エコデザイン部会ブログ

「再生可能エネルギー」セミナー開催報告

 7月27日に開催したエコデザイン部会セミナーでは、これからのエネルギーとして世界中で注目され、開発が進む、再生可能エネルギー(以降「再エネ」)をテーマに「知らないと損をするエネルギーのはなし」という呼び掛けで、弁護士の水上貴央(たかひさ)弁護士をお迎え、お話を伺いました。

 水上さんはNPO法人再エネ事業を支援する法律実務の会の理事長も努め、再エネの普及を、法律の側面から力強くバックアップする活動をしていらっしゃいます。

 今回は、再エネ支援のきかっけや、その魅力などについてたっぷりお話を伺いました。エコ部会はもちろん、農産や食品など他部会の会員含め、40人以上の会員さんにご参加いただき、らでぃっしゅぼーやのスタッフ含め、約60人で実施しました。

再エネに取り組んだきっかけ

 東日本大震災の原発事故で福島の人たちが東電に対して持った損害賠償請求権。その時効延長という重大な取り組みがきっかけだったそうです。
 この権利は契約に基づかない「不法行為」扱いのため、なんと民法では時効が3年。対象が広範囲で、とても対応できないということで10年に伸ばす交渉をして実現。
 自然災害と違い、何万年と管理が必要な放射性廃棄物で広い国土を汚染し、負債を残したこの事故が、法律家には未来の人々に対する人権侵害というふうに見え、解決すべき社会的課題と考えたそうです。
 そして、再エネで経済的、経営的視点からアプローチ(簡単に言えば儲かるというビジネスの話に)しました。そういう文脈に持っていかないと問題解決ができないから、というわけです。但し、儲かるといっても中央集権的な搾取構造にならないよう地元の人が儲かり、地元でお金が廻り、雇用を生むような組み立てをしてきたとのことでした。

再エネはこれからの第一次産業だ!

 2010年の世界の再エネ投資額は2430億ドル。それ以降、増減がありつつも毎年2500億ドル(約30兆円)規模の新規投資が行われており、今、投資の30%は中国で、アメリカの政権が代わり後ろ向きになったこともあり、勢いに乗って、次の5カ年計画で電力投資全体の8割を再エネにするという話になるとのこと。計画通りにいけば10年後には中国で電力供給の半分が再エネになる計算。このことは再エネに経済合理性がある成長産業であるということを如実に物語っているということでした。
 この後、経済合理性の4つの視点が説明され、市場経済(ミクロ経済)視点や国民経済(マクロ経済)視点、国際経済(グローバル経済)視点には欠けがちな時間軸を入れた環境経済(未来への負荷も考慮する)の視点が大切なのだというお話がありました。また、再エネで地域が黒字化したドイツの小さな村のエネルギー収支を例にして地域内経済循環が大事なテーマであることが語られました。
 また、再エネポテンシャルとエネルギー需要の図を示しながら、エネルギーも地産地消をきっかけにスタートし、新たな第一次産業(自然から得られる恵みを直接マネタイズする事業)と位置づけ、地域外に輸出することも視野に入れる必要があるとの提案、そして農業や漁業との相性の良さなどの説明もありました。

FIT買取価格が下がっても…

水上先生の話を真剣に聞き入る参加者の皆さん
 再エネのFIT買取価格が段階的に下がりブームも下火という声もあるが、今までがスタートアップで特別な期間だったと考えるべき。太陽光はこの間、パネル価格下落や発電効率向上、中間マージンで稼ぐブローカーがいなくなり20年間の利益で考えると、当初とそれほど変わらない。初期投資が下がった分もっと普及を進められるという考え方。大企業が欲する利益率は無理にしても、小規模な事業としては充分成り立つ・・・と。
 また、2015年のパリ協定からアメリカが離脱したが、この間、石油メジャーが脱炭素技術を買収済みでアメリカはじきパリ協定に戻るだろう。省エネや低炭素という技術しかない日本は、このままだと一人負けする。アメリカと中国を出し抜くくらい本気で再エネを普及させないと炭素税や排出権取引で膨大な支出が想定され、国際間経済競争の中でも追い詰めらていくことを理解しておくべきで、そういう意味合いからも、送電網を(本当の意味で)開放し、再エネを激増さねばならないという話は大変説得力のあるものでした。

地域主導型再エネのリスクとその乗り越え方

 様々なリスクがあるが、ガバナンスの部分が重要。たとえ熱意のある人がいても、それが永続的に事業として続けられる(若者を巻き込み、持続可能な)環境を整え信用力を補完しないと、銀行も融資してくれない。それ以外のリスクは助けてもらえる専門家がいる。
 銀行融資には全体費用の3割を調達する必要があり、市民ファンドやクラウドファンディングなども活用すべき、等、地域で再エネ事業を立ち上げる際の障壁や、その乗り越え方など、かなり詳細にお話をいただきました。
 地域自治体との協働の例を長野県飯田市や、ドイツの地域組合方式の例、さらには日本の現株式法制の中で、ドイツの地域組合方式的な事業を立ち上げる方法など、具体的な実践方法が解説され、最後に、それらを購入型のクラウドファンディングで支援する形にして、(例えば、ソーラーシェアリングで生産された農産物を)デリバリするという仕組にして参加しては?という、積極的ご提案までいただきました。

質疑応答も活発に

グループワークの内容を聞いて回る水上先生
 法律を軸に、会社経営や金融、さらには行政にまたがった、濃い話で1時間半近い時間があっという間に過ぎ、その後はグループに別れて水上さんのお話を受け、自己紹介も兼ね質問をまとめてもらうという時間を30分。
 質疑内容としては、再エネのデメリット面について、地域再生の成功事例として岡山県の西粟倉村(バイオマス)の話、発送電分離時代の送電費用や減価償却期間(約15年)、民間での成功例等多岐にわたる質疑が行われ、その後の懇親会でも、熱のこもった質問が飛び交っていました。
 参加者にとっては、消化するには大変な情報量でしたが、大変刺激的な時間だったと思います。
(事務局・高橋)

らでぃっしゅ食材を使った懇親会も盛り上がりました

懇親会前に参加者全員で記念撮影
水上先生も一緒に乾杯

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