畜産部会ブログ

2013/01/25

牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに関する説明会に行ってきました

BSE対策開始(平成13年)から10年が経過したのを機に、これまでの対策の内容、国際的な状況、最新の科学的知見を踏まえ、国内検査体制、輸入条件といった対策全般の再評価を実施しています。
東京で開催された説明会(1月22日(火)13:30~16:00)の参加報告をいたします。

主催:内閣府食品安全委員会、厚生労働省、消費者庁


再評価の理由

再評価の理由は、以下の2点です。

1.国内外で飼料規制等の対策の結果、BSEの発生数は大きく減少し、リスクが低減している
世界:ピークの年(1992年):約3万7千頭→2011年:29頭
国内:平成15年(2003年)以降に出生した牛からはBSE陽性牛は確認されていない

2.国際獣疫事務局(OIE)により「管理されたBSEリスクの国」と認定された国々から、国際基準に則した貿易条件への早期の移行について要請がある

スケジュール

2011年12月 厚生労働省から食品安全委員会にBSE対策の再評価に対して諮問
2012年10月 食品安全委員会から食品健康影響評価の答申
2013年1月  国民向けの説明会(←今回これに参加)
2013年2月  国内措置見直しの省令改正
2013年4月  国内措置見直しの省令施行

諮問内容と答申

厚生労働省から食品安全委員会への食品健康影響評価の諮問内容と答申は、以下のとおりです。

国内措置
1.検査対象月齢
現行の検査規制閾値の「20か月齢」から「30か月齢」とした場合のリスクの差
→あったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる

2.SRMの範囲
頭部(扁桃を除く)、せき髄及びせき柱について、現行の「全月齢」から「30か月齢」に変更した場合のリスクの差
→あったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる

国境措置 
1.月齢制限
現行の規制閾値である「20か月齢」から「30か月齢」とした場合のリスクの差
→あったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる

2.SRMの範囲
頭部(扁桃を除く)、せき髄及びせき柱について、現行の「全月齢」から「30か月齢」に変更した場合のリスクの差(フランス、オランダは「輸入禁止」から「30か月齢」とした場合のリスクの差)
→あったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる

見直し案

国内措置については、実質全頭検査していたのを、30か月齢を超えた牛のみの検査に、また30か月齢以下については、頭部(扁桃のぞく)、せき髄、せき柱の使用を可能とする案です。
輸入措置については、アメリカ、カナダ、フランス、オランダからの30か月齢以下を輸入対象として拡大。除去対象は国内措置と同様。アメリカ、カナダ、フランス、オランダは日本と同じく国際獣疫事務局(OIE)に「管理されたBSEリスク」の認定を受けています。

意見交換での話題

・ 30か月齢の区切り方についての意見
30か月を1日でも過ぎたら、検査対象になるというところが混乱を招くのではないか?との意見に対し、最終的には国際的に採用している今回の区切り方としたとのこと。30か月齢超と30か月齢以下で分別管理をしなければならないので、周知をしっかりする必要があることが説明されました。「SRMの管理及びBSE検査に係る分別管理ガイドライン」が通知予定(案は2012年12月に通知済)とのことです。

・ 実質的には全頭検査は継続するか?
平成17年の見直しの際に、全頭検査から20か月齢超が検査対象となりましたが、実際は補助金で全頭検査が続けられていました。検査をしているものとしていないもので、経済的な価値の差が出るからというのが理由です。今回も結局そのようになるのかとの質問に対しては、全頭検査はきちんとやめていくとの回答で、法律施行後すぐに補助をやめるということではないようですが、補助金による全頭検査の継続の可能性は低そうです。

・ 非定型BSE※についての意見
非定型BSEについては、まだわからないことが多い、1件の試験だけで人への感染性は無視できると判断するべきではないのでは?など全頭検査をしないことに対し、非定型BSEの懸念から反対意見が複数出されました。非定型BSEについては、日本で見つかった23か月齢での感染性は認められなかったことが再度説明されましたが、反対意見側との溝が埋まったようには見えませんでした。いずれにしても非定型BSEについては、今後も注視が必要と思いました。
※ 異常プリオンたんぱく質で、従来とは異なる型のものがあり、これにより発症するBSEを非定型BSEという。検出試験で検出を示す印が出てくる位置が従来とは異なることから非定型といわれる。

・アメリカの管理体制は大丈夫か?
アメリカからの輸入牛肉では違反に関する通達が複数出されていることなどから、管理体制への懸念意見が挙げられました。これに対し、従来の日本の輸入牛肉に対する措置(20か月齢以下)が要求事項として厳しかったため、違反も起きやすかったが、今回30か月齢とすれば、間違いはおきにくくなると考えられること、また、1件の違反事例に関係した通達が何件か発信されることになるため、通達数で見ると多く見えることが説明されました。現在のアメリカの管理体制については、日本と比べて同等と認識しているとのことでした。またトレースできることは問題が発生したときには、対象や原因特定に有効に機能しますが、トレースできている=安全(トレースできていない=安全でない)ということではないということも説明されました。

当日の内容は、今後主催者(食品安全委員会)でもHPアップされるということです。
またBSEに関係する資料、情報なども食品安全委員会のHP上でまとめてアップされています。
http://www.fsc.go.jp/index.html

厚生労働省のHPにもBSEについての情報がまとめられています。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bse/index.html


食品の流通がグローバル化している今日、食品のリスク管理の考え方やルールの共通化は必然であり、自給率39%の日本ではそれを無視するわけにもいきません。この先、全頭検査を行わなくなるのは、時間の問題、多少円安になったとはいえ、円高であることに変わりはなく、牛肉の輸入量は増え、相対的に国産牛肉に対しては厳しさが増すように思います。価値をどのように作り出していくのか、ますます知恵を絞らないといけなくなってきているように感じました。

報告 Radixの会 事務局 露木

2013/01/25

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