食品部会ブログ

2013/07/20

醸造発酵連続講座・第2回醤油 開催報告

座学の会場は、
(株)松本醤油商店さんが手がける
「café蔵」をお借りしました。
2013年7月6日(土)、醸造・発酵連続講座の第2回目となる、
実地編「現場見学・醤油」を開催しました。
今回の会場は、東京を離れ、埼玉県川越市の(株)松本醤油商店さん。
松本公夫社長によるお話と醤油蔵の見学で、
川越の町と醤油づくりの歴史に触れる2時間となりました。


開場
座学の会場となった「café蔵」
「café蔵」の看板。
シンプルでおしゃれです。
開会のご挨拶にたつ
Radix事務局の沢村。
松本醤油商店さんの看板商品
二段仕込み「はつかり醤油」
醸造・発酵連続講座の
企画発起人の藤巻GL
お天気にも恵まれた連続講座当日。
受付開始は9:45分からにもかかわらず、
30分前にはちらほらとご参加の皆さまがご来場。
急いで会場をセットし、参加者の皆さまをお出迎え。

今回の企画、同業の皆さまの関心が特に高かったようで、
福岡県からはクルメキッコーさん、島根県からは森田醤油さんが。
さらに、次回連続講座の講師をお願いしている
中村醸造の中村社長は長野県から駆けつけてくださいました。
また、農産部会のあゆみの会さん、
エコデザイン部会の生活アートクラブさんと
風水プロジェクトさんも登場。
業種を超えた顔ぶれとなりました。

そして10時。Radixの会事務局の沢村のご挨拶からスタート。
まず、今回はRadixの会の会員さまだけでなく、
らでぃっしゅぼーやのお客様もお招きしていたため、
Radixの会がどのような組織なのかを簡単に説明。
続いて、この講座が「連続」と冠している通り、
シリーズ企画であり、今回は第2回であることもご案内。
「前回は、らでぃっしゅぼーや本社での座学でした。
 今回は“実地編・現場見学”ということで、松本社長にお話の他、
 醤油蔵の見学もプログラムに組み込みんでいます。
 短い時間ではありますが、お付き合いください」とご挨拶。
沢山の拍手をいただきながら、本題へと突入です。

続いて、本企画の発案者である、
らでぃっしゅぼーや(株)MD部の藤巻啓二グループリーダーが登場。
「日本には四季があり、これが地域それぞれの文化を生んでいます。
 微生物というのは目に見えるものではなく、
 土地土地に生きるものです。
 出来のいい菌だからといって、それを他の土地に移しても
 同じものができることはありません。
 松本醤油商店さんは創業250年以上の歴史があります」と
日本における醸造・発行の背景を説明。
また、松本醤油商店さんとの馴れ初めについても…
「松本醤油商店さんとのお付き合いは、
 らでぃっしゅぼーやの創業当初の1988年からです。
 らでぃっしゅぼーやは今年創業25周年ですから、
 25年のお付き合いということです。
 実は、一番最初にお取引させていただいたのは醤油ではなく、
 炊き込みご飯の元からでした。
 松本醤油商店さんの再仕込み醤油は一度しぼった醤油を
 また仕込むというとても手間のかかるもの。
 ぜひ、扱わせてほしいとお願いしたところ
 「2年待つならいいよ」と言われて、本当に2年待ちました。
 それが今につながっています。
 松本社長の情熱で生まれる再仕込み醤油、
 そして地産地消や、地域文化を未来へつなげる取り組み。
 今回の交流を通じて、松本醤油商店さんの
 ファンになっていただければ担当者としても嬉しいです」と
ご挨拶を締めくくられました。


松本公夫社長による講話
松本醤油商店の松本社長。
松本醤油商店前の路地も
風情ある表情を見せています。
川越の観光地図を見せながら
地元愛を語ります。
会場は満員御礼です。
パネルを使って
醤油の種類を説明。
パネルを使っての説明は
さらに続きます。
これが、180年ものの
“蔵付き酵母”がいる醤油蔵。
樽も大切に直しながら
使い続けているのだそう。


開会のご挨拶の後は、本題である松本公夫社長の講話へ。
ご参加の皆様に向かって優しい笑顔を向けながら
「今回は難しくなり過ぎないようにお話したいと思います。
 リラックスして聞いてください」と最初に一言。
続いて、川越についてもご紹介。
「川越は、文化、歴史、見どころは沢山ありますので、
 ぜひ勉強会が終わったら、川越の街も楽しんでいってください」
地域文化、川越の街をこよなく愛する
松本社長らしいご挨拶からのスタートとなりました。

そして、松本社長の口からも飛び出した、
らでぃっしゅぼーやとの馴れ初め話。
「らでぃっしゅぼーやっていうのは、本当にワガママなんですよ」
この一言に、会場からは笑いが。
「最初は面倒くさかったですよ。
 でも、今はやってきてよかったなと思っています。
 そのひとつとして、醤油粕の処理問題があります。
 醤油粕というのはどうにも再加工ができない。
 産業廃棄物として処理する醤油屋も少なくありませんが、
 うちは、酪農の会社に全て引き取ってもらっています。
 牛の餌になるんです。なぜ引き取ってもらえるか。
 原材料が全て川越の大豆、出処がはっきりしているから。
 安心して引き取ってもらえるんです」と。

さらに話は進み、「醸造・発酵」のお話へ。
「醤油は人が作っているんじゃないんです。
 カビや微生物が作ってくれるんです。
 人は彼らが働きやすい環境を作って、
 彼らにしっかり仕事をしていただけるようにしているだけ。
 カビや微生物の都合のいいようにするんです。
 ところが、最近は人間の都合優先の作り方が増えて来ました。
 より早く、より多く…。それは違うんじゃないかな」

作り方に続いては、醤油の種類の説明です。
「醤油には、濃口、薄口、たまり、
 再仕込み、白醤油、5つの種類があります。
 うちで作っているのは、80%が再仕込み醤油です。
 もっと旨味の強い醤油を作りたい。
 そんなところから35年位前に取り組み始めました。
 再仕込み醤油は普通に造ると香りが今ひとつです。
 それを香りも旨味も両方出すのがうちの作り方です」
使用される材料についても…
「単純に旨味成分だけあれば良いということで、
 よそのメーカーでは、脱脂大豆で造るところが多いですね。
 最近、ようやく丸大豆醤油なんてことを
 言い出したところもありますが、うちはずっと丸大豆だけです」
続いて麹の話題へ。
「醤油づくりの第一関門、それが麹です。
 皆さん、発酵に使う麹に種類があることはご存知ですか?
 お酒は米麹、醤油に使う麹(醤油麹 )は米麹とは違います。
 米麹は真っ白ですが、醤油麹は黄色い色をしています。
 麹の役目ですが、栄養分であるタンパク質を分解し、
 人が味として感じるものに変換する、これが麹の役割です。
 麹は“3日麹”といって、3日かけて作ります。
 温度が高いとうまく作れないので、夏場は難しい。
 よくお酒は寒の時期に仕込みますが、それと同じ理屈です。
 大豆と小麦、麹に塩水を混ぜて発酵熟成。
 ここで、でんぷん質を分解して糖を作りだすまでが麹の役割。
 蔵付き酵母なんて言いますが、うちの蔵は180年の歴史だから、
 180年ものの酵母菌が働いて発酵していきます。
 その後に乳酸菌がじっくり桶の中で仕事をする。
 炭酸ガスを出しますから、よく手入れしないとカビが出ます。
 天地返しをして、酸素に触れさせて。秋にはかき回さずに熟成。
 春夏秋冬があって醤油は熟成される。
 だから、最低でも1年はかかるものなんです。
 でも、最近では人間の都合で“もっともっと”と働かせて、
 早いものだとたったの4ヶ月で出荷です。多いのは6ヶ月で出荷。
 でも私は、昔ながらの微生物との付き合い方を変えたくない。
 だから、最低でも1年なんです」

さらに、最近ブームになっている「生しょうゆ」の話題も。
「最近、生しょうゆがブームのようですが、
 私は決してそれがいいとは思いません。
 醤油は火入れして香りが出る。それも含めて醤油なんです。
 火入れをして初めて完成するんです」
松本醤油商店さんでは、一部生しょうゆも扱っていますが、
売り先はソース屋さんとせんべい屋さん限定なのだそう。
「ソースは原材料と混ぜて煮こむ時にに火が入ります。
 せんべいも塗って焼く時に火が入る。
 火入れは何度も行うと香りが落ちてしまいます。
 だから、こういう場合は生しょうゆを出すんです」

講話を終えた松本社長。
「今、醤油の出荷数は日本全国で2割は減っています。
 だし醤油やめんつゆを醤油代わりに使う方も増えて、
 その影響は小さくありません。
 昔は1Lが主力でしたが、最近は500MLが主力です。
 いろいろ大変ですが、醤油は文化です。守っていかないと。
 醤油っていうのは、皆さんなかなか捨てない。
 刺身に使って小皿に残った醤油も別のものにかけてつかう。
 これでは、醤油本来のおいしさや香りは半減してしまいます。
 もっと、捨ててもいいんですよ。
 捨てるのも文化と唱えながら一生懸命やっていきますので、
 これからも、よろしくお願いします」
と、話を締めくくられました。


松本醤油商店醤油蔵見学
松本社長の熱い講話が終わり、一息つく間もなく参加者は次のプログラムへ。
いよいよ、醤油蔵の見学です。

皆さん、カメラとメモを手に次々と蔵の中へ。辺り一帯を包み込む、醤油の香り。
歴史を感じさせる蔵と巨大な桶を前に、皆さんから感嘆の声があちらこちらから漏れます。

特に、使い付けている桶の巨大さ、存在感は圧巻。
しかし…
「蔵は町の重要建築物なので、修理には補助金が出ます。でも、桶にはお金が出ません。
 前、職人さんに修理代金を見積もってもらったら数百万円…。大事に使うしかありません」
松本社長が桶を何よりも大切にしていることがわかるこんなお話も。
「先だっての震災の時、私は出かけていたんです。もちろん、心配ですからすぐ会社に電話しました。
 でも、私が最初に言った一言が『桶は無事か!』だったんです。
 それ以来、みんな『社長は社員よりも桶が大事なんだ(笑)』って、
 なにかあると、いまだに言われます(笑)」

麹を作るむろの前で。
夏場は使われていません。
蒸し器。大変な年代ものです。
醤油蔵の中へ。
歴史ある蔵に感動。
解説をする松本社長。
試食用の醤油もろみ。
試食する参加者。
しぼりは人の手で。


小江戸鏡山酒蔵見学
続いて向かったのは、小江戸鏡山酒造株式会社の酒蔵です。
松本醤油商店の醤油蔵とは違い、こちらの酒蔵は近代的。
酒造りに携わるスタッフも若く、5名の平均年齢はなんと29歳!
若いからといって、技術も若いわけではありません。
初代杜氏は、銘酒鏡山を守ってきた名人の最後の直弟子だった女性。
長い歴史の中で培われてきた酒造りが、
小江戸鏡山酒蔵の酒には、しっかりと受け継がれています。

松本社長いわく
「日本の醸造業は、醤油、味噌、酢などがありますが、
 その中の最高峰がやっぱり日本酒。醸造に携わるもののあこがれです。
 川越は醸造の町だったのに、いつの間にか酒造会社がなくなってしまった。
 これは無くしてはならぬと思い、小江戸鏡山酒蔵を作りました」
でも…
「実は、私、こう見えて、お酒は一滴も飲めません。だから、味は全ておまかせ。
 スタッフが“社長今年の新酒です”と持ってきてくれても、香りを確かめて、
 うん…これならいいんじゃない?と言って、飲まずに終了です。
 でも、飲めなくてよかったのかも。飲めていたら、
 ちょっと試飲…とかいって、酒蔵ばかり行ってしまっていたのかも(笑)」と。


小江戸鏡山酒蔵の酒蔵へ!
松本社長の説明に集まる参加者。
松本社長も熱く解説。
設備は近代的。
銘酒・鏡山。
もちろん、試飲もありました!


まとめ
締めのご挨拶をする松本社長。
次回の講師は「まるゆき味噌」の
中村醸造場・中村社長です。
朝10時からはじまり、座学・蔵見学…。
2時間という限られた時間での実施となった今回の講座。
最後は松本醤油商店さんの直売店舗の見学と、
記念撮影で締めくくりです。

松本社長からは
「今回は川越まで来てくださってありがとうございます。
 うち以外にも、川越には見どころが沢山ありますので、
 ぜひ、この後ゆっくり見学していってください」とご挨拶。

また、次回の醸造発酵連続講座の講師役が決まっている
長野県の中村醸造場の中村社長を皆様にご紹介。
次回開催へのご参加を皆様にお願いしつつ、
第2回の連続講座は無事終了となりました。


(報告:Radixの会事務局 田中)




2013/07/20

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