エコデザイン部会ブログ

2016/09/26

「生態系~森から海へ~」セミナー報告

エコデザイン部会『森から海へ~』セミナー報告
日時:2016年9月9日(金)18:30~21:00
場所:らでぃっしゅぼーや本社フリースペース

Salmon in the tree(木の中の鮭)とは…


 今回のエコデザイン部会では、『森から海へ~』をテーマに高槻成紀先生(専攻は野生動物保全生態学)を講師に迎えセミナーを開催しました。森の生態系の変化が海の変化にどうつながっているのかという内容です。
 高槻先生のお話で、参加者をびっくりさせたのは、『木の中の鮭』という言葉でした。何故鮭が木の中に?と疑問に思いますが、お話をうかがって納得出来ました。生態学を研究しているあるグループが行った、トンガス国立公園(アラスカ)の研究で、サケの成分が木の中にある事がわかってきたからなのです。そこに流れる川には鮭がたくさん遡上する→クマが鮭を食べて森で糞をする→糞が森の栄養分になる。その森の木の窒素が、陸由来のものか海由来のものか調べたところ、木に含まれている窒素の半分近くは、海からもたらされているという新発見があったという事です。鮭が遡上する川とそうでない川では木の成長が3倍違うそうです。例えば日本でもアイヌが川の源流を「川のおわるところ」、河口を「川のはじまり」というのは、サケの立場になれるからで、サケが生態系に重要な働きをしていることを知っていたのだと思います。森は川と深く結び付いていて、鮭という特殊な生き物や熊との結びつき、木の中に海が入っているという驚くべきことが発見され、自然を見る目が豊かな人には実は昔から見えていたのではという事が本にも書かれているそうです。

 次に日本で鹿が増えすぎていろんな問題になっている鹿についてのお話です。現状では、鹿が農林業被害額をどんどん増やしています。結果ハンターを動員して駆除し、最初はハンターも食していたが、たくさんとれると山に捨てている現実があります。有効利用するのは命を大事にするという事で、いただくという事を産業にするのは大事な事なのです。鹿がたくさんいて草をたくさん食べ、枯葉まで食べてしまうと雨が降ったときに地面をたたいて土砂が流れてしまいます。例えば、山道などでも雨で土が削れても少し小石や枯葉があるだけで違います。つまり土壌というのは、日本は雨の国なので、いつでもこのような目に会う危険があるのを植物が生えることでガードしているのです。鹿が森を食べるというのは比喩ではなく、長い時間をかけて結果として現実となっています。大変深刻な問題が起きているのです。かつて里山中山間地には人がたくさんいて活気があり野生動物は接近できなかったのが、S40年以降、山林人口が減り耕作放棄地が拡大している中で鹿が増えて、かつて接近できなかったところに入り込むようになってしまいました。こういう構造が起きてしまった今、鹿はハンターが減らせば解決するとはとても思えない状況です。いい意味で都市と里山のバランスが取れていかないと、長い目で見たときに日本人と野生動物のいい関係は取れないという心配をしています。

 最後に人間と動物のいろんな関係で(想像力を逞しくした時)動物は人間をどう見ているか?という普段にはあまり聞くことのないようなお話しを紹介されました。『例えば、アライグマは、外来種で帰化動物と呼ばれています。ラスカルというTVアニメで人気となった北アメリカの野生動物です。子どもの頃は可愛いが、大人になると狂暴になり手に負えなくなります。そうなると高速道路のインター付近など自宅から離れた場所に捨てられることもあります。アライグマは犬猫のようなペットでないからそもそも自然の中でたくましく生きていきます。日本の生態系を乱すと言われてますが、アライグマにしてみたらもともと野生動物なのにペットとして飼われて、手に負えなくなると捨てられているのです。変わったのは我々の見方なのです。時々は野生動物の気持ちになって考えることが、日本で野生動物や自然と折り合いを持って生きていく事を考えるひとつのきっかけになるのではと思います。』と、生態学が専門の先生ならではの生き物の面白さ、その生き物がつながって生きていること、それが人の暮らしとどうつながっているのか、といった話を聞くことが出来ました。高槻先生の約70分のお話に参加者の皆さんの興味は尽きない様子でした。

 お話しを聞いた後は、らでぃっしゅ自慢の商品を使ったメニューで懇親会を楽しみました。
 ~森のキノコと海の魚介類のマリアージュ~舞茸たっぷり鮭のチャンチャン焼き、帆立のカルパチョ、海鮮パエリア等を味わいました。美味しい食事をいただきながら高槻先生への質問や参加者同士の懇談など楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。

 今期はあともう一回このようなセミナーを開催予定です。Radixの会の生産者はみな同士です。エコ部会も食品同様「生命いのち」ある製品を扱う生産者が多々います。今回のタイトル:森から海へ:は、森林、土壌、河川、海洋という其々の環境問題に取り組む生産者にとって共通なこと。食品もエコ雑貨も同じです。Radixの会が、単に会員企業各社の事業としての関係性だけではなく、らでぃっしゅぼーやが推進する「運動していくための連帯した関係性」をつくる為の交流の場となる事の提案として、今後も各部会に向け、カテゴリーを超えた積極的な参加を呼び掛けていきたいと思います。 (今回は食品部会(お魚チーム)から千葉産直サービス冨田理事、廣瀬さんが参加されました。)


きのこたっぷり鮭のチャンチャン焼き

鮭は「佐藤水産さん(北海道)」、きのこは「渋田産業さん(北海道)」の蝦夷まいたけ

懇親会の様子らでぃっしゅぼーや『元気くん』でおなじみの食材のメニュー

メニューの説明をする生活アートクラブ富士村理事

割り箸は「生活アートクラブさん」提供の間伐材の割り箸
缶詰は、懇親会でも大人気「千葉産直サービスさん」のとろさば、とろさんま

「簡単お手軽パエリアセット」炊飯器で簡単にできる海鮮たっぷりのパエリア

「オホーツク産ホタテ貝柱刺身」のカルパチョ

鹿の問題から「森から海へ」という財団を立ち上げたアバンティ渡邊理事と北内さん
鹿が原料のペットフードやオーガニックコットンのペット下着を扱います。
2016/09/26

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