「普通、味噌が品切れということはないのですが、うちはそれがあるんです。売り切れたら、次を出荷できるまで待っていただいています。スーパーでも、まるゆき味噌の棚が空っぽの状態で「まるゆき味噌は現在品切れ中です。次回入荷は○○日の予定です」と張り紙をして待ってくださるんです。とても、申し訳ないとは思うのですが、自分がしっかり目をかけて、責任を持って作れる量は決まっているから、それ以上は出せない。無理して量を出して、味が変わってしまったら申し訳が立ちませんからね」と中村社長。
最後に語ってくださったのは、味噌作りに大しての姿勢と信念です。
「私のポリシーは“安心、安全、信頼”です。最近のメーカーさんなら、どこでも安全はやっていますが、それよりも私は安心…つまりお客さまとのつながり、気持ちを大切にしたい。だから、安全の前に安心を持ってきています。そしてやり続けること。自分で責任の持てるものであること。本当は、私が全てを見るのではなく、分業すれば量はもっと作れます。でも、それでは自分が納得できない。量が作れなくても、私の代は、私が目をかけられる範囲でと決めています。そして“感謝”の気持ち。今現在の中村醸造場とまるゆき味噌があるのは、お客様がいて、出会う中でいろいろ助言をしてくれる人がいて、この味噌の命でもある麹菌があったからです。慢心してピノキオのように鼻が伸びてしまわないよう、感謝の気持ちを忘れず、平常心でやっていきたいと思っています」と締めくくられた中村社長の言葉に、会場からは惜しみない拍手が沸き起こりました。
(報告:Radixの会事務局 田中)