消費者よりも「農薬」=「使っては危険」という図式に捕らわれ、思考停止状態になってるんですよね。これまで使用していた生産者はともかく、新規就農者や営農を引き継いだ後継者にとっては、農薬について無知すぎて、逆に危険な状態のようにも思えます。(ここはボク個人の見解ですけど)


■犯人はだれだ!

ネオ・ニコチネイド(農薬)
ミツバチに寄生するダニ(害虫)
イスラエルマヒウイルス(病害)

ミツバチ失踪事件の容疑者は3点。
しかしまだまだ状況証拠のようなものばかり。
養蜂家として藤原さんはネオ・ニコチネイドが一番怪しいかもしれないと言ってましたが、それでも特定しているわけではなく、これが全てでなく完全な解明はまだまだ調査中とのことです。

それでなくても温暖化による変化が激しく、特定しにくいのかもしれません。
ハチミツを食べる消費者としては、安全で美味しいハチミツを食べたい。
いま抱えてる環境問題のいろいろな事がミツバチを苦しめているのかも。

ミツバチさん、こんな地球にしてしまってすまない(>△<)


■養蜂家と農家の関係
養蜂家にとって、農家はミツバチが花粉を集める協力者でもあり関係者でもあります。

しかし、農家が使用しているネオ・ニコチネイドがミツバチや生態系に危険があるかもしれないといって、散布停止を訴えるというのは非常に難しい問題です。

とりあえず、農薬の散布をやめればミツバチも生きられるようになります。
でも花粉をつくっている植物は病害虫に犯され、収穫もできない状態になってしまいます。

そして防除系の農薬散布というのは、集団防除ともいい、大抵は地域・町村単位での散布を行なっています。
これによって、地域全体から病害虫を絶滅させたり追い出したりして効果を出しています。
だから、1人が散布をやめてもミツバチが助かることはないのに、病害虫がそこへ避難して安全になってから大繁殖することができます。
収穫するために地域で連帯責任で農家全員が防除をすることになります。
農家数人の意思だけでは防除を停止することは不可能です。

ミツバチが死んでいるということを知っている農家の方から見舞金ということで、いくらか損害に当てることができたそうですが、額にすると損害が一桁以上も多く、養蜂家としての経営が破綻してしまうため、仲間だった農家や農業関係者を訴えることになりました。

藤原さんらは、最初に農薬業者を対象としていたそうですが、「使用基準に従ってください」という回答で、責任問題は生じないという見解を示されたそうです。

(ボクも実家が生産者なので、どうしても生産者よりな意見ですね)

害虫の絶滅で栽培は楽になりますが、それをエサにしている益虫もとうぜん姿を消します。
そして、いつのまにか耐性のある害虫が大発生することがよくあります。
なにより受粉を自力でできない植物も多くあり、受粉活動をしてくれるミツバチが必要です。(人力でも可能ですが末端価格が高騰します)

問題が深刻化するまえに、良い解決方法ができてくれるといいのですが。


■東南アジアでの養蜂
東南アジアとも交流のある藤原さんは、養蜂してる現地では子供がミツバチの巣を見つけて来たときだけ「学校に通える」という現状を知り愕然としたそうです。
そこで、明治に日本へセイヨウミツバチによる養蜂技術の導入されたことをヒントに、巣箱を子供でも養蜂できる「半分のサイズ」で、「扱いやすい構造」という開発をし、この巣箱の普及を国が支援することで、どの子供も学校へいけることを企画しています。


・面白い採集蜂蜜家(?)
また、世界には珍しいミツバチもいて、絶壁に蜘蛛の巣のような巣をつくり、地元の人はロープ一本で降りていき、煙でミツバチを燻り出した後に巣を棒で削り取りながら集めていくという「男が勇気を見せる」お祭りがあるそうです。
その下ではナベを上に掲げた人が集まり、蜜でべちゃべちゃになりながらおこぼれを狙っている人で溢れているそうです。
もっとも、蜜でロープから滑り落ちたり、蜂に刺されて手を離して落ちるなど、転落死者が多く、地面はお墓で一杯ということです。

コメントに困りますが、凄いイベントですね…。


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■プロポリス
プロポリス(propolis)は、ミツバチが野外から採取した植物の樹脂などを練り合わせ、営巣空間の内面を内張りしたり隙間を埋めるのに使う物質。
語源は、ラテン語のpro(=前、防御)、ギリシャ語のpolis(=都市)である。同じ蜂産品であるローヤルゼリーやハチミツなどと違って採取できる量は非常に少なく、人為的には増量合成のできない貴重品で、古くから民間薬、強壮剤として世界各地(特に欧米)で用いられてきた。

殺菌性、抗酸化性、抗炎症性、抗腫瘍作用が知られている。

最近の日本では、健康食品として商業的に宣伝が行われています。

…聞いたことはあるけど、こういうものなんですね。
藤原さんに言わせると、ミツバチの嘔吐物みたいなものらしいですが。
そして、このプロポリス。ニホンミツバチは生成しません。
しかし、これほど効能のあるプロポリスがあるにも関わらずセイヨウミツバチは病害虫に弱く、逆にプロポリスを生成しないニホンミツバチのほうが病害虫にもつよく、巣に問題が生じたらさっさと逃げ出すという逞しさがあります。
これはどう捉えていいのかと、藤原さんも悩んでいるようですが。
(嬉しそうな笑顔で、とても悩んでるようには見えませんが!)

ニホンミツバチという在来種にはまだまだなにか秘密があるようです。

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■ニホンミツバチと養蜂家
長年の研究の結果、難しい問題はあるけれど巣箱に関してはニホンミツバチはセイヨウミツバチより狭い間隔で住むということがわかり巣箱作りも完成しました。
藤原さんの講演内容が開け広げで、どこまで企業秘密なのかサイズまで詳しく説明してました。
「これでニホンミツバチが大成功して養蜂家だらけになったら、僕はインストラクターになるよ。お客さんも沢山いるしね!」
ということなので、まった問題ないそうです。
ニホンミツバチとセイヨウミツバチとの集蜜量の差は5倍もあり、経済的に見ると殆ど勝負になりません。
しかし、藤原さんの研究の結果、最新では3倍の差にまで縮めることが出来ています。
現在は技術のみで2倍近い集蜜量で、今後は見直されたニホンミツバチが品種改良を遂げれば互角の勝負ができるでしょうか?!

また、藤原さんだけでなくニホンミツバチに着目している養蜂家や研究者も多く、次々と謎が解明されています。
一番大事なことは、セイヨウミツバチよりニホンミツバチのほうが味覚として美味しいということでしょうか。
少なくとも味は違います。
セイヨウミツバチのハチミツが濃厚で黄濃な色合いにくらべ、ニホンミツバチのほうはあっさりとした喉越しの良い味で黄淡な色合いでした。

ミツバチは、スズメバチに捕食されます。
セイヨウミツバチは10匹のスズメバチに1つの巣が完全制覇されるほど弱いです。
なにせ、生まれのヨーロッパにはスズメバチがいなかったので無抵抗でやられちゃいます。
しかしニホンミツバチは、クマやスズメバチという天敵と暮らしていたので抵抗手段をもっています。
クマに対しては、集団で順番に羽音を鳴らし、「シュッシュッ」というような蛇が移動しているような音を鳴らして「毒ヘビが来たぞ」と警告音を鳴らします。
スズメバチにたいしても、巣が半壊するほどの被害を受けますが、それでもスズメバチに飛びついて刺し必死の抵抗で守りきれるそうです。
(※無抵抗よりいいけど、必死の抵抗でも半壊するほどの被害という、スズメバチの凄まじさに驚きです)
プロポリスがなくても病気に強いし、在来種の逞しさや強さを感じますね。


最後にもう一つ。在来種には在来種。ニホンミツバチの身体にピッタリの花粉を作る在来種の植物があり、セイヨウミツバチではうまく受粉できない能率が落ちる植物があります。
ニホンミツバチもそうですが、野菜の分野でも今は在来種の能力に注目され、その価値に気がつきはじめてます。
今後、経済的な理由で忘れ去られていた在来種たちがコンビネーションで巻き返してくるのか楽しみです。


■ハチミツの中身
偽装問題が社会問題になっていますが、ハチミツも同じ問題があります。
輸入物では、普通に表示されていますが、水飴のほうが多いハチミツや、薄いハチミツを煮込むことで色や糖度をごまかしてるものがあるようです。
国内でも、必要な糖度が決められています。
検査員から「何日何時に検査にいきます」と一報があるので、当日不在ということもなく養蜂家もきちんと対応できます。

最近では中国産の品質で問題になっているようですが、中国には日本には無い高品質で高級なものがいくつもあります。

以上、「日本みつばちに東洋文明の復権をみる」セミナー講演会でした。

まったく関係ないですが、感想というか個人的な事を。(メモ的な意味で)
物覚えが悪くて物忘れの多いボクには、とても勉強になる刺激的な内容でした。
ボクは、生産者として、農家として、百姓として、自然を相手に野菜作りをしています。

天候が大きな要因なのにコントロールはできず、先読み対処しつつ天災をやり過ごすように作物栽培しています。
しかし、いつのまにか、畑の土だけとか自分が栽培してる作物だけと、非常に狭い視野になっていました。

この資源のない国では、グローバル化した今、天候も資材も地球規模のアンテナが必要です。
明日の天気、明後日の天気、今週の天気、今月の天気、今年の気候を予測して行動しておく必要があります。
台風が来るのも気に掛けておく必要があります。
地球は西から東に気流が流れているので、日本は中国の大気の影響を受けています。(例:黄砂)
ハウスビニールやマルチシートの原料、トラクターなど機械の原動力軽油やガソリンという石油資源で動いてます。
問題になっている自給率や、豊作・不作、輸出輸入の政治的な問題も知っている必要があります。
インターネットは便利ですが、知りたいことの半分ぐらいしか情報を得られませんし、情報の選別も大変です。
ボクが心がけていたいのはこのぐらいで、もっと必要なこともあるでしょうけどとりあえずこのぐらいでも手一杯です。

そういうことを考えていて、ミツバチのことは貴重な経験となりました。
今日のセミナーは、いつも注意して窺っている側(ミツバチなど自然)から、自分(農業)がどう映っているかが垣間見ることができたと思います。
ショックでした。まだまだ何も知らないですね。
これを忘れず、これからも勉強していきたいと思います。


カリノタカユキ


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